学習塾の労務改革。約2,000名の年末調整を効率化
課題
- 年末調整業務が紙のため、準備と回収に手間がかかってた
- 本社以外の教室との書類のやりとりが煩雑だった
解決策
- ペーパーレス化により効率化を図る
効果
- 年末調整で使用していた1万枚以上の紙は300枚程度に
- 電子化により郵送費用も削減
- 担当者は6名から約3.5名まで減らせ効率化
株式会社浜学園は、昭和34年創設、兵庫県に本社を構える関西屈指の進学塾として知られています。教室を多数展開し、多くの非常勤講師やアルバイトが働く同社では、年末調整に伴う書類を用いた作業に課題を感じていました。
2,000名規模の従業員とのやりとりをどのように効率化されたのか、導入の背景や変化について、人事部 部長 國友さん、人事部 人事課 課長補佐 佐治さん、係長 和田さん、主任 富岡さんの4名にお話を伺いました。
年末調整業務が煩雑で、ペーパーレス化が急務に
SmartHR導入の背景を教えてください。
和田さん:年末調整業務を紙で進めており、その準備と回収に非常に手間がかかっていました。この時期は紙の回収と内容の確認だけで人事課の約半分が対応に追われている状況だったんです。
浜学園本社以外にも教室が複数あり、書類を郵送でやりとりしていました。具体的には、約2,000名の従業員に対し、案内資料含め約13,500枚の紙を使用するなど、かなりの作業負荷がかかっていました。
SmartHR導入の決め手は何でしょうか?
國友さん:カスタマイズ性の高さです。実務で操作するにあたり、SmartHRはカスタマイズしたいところにしっかり対応している点が導入の決め手でした。
実際、他社のサービスを操作して年末調整を試したのですが、実務上問題なく運用できるのはSmartHRだったんです。「この項目はカスタマイズしたい」というところに細かく対応していた印象があります。
佐治さん:浜学園の関連会社も何社か導入しているのですが、関連会社における給与明細のペーパーレス化を実現できそうだと感じた点も後押しになりました。
従業員から「このようなシステムを導入してほしかった」との声
導入をスムーズに進めるために工夫されたことを教えてください。
和田さん:SmartHRが用意した告知ポスターやマニュアルを活用し、教室の休憩室など、従業員の目につきやすい場所に告知ポスターを貼りました。
浜学園は非常勤アルバイトの方が多く勤務しており、会社のメールアドレスをもっておりません。この機会に各部署に協力いただき、ほぼ100%に近い形で非常勤アルバイトの方の個人メールアドレスを収集できました。
会社支給のPCをもたない方、ITツールが苦手な方にはどのように対応されましたか?
佐治さん:各部署の方に協力いただき、操作のフォローをしていただきました。SmartHRは画面の指示に従って操作すれば、マニュアルを見なくてもある程度操作できます。「やってみよう」というきっかけの提供が難しかったんですが、「やると決めたからにはやろう」という気持ちで対応した結果、ほとんどの方が操作してくださいました。
どうしても苦手な方へは電話で会話をしながら1つずつ操作を説明しました。また、スマートフォンや会社支給のPCをもたない方には、各教室に置いたタブレット端末で操作してもらっています。
従業員の皆さんからはどのような反応がありましたか?
和田さん:年末調整の時期はSmartHRのテレビCMが放送されていたため、「私もSmartHRで年末調整を進められるんだ」とポジティブな反応をしてくださる方が何名もいました。テレビCMのおかげで、社内に伝えやすかったですね。
これまでは期日ギリギリ、もしくは遅れて提出する方もいましたが、「ずっとこのようなシステムを導入してほしかった」という声とともに、年末調整が始まって3日ほどで提出してくださった方もいます。
年末調整に関わる担当者が6名→約3.5名まで減少
導入後の変化について教えてください。
和田さん:当初の課題だったペーパーレス化がぐっと進みました。1万枚以上使用していた紙は300枚程度になり、かかっていた郵送費用も削減できています。
また、年末調整開始から回収までの期間はこれまでより1週間短縮、関わる担当者も6名から約3.5名に減少しました。
従業員が直接入力するため、転記ミスを防げることはもちろん、誤りがあっても差し戻し機能でさっと対応できるのが非常に便利でした。
富岡さん:紙に書かれた内容を手で入力する手間がなくなり、データとして扱えるようになったため、別のシステムへの反映にもミスがなくなり、助かりました。
また、浜学園はアルバイトが多いため、給与所得者の扶養控除等申告書を提出しない乙欄の適用となる方もいます。甲欄か乙欄かの確認は毎年非常に大変でしたが、データで対応できるため、今までとは比べ物にならないくらいラクになりましたね。
佐治さん:圧倒的に年末調整業務のスピードが早くなったと感じます。開始して1週間で何百人もの従業員が回答してくれました。しかも、今まで回収に手間がかかっていたアルバイトの方からの回答スピードが格段に上がったんです。
これまでは、出社日数が少ない非常勤講師など、年末調整の書類対応がなかなか進まない方も多くいました。SmartHRでカンタンに手続きできるため、想像以上に早く対応してもらえたのは思わぬ結果です。
富岡さん:今までは確認のために電話していたのですが、アルバイトで普段接点が少ない方の場合、電話がなかなかつながらず苦労していました。SmartHR上でコメントとともに差し戻すと、すぐに対応してもらえたのは感動しましたね。
國友さん:毎年人事課に人が並び、年末調整の質問対応など、全員が必死に対応している姿を見ていました。SmartHRでの年末調整では、そのようなバタバタ感が全くなく、余計な作業が減ったんだなと実感しています。メンバーの皆さんの努力ももちろんあったと思いましたが、私自身びっくりするほどスムーズに年末調整業務が進みました。
従業員の皆さんも、SmartHRという新しいシステム導入にも前向きだったからこそ、年末調整がうまく進んだのだと思います。
リマインドメールの設定で、提出遅れが約8%→約1%に改善
年末調整をSmartHR上で進めるにあたって、とくに活用した機能はありますか?
和田さん:いろいろな機能を活用しました。非常勤のアルバイトが多いため、普段からコミュニケーションをとっていない方にも伝達する必要があります。また、多くが学生でもあるため、年末調整そのものの知識がない方も多いです。そのため、ヒントメッセージ機能は細かく設定しました。
佐治さん:たとえば、「勤労学生ですか?」という質問で止まってしまうんですよね。また、適当に回答してしまわないよう、ヒントメッセージ機能で具体的に「◯◯な人はいいえを選んでください」というようにサポートしました。
富岡さん:リアルタイムで回答状況を閲覧できたので、「あ、この間違いはフォローしなければならない」と気づいたらヒントメッセージをその場で改善しましたね。
佐治さん:リマインドメールの設定も助かりました。該当する方に自動で送信する設定ができますし、一括送信もできます。リマインドメールのおかげで、通常約8%ほど提出遅れが発生するところ、約1%くらいまで抑えられました。
従業員側から住所変更などの報告もあり、年末調整の機会に正しい従業員情報を収集できたのも助かりましたね。
和田さん:非常勤のアルバイトの方はなかなか提出されず、連絡手段も電話が主だったため、これまで苦労していました。SmartHR登録にあたりメールアドレスを収集できていたことから、人事からのアナウンスが確実に届くようになったのはよい変化です。
全社的に業務効率化を進め、お客さまに向き合う時間を増やしたい
今後取り組みたいことを教えてください。
和田さん:SmartHR導入と同時期に、RPAの導入も進めました。各業務において自動化できるところはさらに進めたいですね。SmartHRにおいては、入社手続きまわりの業務をより本格的に活用していきたいと考えています。
富岡さん:アルバイトの退職手続きを効率化するために、退職予定、学生であれば卒業予定の情報も収集しました。このように従業員からの情報収集については、さらに効率化できるのではないかと考えています。
佐治さん:本当にやらなければならないことに時間を割けているのか、改めて整理していきたいですね。今回の効率化に伴い、人事業務以外のシーンでも改善が進むような動きにつながるといいなと思っています。
年末調整において「SmartHRを使ったら早く終わってとてもよかった」という従業員の声を聞きました。私たちが社内に宣伝せずとも口コミで広がった印象があり、想像以上に導入効果があったと感じています。ここから何事も「まずはやってみよう」という意識向上にもつなげていきたいです。
國友さん:まだまだ紙を使った業務は残っていますが、今回の導入を機に、「自動化」「効率化」の意識が高まっていると感じます。さらなる効率化を進め、日々のお客さま対応により時間を費やすことができれば、最終的にはお客様満足度の向上につながるのではないでしょうか。これからも、全社的に業務効率化への取り組みを継続していきたいと思います。
人事部門の取り組みが全社へよい影響を与えていることに、非常に感銘を受けました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
※
掲載内容は取材当時のものです。