お使いのInternet Explorer 11はサポートを終了いたしました。最新のブラウザにアップデートしてご覧ください。

目指すは従業員の“カルテ”。人事評価から始めるタレントマネジメント

左から、星野さん、近藤さん
(左から、星野さん、近藤さん)
  • 課題
    表計算ソフトを用いた「育成シート」の運用が煩雑に
    従業員の質の向上に向けて、カルテのようなデータベースが不可欠に
  • 解決策
    労務管理を中心とした使い方に、人事評価機能を加えて活用範囲を広げた
    蓄積してきた従業員データとあわせてSmartHRで一元管理した
  • 効果
    人事評価に対して従業員がこれまで以上に真摯に向き合うように
    評価者からは、「効率化が実感できた」旨の反響が多数寄せられた
    評価プロセスが明確になり、漏れなく納得度の高い人事評価に変わった

アサヒサンクリーン株式会社は、1977年に日本で初めて訪問入浴サービスを開始。2023年時点で全国に240以上の直営の事業所を構える業界のパイオニア的存在です。

同社は2021年にSmartHRを導入。入社手続きや給与明細を中心にペーパーレス化を実現することで、大規模な業務効率化を実現しました。

参考:3,700名が働く介護現場のデジタル化。段階的な導入で無理なく定着 – アサヒサンクリーン株式会社

その後も活用を進めるなか、タレントマネジメント構想の第一歩として人事評価機能を導入し、2023年より運用を開始しています。

今回は人事評価機能の導入背景と導入後の変化について、人財開発本部 人財管理部長の野村さん、人財管理部 システム課の星野さん、近藤さんにお話を伺いました。

SmartHRの導入当時から構想していた労務効率化の先のタレントマネジメント

人事評価機能を導入した背景を教えてください。

野村さん:前回の取材時(2021年)にもお話ししたように、全社的なデジタル化に取り組む一環で、まずは当時優先度の高かった給与明細と入社手続きのペーパーレス化を前提とした業務効率化に着手しました。

同時に、実はその頃から労務の効率化の先でタレントマネジメントにつなげたいという想いがありました。ちょうど2020年から社内で「育成シート」と呼んでいる評価シートの運用を始めるなか、表計算ソフトを用いた運用に課題が見えてきた状況でした。

従業員情報の一元化を目指す背景もあり、その後に人事評価に着手するのは自然の流れでした。

SmartHRの導入当初からタレントマネジメント構想があったのですね。

野村さん:そうですね。私たちがいる介護業界で質の高いサービスを提供し続けるためには、従業員の質の向上が不可欠です。会社は従業員一人ひとりに向き合うとともに、最大限に能力が発揮できる環境づくりに責任をもつべきだと考えています。

また、従業員や拠点が年々増えるなかで、従業員一人ひとりの職歴やスキルが瞬時にわかる、いわゆる「カルテ」のようなデータべースが必要になると考えていました。

私が介護の現場で仕事をしていた際も利用者さまのカルテを見てコミュニケーションに活かしていたように、従業員に対しても同様の仕組みが不可欠だと感じていました。

とても視座の高いお考えですね。そこで構想の実現に向けた第一歩としてSmartHRの人事評価をお選びいただきました。決め手は何でしたか?

野村さん:これまで蓄積してきた従業員データとあわせて一元管理できる点ですね。弊社では自社開発の基幹システムを併用しており、基本情報はそちらで保存しています。SmartHRはその基幹システムと同期して使用しています。そこへさらに他社サービスを追加するのではなく、SmartHRで利用機能を拡張するほうが今後を見据えてもスムーズだと考えました。

周到な事前準備と進捗管理のしやすさが人事評価の円滑な運用を支えた

スムーズな導入に向けて工夫した点はありますか?

星野さん:私たち人財管理部内、そして各支店の管理課長内でもそれぞれ事前のテスト運用を実施した後、従業員全体へと展開しました。管理課長の皆さんのご協力もあり、おかげさまで大きなトラブルもなく運用を継続できています。

星野さん

(星野さん)

近藤さん:以前までの「育成シート」は表計算ソフトで作成していました。そのため何も制約のない状態から一定のルールに則ったシステムに移行することで拒否反応を示す方もいると考え、できる限り以前までの様式を変えずに再現できるように努めました

また、教育課と連携して従業員のみがアクセス可能な社内環境に動画マニュアルも用意しました。実際の画面を用いた案内になっていますので、より従業員目線での使い方がイメージしやすくなったのではないかと思います。

周到な事前準備と計画的な運用がスムーズな導入につながったのですね。何か想定外のできごとはありましたか?

近藤さん:よい意味で想定外だったのが、全社統一の基準やルールづくりに着手できたことです。キャリア採用や教育は各支店ごとに実施されるため、全社統一での基準はこれまであまり多くありませんでした。

今回の人事評価機能の導入により現場の方々とのすり合わせをつうじて、全社統一のルールを設定できました。各拠点での属人的な運用から脱却できたのはよい結果だったと感じています。

私自身が入社2年目で元の評価の仕組みなどわからないことも多かったのですが、各支店の方々が「これはこうした方がいいんじゃないかな?」と真摯に教えてくださるなど、コミュニケーションを重ねた結果、無事にやりとげられました。改めて感謝ですね。

現場の方々とのやりとりをつうじて、大きな成果をあげられたのですね。実際に半期に一度の人事評価を2度実施され、予定どおり完了できたと伺っています。

近藤さん:はい。SmartHRの人事評価機能は進捗状況が逐一わかるので管理しやすくてよいですね。締切が近づくタイミングでは、2週間に1度程度、進捗が滞っている人を絞り込み、CSVファイルに変換したうえでステータスごとに色分けして対象者に呼びかけるといった対応をとりました。

そうすると、評価者の方からは「こういう事情があり、後日まとめて記載します」といった反応をいただくこともありました。期限までに間に合うのかヤキモキすることがなく、状況に応じたコミュニケーションをとれるのは助かりますね。

野村さん:導入以前は途中の進捗状況が完全にブラックボックス化していたので、期日にならないと状況がわからないのが課題でした。それが随時、一覧でパッと確認できるのは担当者としても使いやすいですね。

人事評価機能 捗管理画面イメージ

(人事評価 進捗管理画面イメージ)

疑問点があった際など、サポートは活用しましたか?

近藤さん:チャットサポートは頻繁に使用しました。チャット上でファイルを添付できるので、弊社が理想とする状態のイメージ図や特定の画面のスクリーンショットなどを共有して相談することで、意図どおりの回答が得られるので重宝しました。

カスタマーサクセス担当の方も、弊社の運用スケジュールをよく理解してもらえていてありがたいですね。重要なタイミングでは都度メールで連絡をいただくなど、まさに伴走していただいている印象です。打ち合わせの実施頻度も丁度よく、助かっています。

近藤さん

(近藤さん)

評価者・被評価者ともに人事評価に対して今まで以上に真摯に向き合うように

人事評価機能の導入後の変化を教えてください。

野村さん:最も大きな変化でいえば、評価者・被評価者ともに人事評価に対してこれまで以上に真摯に向き合ってくれるようになりました

これまで評価者・被評価者ともに「育成シート」内では定量的な数値評価に意識が向きがちでしたが、表計算ソフトならではの煩わしさがなくなったぶん、1次評価、2次評価ともに定性的なコメントが多くつけられるようになりました

先ほども述べたように、従業員の質がすべての会社ですので、評価者からのコメントは被評価者にとっても、会社にとっても貴重な財産になっています。

近藤さん:組織の構成上、一般職、所長、ブロック長という階層になるため、2次評価の段階になるとブロック長1人で50人ほどの評価対象者を抱える方もいます。そのため、とくに評価対象者を多く抱える方を中心に「管理がしやすくなった」「工数削減になった」といった声が届いています

嬉しい反響ですね。それ以外に何か変化を感じた点はありましたか?

野村さん:これまでは、「各事業所・各支店から上がってきた育成シートの数」=「すべての評価対象者」という認識となっていました。そのため、休職者や復職者など何かしらの理由があって評価対象外、あるいは復職しているので評価が必要といった状況を人財管理部側では完全に把握しきれず、正確な評価対象者を認識しにくいという課題がありました。

人事評価機能を使った運用への切り替えに伴い、人財管理部起点で「評価者」「被評価者」「スケジュール」これらを明確にしたうえで評価プロセスを開始できるようになりました。結果、従来の課題を解消し、漏れなく、より透明性の高い評価プロセスに変えられたのは、大きな成果だと感じています。

近藤さん、星野さん

継続的に「メッセージ」を発信し、利用者からも従業員からも選ばれ続ける会社へ

今後の展望を教えてください。

星野さん:変化が激しい時代に取り残されないためにも、私たちシステム課はよりよい仕組みを積極的に社内に取り入れたいと考えています。SmartHRをはじめ世の中には便利なツールが多くありますので、幅広くアンテナを張ってさらによい環境づくりへと活かしていきたいと思っています。

近藤さん:システム課は直接的に利益を上げるわけではありません。他部署の効率を上げることで利益につなげる役割を担っています。その点で、さらに貢献できるように私自身も成長して、より効率的な環境をつくっていきたいですね。

野村さん:SmartHRの導入はいわば全社に向けた「メッセージ」なんですよね。給与明細機能であれば「従来のやり方に固執せず、時代にあわせて変化しよう」、人事評価であれば「よりよいサービスを提供するために、従業員一人ひとりに向き合おう」、そんな想いが込められています。

自社開発のシステムをはじめ複数のシステムを使用していますが、そういった従業員に対するメッセージ性の強さはSmartHRならではだと感じています。今後も想いを共有して、利用者さまからも、従業員からも、選ばれ続ける会社をつくっていきたいと思います。

引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!

※掲載内容は取材当時のものです。