5,000名の年末調整を電子化。創業86年機械メーカーの業務改革
課題
- 約5,000名分の年末調整書類の配布・回収・ダブルチェックに毎年膨大な工数がかかっていた
解決策
- 毎年膨大な工数のかかる年末調整手続きを、電子化により効率化
効果
- 年末調整の各申告書を配布するため、1日がかりで印刷・発送していたが、この作業が丸々不要に
- 枚数にして15,000枚以上の紙が削減できている
- 進捗が見える化され、年末調整がスムーズに
京都府に本社を置く村田機械株式会社は、世界80ヶ国以上に製品を提供し続けている産業機械メーカーです。1935年の創業以来、「モノづくり」を通じて世の中の産業を支え続けています。
多数の事業所とグループ会社を有する同社は、紙による人事労務手続きに課題を感じてSmartHRを導入。
選定時の決め手とその後の変化について、導入を推進した人事グループ労務チームの南波さんにお話を伺いました。
関連会社11社・約5,000名の年末調整の管理工数が課題
SmartHR導入の背景を教えてください。
南波さん:弊社には関連会社が多数あり、私たち村田機械の人事グループで年末調整を担っている会社だけでも11社、全体での従業員数は約5,000名になります。
その人数分の年末調整書類の配布・回収・ダブルチェックに毎年膨大な工数がかかっていたのが課題で、何とか効率化したいと考えていました。
具体的には2020年4月に私が導入プロジェクトのリーダーに任命されたことを機に、候補に挙がっていた複数企業のサービス比較をはじめました。
どんな点を基準に比較しましたか?
南波さん:主に3つの観点から検討しました。まずはコンプライアンスの観点で、情報セキュリティがしっかりしているかどうか。次に、導入によりいかに従業員がラクになるか。最後に、私たち管理者が実務レベルでどれくらい恩恵を得られるか。これら3つの観点より比較しました。
そのなかでSmartHRが優れていると判断し、2020年の6月に開始したトライアル期間を通じて実用に耐えうるかどうかの観点で検証を進めました。チームメンバーの協力もあり、9月には無事に契約締結。想定よりも短期間での導入になりました。
導入の決め手は「従業員目線での操作性」
SmartHRを選んだ決め手はなんですか?
南波さん:従業員目線での操作性です。年末調整の知識や経験がなくても、アンケート形式で事実を答えていくだけで正確な申告書を作成できるのは大きなメリットですね。
また、オンラインで申告内容の確認ができ管理側の負担軽減も見込める点も後押しになりました。
検討段階での印象や使い勝手はいかがでしたか?
南波さん:検討の初期段階から好印象でした。価格ではもう少し安いサービスもありましたが、従業員が使うことを最優先に考えるとSmartHRしかないと社内でも推薦しました。
実際に使用してみても、画面上で使われている言葉遣いや解説が親切で、丁寧に作り込まれている印象を受けました。知識問わず正確に使える仕組みになっている点は、どの従業員にとっても利便性が高いと感じましたね。
年末調整のアンケート画面においても、管理者側からヒントメッセージとして質問内容を補足できる点が便利で助かっています。
スムーズな導入のために工夫したことはありますか?
南波さん:工場が主となる事業所ではパソコンが職場共有のものであることや、メールアドレスが付与されていない従業員もいることから、準備段階で必要になる手続きは可能な限り私たち人事側で完結するよう配慮しました。
従業員への周知の際には、スマートフォンからアクセスしやすいようにURLをQRコードにして案内するなど工夫しました。
導入にあたって事前の想定と異なる点などありましたか?
南波さん:弊社の製造部門などでは、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていない従業員や産休・育休などの理由で長期休業中、あるいは出向で社内にいない従業員もいます。そのため年末調整においても、一定数はこれまで通り紙で回収し代理での入力が必要だろうと考えていました。
ですが実際に利用してみたところ、やむを得ない状況により私が代理で登録したのはわずか2名だけでした。
その他の従業員についてはご自身、もしくは少なくとも各事業所の担当者の対応にて完了しています。年末調整の全体の進捗を管理する立場としては、想定外の嬉しい結果でしたね。
進捗状況が見える化されたことでサポートにまわれた
導入後の変化について教えてください。
南波さん:導入以前は、年末調整の各申告書を従業員に配布するために、5つの拠点総出の1日がかりで印刷・発送していたのですが、この作業が丸々不要になりました。枚数にして15,000枚以上の紙が削減できています。
また私自身、紙で運用していた際は、申告書の束を手元に持ってきて「よしチェックするぞ!」とスイッチが入るまではなんとなく後回しになっていた感もあり、締切間際まで確認作業をしていた時期もありました。
導入後はネット環境さえあれば気軽に確認作業に取りかかれるため、スキマ時間を使って作業を進められたのは大きな変化ですね。
進捗管理の面での変化はいかがですか?
南波さん:紙で年末調整を実施していたときは、事業所ごとの進捗状況が見えづらい部分がありました。SmartHRを導入したことで、どの従業員がどの申告書を入力し終えたのかが逐一画面上で確認でき、なおかつ件数も表示されるため年末調整全体での進捗が把握しやすく気に入っています。
それによって進捗が遅れている事業所の発見につながり、本社側からサポートできました。まさにSmartHRの導入効果を感じた一件でしたね。
年末調整において実施スケジュールに変化はありましたか?
南波さん:毎年10月中旬に従業員へ申告書を配付し、申告書チェックは11月下旬までに完了させるスケジュールでしたが、11月中旬にはおおむねチェックを終えられています。
従業員がSmartHR上で申告書を提出してさえくれれば、順次チェックを進めていけること、控除額が自動計算されること、控除区分が自動判定されること、これらの要因によってスケジュールの短縮につながったと考えています。
次回以降の年末調整ではさらなる効率化が期待できそうですね。
南波さん:そうですね。以前までの年末調整では10月中旬から開始していましたが、来年は1週間程度遅らせて10月下旬からの開始で問題ないのではないかと検討を進めています。
次回はすでにあるマニュアルを一から作りなおす必要もないですし、さらなる効率化を楽しみにしています。
利用範囲を広げて従業員と労務チームメンバーの負担を軽減したい
今後、SmartHRを使って取り組みたいことを教えてください。
南波さん:年末調整に続いて、現在は入社時の情報収集の電子化に着手しています。政府による「脱ハンコ」の動きが進む背景も踏まえ、契約書更新の電子化も検討しています。
最後にSmartHRに期待することを教えてください。
南波さん:私たち人事グループ労務チームは、社内における事務処理において最後の砦という位置づけです。人事グループの他チームと比べても残業が多くなりがちで、ストレスもかかりやすい職場だと認識しています。
従業員にとっての利便性の追求と同時に、労務チームメンバーの工数を減らし少しでも負担を軽減していきたいですね。
それによって今後、年末調整以外の場面でも余裕が生まれれば、また新たな取り組みにも時間を割けられます。そんな好循環をSmartHRと一緒に作っていきたいと思います。
従業員の皆さん、そして労務担当者の皆さんの負担をより軽減できるようなプロダクトづくりに尽力して参ります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。