人事・労務の変化は全社に影響を与える。製造業でのペーパーレス化推進事例
課題
- 2020年の年末調整において法改正で変更になった箇所が多く、紙で実施する限界を感じた
解決策
- 給与明細や源泉徴収票、年末調整のペーパーレス化を進める
効果
- 書類を扱う作業時間を月間で約10時間削減
- 年末調整だけでも5,000枚の紙が不要に
- 従業員の年末調整の回答がスムーズになったことで、担当者の業務効率化だけではなく、全社的に負荷を軽減できた
1962年に設立、「全自動手袋編み機」の開発を創業の原点とする株式会社島精機製作所。全社でペーパーレス化を進めるなかで、年末調整や給与明細配布などの人事・労務業務のデジタル化を推進されています。
SmartHR導入の背景、活用内容について、総務人事部 人事グループ 犬塚さん、溝端さんにお話を伺いました。
従業員の業務負荷軽減と、ペーパーレス化実現のためにSmartHRを導入
SmartHR導入以前の人事・労務上の課題を教えてください。
犬塚さん:給与明細や源泉徴収票、年末調整のペーパーレス化を進めたいと思っていました。とくに2020年の年末調整では、基礎控除の改正、所得金額調整控除の創設など、法改正で変更になった箇所が多く、紙で実施する大変さが容易に想像されたため、システム導入を早急に進めるきっかけになりました。
会社として「ペーパーレス化宣言」をしているのも追い風になりましたね。
どのようにシステムを選定されたのでしょうか?
犬塚さん:業務効率化につながるサービスを複数検討していました。SmartHRは上司から薦められたのがきっかけです。他社と同じように説明を聞いたところ、年末調整の画面のわかりやすさに魅力を感じたことを覚えています。
一問一答で回答し、最後に申告書のイメージも確認したうえで提出できるため、年末調整に詳しくない従業員にとっても回答しやすいと思いました。私たちの業務効率化を図れるだけではなく、従業員も使いやすいシステムとしてSmartHRが一番適していると判断しました。
月約10時間の作業時間削減、5,000枚の紙が不要に
導入後の変化を教えてください。
犬塚さん:紙の印刷、配布、回収の作業工程が軽減し、書類を扱う作業時間が月間で、約10時間削減できました。年末調整では、今まで紙の申告書を確認しながら保険料などのデータを手計算していましたが、データで対応できるようになり、約5日分の作業時間を削減できています。
また、年末調整だけでも約5,000枚の紙が不要になりました。ほかにも、給与明細の電子化などを通じてペーパーレス化がぐっと進んだのはインパクトがありました。
導入時は、正直少し大変なこともありましたが、給与明細が電子化し、年末調整もウェブ上で実施したことで、従業員が身をもって「会社として一歩進んだ」と実感してくれたことが嬉しいです。
溝端さん:これまであまりデジタル化が進んでいなかったところを改善することで、会社としての「変化」も皆さんが感じてくれたように思います。従業員のモチベーションアップにもつながると思いました。
犬塚さん:今までは所属長の方に給与明細や年末調整書類の配布、回収などをお願いしていたのですが、それを無くすことにより負担を減らせました。
また、従業員の年末調整の回答がスムーズになったことなどにより、担当者の業務効率化だけではなく、全社的に負荷を軽減できたことが、本当によかったと感じています。
所属長が従業員と総務人事部の間をつなぐ必要がなくなったのですね。
犬塚さん:そうですね。所属長の立場からすると、部内の従業員の紙を回収して総務人事部に渡す作業って、本来はなくてもいい仕事じゃないですか。その作業を減らせたのはありがたいです。
10代〜60代の幅広い年代にも、丁寧な案内でスムーズに進行
導入時、どのようなことを工夫されましたか?
犬塚さん:全従業員がアカウントをもつシステムを導入したのはほぼ初めてでしたので、かなり丁寧に進めました。まずは導入説明会を実施し、SmartHRを知ってもらうことから始めました。アカウント登録においても事前に把握している情報をすべて私たちで入力し、登録作業ができるだけ簡単になるように工夫しました。
従業員の年齢も18歳から60代まで幅広く、このようなシステムに不慣れな方もいますので、SmartHRさんが提供している登録促進のテンプレート資料などを活用して案内しました。「説明資料がわかりやすかった」という声もいただいたので、とても助かりました。
昨年(2020年)の年末調整はいかがでしたか?
犬塚さん:SmartHRの担当の方にも丁寧にアドバイスいただきながら進めました。説明会時に、提出期限を約2週間後に設定していたのですが、早い方は即日提出してくださいました。不安はありましたが、予想以上に「わかりやすかった」との声をいただけて安心しました。
法改正部分での問い合わせ、操作面での問い合わせもありましたが、「内容を修正したい」という場合は差し戻し機能で簡単に対応できるのはラクでしたね。
また、今までは紙に出力した名簿にマーカーを引いて提出状況を確認していましたので、提出状況が一覧で確認できるのも便利でした。
溝端さん:年末調整業務を担当する側も、現時点での確認状況が一目でわかるので、残りをどのようにこなしていくか計画を立てやすかったです。また、従業員の入力間違いがあっても訂正がラクですよね。
紙だと皆さんボールペンで記入しているため、訂正が必要となるとどうしても書類が見にくくなることが多かったのですが、データだとそのようなことがなくパッと確認できます。
操作面でわからないことがあった場合はどのように対応していますか?
犬塚さん:SmartHRスクールをよく活用しています。順を追って説明されており、非常にわかりやすいですよね。担当の方も細かくサポートしてくださいます。
溝端さん:私は主に社会保険の申請を担当しているのですが、つまずいたときにヘルプページとSmartHRスクールを確認すれば解決できることが多く、いつも活用しています。
職域接種の案内に「オンライン雇用契約・文書配付機能」を活用
オンライン雇用契約・文書配付機能はどのように活用されていますか?
犬塚さん:文書配付機能を、ワクチンの職域接種を実施する際の案内に活用しました。今までこのような案内は紙で配布しており、個人情報を含む場合は印刷して封筒に入れ、所属長経由で配布する必要がありました。
職域接種自体が迅速な対応を必要とするなかで、文書配付機能を活用して、必要事項を差し込み、職域接種したい方にのみご案内できて非常に便利でした。
従業員は出社していなくてもSmartHRにログインできれば案内を確認できますので、スピーディに進められたと思います。この職域接種の案内が、「SmartHRって便利だな」と社内での認知が広がるきっかけになりました。
なるほど。たしかに1,500名規模の従業員と個人情報を含むやりとりを進めるのは大変そうですね。
犬塚さん:職域接種を進めるために対象者に紙を配布してやりとりすることを考えると、ちょっと恐ろしいですね。職域接種の対象も従業員の家族まで広げていましたので、情報をこれまで以上に丁寧に扱う必要がありましたし、SmartHRで進められてよかったです。
このような使い方ができるとわかったので、今後も違う場面で活用できるケースがないか検討しているところです。
従業員がイキイキと働ける環境をつくりたい
業務効率化を進めたつぎに、どのようなことに取り組みたいですか?
犬塚さん:SmartHR導入の最大の目的は、定例業務の効率化を図ることです。業務効率化で生まれた時間で、本来、会社が独自の色を出すべき、制度面や人材育成、風土づくり等、従業員がイキイキと働ける環境づくりに力を注ぎたいです。
また、新型コロナウイルスの流行が世の中を大きく変えたように、今後どんなことが起こるかわかりません。これからの変化に備え、先のことを考えられるよう、日々の業務に余裕をもって取り組みたいです。
溝端さん:私自身がまだ社会人になって2年目ですので、業務効率化で生まれた時間で知識を増やし、従業員の皆さんによりよい支援をしていきたいと思っています。
また、世の中がストレス社会の課題を掲げるなか、対面でのコミュニケーションがより重要になると思っていますので、従業員の皆さんに向き合えるような時間を増やしたいです。
SmartHR導入を機に、さらなる業務効率化や働きやすい環境づくりへつながるよう、引き続きご支援してまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。