年末調整業務を約400時間削減。一歩進んだ人事総務部を目指す
課題
- 3,800名に及ぶ年末調整の紙運用が煩雑
解決策
- 電子化により年末調整をはじめとする労務業務を効率化
- 従業員が使いやすいシステム導入により問い合わせを削減
効果
- 年末調整業務を約400時間削減
- 従業員からの問い合わせが8割ほど減少
オーディオ・楽器・PCなどを扱う『ハードオフ』を中心に、リユース事業を展開する株式会社ハードオフコーポレーション。従業員が約3,000名弱おり、年末調整に伴う書類を用いた作業に課題を感じていました。
SmartHR導入後、従業員からの問い合わせも大幅に減り、作業負荷の軽減につながったとのこと。その導入の背景や変化について、人事総務部の増田さん、村越さんにお話を伺いました。
過去に導入したシステムの使い勝手が悪く、従業員が使いこなせなかった
皆さんの現在の業務について教えてください。
増田さん:ハードオフコーポレーションの人事総務部に所属し、給与計算、労務管理など、労務業務全般を担当しています。フランチャイズも含めると900店舗くらいあり、労務における相談窓口として対応を受けることもあります。
村越さん:私はハードオフコーポレーション本社の労務業務を担当しています。給与計算においてはハードオフコーポレーションを私が担当し、子会社を増田さんが担当しています。
SmartHR導入の背景を教えてください。
増田さん:給与明細配布のシステムとマイナンバー回収のシステムが別で、少し使い勝手が悪く、マイナンバーの回収がなかなか進みませんでした。従業員からもよく問い合わせが届き、その対応に追われていたんです。
また年末調整は紙で実施していたため、子会社を含めると3,800名規模の対応は本当に大変で、年末には力尽きてしまっている状況でした。
従業員からはどのような問い合わせがよく届いていたのでしょうか?
増田さん:登録方法がわからない、ログインできない、というようなシステムの操作に関する問い合わせが多く届いていました。そのため、マイナンバーの登録が滞り、労務上の手続きもなかなか進みませんでした。
何かわからないことがあった場合、まずは各店舗の店長に相談します。店長もわからない場合は人事総務部に問い合わせするため、店長も対応の負荷がかかっていたと思います。年末調整の時期は質問がかなり殺到するため、私たちも終わったときはどうやってこなしたのか記憶がないくらい忙殺されていました。
3,800名分の年末調整を紙で実施されていたのですね。
増田さん:はい。以前は本社の人ほぼ全員に手伝ってもらっていました。紙に書かれた内容をExcelのシートに入力し、給与システムに入力するまで多大な時間を要していました。
「これはなんとかしないといけない」と思い、まずは年末調整業務を改善できるシステムを探し始めたんです。あわせて給与明細配布やマイナンバー管理も改善できるものがないか、検討し始めました。
従業員が使いやすいことが導入の決め手
SmartHR導入の決め手を教えてください。
増田さん:いくつか他社も含めて比較検討しましたが、やはり従業員が一番使いやすいシステムはSmartHRだと思い、導入を決めました。年末調整やマイナンバーは、私たち人事は業務上で扱うため慣れていますが、従業員の皆さんにとってはとっつきにくいものです。
村越さん:紙をそのまま画面に表示したようなシステムでは、難しいままです。従業員の皆さんにとってわかりやすいシステムでなければ問い合わせも減らず、効率化はうまく進まないと感じました。
増田さん:2〜3社比較し、給与ソフトとの連動性も含めて検討しましたが、やはり最終的には「社員・スタッフのためになるか」という経営理念にもあるように、従業員が使いやすいかどうかを重視しました。実際に画面を役員の方にも見てもらったうえで決めましたね。
従業員の使いやすさを重視したとのことですが、導入はスムーズに進みましたか?
村越さん:元々給与明細をオンラインで配布していたので、特に大きな問題はありませんでした。各店舗に設置しているパソコンからログインできるようにしているので、スマートフォンやパソコンを持たない方はそこからログインしてもらっています。ITツールが苦手な方も、店長に質問しながら使っていただいており、これまでのように人事総務部まで問い合わせが届くことはほとんどなくなりました。
SmartHRから提供されたマニュアルや告知のポスターもわかりやすく、スムーズに導入が進んだ1つの要因なのではないかと思います。
増田さん、村越さん側の操作はいかがでしたか?
増田さん:SmartHRスクールやチャットサポートを活用し、従業員や給与明細のデータを取り込むところはあまり苦労しませんでした。年末調整はマニュアルを読み込む必要があり、最初は大変でしたね。
村越さん:苦戦したところはありましたが、おおむねスムーズに進んだと思います。給与計算システムとのデータ連携も、少しデータを加工してアップロードする程度で、手間は感じませんでした。
操作の不明点はチャットサポートでよく質問していました。9割は欲しい回答をいただいています。残り1割は私たちもチャットで伝えきれないところがどうしてもあり、やりとりが難しかったこともあります。
年末調整業務を約400時間削減、従業員からの問い合わせも8割減少
導入後の変化を教えてください。
増田さん:これまで他部署へ協力してこなしていた年末調整業務の時間が、約400時間削減されました。年末調整の準備にかかっていた時間、従業員からの問い合わせ数が大幅に削減された印象があります。
村越さん:感覚ではありますが、従業員からの問い合わせは8割ほど減ったと思います。これまでは従業員からの電話対応のために仕事がまわらなくなっていたのですが、今回はそんなことは起こらず、落ち着いていました。
増田さん:アンケート形式で回答できることで、皆さん迷わず最後まで回答できたのかもしれませんね。
村越さん:また私自身、年末調整時期の残業時間がかなり減りました。紙で実施していたときと比較すると、1/8くらいに抑えられています。
さらに店長の負担も減りました。これまで書類を本部から店長に送付し、店長からスタッフに確認してもらい、書類をまとめて回収して本部に送っていました。かなりの手間がかかっていたのですが、郵送の必要がなくなったので、本部だけでなく現場の負担を少しでも減らせたのはよかったです。
増田さん:もう紙には戻れないですね(笑)。
給与計算は別のシステムをご利用されていますが、データの連携は問題ありませんか?
増田さん:すべて同じシステムがいいに越したことはないのですが、csv形式でデータの連携も問題なくできているため、あまり不便だと思わないですね。従業員からの問い合わせが減ったメリットの方が大きいです。
村越さん:私もまったくストレスを感じていませんね。
安心して長く働ける会社のため、一歩進んだ労務を目指す
これから取り組みたいことを教えてください。
村越さん:入社手続きに関わる業務の改善を検討したいと思っています。現状、店舗でスタッフを採用した場合、店舗側で書類を管理しているんです。1人10枚ほどの書類を提出してもらっているため、10人入社するとそれだけで100枚になり、さらにそれらを管理する場所も必要です。
増田さん:入退社手続き、契約更新などの業務はもう少し改善したいですね。SmartHRのオンライン雇用契約・文書配付機能も検討したいです。SmartHRは店舗で働くスタッフの方と直接つながるツールになっているので、スタッフからの情報収集はSmartHRを活用できるといいなと思っています。
まだまだ日々の業務で手一杯で、法律に沿った対応や周知にとどまっています。少ない時間でもパフォーマンスが上げられるように、働き方の提案など、一歩進んだ人事総務部を目指したいです。
村越さん:仕事も家庭も両立し、イキイキと働けるような環境をつくっていきたいです。今までの時代は、家庭よりも仕事を重視した働き方でないと成り立たないことが多かったと思います。しかし、これから求められる会社は「安心して働ける会社」かどうかだと思います。本部も現場の皆さんも「いい環境で働けてよかったね」と言えるよう、人事総務部としてできることに取り組んでいきたいです。
増田さん:これからの時代は、長く働く必要がありますよね。いろいろなライフイベントを経ても、また戻りたくなる会社にしたいですし、戻ってこれる会社でありたいです。小売業は大変だというイメージがあるかもしれませんが、きちんと休めて、働きがいのある会社にできるよう、支援していきたいと思います。
経営理念の1つである「社員・スタッフのためになるか」を常に意識し、実践されていることに非常に感銘を受けました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
※
掲載内容は取材当時のものです。