ペーパーレス化から定着率算出まで。バックオフィス強化の道のり
課題
- 入退社手続きや雇用契約を紙で運用しており、店舗とのやりとりが煩雑だった
- 書類の保管方法や検索性にも課題があった
- 契約終了日を期末に統一しているため、契約更新業務が期末に偏り、業務負荷が高くなっていた
解決策
- 入退社手続きや雇用契約の煩雑さを解消するため、手続きを電子化し、店舗間のやりとりをスムーズに
効果
- 入退社手続き業務は約10分の1に短縮
- 定着率算出も分析レポート活用でカンタンに
株式会社ウェルカムは、「DEAN & DELUCA」や「CIBONE」など食とデザインの2軸で良質なライフスタイル事業を展開しています。
人事労務業務のペーパーレス化だけでなく、分析レポート機能の活用にも幅を広げている同社。その活用の裏側について、経営企画室の大島さん、人事企画室の鈴木さんにお話を伺いました。
入退社・雇用契約手続きを電子化し、店舗間のやりとりをスムーズにしたい
お二人の役割について教えてください。
鈴木さん:採用と教育をメインに担当しており、そのほか、評価制度や働き方に関する制度設計などは大島と連携して進めています。
大島さん:私は採用と教育以外の人事業務を担当し、人事総務部のとりまとめをしています。直近ではオフィス移転にも携わりました。
SmartHR導入の背景について教えてください。
大島さん:入退社手続きや雇用契約を紙で運用しており、店舗とのやりとりが煩雑でした。必要な書類がなかなか届かなかったり、契約書の内容確認に時間がかかったりして、電子化が必要だと思っていたんです。
書類をスキャンしてPDF化し、現物を倉庫に保管していたのですが、その作業も手間がかかりますし、PDF化したデータの検索性にも課題がありました。
とくにどのような点で煩雑さを感じていましたか?
大島さん:雇用契約手続きですね。ウェルカムでは、契約終了日を期末に統一しているため、契約更新業務が期末に偏り、業務負荷が高くなっています。まずはここを電子化し、業務効率化したいと思っていました。
導入検討した2018年、これらの課題の解決につながるシステムはSmartHRだけでしたので、お話を聞いて即決しました。
ありがとうございます。SmartHRの導入はどのように進めましたか?
大島さん:店舗で働く方が多く業務上でパソコンを使わない方もおりますので、このようなツールが苦手な方も多かったと思います。ですので、説明会をこまめに開いたり、店長会で案内したりしました。各店舗での入社頻度によってSmartHR浸透のスピードに差はありますが、都度サポートすることで問題なく進みました。
SmartHRさんからいただいたマニュアルなどを加工して店長に配布し、まずは店舗と人事総務のコミュニケーションを丁寧に重ねるよう工夫しました。
入退社手続き業務は約10分の1に短縮、定着率算出も分析レポート活用でカンタンに
2018年から3年ほどご利用いただいていますが、導入後、感じている効果を教えてください。
大島さん:年末調整は年々楽になっています。導入前と比べ、年末調整の準備にかかる期間が10日ほど短縮され、業務に必要な人員も3名から1名になりました。
また以前は、入社手続きで1人あたり11枚の紙を収集していましたが、これらの業務も約10分の1に改善されました。入社者が複数いると書類がデスクに山積みになっていましたし、入社する方も、11枚すべてに名前を書くのは大変だったと思います。「ワタナベ」さんの「ナベ」が間違っていて修正することもありましたが、このような課題も解消されています。
鈴木さん:分析レポートを活用することで、定着率を算出する時間が大幅に短縮されました。これまでは大島に必要なデータをExcelで出してもらい、私がそのデータを加工しながら作業していたんです。手間がかかるうえにヒューマンエラーも発生していましたので、手を動かさず正しいデータが出るのはかなり助かります。
分析レポート機能はどのように活用されていますか?
鈴木さん:主に定着率を確認しています。とくにアルバイトの方の在籍状況は注視していますね。同じアルバイトの方でも、学生の卒業による退職と、主婦やフリーターの方の退職は理由が異なるんです。退職の背景を正確に把握できるよう、学生の方、主婦の方とわかるように雇用契約時にフラグを立て、属性別に分析できるようにしました。
大島さん:導入当初は入退社手続きや雇用契約機能などを中心に利用していました。これらに加え、分析レポートも導入し活用することで、より良い費用対効果が出ていると感じます。また、活用の幅が広がることで、人事業務全体の効率化が進んだのではないでしょうか。SmartHRに情報が蓄積されているため、鈴木が実施している人事施策の効果測定もさらにしやすくなりますね。
鈴木さん:小売業や飲食業はアナログなやり方で人事業務を進めていることがあり、人事データなどの管理が煩雑になりがちです。
この数年、積極的にIT化を推進していますが、「良い会社になろうとしている」と従業員に伝わっている実感があります。SmartHRなどのシステム導入は、相互の業務効率化によって、従業員満足度にもよい影響があると感じます。
リアルとデジタル双方の力で、ウェルカムらしい組織をつくる
今後どのようなことに取り組んでいきたいですか?
大島さん:人事に関わる情報をきちんと整理し、安心して皆さんが働ける体制を維持していきたいです。
会社がどんな事業を展開するかも大事ですが、管理体制を整備するのも同じくらい大事なことです。「素敵な事業を展開していると思って入社したら、裏側の管理体制がぐちゃぐちゃだった」と思われないようにすべきだと思います。
応募者や従業員に対して「ちゃんとした会社ですよ」と胸を張って言い続けたいですね。
鈴木さん:ウェルカムは「リアル」と「デジタル」のバランスを非常に大事にしている会社です。コロナ禍のこの1年、とくにその重要性を感じています。
たとえば、eラーニングのシステム導入を検討した時も、「オペレーショナルな業務の教育には適しているが、クリエーショナルな業務も求めるウェルカムには合わないのでは?」という議論になりました。
デジタルの力を活用する場面と、リアルな場で生まれる熱量に期待する場面、双方を見極めながら、結果につなげるウェルカムらしい組織にしていきたいです。
従業員が安心してクリエイティブに働ける基盤づくりに引き続きSmartHRが貢献できるよう、改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。