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SmartHR導入は行政のデジタル化への第一歩。長浜市役所の挑戦

(左から、総務部人事課の宮川さん、服部さん)
(左から、総務部人事課の宮川さん、服部さん)
  • 課題
    非常勤職員の雇用形態が多様で労務管理の工数が膨らんでいた
    社会保険や雇用保険の加入状況も人によって違うため、業務フローの整備や効率化が課題
    年末調整や社会保険の加入手続きが煩雑で職員負担も大きい
  • 解決策
    労務手続きの職員負担を軽減させるため、システムを導入
  • 効果
    社会保険手続きにかかる業務時間は1/2ほどまでに削減
    年末調整は、以前は紙で配布をしていたので、印刷・配布・回収に時間がかかっていたが、導入後はこれらの業務時間がほぼゼロに
    紙を印刷するだけでも8,000枚以上の紙を使用していたことになるため、経費削減の意味でも効果があった

長浜市は、滋賀県の東北部に位置し、琵琶湖や伊吹山など優れた自然景観を有しています。そんな魅力あふれる長浜市に住む市民の生活を支えているのが長浜市役所です。

自治体としては初の導入事例となった長浜市役所。その背景と導入にこめた想いについて、人事課の服部さん、宮川さんにお話を伺いました。

非常勤職員の労務管理の煩雑さが課題

お二人の業務についてそれぞれ教えてください。

服部さん:私は総務部の人事課に所属しており、主に非常勤職員の採用や労務管理を担当しています。

宮川さん:同じく人事課に所属しています。主な担当業務は服務の分野で、職員の休暇や休業などの管理を担当しています。以前に正規職員の給与関連事務を担当していた関係で、年末調整にも携わっています。

SmartHR導入の背景を教えてください。

服部さん:市役所に在籍する職員のなかでも、とくに非常勤職員の雇用形態が多様であることから労務管理の工数が膨らんでいました。正規職員であればフルタイムとなりますが、非常勤職員は週5日勤務から週1日勤務まで様々なうえに、勤務時間も異なります。

また、社会保険や雇用保険の加入状況も人によって違うため、業務フローの整備や効率化が課題でした。

導入に向けて優先度が高まったキッカケはなんでしたか?

服部さん:私が人事課へ異動になって以降、他の職員とともに幅広く人事労務業務に携わるようになりました。その中でもとくに、年末調整や社会保険の加入手続きが煩雑で職員負担も大きいと感じたため、解決策を模索し始めたのがキッカケです。

(服部さん)

導入実績が決め手。初期段階での導入コスト・セキュリティへの取り組みが後押し

導入の決め手を教えてください。

服部さん:様々なサイトを眺めるなかで、とくにSmartHRさんのウェブサイトが見やすく目を惹きました。詳しく見ても、馴染みある企業を中心に多くの導入実績を持つ点が決め手になりましたね。

サイト上で紹介されている説明や導入事例もわかりやすく、すぐに利用イメージが湧いたのも理由の1つです。

サービスの選定時にはどんな点を重視しましたか?

服部さん:初期段階での導入コストは判断材料の1つでした。問い合わせた段階ではクラウド型、オンプレミス型問わず検討をしていましたが、SmartHRのようなクラウド型であればコスト的にも導入のハードルが低く始められると感じました。アカウント単位での料金体系もわかりやすくていいですね。

それ以外では、セキュリティ面も重視しました。この点については市役所内で個人情報保護の担当者とも連携をとり確認を進めてきましたが、やはりSmartHRさんの導入実績が安心材料になりましたね。

その段階で、経済産業省やIPA(情報処理推進機構)の基準に準拠したセキュリティチェックシートをいただけたので、市の基準と照らし合わせたうえで判断しました。

参考:セキュリティへの取り組み – SmartHR セキュリティチェックシート

本検討に際して、効果検証を実施されたと伺いました。

服部さん:初回の問い合わせを経て、実際にどのくらいの効果が見込めるのかを担当者の方に相談したうえで、2020年7月〜2021年3月の期間で効果検証を実施しました。

一通りの機能に触れるなかで、導入前後の業務フロー比較、本導入に向けての要件整理や周辺システムとの連携などを確認していきました。その後、2021年9月に本導入に至りました。

SmartHRの担当者の対応はいかがでしたか?

宮川さん:いつも親身になって対応いただいける点も導入検討の大きな後押しになりました。

私たちとしても導入検討から効果検証、本導入に至るまでプロジェクトベースで進める流れが初めてでしたので、わからないことが多くありました。

そんななかでも、担当者の方にうまく全体の流れをハンドリングしていただき、設定した期日までに必要なことを洗い出せてもらえたため、安心して導入の準備を進められました。

都度発生する確認事項もメールで迅速に回答をもらえてありがたかったですし、寄り添っていただいている姿勢が伝わり心強かったですね。

(宮川さん)

社会保険手続きにかかる時間が半減。職員の7割が「来年以降もSmartHRの年末調整を使いたい」

導入後の変化を教えてください。

服部さん:社会保険手続きにかかる業務時間は1/2ほどまでに削減できました。

導入以前もe-Govを使って電子で対応していましたが、既存システムとのデータ連携は一切ありませんでした。氏名をはじめとした職員情報をすべて手入力で打ち込み、その後手続き内容をe-Gov上に入力する流れに手間がかかっていました。

SmartHRでは職員ご自身に情報を登録してもらえるうえに、手続きをする際はその職員情報を直接引っ張って利用できます。手間が省けるだけでなく、そもそも入力ミスが生まれにくい設計になっているのは大きなメリットだと感じます。

宮川さん:年末調整でいえば、導入以前は紙で配布をしていたので、印刷・配布・回収に時間がかかっていたものの、導入後はこれらの業務時間がほぼなくなりました。

長浜市役所には職員が2,000名ほどおりますので、紙を印刷するだけでも8,000枚以上の紙を使用していたことになります。経費削減の意味でも効果がありましたね。

(長浜市役所さまご提供:SmartHR導入後の年末調整の業務フロー)

SmartHRの年末調整を利用された職員の皆さんからの反響はありましたか?

服部さん:個別では「楽になった」「便利になった」と直接感想を届けてくれた職員もいて嬉しかったですね。

職員全体ではSmartHRの従業員サーベイ機能を使って職員にアンケートを実施したところ、回答者の7割ほどが「来年以降もSmartHRで年末調整をしたい」という回答が得られるなど、全体的に好意的に受け入れられたことがわかりました。

それは嬉しい結果でしたね!

服部さん:とくに今回の年末調整では税制改正があったため、導入以前であれば紙を配布する際も様式や書き方が変更になったことを説明しなければなりませんでしたが、簡単な案内のみで留められています。

実際、様式変更に関する問い合わせもほとんどなく、職員は年末調整をアンケート形式で提出できるため、とてもスムーズに終えられました。正直、税制改正があったこと自体気づかなかった職員も多いのではと思うほどです。

行政のデジタル化推進のためにも、まずは職員の内部事務からDX化を

今回、長浜市役所さんが自治体として初のSmartHR導入となりました。先行事例として他の自治体さんへお伝えできることがあれば教えてください。

服部さん:今回、私たちは比較的スムーズに導入に至りましたが、まだまだ同じように導入に強い関心を持っている自治体の数は限られていると伺いました。

そもそも官公庁や自治体の予算は、国民や住民のサービス向上が優先される背景があり、とくに市民サービスに直結しない部分については予算がつきづらい実情があります。

一方で、今は行政手続きのデジタル化・オンライン化を推進していく社会的な気運があるため、導入のタイミングとしては良い時期だと思っています。

そういう意味では、私たちがまず職員の内部事務からSmartHRの導入によってDX(デジタルトランスフォーメーション)化に着手できたのは大きかったと考えています。

行政手続きのデジタル化を目指すうえで、市民の方々に直接的に関わってくる話となると、どうしても関係者や確認項目が増えてより慎重にならざるを得ません。

ですので、もし他の自治体さんにお話しできることがあるとすれば、自治体のデジタル化・DXを推進していくうえでは、まずは職員の内部事務から取り組むことをおすすめしたいと思います。自分自身の実感を伴ってデジタル化を語れるか否かでは、大きな差があると思います。

(長浜市役所景観)

さらなる効率化を目指し、職員一人ひとりに寄り添える時間を増やす

今後どのようなことに取り組みたいと考えていますか?

服部さん:必ずしも紙でなくていいものはすべてオンライン化して、手続き上のミスが生まれにくい環境を整えるとともに、さらなる効率化を進めていきたいですね。

またその過程のなかで生まれた時間を活かして、職員一人ひとりに寄り添えるような時間を増やしていけたらと思っています。

宮川さん:公務員の世界でいうと、良くも悪くも前例踏襲主義のイメージを持たれてしまいがちですが、長浜市役所は比較的業務改善に前向きな職員が多く、新しいチャレンジに前向きな雰囲気があります。そういった土壌を活かし、今後も民間と公務員の違いにはあまりこだわらずに、いいものは積極的に取り入れていきたいですね。

引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!

※掲載内容は取材当時のものです。