公開日:2025/06/23
“作業着のサイズから人事評価”まで。 金属プレス企業がSmartHRと育てた「ヒト・文化づくり」の現場

目次
埼玉県八潮市に本社を構える株式会社リノメタルは、自動車部品を中心に金属プレス加工を手がける老舗メーカーです。創業70年の歴史を持つ同社は、時代の変化に柔軟に対応し、DXを積極的に推進してきました。
その一環として、2020年にSmartHRを導入。ペーパーレス化とバックオフィスの効率化に取り組み、約100人の従業員全員にとって働きやすい環境を整備しています。
今回は代表取締役社長の荒金さんと、取締役 組織開発・人事統括責任者の竹下さんにお話をうかがいます。リノメタルが掲げる「理想の組織づくり」とはどのようなものなのか。そしてSmartHRは、どのようにその実現を支えてきたのか。SmartHRカスタマーサクセスマネージャーの秋吉がインタビューします。

荒金賢治(あらがねけんじ)
株式会社リノメタル 代表取締役社長
「世界トップ1%のITブレインでありたい」という思いで、ITを活用した経営に邁進する3代目経営者。ITベンチャー企業でのプログラマーの経験を持ち、DX推進とヒト・文化づくりで製造業の可能性を引き出す。

竹下(荒金)知代美(たけした(あらがね)ちよみ)
株式会社リノメタル 取締役 組織開発・人事統括責任者
大手IT企業で11年間、人材育成・講師育成などに従事。「一人ひとりが自分の能力を開花させ“自分ならできる“と信じて人生を切り開いていく世界を実現する」という信念のもと組織開発・人材開発を牽引している。

秋吉 しのぶ
株式会社SmartHR カスタマーサクセスマネージャー
2022年にSmartHR入社後、カスタマーサクセスマネージャーとして、SmartHRの導入・活用支援を担当。
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Excel管理はもう限界。従業員情報をSmartHRに一元化
本日はよろしくお願いします。SmartHRを導入いただいたきっかけは、入社手続き・雇用契約のペーパーレス化を図るためでしたね。導入以前は、どのような課題を感じていらっしゃったのでしょうか?
当時は、従業員の個人情報をすべてExcelで管理していました。人事担当はそれを印刷して、紙をめくりながら入社手続きなどを行っていたんです。しかし、従業員数が増えるにつれて、手間や煩雑さが増し、限界を感じはじめた。そんなときSmartHRを知り、導入を決めました。

導入いただいた結果、どのような変化がありましたか?
従業員に関する情報をSmartHRに一元化できたことで、情報管理の効率が格段に上がりました。今では、入社手続きはもちろん、従業員情報が必要なすべての業務でSmartHRを活用しています。
特に便利だと感じているのは、カスタム項目を自由に作成して追加できるところですね。血液型や作業着のサイズなど、現場で必要な情報を100項目ほど追加して管理しています。
ニーズに合わせて柔軟にご活用いただいているのですね。その後、「人事評価」機能も追加導入いただきました。
(※人事評価:評価シートの作成・配付・進捗管理・回収・集計といった一連の評価業務を効率化できる機能)
この機能も大活躍しています。 それまでは、人事評価を紙ベースで運用していたため、書類の配布・回収・管理が大変で負担になっていました。SmartHRを活用してからは、やり取りが非常にスムーズになりましたね。

電子管理にしてよかったことのひとつは、評価シートの内容を簡単に改善できるようになったことです。
紙で管理していた頃は、レイアウトを変えるのも一苦労で、なかなか項目の見直しが進まなかった。でも今は、試行錯誤を重ねながら、毎回すこしずつ項目をブラッシュアップできるようになりました。システムが数値を自動で計算してくれるので、評価のスピードがはやくなったこともメリットのひとつです。
ありがとうございます。紙運用時の苦労や、SmartHR導入後の手応えがよく伝わってきました。
とはいえ、すべてをすぐに切り替えられるわけではないと思います。実際の運用で感じている課題があれば教えてください。
製造現場で働く従業員は、日常業務でパソコンを使用することが少ないです。そのため、操作方法に慣れておらず、紙の評価シートのほうが使いやすいという声もあるのが事実。現場へのさらなる浸透が、今後の課題ですね。
すこしずつでも一緒に進めていけたらうれしいです。
SmartHRの理念に共感。「5年、10年と付き合える」と確信して導入
ところで、数ある類似サービスの中から、SmartHRを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
私はいつも、サービスの内容そのもの以上に、その企業が掲げている理念を重視してパートナーを選んでいます。同じ思いで未来を描き、5年、10年と長く伴走できる企業かどうか──それが最も大切だと考えているからです。その意味で、SmartHRの掲げる「well-working」というコーポレートミッションには、弊社の思いと共鳴するものがありました。

実際に導入してからも、その理念に対する真剣な姿勢はプロダクトから感じ取れました。シンプルで直感的なUI、マニュアルが不要なほどわかりやすい設計。本気で理念を体現しようとする意志を感じたのを覚えています。
私自身、かつてWeb開発に携わっていた経験があるので、そのような設計がいかに高度な技術と工夫の上に成り立っているかを知っています。だからこそ、今後の飛躍的な成長の可能性を感じましたね。
プロダクト設計にはこだわり抜いているので、そう言っていただけてうれしいです。
弊社の姿勢に共感いただいたとのことですが、改めて、御社が掲げているミッションについてもお聞かせいただけますか?
私たちの使命は、「自分たちの可能性を広げ、金属プレス加工の可能性を広げ、人々がより快適に移動できる未来を支える」こと。そのためには、単に良い製品を製造するだけでなく、「ヒト・文化づくり」を通して「モノづくり」に取り組むことが大切だと考えています。会社をつくるのは、従業員一人ひとり。その全員が、リノメタルで働くことによって、より明るい未来を描けるよう、働く環境・仕組みづくりに力を入れているんです。
「このままではいけない」からはじまった組織づくりへの道

組織づくりに力を入れているということですが、もともと何か課題があったのでしょうか。
はい。実は7〜8年前まで、弊社は人間関係における問題が見られる組織でした。その軋轢によって役職を降りたがったり、心の病になる従業員がいたり。そんな現状を目の当たりにして、荒金が「このままではいけない」と奮い立ち、組織改革に踏み出したんです。
現状を打破するためにコーチングやチームビルディングを学び、「人のいいところに目を向ける」組織改革をしようとしてきたんです。そうした小さな変化の積み重ねで、組織の雰囲気を徐々に変えていきました。
なるほど。 新しい価値観を根づかせるためには、やはり苦労も多かったのではないでしょうか。
そうですね。従業員の状況を見たり、ヒアリングをしたりしながらすこしずつ浸透させていきました。
たとえばリノメタルの従業員は、全社集会や会議の場で誰かが発表したら、直後にみんなで拍手をしながら親指を立てて「いいね!」と言うんです。こういう文化は、我々が一方的に指示をするだけでは成立しません。1~2年の準備期間を経て、実際に導入するときには「練習月間バージョン」「通常バージョン」と、司会者用のスクリプトをつくりこんで、浸透させていったんです。
ほかにも「上司から部下へ・同じ部署の同僚へ・他部署へ」ありがとうの気持ちを伝える機会を意識的につくったり、対人関係能力を鍛えるトレーニングにも力を入れてきたことで、従業員同士の人間関係が良くなっていきました。

仕組みづくりの一環として、従業員に期待する姿勢を明文化した「行動指針」も策定しました。「未来から逆算で行動する」「できない理由より、できる方法を探す」「相手を尊重し、対話を通して理解し合う」「自分で自分を幸せにする」などがあり、会社が大切にすることを、従業員が日々の行動で体現できるよう言語化したものです。
行動指針が習慣化することで、自分たちとモノづくりの可能性を広げていける。そんな組織になっていくことを目指しています。
配置を“見える化”。共につくる、未来の組織図
最近では、「配置シミュレーション機能」もご活用いただいているとか。
(※配置シミュレーション機能:部署ごとの統計情報と従業員データを参照しながら配置案を検討できる機能)
はい。組織の数ヶ月後の姿を考えるとき、頭の中だけでシミュレーションするのは難しいんですよね。部署を統廃合することになり「人員配置をどう考えようか」と思っていたまさにそのタイミングで、新機能のご案内をいただきました。
SmartHRは、ユーザーのニーズに応える機能をタイミングよくつくってくださるし、こちらからの追加要望にも耳を傾けてくれます。必要としていた機能をスピーディーに開発して、「反映しました」とご連絡までいただける。丁寧なコミュニケーションに、いつも感謝しています。
ありがとうございます。 SmartHRは今年でサービス提供開始10周年を迎え、新たに「worker-friendly」というビジョンを掲げました。バックオフィス業務や経営に携わるみなさまに限らず、すべての従業員にとって心地よいサービスを、これからも目指していきます。

期待しています。私は、会社と従業員の関係が変われば、従業員の輝きが変わると信じています。理想とする関係に近づけるように、これからも共に考え、歩んでいけたらと思います。
10周年おめでとうございます。いつも私たちの声に耳を傾け、丁寧に対応いただける姿勢に、私たちも安心して使い続けることができています。新たに掲げられた「worker-friendly」というサービスビジョンにも共感していますし、今後の進化も楽しみにしています。
うれしいです。御社の挑戦を後押しするパートナーとして、今後もアップデートを続けていきます。本日は貴重なお話をありがとうございました!


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サービス10周年を記念した、特設サイトを公開中
2025年、SmartHRはサービス提供開始10周年を迎えることができました。
特設サイトでは、ユーザーのみなさまとSmartHRが10年の中でともに変化してきた歩みをたどった対談記事、サービス成長の軌跡、これからの“働く“を考えるヒントを探す有識者インタビュー、SmartHR代表の芹澤雅人による次の10年に向けたメッセージなど、さまざまなコンテンツを掲載しています。
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取材・執筆:安岡晴香
写真:小池大介
編集:野路学(株式会社ツドイ)
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