3,700名が働く介護現場のデジタル化。段階的な導入で無理なく定着
課題
- 年間数万枚もの紙の書類の管理により、手続きや郵送対応が煩雑になっていた
- 毎月の給与明細発行業務が大きな負担になっていた
- 紙に慣れ親しんだ従業員が多く在籍している
解決策
- 全社的なデジタル化推進の取り組みに着手
- ペーパーレス化により人事労務業務の効率化を目指す
- 丁寧なコミュニケーションを心がけ、段階的に導入
効果
- 従業員のなかでも導入が話題に
- 給与明細発行業務の精神的な負担がなくなった
アサヒサンクリーン株式会社は、訪問入浴介護などの介護・福祉サービスを提供している企業です。全国11か所に支店があり、3,700人を超える従業員が働いています。
同社はこれまで、人事労務関連の書類を紙で大量に管理していたことにより、従業員に関する様々な手続きや郵送対応に大きな負担がかかっていました。
そこでペーパーレス化を通じた効率化を目的にSmartHRを導入。導入を推進するなかでの工夫や導入後の変化について、人財開発本部の北谷 本部長、野村さん、間瀬さん、長谷川さん、塩さん、喜屋武(キャン)さんにお話を伺いました。
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デジタル化推進の取り組みがきっかけで導入。決め手は「機能の拡張性」
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
野村さん:これまで、私たちは人事労務関連の書類をすべて紙で管理していました。そのため、従業員に関する書類は各拠点から本社へ郵送してもらう必要があり、どうしてもタイムロスが生じていたんです。扱う紙の枚数は、年間におよそ数万枚に及んでいました。
長谷川さん:弊社では毎月50人前後の入退社が発生します。各拠点から届く入社時の健康保険に関連する書類を1枚ずつ取り出し、内容を確認して紙のチェックシートに記入していました。1人の労務担当者が午前中は入社手続き、午後は退社手続きの対応に追われ一日が終わってしまうような日々でした。
全員の給与明細もドットプリンターで印刷して、並び替えて1枚1枚ラベルを貼り、内容が間違っていないか確認して郵送で送るという手順でした。担当者5人で1週間ほどかけて対応していましたが、紙で対応するのが当たり前という感覚もあり、効率化に向けた動きがとれていない状況でした。
喜屋武さん:毎月、給与明細の発行日が近づくと「風邪を引けないぞ……」という緊張感がありましたね。作業量が多かったため、1人が休むと他のメンバーにしわ寄せがいきますから。労務課のメンバーは皆、そのような感覚をもっていたと思います。
導入に向けて検討が進んだきっかけは何でしたか?
野村さん:全社的なデジタル化推進の取り組みが始まったのがきっかけです。第一弾として、これまで紙のタイムカードで打刻していた勤怠管理をデジタル化するプロジェクトが立ち上がりました。
その後、「勤怠をデジタル化するのであれば、あわせて入退社手続きや給与明細もペーパーレスにするのはどうか?」という意見が集まり、同時に労務管理ツールの導入プロジェクトが始まりました。
北谷さん:ありがたいことに、弊社には毎月多くの方が入社してくださっています。事業も拡大している状況のため、過去のやり方を見直して、ITツールを駆使して効率的に進めることを目指し、SmartHRの導入を本格的に検討しました。
導入の決め手は何でしたか?
野村さん:継続的な利用を想定するなかで、機能の拡張性が感じられた点です。入退社手続き、給与明細のペーパーレス化はもちろんですが、年末調整や人事データ活用など、デジタル化によって得られる恩恵が、広範囲に渡って得られると感じました。
3つのステップに分け、段階的な導入で無理なく定着
導入はスムーズに進みましたか?
北谷さん:賛成派が多数の一方で、なかには懸念を示す方も一定数いたのが実情です。
長谷川さん:弊社は全従業員のうち、約半数を40代以上が占めています。70代の従業員も100名弱います。従来の紙の手続きに慣れ親しんだ従業員が多いのが、その理由かもしれません。
そのような状況のなか、導入に際して工夫したことはありますか?
長谷川さん:時間をかけて導入メリットをお伝えするとともに、不安を感じさせないように丁寧なコミュニケーションを心がけました。できる限りシステム導入に対する抵抗感を和らげて無理なく浸透できるよう、「知ってもらう」「便利を感じる」「活用できる」というステップに分けて段階的に導入を進めることにしました。
- 知ってもらう:給与明細や源泉徴収の配信から着手。紙媒体の給与明細と一時併用しながら従業員へ周知。
- 便利を感じる:経営陣を含めた全従業員へ、申請機能を利用して前年まで紙媒体で求めていた情報をSmartHR上で回収。
- 活用できる:雇用保険取得証明書や定期昇給時の通知、退職時の各種証明書等、これまで紙媒体で郵送していた書類を文書配付機能にて配信。
長谷川さん:現在は活用が進み、さらに申請・承認機能、文書配付機能の利用など、活用の幅を広げています。
塩さん:各拠点の管理職やエリアを管轄している方に先にSmartHRに触れてもらう機会をつくり、その後に各従業員にアプローチをしてもらう流れにしたことで、全社的にサポートしやすい体制で進められた点はよかったと思います。
SmartHRが提供するサポートに関してはいかがでしょうか?
塩さん:チャットサポートはよく活用させてもらっています。わからないことがあれば、まずはヘルプセンターを見て確認しています。それでもわからない場合は、チャットサポートに気軽に問い合わせています。回答速度も早く、要領を得た回答をもらえるので助かっています。
長谷川さん:運用面での相談は、カスタマーサクセス担当の方にお声がけしています。私たちの問い合わせに対しても、「こういうことですね」と点と点を線にして回答してもらえるので、安心して利用できています。そのお陰でこれまで進められたといっても過言ではありません。私たちはSmartHRのカスタマーサクセス“推し”ですね。
毎月訪れる紙の給与明細配付のプレッシャーから開放
導入後の変化について教えてください。
塩さん:毎月、時間をかけて明細をちぎり夜な夜な封入して……という作業をしていましたが、1日もかからなくなりました。時間が削減できましたし、「この日は絶対に休めない」というプレッシャーからも解放されて、自分自身の仕事の時間も確保できるようになりました。
長谷川さん:紙を扱っていると、鋭利なので手に傷ができ、よく絆創膏を貼っていたのですが、その傷もなくなりましたね。
喜屋武さん:介護職は常にパソコンに触れられる環境がある人たちばかりではありません。私自身もデジタルには苦手意識がありましたが、SmartHRを使ってみると「あれ、思っていたよりも大丈夫じゃない?」という意識をもてたので、その点は非常に良かったと思います。
野村さん:SmartHRの導入で「イケてる会社になったよね」という声を従業員からもらいました。ちょうどSmartHRのCMがよく放映されている時期でしたので、「あのサービス、うちの会社にも入ってるよ」と話すきっかけになったと聞いています。
間瀬さん:導入当時、私は現場での実務を行っていました。郵送で給与明細が送られてきても、1人1人の出勤日が違ったり、私自身も現場に出たりで、すぐに渡せるわけではありません。自分の机の引き出しに溜まっていることもありました。それが今「渡さなきゃ……」と気にかける必要がなくなったのは精神的にも大きく違います。さらに効率化を進めていきたいですね。
効率化・働きやすい環境づくりを通じて、より魅力あふれる会社へ
今後はどのようなことに注力していく予定ですか?
塩さん:業務が効率化されて負担も減ってきたので、新たに生まれた時間を使って社内環境の整備に取り組んでいきたいです。個人的にはテレワークで業務ができる環境を目指しています。
喜屋武さん:入退社や申請に関する紙の処理に追われて余裕がなかったのですが、ペーパーレスになったことで、ゆとりをもって働けるようになりました。今後は自分の時間をさらに効率的に使っていきたいですね。
長谷川さん:優秀な部下に恵まれて、SmartHRという使いやすいツールも入れていただきました。今後はより落ち着いて仕事ができる環境づくりを目指したいですね。
野村さん:SmartHRで労務データを管理できるようになったので、引き続きデータを蓄積してさらに活用できる状態へと歩みを進めていきたいですね。一人ひとりへの教育を充実させて、安心して長く勤められる会社にしていきたいと思います。
間瀬さん:まだまだ、データが様々なところに点在しています。それらをいち早く一元化して、活用しやすい状態に整えていきたいですね。
北谷さん:SmartHRは常に進化し続けているサービスだと認識しています。利用し続けることで、ある意味「世の中のスタンダードについていける」側面もあると感じています。私たちも世の中の流れに取り残されないよう、魅力あふれる会社にしていきたいと思っています。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。