内製システムからSmartHRへ。事務作業を減らし、付加価値のある人事業務へ注力
課題
- 人事データの保管場所がバラバラ
- 内製システムの運用が年々難しくなってきた
- 内製システムの仕様の範囲内でしか施策を進められなかった
解決策
- システム導入後のあるべき姿を事前に言語化
- あるべき姿を実現可能なシステムとしてSmartHRを導入
効果
- 労務業務のペーパーレス化
- 従業員情報をSmartHRに一元化
- 権限設定の変更など、柔軟な評価仕様変更体制を確立
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社は、ファシリテーションとITシステムをテコに、クライアントの業務改革や新規事業創造、IT・経営戦略策定を支援するコンサルティング・ファームです。
同社は2021年からSmartHRを導入し、翌年には人事評価機能の活用がスタート。SmartHRを人事データベースの中心に据えた環境が構築されています。SmartHR導入の背景やその後の変化についてHRマネージャーの渡辺さんにお話を伺いました。
人事データが散在しがちな内製システムの運用に限界を感じた
SmartHR導入以前はどのように人事・労務業務に対応されていましたか?
渡辺さん:当時は社内開発の人事システムを利用していました。作り込みが丁寧なシステムで、10年以上使い込んでいました。
しかし、近年では法改正や多様化する雇用形態などの変化に対応させるのが難しい場面が多くなりました。また、当時の設計者の退職によって仕様変更などのハードルがさらに上がり、システムの変更は避けられないと考えました。
そのほかに課題に感じていたことはありますか?
渡辺さん:年々、当時のシステムを操作できるメンバーが限られてきてしまい、紙で提出される従業員情報をそのメンバーがシステムなどに転記する作業が発生していました。
さらに、従業員情報の保管場所が当時のシステム内で完結しておらず、紙、Word、Excel、PDFにそれぞれ散在していることも課題でした。
手入力ではミスが発生しやすい上に、保管場所が複数あるのでさらに記入ミスのリスクは高くなる。とにかく、人事データベースを一元化することは最優先で取り組みたいと考えていました。
導入後のあるべきの姿を言語化し、実現に叶うシステムを選ぶ
新しいシステム導入を検討する際、大切にしていたポイントはありますか?
渡辺さん:比較検討の段階で、SmartHRを含めて複数のシステムを検討していましたが、機能比較と同時に、システム導入後に「どのような状態になっているべきか」の言語化に努めました。
各社のシステムの機能を比較することはもちろん大切です。しかし、機能軸での比較検討は避けました。なぜなら、一見便利そうな機能があると、意識が引っ張られて判断軸がブレてしまったり、優先的に解決しなければならない課題の対処を先送りしてしまう場合があるからです。
導入後の姿を言語化するにあたり、現状の業務プロセスを洗い出し、どのような状態であるべきかを社内で話し合いました。最終的に、弊社ではシステム導入の先にある姿として「事務作業を極力削減し、本来の人事作業(社員面談、制度企画)にフォーカスする」と明示し、導入プロジェクトを進めました。
比較検討の結果、ありがたいことにSmartHRをお選びいただけました。決め手を教えてください。
渡辺さん:SmartHRなら、入社時に作った従業員データを基本とし、人事データベースとして活用できるのはもちろん、紙対応や、手入力による従業員情報の更新作業がなくなるため、比較検討フェーズで掲げたあるべきの姿を実現できるイメージが湧きました。
あと、機能比較は優先ではないと言いましたが、個人的に好印象だった仕様があります。それは退職者アカウントの扱いです。こうした従業員にアカウントを付与するタイプのシステムは、従業員の退職後、該当アカウントが削除・停止されるのが一般的です。
SmartHRの場合は、退職後もアクセス可能にできますよね。よく考えてみると、人事は退職者への源泉徴収票や在籍証明書の発行などの仕事があります。この仕様について知ったとき、システムありきの開発ではなく、人事の仕事に寄り添った開発をする企業なんだなと、思いました。
従業員情報を一元化。SmartHR上の情報を「正」にする体制へ
SmartHRの導入後の変化について教えてください。
渡辺さん:まずは紙でのやり取りが一切なくなりました。比較的人材流動性のある業界なので、毎月一定数の入退社手続きが発生し、4月の新卒入社の時期にはさらにまとまった数への対応が必要です。
紙ベースの手続きでは、書類の確認や情報の転記などに工数がかかりがちでしたが、今ではSmartHR上で手続きは完結しています。
また、SmartHRを人事データベースの中心に据えた環境が構築されています。旧システムやそのほか散在していた従業員情報の保管場所は撤廃し、すべてSmartHRに集約できている状態です。
従業員情報が散らばっていると、しばしば「謎解き」をしなければならない場面があります。たとえば、Excelの管理表では「A」と記されているものが、旧システム上では「B」とされている場合、どちらが正しい情報なのかを確かめる作業が発生します。今ではSmartHR上の情報を「正」とする体制になり、「SmartHR上の情報が古いのであれば、本人に申請し直してもらう」など、対応もシンプルになりました。
内製の評価システムからSmartHRの人事評価機能へ
2022年10月からは人事評価機能のご利用がスタートしましたね。
渡辺さん:そうなんです。しかし、2022年度の年度計画では、評価システムを入れ替える予定はなく、当時は別の社内開発による評価システムを利用していました。
結果的にSmartHRの人事評価機能の導入に至った背景は2つあります。
まずは内製システムの運用・保守を担当していた社内のIT担当にかかる負担です。バグ報告やシステムの脆弱性が見つかった場合の対応は緊急度も高いものが多く、IT担当の業務負荷を圧迫する状態でした。
次に評価制度のあるべき姿に対する視野が狭くなることです。評価制度改善にともなってシステム仕様を変更する際にはIT担当に相談のうえ、工数見積を算出、開発という手間と時間がかかります。結果的に「IT担当へ依頼する必要のない範囲でどのように対応するか」という狭い視野での評価制度改善策を考える傾向にありました。
こうした背景があり、すでに人事データベースを中心に運用がスタートしているSmartHRの人事評価機能に興味を持ちました。
SmartHRの人事評価機能の印象はいかがでしたか?
渡辺さん:トライアル期間で人事評価機能に触れたタイミングで、「あ、これいける」と感じました。その後は5か月で旧システムからSmartHRに移行しました。
実際にSmartHRの人事評価に切り替えてどのような変化がありましたか?
渡辺さん:評価における「権限設定の柔軟性」には非常に助けられています。テンプレートを設定すれば、評価の権限設定がスムーズに変更できるようになりました。評価者と被評価者が同時に記入できる設定にしたり、評価者を複数設定して2段階評価仕様に変更したりなど、柔軟に対応できる体制になったのは嬉しいポイントです。
あとはマニュアルを見ずとも操作が理解できるUIですね。管理者画面もシンプルで扱いやすく、迷うことがありません。社内からの評判もよく、従業員目線でも使いやすいシステムと認知されています。
従業員からはとくに評価記入時に、記入内容がリアルタイムに保存されていく仕様が好評です。私もこれまで自分の評価を記入する際は、別のノートアプリに書き上げた文章を最後に評価システムに貼り付けていました。そうした手間もなくなり、保存忘れや貼り付けミスなどが起こりようがない仕組みになったので、評価の記入に集中できるようになりました。
こまかいところかもしれませんが、システムを使うことの些細な煩わしさを解消し、当たり前だけど便利な形で評価を進める体制が整いました。SmartHRがUIで評価されているのも納得です。
社外コミュニティの知見を、より付加価値のある人事業務へ活かす
SmartHR導入後、新たに取り組まれたことはありますか?
渡辺さん:従業員の組織内コミュニケーションデザインに注力できるようになりました。たとえば、新入社員のオンボーディングにおいて、研修を終えたら、各配属先にお任せしている状態でした。業界的には決して珍しい対応ではないのですが、改善の余地がありました。
今では、人事と配属先をよりシームレスにつなぎ、新入社員を送り出す体制になっています。社員一人ひとりに向き合う時間を増やし、研修期間でのフィードバックを配属先、担当メンターに事前に共有することでスムーズなオンボーディングが実施できています。
そのほかにも、従業員同士のコミュニケーション活性化を促す施策や、人員配属の最適化など人事としてより付加価値のある業務に取り組めるようになっています。
また、SmartHRが運営するSmartHRユーザーコミュニティ「PARK」にコミュニティリーダーとして運営に参画し、業界・業種を超えた情報交換で多くの刺激を受けています。そこで、得た知見やエネルギーを組織に還元していきたいです。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。