リスクは抱えず、システムに頼る。総務から始まった働き方改革
課題
- 職員数の増加にともない、総務にかかる負担が膨らんでいた
- 限られた期間での給与明細の配布が負担になっていた
- 煩雑な状況下での給与明細の誤送付のリスクも抱えていた
解決策
- 給与に関するミスが発生する前に、紙からウェブへの切り替え
- 操作しやすく、分かりやすいシステムで、労務手続きの効率化
効果
- 給与明細のウェブ化で労務担当者の丸2日分の工数を削減
- 職員の入職時の書類回収も効率化され、入職日前に書類回収と不備の連絡ができるため、各種手続きに余裕が生まれた
医療法人社団東山会・調布東山病院は、1982年の創業以来『市民のだれもが、いつでも、安心して、より高度の医療を受けられる病院をめざす』を理念に、医療の最前線で地域医療を提供し続けています。
SmartHR導入に至るまでの過程と、今後の病院運営について、小川理事長、人事総務課の坂本 淳子さん、信夫 秋さんにお話を伺いました。
職員数の増加にともなう総務の業務負荷が課題だった
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
小川理事長:当院では、職員数の増加にともない総務にかかる負担が膨らんでいたことが課題でした。業務の性質上、手作業による業務も多く、時期によっては業務負荷が大きくなりやすいことが経営幹部の共通認識となっていました。
そのような背景のなか、導入のきっかけは何でしたか?
信夫さん:これまで職員に対して紙で給与明細を配布していたのですが、毎月の給与振り込み手続き後、3営業日後が給与日になるため、その間の限られた2営業日で封入をはじめ各部署への配布準備を終える必要があり負担になっていました。
また、本院以外のクリニックには郵送が必要な点も踏まえ、煩雑な状況下での給与明細の誤送付のリスクを抱えていました。
小川理事長:給与に関するミスが発生すると、当該職員の法人への信頼感が著しく損なわれてしまいます。その後の対応にしても、総務がそのすべてで矢面に立たされてしまう状況は好ましくなく、紙からウェブへの切り替えはもはや必然でした。
その際、SmartHR以外のサービスも候補に上がりましたか?
信夫さん:当初は給与明細だけをメールで配信するようなシステムも検討しましたが、2020年4月からは電子申請の義務化が必要な法人に該当するようになった背景もあり、年末調整の電子化を含めて総合的に対応できるシステムの導入を検討しました。
ちなみに、SmartHRはどこで知りましたか?
信夫さん:もともとCMなどで認識していました。さらに、2019年に2020年の税制改正が話題になった際、複数のネット記事を見比べていたのですが、その中で一番分かりやすく解説されていたのが実はSmartHRさんの記事だったんです。
記事の中で「これ、従業員に説明できますか?」という一文が書かれていて、それを見た瞬間、毎年の法改正に対応したシステムに頼りたいという思いが一層強くなったのを覚えています。
参考:2020年は税制改正で「年末調整書類」が大きく変わる! 改正内容と新書類を解説します。
誰にとっても分かりやすい操作画面が決め手
最終的に、SmartHRを選んだ決め手は何でしたか?
信夫さん:決め手は画面の見やすさです。当院では、これまで紙で労務手続きをしていたこともあり、看護師をはじめ、電子カルテ以外のシステムに触れる機会がない職員が多いのですが、SmartHRであればどの職員にとってもわかりやすく、操作しやすいと感じたのが大きな理由です。
給与明細一つをとっても、画面がパッと一画面で表示され、スマホでも支給と控除が分かれていて見やすいデザインですね。それ以外にも、例えばトップ画面から住所変更を行う場合、どこから手続きを進めていけばいいのかが一目瞭然で職員からも好評ですね。
嬉しい感想をありがとうございます。導入時につまづいたことはありませんでしたか?
信夫さん:当初、職員の大多数のメールアドレスを把握していなかったこともあり、法人全体へのSmartHR導入の案内と初回ログインの周知に少し時間がかかりました。
結果的には、職員一人ひとりの協力もあり無事にメールアドレスを回収できています。今回の導入を通じて個別の連絡手段を得たことで、今後はさらに職員への円滑な対応に使用していきたいと考えています。
導入サポートに対する感想はありますか?
信夫さん:導入までのスケジュールや必要なタスクや細分化していただいたので、大きな問題もなく短期間での本格導入が実現しました。
運用上の質問や仕様についても、オンラインの打ち合わせを通じて丁寧に対応いただきましたし、ヘルプセンターやSmartHRスクールの内容も充実していたので、初期導入については担当者1人で完結でき助かりました。
給与明細のウェブ化で労務担当者の丸2日分の工数を削減
導入後の変化について教えてください。
信夫さん:まずは、当初の目的だった給与明細がウェブ化されたことにより、印刷や封入、部署ごとの並び替えといった業務が効率化され、毎月発生する丸2日分の工数が削減されました。
また、職員の入職時の書類回収についても効率化されました。従来は入職当日に書類をお預かりし、その後に不備の確認や問い合わせを行うため、社会保険の申請や給与の締め日間近になってデータがようやく揃うこともありました。
現在は、入職日前に書類回収と不備の連絡ができるため、各種手続きにも余裕が生まれています。
職員の皆さんからの反響はいかがですか?
信夫さん:職員が初めてウェブ上で給与明細を見る場面に何度か立ち会ったんですが、皆さん紙で確認するのが当たり前だったので、「やっぱり今どきウェブだよね」と非常に喜んでくれました。
住所変更などの手続きについても、これまで事務所に来て書類に記入してもらっていたところから、直接オンライン申請が可能になったことで、「いつでもスマホで申請ができて便利」という喜びの声が届いています。
それは嬉しい反響ですね!
信夫さん:今回の導入により、紙からSmartHRへ切り替えたことによる効果を法人全体で実感しています。
最近では、勤怠管理についても「ウェブにならないの?」という意見を多くもらうようになったことを受け、SmartHRと連携して使えるサービスの導入を検討しています。年末調整の電子化による効果も期待していますし、さらに活用の幅を広げていきたいですね。
システムに頼り、将来のリスクを正しく管理する
最後に、今後実現していきたいことを教えてください。
坂本さん:現在のようなコロナ禍や、今後もさまざまな災害がいつ発生するかが読めない状況において、職場に出勤しなければ労務手続きができない環境自体が一つのリスクだと考えていました。
しかしSmartHRを活用することで、院内に職員データを置く必要がなくなり、災害時にデータが消失してしまうリスクを回避できます。
様々なリスクを抑えるために、システムに任せられる部分は極力任せることで、職員一人ひとりにかかる負担を可能な限り下げていきたいと考えています。
小川理事長:一般企業と比べて、医療機関は、組織全体を円滑に動かすという視点がまだ不足しているように感じます。
患者さんについてはどの病院も熱心に考えるものですが、病院全体で創造的な価値を提供していくためには、働いている職員の創造的な時間の確保が重要です。そのために、IT化で済むことは推進し、組織全体でオペレーションを円滑に回す必要があります。
今回のSmartHRの導入によって総務を起点に業務の効率化を進め、職員がより生き生きと仕事に向き合えるような、本当の意味での働き方改革を実現できる病院づくりを進めていきたいと考えています。
医療業界で働く皆さまの負担を少しでも減らせるよう、今後もよりサービスを提供してまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。