総務は会社のエンジン。1,000名の年末調整電子化の背景にある想い
課題
- 入退社管理や年末調整をすべて紙で対応しており煩雑だった
- 社内外問わず働く従業員の労務手続きが紙で苦労していた
- 自社用に作り込んだソフトの開発費用が莫大で費用対効果が疑問だった
解決策
- 「時代にそぐわないシステム投資はむしろ負債になる」との考えのもと投資先を判断
効果
- 年末調整の電子化によりコスト軽減、総務の業務も効率化
- 総務の業務における目線が1つ上がった
- 引き続き入退社手続きの効率化に取り組む
愛知県にある株式会社アテックは、自動車、家電、IT関連と幅広い分野の製品開発におけるエンジニアのアウトソーシング事業を展開しています。
同社はSmartHRの導入により、エンジニアを中心とする従業員約1,000名分の年末調整をペーパーレス化。背景にある想いと導入後の変化について、管理推進本部・本部長の小野さん、総務部の喜多澤さん、髙木さんにお話を伺いました。
従業員とスムーズに連絡を取れる手段が少ない、派遣業ゆえの課題
導入以前に抱えていた課題を教えてください。
髙木さん:アテックは、自動車業界を中心に委託・請負開発の事業を展開しており、さまざまな開発現場で就業しているエンジニアの数は1,000人規模にのぼります。総務や経理を置く管理推進本部では、この人数の入退社や勤怠の管理、年末調整をすべて紙で対応していました。
派遣という業種上、従業員は社内外問わず様々な場所で仕事をしており、派遣先企業によっては、メールやFAXのやりとりができないといったルールもあります。郵送により書類を届け、返信用封筒に入れて送り返してもらうなどのやりとりが多く発生していたんです。
このように、事務作業に多くの工数がかかるため、業務の電子化、ペーパーレス化は以前から課題に挙がっていました。
導入の決め手は、従業員側の使いやすさとカスタマイズの柔軟性
SmartHRを導入した決め手は何でしたか?
髙木さん:まずは、従業員にとって使いやすいシステム、インターフェースであることです。複雑なシステムでは使いにくいですし、そのぶん管理側のフォロー作業も増えてしまうため、使いやすさは重視していました。
管理側の観点では、従業員項目や申請フォームのカスタマイズの柔軟性が決め手でした。弊社ではさまざまな書類を扱い、それらが相互に紐付いています。
委託・請負・派遣という業種のため、住所や交通費の変更が多く発生しますし、車通勤であれば任意保険や自賠責保険の確認も必要です。このように、会社が把握しておかなければならない項目がたくさんあります。ある程度自由に項目のカスタマイズができなければ、申請の重複や情報の取得漏れにつながり、導入効果が生まれにくいと考えていました。
人事労務サービスを探すうえでは、紙をただ電子化するのではなく、自社の書式にあわせて細かく項目をカスタマイズできるかが重要です。その点でSmartHRには柔軟性を感じました。
導入が進んだきっかけを教えてください。
小野さん:コロナ禍に伴う在宅勤務のスタートが大きなきっかけです。その際、何よりも優先したのは総務が滞りなく業務を進められる環境づくりでした。弊社にとって、総務はいわば「会社のエンジン」です。
お客様へ請求作業をする役目も、従業員へお給料を支払う役目も、すべて総務が担っています。総務が止まってしまうと、入出金が止まる、イコール会社が止まってしまうんですね。まずはエンジン部隊である総務が、在宅でも不自由なく業務を回せるように環境を整えるべきだと経営目線で判断しました。
喜多澤さん:「業務環境の整備」と聞くと、営業など売上に直結する部署から優先して取り組むイメージがありました。
しかし実際は、新たなパソコンの支給を進めるなど、総務の業務効率化につながる環境整備を優先して実施したんです。総務が進める業務の重要性を会社が理解してくれているからこそ、今回の電子化もスムーズに進んだのだと思います。
小野さん:実は、数千万円の費用をかけて自社用に作り込んだパッケージソフトを開発する計画があったんです。ですが、投資したぶんの費用対効果が本当に出るのか? と疑問がありました。
時代にあわせて会社や総務の仕事のやり方はどんどん変わっていくはず。ならば、長期間かけて自社の運用に合わせたシステム開発をするよりも、外部のサービスを上手く使いながら、必要に応じて取捨選択していくやり方のほうが賢明だと考えました。
喜多澤さん:自社用に作り込むとなるとシステムの設計や開発にも時間がかかりますし、ようやく使い始めたら時代や状況が変わっている、なんてこともありうるでしょう。
小野さん:社内の情報システム部にも伝えていますが、仕事のやり方が変われば情報資産も変わります。「時代にそぐわないシステム投資はむしろ負債になる」という発想を持って投資判断をしようと意識づけています。
1,000人分の年末調整を効率化。総務にとって「全従業員へ情報を発信する手段」に
導入後の変化を教えてください。
髙木さん:年末調整がとくに効率化されました。昨年度までは、すべて紙で郵送して回収し、期限までに届かない場合は電話をしたり、営業からメールをしたりしてもらうなど催促していました。これらをSmartHRに切り替えたことで、各種コストを軽減できたほか、私たち総務の業務も大きく改善しました。
小野さん:導入前の総務の皆さんは、書類に疑問点があったとき、従業員本人に直接問い合わせの電話をしていたんです。すぐにつながればいいですが、出てくれないと折り返しになり、今度はこちらが不在で何度も往復が発生してしまっていて。ようやく話せたと思ったら、本人が内容を理解できていないことも多くありました。
喜多澤さん:提出した書類のどこに不備があるのかを説明しないといけないですからね。
髙木さん:書類は私たち総務の手元にあって従業員ご本人の手元にないので、電話ではなかなか伝わらない難しさもありました。導入後は、SmartHRの画面上で確認してもらえるので、「ここを修正してください」「ヒント欄に記載のとおりに対応してください」と対象の従業員に直接伝えられて助かっています。
喜多澤さん:導入前は、毎年のように従業員向けの年末調整の手順書を作っていました。10ページほどの内容で、法改正があった内容を盛り込んだたたき台を作り、従業員皆さんがわかりやすいようにと他部署にも確認してもらっていたんです。9月頃から作り始め、3ヶ月くらい時間をかけていましたね。SmartHRを導入したら、その作業もなくなったことが本当に嬉しいです。用紙の印刷も不要ですしね。
高木さん:年末調整の用紙だけでなく、扶養控除申告書も含めて1,000人分ですから、印刷には2日ぐらいかかっていました。
喜多澤さん:その間は自分のパソコンが使えないし、印刷機も占有してしまっているので、他部署からは「印刷ができなくて困る」と言われたこともありました。
1,000人分の年末調整の進行となると、想像以上のご苦労があったのだろうなと思います。
小野さん:まずは年末調整から着手しスムーズに導入できましたので、今後は入退社の手続きでの効率化に期待しています。
アテックはエンジニアのアウトソーシング事業なので、会社としては売上に直結する従業員を増やすことが至上命題です。一方で、総務の現場では従業員数に比例して労務業務も増えていたため、大変だと感じる場面もあったかもしれません。
SmartHRを導入した今は業務が効率化したぶん、より前向きに業務に取り組めるようになったんじゃないかなと思っています。
人事情報は会社の宝物。SmartHRの機能を使いこなし、会社の軸となるシステムに
これから取り組みたいと考えていることを教えてください。
髙木さん:本格的に、入退社手続きの効率化に取り組んでいきたいと考えています。
喜多澤さん:私は、他部署に対してSmartHRの使い方や便利な機能をお知らせしたいです。どの部署も発信したいことをたくさん持っていて、そのニーズにSmartHRが活用できると導入時から考えています。権限などをしっかり構築して、SmartHRを総務だけのシステムではなく、アテックのシステムにしていきたいですね。
小野さん:これまで総務は、書類を配付し、返ってきたものを受け取って処理するような受身の仕事に比重が多かったのですが、今は全社の皆さんと直接繋がれるSmartHRという手段を手に入れました。
総務の目線が1つ上がり、「こういう仕掛けをしたら会社のみんなを動かせるんじゃない?」と、会社全体を巻き込んで自発的に動けるポジションになったと思います。
さらに、SmartHRの今ある機能を使いこなして、人事情報を集約していきたいですね。総務の皆さんにはよく「会社全体が人事だよ」と言うのですが、私たちは人材会社ですから、人事情報が会社のすべてで、宝物なんです。そんな宝物が、SmartHRの中に蓄積されていけば、会社の未来の組織戦略なども見えてくるかもしれません。将来的には、従業員のエンゲージメント領域にも繋げていきたいですね。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
※
掲載内容は取材当時のものです。