19,000人の年末調整をペーパーレスに。全国拠点で効率化
課題
- グループ約19,000名(※経営統合前当時の人数)の年末調整を紙で運用しており、業務効率・コスト面から大きな負担になっていた
- 契約社員の割合が高く、3カ月に1度の契約更新でも約10,000枚の膨大な書類を扱っていた
- 自社の従業員規模に耐えうるサービスがほとんどなかった
解決策
- 年末調整・雇用契約書など、多様な労務手続きをSmartHRで完結できる状態を目指す
効果
- 年末調整にまつわる書類を28,000枚削減、専任担当者の残業時間も半減
- やむを得ず紙でのチェックが必要な書類を除き、ほぼ全ての情報をウェブで確認可能に
アルティウスリンク株式会社は、コンタクトセンター事業、バックオフィス事業、ITソリューション事業を中心とした法人向けサービスを提供する大手BPO(Business Process Outsourcing)サービス企業です。
2023年9月には、株式会社KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズ株式会社が経営統合し、アルティウスリンク株式会社として新たに発足。事業規模のさらなる拡大を遂げています。
そんな同社は、成長戦略としてSmartHRの導入を含めた人事労務改革に着手しています。雇用契約の締結から社会保険手続き、給与計算にいたるまで、社内の人事労務全般を幅広く担う給与保険部の正木さん、中村さんにSmartHR導入の狙いと効果について伺いました。
多様な労務手続きに対応し、大規模な従業員数に耐えうるシステムが必要だった
まずは、導入のきっかけを教えてください。
正木さん:導入のきっかけは、年末調整の電子化です。弊社は全国に多数の拠点を構え、グループ全体の従業員数は約19,000名(※経営統合前当時の人数)になりますが、これまで必要な申告書はすべて紙で運用していました。
業務効率とコストの観点から見て大きな負担になっていたため、まずは年末調整に必要な書類の電子化を目指して検討を開始しました。
クラウド人事労務ソフトを選ぶにも様々な選択肢があったと思います。決め手はなんでしたか?
正木さん:大きく分けると2つあります。
1つ目は、当社の従業員規模に耐えうるサービスである点です。私たちが選定した際、他サービスでは利用可能な従業員数の上限が2,000名程度までになっているなど、当社の規模に対応できるサービスがほとんどありませんでした。
その点、SmartHRさんは大手企業さんの導入実績も多く、相談する中でも確証が得られたため安心して選ぶことができました。
ありがとうございます! 2点目はいかがですか?
正木さん:入退社手続きや雇用契約書、年末調整など、労務に関する様々な手続きの電子化に対応している点です。
弊社は従業員の中でも契約社員の割合が高いのですが、契約更新が3ヶ月に1度、数にして約10,000枚ほどの書類を運用していました。そのため、雇用契約書の電子化もまた重要な課題でした。
拠点の数や従業員数も多いことによる導入時の課題はありましたか?
正木さん:基本的に、従業員にはスマートフォンから情報を入力してもらっていますが、メール認証を行う際の受信拒否設定の解除など、スマートフォンに関する基本的な操作マニュアルの作成が必要になった点です。
様々な従業員に対応する必要がありますからね。作成したマニュアルは、どのように従業員の方へ案内しましたか?
正木さん:従業員のみがログインできるサーバ上にファイルを設置して閲覧してもらいました。スマートフォンからも閲覧しやすいマニュアルづくりという点では、少し工夫が必要でしたね。
年末調整にまつわる書類を28,000枚削減、専任担当者の残業時間も半減
そのような課題を乗り越え、SmartHRを活用したことで得られた効果を教えてください。
正木さん:特に年末調整に関していえば、コスト削減や業務効率化、申告内容の精度向上、それぞれの観点で大きな効果が得られました。
まずコスト削減としては、SmartHRを活用したことで約28,000枚の紙を削減できました。
28,000枚分とは……! すごいインパクトですね。
正木さん:それだけの用紙代と印刷代、郵送費用を削減できています。
積み上げるとすごい金額になりそうです。業務効率化の観点ではいかがでしょうか?
正木さん:弊社には現在、専任で年末調整を担う社員が6名ほどいますが、どうしても年末調整の時期になると、年の瀬のギリギリまで残業していた状況がありました。
導入後は、年末調整の専任メンバーの残業時間の合計が前年比で、半分以下になっています。
各種保険料や住宅ローン(借入)等の証明書など、やむを得ず紙でチェックしなければならない書類を除き、ほぼすべての情報をSmartHR上で確認できるようになり工数削減できています。
残業時間が半減とは大きな効果ですね。申告内容の精度向上についてはいかがですか?
正木さん:弊社に限ったことではありませんが、年末調整そのものが年々複雑化している背景があり、従業員は毎年記入に苦労していたはずです。
紙の場合、たとえば「寡婦(寡夫)」のように、用語が難しく自信を持って回答できない人も少なくないと思います。
その結果、誤った内容のまま提出となると、そこから生まれる差し戻し対応の工数も膨れ上がりそうです……。
正木さん:そういう意味では、SmartHRを活用して年末調整を実施したことで、従業員からの申請内容の精度が向上したのは大きな収穫でした。
具体的には、どの部分が申請内容の精度向上につながったと感じますか?
中村さん:従業員情報を入力するために聞かれる設問ですね。
SmartHRの年末調整では「はい・いいえ」あるいは「A or B or C」のように回答範囲が限定された、いわゆるクローズドクエスチョンが多く使われていますよね。
このおかげで、年末調整や扶養控除などの知識がない人でも迷わずに回答・提出ができます。実際に従業員からは「質問がわかりやすく、迷いなく入力できる点が良かった」との声を多くいただきました。これは嬉しい反響でしたね。
担当者冥利に尽きるのではないでしょうか。聞いているこちらも嬉しくなりました。
回答進捗をリアルタイムで確認できる点が強み
ちなみに、SmartHRの導入以前は、書類の回収状況をどのように確認していましたか?
正木さん:期限が明確に決まっていたので、それに沿ったスケジュールで随時アナウンスを行いながら確認していました。
その際、各拠点の担当者はどうしても期限ギリギリまで回収に追われてしまうことが多かったんです。そうなると、管理側としては提出期限を迎えてからようやく内容のチェックに着手できるような状況でした。
現在は、SmartHR上でリアルタイムに提出状況を確認できるのが助かっています。順次提出されたものからチェックできるので、対応も特定の期間内に極端に集中することなく負担を分散できています。作業効率や稼働負荷の面でも、導入前後で雲泥の差がありますね。
今後に向けて、課題があれば教えてください。
正木さん:2019年の年末調整では、95%以上の従業員がSmartHRを利用して年末調整を実施できました。2020年の年末調整では、この割合をさらに高めていきたいと考えています。
一部従業員の中には、スマートフォンを使って、オンライン上で従業員情報を入力することに抵抗を持つ人がいるのも事実です。
一方で、大多数の従業員からは「知識がなくても簡単に終わった」「設問に答えていくだけで、適正に申告できた」といったポジティブな反応が集まっています。
それがさらに浸透してくれば、いずれ自然と切り替わっていくだろうという見通しは持っています。個別の事情に配慮しつつ、丁寧に対応していきたいです。
すべての手続きをSmartHRで完結したい
それでは最後に、今後の展望についてお聞かせください。
中村さん:現状では、まだSmartHRの機能すべてを使いこなしているわけではありません。効率化の観点でいえば、できることはまだまだ尽きないと思っています。
最終的には、入社手続きから退職手続きにいたるまで、すべての手続きをSmartHR内で完結できる状態が理想ですね。
正木さん:これまで、年末調整と雇用契約書という一番大きなところから電子化を進めてきました。今後は、新たに企画部門を立ち上げて集中的に効率化を進めることも視野に入れながら、残された申請書類に関しても電子化を進めていきたいと思います。
また今後、より効率的に多くの従業員に対応していくためには、自動化が一つのキーワードになると考えています。そのために、HRテクノロジーのみならずAIの活用など、新しい技術を積極的に取り入れていきたいですね。
たとえば、1%の従業員に限ってのみ発生する手続きであったとしても、弊社の場合200名前後の該当者となります。その都度アナログ的に対応するのではなく、効率よく対応できるようにように、引き続き体制を整えてまいります。
今後のさらなる効率化を願ってやみません。正木さん、中村さん、本日はありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。
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