人事・労務の業務効率化だけではない。SmartHRを活用した人的資本情報の開示事例
課題
- 紙文化が残っており、労務業務が煩雑だった
- 人事評価や従業員満足度調査の結果を表計算ソフトに手入力する必要があった
- 拠点の事業所長の書類回収・管理が業務負担になっていた
解決策
- SmartHRでペーパーレス労務がスタート
- 人事評価をSmartHR上で実施
- 従業員満足度調査をはじめとする社内アンケートを従業員サーベイで実施
効果
- 書類回収がスピーディになり、記入ミスもほぼなくなった
- 紙の評価シートがなくなり、事業所長の回収・管理の負担がなくなった
- プリセットサーベイを利用して、人的資本開示項目の準備を整えた
東京インキ株式会社は1923年に印刷インキメーカーとして創業し、培ってきた技術を活用し、色彩を軸に、市場が求める価値をお客さまとともに創造、実現する総合色彩化学メーカーです。
同社はSmartHRを導入する以前は紙を中心とした労務業務、人事評価体制でした。人事・労務業務の効率化を目指し、2023年1月にSmartHRを導入。同年6月には従業員サーベイを活用し、有価証券報告書において人的資本情報の開示にも取り組みました。
SmartHR導入以前の課題や導入後の変化について、人事部 副部長 寺田さんにお話を伺いました。
労務とタレントマネジメントを1つのシステムに集約できる
SmartHRを導入する以前に抱えられていた課題を教えてください。
寺田さん:2020年から人事・労務業務の効率化を目標に掲げておりましたが、そこにコロナ禍も重なり、目の前の業務に追われ、具体的な改善アクションを起こせずにいました。その結果、社内の人事・労務領域には紙文化が残っており、業務が煩雑になりがちでした。
さらに、弊社が2022年度を初年度とする中期経営計画「TOKYOink 2024」を策定したタイミングで人事制度を見直す必要があり、本格的に業務効率化に乗り出しました。
システム選定において大切にしていたポイントがあれば教えてください。
寺田さん:今回のシステム導入では、目下の課題であったペーパーレス化だけを目的には考えていませんでした。新しく導入するシステムには、給与明細や年末調整などの労務領域だけではなく、人事評価などのタレントマネジメント領域も網羅してほしいと考えていました。
労務領域とタレントマネジメント領域を別々のシステムで運用するケースもありますが、従業員データの管理場所が複数存在する体制では、データの管理・更新の工数が増えるため避けたいと考えました。
なので、労務領域とタレントマネジメント領域を1つのシステムに集約できるSmartHRを導入し、活用を段階的に広げていくことが長期的な運用フローとコストの面から有効と考えました。
ペーパーレス化により、表計算ソフトへのデータ入力から解放
SmartHRの導入によって業務効率化は進みましたか?
寺田さん:はい。労務領域のペーパーレス化が進んでいます。たとえば入社手続きには1人あたり10種類以上の書類を準備し、郵送でやりとりをしていました。記入漏れやミスがあれば再度本人に送り返すなどの工数が発生し、入社日までに書類が揃わなくて慌てるケースも多々ありました。
現在ではSmartHR上で入社手続きを進めているので、紙の管理や郵送対応に追われることはなくなりました。従業員から提出される書類もほぼミスなく、余裕をもって入社日までに準備が整うようになったのは嬉しいポイントです。
また、紙の情報をシステムに入力する作業などから開放され、業務効率化が進みました。創出した時間を勤怠システムの導入検討に使えるようになり、社内のDXがさらに進むきっかけにもなっています。
人事評価についてはいかがでしょうか?
寺田さん:人事評価においても紙の評価シートを使う必要がなくなり、SmartHR上で評価シートの展開から回収までを完結できる体制になりました。
SmartHR導入以前は、人事部で従業員分の評価シートを印刷し、各事業所長宛に送っていました。各事業所では、事業所長から従業員に評価シートが展開され、記入後の評価シートを事業所で取りまとめ、人事部に送る流れです。最後に人事部は、回収した約700名分の評価シートの内容を表計算ソフトに入力していました。
現在では評価履歴はSmartHRに蓄積されるため、人事部が手入力することはもうありません。事業所長が紙の評価シートを管理する必要もなくなり、事業所の負担削減にもつながっています。
プリセットサーベイを活用し、短期間で人的資本情報の開示を実現
さらに従業員サーベイの活用も進んでいると伺っています。従業員サーベイ導入以前はどのような形で従業員の皆さまの声を集めていましたか?
寺田さん:従業員1人につき、A4用紙1枚のアンケートシートを展開し、従業員満足度調査を毎年実施していました。評価シート同様、紙のアンケートには回収に5日以上要し、700名分の回答の集計作業は非常に負担のかかる作業でした。
従業員サーベイを利用してからの変化を教えてください。
寺田さん:紙のアンケートシートを展開していたときの作業負担はなくなりました。回収スピードの向上と表計算ソフトへの手入力から開放されています。
さらに、SmartHR上でサーベイ回答の進捗が把握できるのがありがたいですね。回答が滞っている従業員がいれば、人事からリマインドできるので、回答率向上に貢献しています。
また、これまでは紙のアンケート用紙を展開していたため、ほかの人の回答が目に入ってしまうなどの危険性もある運用でしたが、従業員サーベイでの実施では匿名性が守られています。回答する側にとっても安心して、自分の意見を会社に届けられるようになったのは大きなポイントです。
従業員の皆さまが安心して、感じたことや考えていることを人事部に届ける土台ができあがっていますね。
寺田さん:従業員にとっても従業員サーベイでの回答が定着してきたことで、現在では従業員満足度調査以外でも、従業員サーベイを利用するシーンが増えてきました。
直近では2023年6月に発表した有価証券報告書での人的資本情報の開示に従業員サーベイのプリセットサーベイが活躍してくれました。
人的資本開示に向けたアクションのなかで、どのように従業員サーベイを使いましたか?
寺田さん:具体的にはプリセットサーベイに用意されている項目から、開示内容に合った項目を利用することで、限られた時間で人的資本情報の開示の準備が整いました。
2022年12月に人的資本情報の開示に取り組む「IRプロジェクト」を発足し、プロジェクトメンバー内で意見を出し合いながら最終的な開示項目とKPIを設定しました。
弊社では人的資本情報の開示アクション自体がはじめてだったにもかかわらず、限られた時間で開示情報の準備が整ったのは従業員サーベイがあったからです。
関連記事:項目検討から集計まで3か月。SmartHR活用で人的資本情報開示を短期間で実現|東京インキ
SmartHRの強みは「データが蓄積されること」
最後に、これからの展望を聞かせてください。
寺田さん:労務業務と人事評価のペーパーレス化が進み、人的資本情報の開示にもSmartHRを活用するなど、活用範囲は少しずつ広がっていますが、まだまだSmartHRの豊富な機能を使いこなせていないと考えています。
私はSmartHRの強みを「データがSmartHRに蓄積されること」だと考えています。今後は蓄積した従業員情報をさらに活用したいですし、頭のなかにある活用のアイデアを今後を具現化していきたいです。
たとえば、組織図を公開して、従業員同士の理解を深めたり、若い世代の育成と抜擢するポジションを配置シミュレーションで検討したり、分析レポートで可視化した最新の組織情報が常に役員に共有される状態を作ったり、これらの実現に向けて動きたいと考えています。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。
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