年末調整からはじめるDX。公立医療機関で進むペーパーレス労務
課題
- 人事・労務業務は紙ベース
- 欠員が発生すると業務継続が困難になる体制
- 年末調整は時間外労働ありき
解決策
- SmartHRによって労務業務のペーパーレス化
効果
- 年末調整対応への動員数削減と体制の安定化
- 文書配付機能により給与明細をペーパーレス化
- 「会計年度任用職員」の任用通知をSmartHR上で完結
つがる総合病院は、つがる西北五地域における中核の公立病院として、地域に根ざした医療を提供すると同時に、臨床研修医・医学生・看護学生などの実習生の受け入れを通じて、医学の教育にも注力しています。
紙ベースでの人事・労務業務に課題を感じていた同院がSmartHRを導入。SmartHR導入の背景やその後の変化について事務部 管理課 導入担当の高橋さんと、実務担当の白戸さん、工藤さんにお話を伺いました。
欠員が発生すると業務継続が困難になる体制だった
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
高橋さん:当時の人事・労務業務は紙ベースでの対応が当たり前でした。年末調整をはじめ、書類の記入内容を確認する作業量が非常に多いことが課題でした。できるだけ効率的に対応するために、担当業務を数年毎にローテーションし、カバーし合えるような業務体制にて対応をしてきましたが、抜本的な変化を起こせませんでした。
負担の大きい作業が慢性化していくなかで、職員の異動や退職が発生するとたちまち業務継続が難しくなるほど不安定な状態でした。それでも、決まった期間内に書類の確認や手続きの対応をしなければならない部署のため、時間外労働ありきの体制になっていました。ほかの部署から見ても「忙しい部署」だと認識されていたと思います。
SmartHR導入の決め手を教えてください。
高橋さん:とにかく年末調整業務の効率化が急務でした。通常業務に加えて、年末調整の時期になると、業務負担が上乗せされるため、さらに時間外労働が増えてしまう状況でした。
SmartHRでの年末調整対応に切り替えれば、年末の時期にのしかかっていた作業負担を減らせると考えました。また、年末調整を提出する側の職員には個人のPCが貸与されていなかったこともあり、各自が自分のスマートフォンから記入をする方式はスムーズな年末調整対応につながると思い導入を決めました。
担当職員を商談へ同席させ、導入メリットをイメージしてもらう
SmartHRのスムーズな導入のために工夫されたことはありますか?
高橋さん:院内では電子カルテが当たり前になっていますが、まだまだシステム化などの意識が高いとは言えません。それもあり、SmartHRの導入については院内に広く意見を聞くことはあえてしませんでした。私は導入のメリットを感じて推進している立場ですが、私自身が導入のメリットを院内に普及させるよりも、SmartHRの商談に担当職員を同席させることを優先しました。
狙いとしては、私の説明よりもしっかりと導入メリットを示してくれることと、実際にどのような人がサポートに関わるのかを知ってもらった方が理解が早いと考えたんです。今振り返れば、強硬手段でしたね(笑)。
SmartHR導入のお話を聞かれた時はどのような印象でしたか。
工藤さん:高橋から「SmartHRを導入するからミーティングに参加してほしい」と、言われたときはびっくりしました。
たしかに、年末調整の対応には苦労していたので、SmartHRでどのような変化があるか興味があり、実運用をイメージしながらお話を伺っていた記憶です。
とくに惹かれたのが職員目線での記入方法です。アンケートのような質問形式で記入を進めていくので、記入漏れが少なくなる点は魅力的でした。
年末調整のペーパーレス化で作業量と心理的負担が軽減
SmartHRを導入後の変化があれば教えてください。
工藤さん:SmartHRの年末調整機能を導入して、確認や情報の転記作業の軽減につながりました。年末調整の対応に動員される職員も、現在は非常勤合わせて4名で対応が済んでいます。導入以前はこれに正職員1名を加えた体制でした。今では、当時と比べて人的リソースも軽減した状態で年末調整の対応ができます。
高橋さん:人的リソースを増やすことなく、年末調整に対応できる状態は非常にありがたいです。当院は公立の医療機関のため、非常勤(会計年度任用職員)は独自で募集、採用ができますが、正規職員については事務部の職員は市から派遣される仕組みです。ほかの行政や公的機関にも言えることですが、人員を増やすことがむずかしい状況では、SmartHRのようなシステム化によって業務を効率化する有効性を感じました。
年末調整業務における心理的負担にも変化があったそうですね。
工藤さん:そうなんです。SmartHR導入以前は、提出された書類の記入ミスや記入漏れは事務部の職員が責任をもって確認し、正しい情報を入れることが求められていました。そうした雰囲気が慢性化し、事務部側の確認作業の負担増に拍車をかけている状態でした。
SmartHRを導入したことで、記入する側の職員も自身にとって大切な情報を記入しているという意識が醸成されました。同時に忙しい医療現場の職員からも「以前と比べて、必要事項が記入しやすくなった」と、嬉しい声も届いています。
引き続き事務部としての責任をもって確認をすることは変わりませんが、担当者としての心理的負担がかなり軽減されたのは嬉しいです。
そのほかにSmartHRで効率化された業務はありますか?
院内からSmartHRの新しい使い方の提案がくるような環境を目指す
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
白戸さん:まだまだSmartHRの機能を使いこなせているとは言い切れない状況なので、よりスムーズな運用体制を目指したいです。SmartHRで業務効率化が進むことは実感できたので、スムーズな運用や活用範囲の拡大を進め、余裕をもった業務進行ができる体制を整えたいです。
高橋さん:当院は事務部として目下の課題であった年末調整から着手し、少しずつですがSmartHRによってDX化が進んでいます。
SmartHRの機能は汎用性が高いので、院内でも活用できるシーンはまだまだあると考えています。直近では、動画で展開している院内研修の受講記録を申請・承認機能で研修動画の通知、受講記録の回収、未受講者への再周知などに活用しています。これまで紙ベースでの運用だったものが変わり、職員の中でもDXが便利なものと認識されつつあると感じています。
今後は、各現場からSmartHRの使い方について提案が来るくらい、存在感を出せるように活用範囲を広げていきたいです。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。