約4,000名の従業員がスムーズにスマートフォン向けアプリを導入。全社で年末調整、給与明細のデジタル化が進行中
課題
- 年末調整が紙とFAXでの対応。各店舗・工場とのやり取りが煩雑だった
- 紙の人事情報の保管場所、情報の検索性に課題感があった
- 4,000名超、かつ幅広い年齢層の従業員が活躍するなかで、全社的なデジタル化に不安
解決策
- 労務のペーパーレス化、業務効率化のためSmartHRを導入
- 個人のスマートフォンで使えるSmartHRアプリを周知
- 丁寧な導入サポート体制で、全従業員のSmartHR利用を促進
効果
- 年末調整の対応、給与明細の配信をSmartHR上で完結
- SmartHRアプリ上で年末調整対応が可能に。従業員から「ラクになった」
- 高いSmartHRアプリ利用率をベースにさらなる機能活用へ
穂高株式会社は、クリーニング店「ポニークリーニング」を首都圏・中京エリアに約800店舗、展開しています。
4,000人を超える従業員に対し、これまで年末調整や給与明細を紙で運用していた同社は、業務効率化を図るべく、2023年11月からSmartHRを導入。そこで今回は、総務部 高橋さん、濱名さん、デジタル推進室 小野さんに、SmartHR導入の効果についてお伺いしました。
非効率な紙とFAXでの運用から脱却し、デジタル化を決意
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
濱名さん:紙ベースでの書類のやりとりに課題感がありました。
とくに従業員約4,000名分の年末調整の対応については改善したいと考えていました。
1人につき5枚の紙を1セットにして封筒に入れる準備をはじめ、配付・回収、従業員番号に並び替えての確認作業があります。各店舗や工場への配付とあわせて、書類準備の細やかな作業が大きな負担となっていたんです。
店舗や工場での労務窓口の事務員は、パート従業員が担う場合があり、小さな事業所であれば1、2名、大きな事業所であれば4、5名で対応している状況でした。普段の業務を抱えながら年末調整にも対応していたので、現場にも大きな負担をかけていました。
また、各店舗や工場との書類のやりとりにはFAXを使うケースも多く、対応が煩雑になりがちでした。最近では、PDFでアップロードする機会も増えましたが、以前はFAXでの送付が主流で、膨大な紙が発生していました。
書類を保管する場所の確保にも困っていて、とくに雇用契約書など大事な情報がまとまっている書類は早くデジタル化したいと願っていました。
紙でのやりとりによって総務だけでなく、店舗や工場の従業員にとっても負担のかかる状況だったのですね。
小野さん:さらに人事情報の検索性という観点でも、課題がありました。紙の場合、バインダーにて保管しておりますが、保管している書類が大量にあるため、必要な書類を探すのに非常に時間がかかる状態でした。
濱名が申し上げた課題感も含め、デジタル推進室としても、システム導入による人事・労務の業務効率化に注力する必要があると強く感じました。
社員番号でログイン可能。全従業員が使えるSmartHRアプリ
どのような経緯を経て、最終的にSmartHRを選ばれたのでしょうか?
高橋さん:比較検討するなかで、SmartHRは操作性のよさはもちろん、スマートフォン向けアプリ「SmartHR」(以下SmartHRアプリ)を知り、導入を決めました。
なぜSmartHRアプリが決め手になったのでしょうか?
高橋さん:弊社では、店舗や工場で働いている従業員一人ひとりに社用デバイスを貸与しているわけではありません。だからこそ、自分たちのスマートフォンから各種労務手続きができる体制づくりに魅力を感じました。
さらに、SmartHRアプリは社員番号でログイン可能です。自分のメールアドレスを利用する機会が少なく、忘れてしまっている従業員も問題なくログインできるので、全員がアプリのメリットを享受できます。これが一番大きかったかもしれません。
ほかにも、個人的には全従業員に関わるシステムになるので、弊社と同じようにアルバイト・パートの方が多く活躍されている企業での導入実績も重視していました。SmartHRは大手スーパーマーケットチェーンをはじめ、規模の大きい企業も導入していることを知り、強い安心感を覚えました。
SmartHRアプリのどのような点に期待されていたのでしょうか?
小野さん:プッシュ通知の存在が大きかったです。プッシュ通知によって、総務部から各従業員へ給与明細の発行や年末調整の対応依頼などが通知されるようになります。これまでは、総務部から店舗や工場宛に送付していたため、従業員個人に確実に届けられているか、把握するのが難しい状態でした。
高橋さん:総務として、従業員のスマートフォンに確実に給与明細や年末調整書類を届けたい、さらに漏らさず発信を認知してもらいたい。これらを実現できる手段としてSmartHRアプリの存在は外せないと考えていました。
全従業員のスムーズな導入を実現するコンテンツを展開
SmartHRを導入するにあたって、どのような工夫をされていましたか?
高橋さん:SmartHRの導入をスムーズにするために広報、営業、事務、総務それぞれからメンバーが集まり、SmartHR導入のプロジェクトチームを結成しました。
プロジェクトでは従業員がSmartHRを使いこなせるようにするにはどうすべきか、どのような準備やサポートが必要か、役職や立場に関係なく意見交換し、導入施策を推進しました。
たとえば、社内ユーザーテストによる、課題の抽出もその1つです。弊社では10代~70代の幅広い年齢層の方が活躍しています。そこで、トライアル期間に、スマートフォンの操作が苦手な方をはじめ、老若男女にSmartHRの年末調整の操作をスマートフォンから体験してもらいました。その結果、「使いやすい」との意見が多く、全社導入に移行できました。
ほかにも、導入の過程で工夫されたことはありますか?
小野さん:従業員の目が集まるところに、SmartHRアプリの案内や活用方法を載せることで、利用促進を狙いました。社内報として発行している「キャロット(月刊)」に具体的なインストールの方法や活用方法の特集ページを作成しました。ほかにも、アプリのインストール方法やパスワードのリセットについてなどをまとめた冊子をお渡しすることで、うまく導入を進めていきました。
展開資料の作成にはSmartHRが用意している「お役立ちアイテム」にある「スマートフォン向けアプリ導入サポート資料」を活用しました。自社でゼロから資料を作る必要がなかったので、非常に助かりました。
操作やアプリインストールに関する説明会も開催されたのでしょうか?
高橋さん:はい。店舗や工場で労務窓口を担う事務員向けに説明会を開催しました。
とくに説明会では、SmartHRの操作についてだけでなく、従業員からの質問に対して事務員が答えられるように、社内イントラにQ&Aコーナーを設置し、使い方を説明しました。
このQ&Aコーナーは実際に現場で発生した問い合わせが反映され、適切な回答が日々更新されていくので、持続的なSmartHR導入サポートのコンテンツになっています。
これらの施策によって、導入が進んでいったのですね。
高橋さん:そうですね。導入した当初は、どうしてもデバイスが苦手で、紙で対応したいという方も少なからずいらっしゃったのですが、周囲が使っている様子を見て、徐々にSmartHRアプリを使いはじめる方が増えていきました。
ほかにも、各事業所の事務員にも「従業員の提出が完了したら、ほかの遅れている事業所をサポートしてあげてください」と相互サポートを促す声がけも続けていました。小さいアクションかもしれませんが、雇用形態や業務領域に関係なく、互いにサポートしあえる風土も導入の追い風になったかもしれません。
「アプリで対応」が定着。総務部、従業員双方の負担軽減
導入後の変化について教えてください。
高橋さん:年末調整対応が、従業員、事務員、本社ともにスムーズになりました。これまでは、書類に書かれた情報を事務員が手作業でチェックしていましたが、SmartHRを導入してからは、異常値や入力漏れを防ぎやすくなりました。今まで本社が対応していた作業を、各事業所にいる事務員がチェックできるようになったので、対応もスピーディになったと感じています。
濱名さん:従業員は手書きで年末調整に対応する必要がなくなり、自分のスマートフォンから空き時間に対応ができるようになりました。従業員からも「ラクになってよかった」という声が多く寄せられました。
これまでは、本社から各事業所に対して年末調整の紙を送っていたのですが、進捗が見えず、回収に遅れが発生するケースもありました。それが、SmartHRアプリが定着してからは、一人ひとりの進捗が可視化され、事務員もサポートがしやすくなりました。
高橋さん:給与明細についても、4,000名を超える従業員に対して紙を配付する手間が大幅に削減されています。1日がかりだった作業も短縮され、今後は一部の従業員を除いて、SmartHR上での給与明細の発行が実現しています。
SmartHRアプリからのプッシュ通知に対する従業員の反応はいかがですか?
高橋さん:予想以上に従業員がプッシュ通知に反応してくれています。業務進行に支障が出ないよう、始業時間前での通知を心がけているほどです。給与明細をはじめ、SmartHRアプリからの通知自体が「自分に関わる情報」である認識が浸透しているのかもしれません。
アプリを起点にSmartHRの活用を広げていきたい
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
高橋さん:従業員のSmartHRアプリのインストール率も90%を超え、源泉徴収票の配信や身上変更をSmartHR上で完結する土台ができつつあります。
今後は一部で紙が残っている業務を少しずつペーパーレス化すると同時に、入社手続きや雇用契約書の締結など、活用機能の拡大を進めていきます。
小野さん:弊社では紙を中心としたアナログ運用に課題感がありながらも、同時にデジタル化で従業員が対応できるか不安もありました。しかし現在では、SmartHR上で給与明細を確認することが定着していますし、着実にデジタル化が進んでいると実感しています。
今後もSmartHRアプリを起点に、SmartHRの活用を広げ、従業員の働きやすい環境づくりを推進していきたいです。
元々デジタル化に不安があったとのことですが、現在では4,000名を超える従業員の皆さまにSmartHRアプリが定着しているのは素晴らしいですね。引き続き、SmartHRをより便利にご活用いただけるよう、サポートしてまいります。
今回、お伺いしたデジタル推進室 小野さんには2024年5月15日(水)に開催された月刊SmartHR5月号にご登壇いただき、スマートフォン向けアプリの社内浸透のコツをわかりやすく解説していただきました。あわせて、ご覧ください。
(参考:社内導入率90%超えの企業が語る。スマートフォン向けアプリ導入・浸透6つのポイント【月刊SmartHR セミナーレポート】)
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掲載内容は取材当時のものです。