労務体制の強化、顧問社労士との協働。2年で従業員数約10倍を実現した急成長ベンチャーの舞台裏
課題
- 急増した従業員数に対応するため、労務環境の整備が不可欠だった
- 人事マスタがなく、スプレッドシートを社員名簿代わりに使っていたため、身上異動などの際の手続き工数が大きかった
解決策
- 従業員情報を慎重に管理するため、効率化と安全性の観点での改善を実施
- 従業員情報やマイナンバー、雇用契約書のクラウド上での一元管理
- さまざまな労務業務を扱う他社サービスとスムーズに連携を図り、業務効率化
効果
- 社労士とのデータのリアルタイム共有で、手続き依頼時の工数削減を実現
- 生まれた時間で従業員のケアを
株式会社divは「人生にサプライズを」という企業理念、そして「すべての人が幸せに生きる世界をつくる」というビジョンを掲げ、テクノロジー教育事業を展開して急成長を遂げているITベンチャーです。
エンジニア養成スクール「テックキャンプ」の受講者数は累計で2万人以上。転職コースを選んだ人のうち、99.5%が受講後に転職先が決まるという高い就職率を誇ります。
そんなサービスを提供する同社の従業員数は、直近の2年間で劇的に増加。それに伴い社内の労務環境の整備が急務になりました。
入社以降、労務の実務および環境整備に取り組んできた労務グループ・チームリーダーの鳥谷部さんに、その急成長の舞台裏についてオンラインで伺いました。
2年で従業員数約10倍。急成長に耐えうる労務環境の整備が急務だった
はじめに、導入の経緯を教えてください。
鳥谷部さん:私がdivに入社したのは2018年7月ですが、ちょうど弊社がSmartHRの導入を検討していたタイミングでした。
当時の社員数は60名ほどで、管理部の体制としては、CFOと経理、そして労務と総務を兼任している私の3人という状態。まさにこれから体制を整えていくような状況でした。
しかも、私は入社当時から子育ての関係で時短勤務をしています。現在は17時まで延ばしていますが、当時は9時〜16時までと、さらに勤務時間が限られていました。
時間が限られた中で日々の業務をこなしつつ、しかも体制を整えていくのは並大抵の努力ではなかったのではないでしょうか。
鳥谷部さん:当時が一番大変だったかもしれないですね。入社者の数も増えていて、それ以前は月に1、2名だったのが、SmartHR導入後の2018年10月以降は、毎月平均20名ほど入社者が発生する状況になりました。
実際、2018年7月時点の社員数は60名ほどだったのが、2018年末には100名を超え、1年後の2019年末には300名に。2020年4月には、新たに90名が入社して現在は600名規模にまで増えています。
いま思えば、あのタイミングでSmartHRを導入していなかったら、かなり厳しいことになっていたなと振り返って思います。
導入の決め手は「クラウド上での一元管理」
まさに会社の成長と共に歩んで来られたわけですが、特にどの部分が大変でしたか?
鳥谷部さん:当時は人事マスタと呼べるものがなく、住所変更などの従業員の身上異動があった際に、確認して顧問社労士さんに手続きを依頼する際の工数が大きくなっていました。
というのも、以前までは従業員の入社時にアンケートツール「Google フォーム」を使って個人情報を回収していて、その出力先の「Google スプレッドシート」を社員名簿代わりに使っていたんです。
ただ、このやり方だと、身上異動が発生した場合でも、従業員側では自分の登録内容を確認できない状態でした。
労務としても、申請を受ける度に登録内容の確認や従業員への連絡、内容の変更、そして社労士さんへの変更手続き依頼と、手間がかさんで負担になっていました。
突発的で工数も想定しづらいため、これらの課題は見逃せませんね。
鳥谷部さん:社労士さんに手続きを依頼する際は、Google スプレッドシートの情報をExcelファイルとしてダウンロード、パスワードをかけて、メールに添付して送信。確認事項があれば、その都度、社労士さんから私宛に聞いてもらっていました。
従業員に関する情報は機微なため、取り扱いには慎重さが求められます。効率化と安全性の観点で以前から改善したい部分でした。
そんな状況の中、導入を判断する上での決め手は何でしたか?
鳥谷部さん:ひとことで言えば、ペーパーレス化を実現できることに惹かれました。従業員情報やマイナンバー、雇用契約書をクラウド上で一元管理できる点ですね。
また、他社サービスとの連携も大事なポイントでした。
現在は、人事マスタとしてのSmartHRを軸に、人材管理システムのカオナビ、勤怠システムのジョブカン勤怠管理、給与計算にはマネーフォワード クラウド給与と、目的に応じて各社のクラウドサービスを使い分けることで効率化を図っています。
顧問社労士との連携で効率化を実現
導入後の変化について教えてください。
鳥谷部さん:特に社労士さんへの手続き依頼時の工数を削減できました。
社労士さんにもSmartHRのアカウントを発行しているので、従業員から申請や従業員情報の修正依頼が入ると、SmartHR上で労務部門と社労士さん宛にメールが届くようになっています。社労士さんには、その内容を見て随時対応いただいています。
現在は、対応件数が多くなっていることもあり、労務部門内で従業員の身上異動を管理する担当者をおいています。
その担当者が、対応が必要な従業員名と社員番号をあわせてリスト化。抜け漏れや齟齬を防ぐことを目的に、社労士さん宛にメールでもリストを添付してご連絡するようにしています。
独自にルールをつくって運用されているわけですね。入退社の手続きも同様にメールでリストを送信しているのですか?
鳥谷部さん:はい。入退社者の一覧だけ共有して、あとは社労士さんのほうでSmartHRから必要な情報を確認いただき、手続きを進めてもらっています。
なるほど。ちなみに、双方で使い方に慣れるまでに工夫したことはありますか?
鳥谷部さん:社労士さんにも導入時のweb会議に同席いただいて、一緒に理解を深めました。それ以外では、導入時にいただいた資料でほぼすべてまかなえたので、特に困ることはありませんでしたね。
その後、労務のメンバーが増えて一部業務の引き継ぎが必要になりましたが、その際も口頭での説明とヘルプセンターの紹介だけで済みました。
マニュアル作成のための時間を確保できずに困っていたので、助かりましたね。SmartHRはデザインがわかりやすく、どの機能も直感的に使えるのが強みだと思っています。
生まれた時間で労務体制の強化・従業員のケアを
効率化によって生まれた時間で、新たに取り組みたいことはありますか?
鳥谷部さん:大きく分けて2つあります。
1つ目は、労務体制のさらなる強化です。現在、IPOに向けて全社的に体制を整えている段階で、ゆくゆくは給与計算や社会保険の手続きを内製化していきたいと考えています。
ただ、この点については、まだ先の話にはなるので、引き続き社労士さんと連携して進めていくことには変わりありません。
2つ目は、これまで以上に、従業員のケアに力を入れていきたいと考えています。具体的には、労務的な相談への対応や、メンタル不調対策ですね。
弊社は従業員が心理的安全性を保って健全に働ける会社を目指していて、その点で労務が貢献できる部分はたくさんあると考えています。昨年末にエンゲージメントサーベイを導入したのもその一環です。
幸い弊社には人柄がいい社員が多いので、そこに助けられている部分もあるんですが、会社としては、従業員が増えても課題を未然に察知して防げるような体制を構築していきたいですね。
労務環境構築の手がかりとしてのSmartHR導入
最後に、これまで社内の労務環境を整備してきた鳥谷部さんだからこそ、まさにこれからそこに着手していこうとされている担当者さまへ、一言いただけますか?
鳥谷部さん:私がdivに入社したときのように、労務体制の整備に向けて、どこから手をつけていいかわからない状況の方もいらっしゃると思います。その場合は、まず第一歩目としてSmartHRを導入いただくと良いと考えてます。
特に従業員情報を管理する人事マスタとしてSmartHRを入れるだけで、かなり体制を整備できる印象があります。使い勝手が良く、かゆいところに手が届くサービスだなと感じていますので、私の経験からも強くオススメしたいと思います。
力強いメッセージをありがとうございます。お忙しい中、貴重なお時間をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。