150拠点・1,000名のアパレル企業、情報の一元化で属人的な評価・配置検討から脱却
課題
- 少人数の人事担当者に評価や人員配置に必要な情報が集約しており、属人化していた
- 人事評価の妥当性、定着率の低下が課題になっていた
- 労務手続きは紙ベース運用で、多く時間と費用がかかっていた
解決策
- SmartHRを導入し、評価や配置検討にまつわる情報を一元管理
- 評価基準や育成方法を見直した
- 入社手続きや身上変更手続きをSmartHRでペーパーレス化
効果
- 属人的な評価から脱却し、公平な評価や配置検討を実現
- 社員が自身の実績を簡単に把握でき、意識改革にもつながった
- 入社手続き業務の工数を40%削減し、セキュリティ面の不安も払拭
株式会社ヤマダヤは愛知県名古屋市に本社をおくアパレル企業。ウィメンズウェアを中心に企画、製造、販売を行っています。アナログかつ属人的だった人事労務業務を、SmartHRでDX化。より透明性が高く公平な人事評価・配置検討体制の構築に加え、労務手続きの効率化を実現しています。
今回は人事・労務を担う古宿さん、乾さん、下田さん、浅里さんにSmartHR導入の背景や解決した課題や効果、実際の運用についてお話を伺いました。
人事の属人化により評価の基準が曖昧になっていた
SmartHR導入前の課題を教えてください。
古宿さん:弊社の社員数は1,020名で、全国150店舗を展開しています。一方で管理部門は少人数体制での運営を続けており、従来のやり方では全社の状況を十分に把握することが難しくなっていました。たとえば、個人の評価にまつわる販売数値のデータは表計算ソフトで管理していましたが、販売数値を見ただけでは実績を正しく評価できません。店舗年商が3億円と1億円の店舗では、同じ販売数値でも価値が異なります。
古宿さん:社員の育成能力やキャリア思考など人事評価や配置検討にまつわる情報は、育成マネージャーの下田と浅里の脳内に集約されていました。販売数値のデータだけでは読み取れない、店舗運営への貢献度を見る共通指標を定めていないことも課題でした。そのため、定性的な情報は育成マネージャーに聞かないとわからず、かなり属人的な体制だったと思います。
人員配置の検討や新卒採用の選考官を選考する際にも、社員の入社年数や等級などの情報が必要になります。配置検討は春と秋に定期的に実施されるものと、欠員などが発生した際に都度実施されるものがあります。下田と浅里には日頃から社員にまつわる情報収集をしてもらい、対象者にまつわる情報を取り寄せていました。これには時間も手間も多くかかります。
乾さん:昨今は人事・労務周りのDX化やクラウド化が必須となりつつありますが、弊社はすべて紙ベースで管理してきました。時間と費用がかかりますから、マネジメント側にとっても、社員にとっても負担になっていたと思います。
管理側にも社員側にもメリットのあるツール選び
SmartHR導入のきっかけを教えてください。
下田さん:会社の規模拡大に加え、社員の年齢層が広がったこともあり、社員の状況を人事だけで把握しきることが徐々に困難になりました。それが原因で評価の漏れが起きていましたし、定着率の低下が課題になっていました。社員からも「評価担当者の主観に影響されない評価基準を設けてほしい」という声が寄せられていました。このような背景があり、よりよい評価体制の構築に向けてツールを検討している中で、SmartHRと出会いました。
浅里さん:SmartHRを導入する決め手となったのは、社員の負担を減らす機能が豊富だったことです。マネジメントに特化したシステムはたくさんありましたが、より社内で受け入れてもらうためには、メリットを感じていただきやすい機能が必要でした。労務手続きにおいて、紙や郵送でやりとりしていた提出物をオンラインで完結させることは、社員の工数削減につながります。
コロナ禍ではとくに、全国に所在する社員といかにコミュニケーションをとるかも課題となりました。個人情報を扱う機会も多く、セキュリティ面でも安心感のあるSmartHRを導入しました。
情報の一元化により、公平な評価と配置検討が可能に
SmartHR導入後は、どのように人事評価や昇進・異動の検討をされていますか?
浅里さん:評価にかかわる情報をSmartHRに集約しています。まず実績の集計では、店舗からCSVで回収した個人売上や客単価などの情報をSmartHRに入力しています。これによって全社員が自分の売上をSmartHRで振り返れるようになりました。
また、今までの表計算ソフトでは閲覧不可だった定性情報も付加できるため、販売数値のデータだけでは読み取れない、店舗運営の貢献度も評価に組み込めるようになりました。これにより評価の妥当性が上がりましたし、「この社員が評価されているなら、同じ貢献度の〇〇さんも当然評価されるべきだ」と認識できるようになり、評価漏れもなくなりました。
下田さん:人員の配置検討では、配置シミュレーション機能を活用しています。キャリア台帳にあらかじめ入力された情報や顔写真を見ながら検討できるようになりました。
各位の実績と過程を一目で見られることに加え、エリア別、店舗別などの数値を俯瞰して見ながら考えていける点がとてもありがたいです。以前は頭の中で描いた配置図を付箋で表現していました。工数で言えば40%くらいは削減されたと感じます。
情報が一元化されたことで、エリアリーダーや店舗責任者、各部署の部長、各担当の本社サイドの部長など、マネジメント職の社員とのコミュニケーションが増えましたし、スムーズになったと感じます。以前は私と浅里のフィルターがどうしてもかかってしまう部分もありましたが、現在は多角的な意見を取り入れ、公平な評価と配置検討ができていると思います。そのため、「人事部門がすべてを把握し評価しなければならない」という負担からも解放されました。
古宿さん:SmartHRの存在は、評価に対する社員からの見え方を変えてくれたと思います。評価の妥当性をお伝えでき、社員の納得度も向上していると感じます。
入社手続き業務の工数を40%削減し、セキュリティ面の不安も払拭
労務手続きについては、どのような効果が得られましたでしょうか?
乾さん:入社手続きにおいて、労務からの案内や社員からの提出など、手続きに関するすべてを紙でやりとりしていました。毎年80人程度の新入社員がいますが、書類の郵送費用も時間も莫大なコストです。とくにマイナンバーの回収には時間がかかりましたし、そもそも個人情報を紙で取り扱うこと自体に情報保護の観点から不安もありました。
SmartHRを導入してからは、情報提出をオンラインで完結できるようになったため、40%程度の工数が削減できたと感じます。こちらから送るものに関しては一部紙で対応する場面がありますが、基本的には文書配付機能を使用しています。印刷などにかかるコストも大きく削減できました。
社員情報が更新された際も、SmartHRを活用されていますか?
乾さん:身上変更など、社員の情報更新を収集、管理においてもSmartHRの申請・承認機能を活用しています。承認された申請内容は、自動で反映されるので、申請内容を確認しながら手入力でデータベースの登録情報を修正する必要がないのも助かっています。
配置検討の際には、通勤時間を考慮するために住所が非常に重要な参考情報となるので、最新情報を素早く収集・管理できる点がとても便利に感じています。
SmartHRで自分の実績を把握。数字に向き合う習慣づけに
SmartHRの活用浸透のため、工夫されていることはありますか?
浅里さん:月初に必ず、全国の客単価コーディネート率の平均を社内のビジネスチャット上で公開しています。その際、個人の売上もSmartHR上で各自確認するよう促しています。
乾さん:SmartHRアプリの活用も促していて、現在は50%程度の社員がインストール済みです。
SmartHR導入後、社員の皆さまにはどのような影響がありましたか?
下田さん:店頭に立つ社員は、私たちからのアップデートをキャッチアップするのに必死な状態かもしれません。しかし自分の実績を確認でき、さらにそれが評価者にしっかりと伝わっていることを確認いただけるようになり、評価に対する納得度が上がっていると感じます。
また、社員自身が実績を振り返れるようになったことも大きなメリットでした。私が店舗に足を運んだ際に、「客単価を上げようなど、目標設定がしやすくなった」と話してくれた社員もいました。SmartHRを導入する前は数字に対する認識が曖昧だった社員も、「いくら伸ばしたいんです」「客単価、私先月こうだったんです」と、具体的な数値で話してくれるようになりました。自分自身を客観的に把握できるようになったことが、意識改革につながったのだと感じています。
古宿さん:代表やマネジメント職が店舗を訪れる際には、直近のスタッフのデータを確認してからコミュニケーションを取れるようになりました。社員の名前と顔が一致した状態で会話ができるようになったので、より具体的なフィードバックを渡せるようになりました。「ちゃんと上層部の人にもここまで見てもらえているんだ」と感じてもらえれば、エンゲージメント向上にもつながります。
浅里さん:SmartHR上では各位のバックボーンや、今興味を持っていることも記入されているので、会話のきっかけになりますね。今までは人事メンバー以外、そういったことを把握する術がありませんでした。
SmartHRを軸にデータドリブンな人事を実現させたい
SmartHRの活用を含めた今後の展望をお聞かせください。
古宿さん:将来的な展望としては、個人の成長をしっかりと記録してデータドリブンな人事を実現させたいです。
浅里さん:エリアマネージャーなど、部署外の社員との連携を強めていきたいです。今後はSmartHRを活用して、評価者の誰もが同じ判断軸で公平に評価できる基準づくりと運用をさらに強化していきたいと思います。
また、数値では見えてこない貢献度やキャリア思考は、現在も従業員サーベイ機能を活用しながら集めている最中です。社員とのミーティング内容にはプライベートな情報も含まれているケースがあるので、SmartHR上に記入する際は閲覧権限を分けるなど、カスタマイズしていきたいです。
直近の取り組みとしては、等級に合わせた評価基準の設計と育成方針を見直しています。まだ30%程度の進捗なので、春までには形にしていきたいですね。
人事評価や育成面でデータドリブンな人事を実現されていくのですね。引き続きSmartHRでご支援できるよう改善を進めてまいります。本日はお時間をいただきありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。