スマートフォン向けアプリを起点に店舗・本社双方の生産性を向上。店舗業務に集中できる環境づくりへ
課題
- 年末調整や給与明細の発行などが紙の運用で煩雑だった
- 店舗従業員の生産性向上が慢性的な課題になっていた
- 社内アンケートを実施するも回答率が低かった
解決策
- SmartHRでペーパーレス化を推進
- スマートフォン向けアプリの利用を促進。入社時にインストール方法を案内
- アプリのプッシュ通知により、人財本部のお知らせに気づきやすい体制に
効果
- ペーパーレス化により、事務コストを大幅削減
- スマートフォン向けアプリの活用で社内調査の回答率が大幅に上昇
- 店舗責任者や従業員が店舗業務に集中できる環境づくりに寄与
株式会社すかいらーくホールディングスは「価値ある豊かさの創造」を経営理念に、和洋中をはじめとする各種テーブルサービスレストランを中核事業として展開する企業です。国内外を問わず、飲食店、洋菓子・洋惣菜専門店など合計約3,000店舗を通じて、「食」を通じた社会貢献をめざしています。
3年ほど前に部門横断型のDX推進プロジェクトが始まったことをきっかけに、人財本部ではSmartHRを活用した業務改善に関する企画を立案。年末調整や給与明細、スマートフォン向けアプリを次々に導入・社内浸透を進めてきました。
今回は人財本部の飯田さん、大久保さん、松澤さんに、SmartHR導入の背景から現在の活用状況、今後の展望についてお話を伺いました。
導入条件は、ユーザー10万人の利用に耐えられること
SmartHR導入前の課題を教えてください。
飯田さん:導入当時は紙の運用が課題でした。年末調整や一部の給与明細発行を効率化したいと考えていたものの、全国の店舗で働く従業員を含め、幅広い年齢層が活躍する企業だからこそ、操作に迷わずに使えることが重要だと考えていました。
インターネット検索のほか、展示会などに足を運ぶなかで、機能が充実しつつ操作面も直感的でわかりやすい、かつ効果が見込めるものはどれか。そういった視点でシステムを探していたところSmartHRが候補の1つにあがりました。
最終的に、SmartHRを選んだ決め手は何ですか?
飯田さん:弊社はグループ会社を含め、従業員数が10万人を超える組織規模のため、それだけの人数に耐えられるシステムかどうかで見極めました。SmartHRの営業担当の方は密なコミュニケーションを取ってくださり、事前に何度も検証を重ねてくれたんです。
最終的には「10万人でも耐えられます」と言っていただけたことが決め手となり、導入を判断できました。また、営業・開発担当の方からの提案や発言も的確で、非常に安心感があったことも選定の大きな要因でした。
ペーパーレス化の推進、大幅なコストダウンを実現
SmartHR導入後の変化を教えてください。
大久保さん:以前の年末調整では、対象従業員の約6,000名に対して封筒を準備して、申請用紙を何万枚と印刷していたんですね。加えて、紙で届いたものを今度は当時使っていた人事管理システムに入力する必要もあったので、工数は膨大なものでした。
例年は9月の上旬から年末調整の準備をはじめ、対応完了には年明けの1月下旬くらいまでは時間がかかっていたと思います。とくに書類の回収や記入不備のやりとりにかかる時間がネックでした。今では紙でのやり取りもなくなり、回収スピードも大幅に改善しました。
給与明細や源泉徴収票の発行については、どのような変化がありましたか?
飯田さん:まず給与明細については、店舗と工場で給与明細の配付形式が異なっていたんですね。前者は店舗にあるパソコンを使ってそれぞれ印刷をしてもらい、後者については人財本部で印刷したものを配っていました。
SmartHRでの給与明細に移行し、紙による給与明細の配付が完全になくなり、従業員にSmartHR上で直接配付できるようになりました。確実に給与明細を届けられる点は大きなメリットです。
大久保さん:源泉徴収票については、年末になると大量の紙を印刷して各店舗の責任者に配付してもらっていました。当時の課題感としては、従業員に配付されていなかったり金庫に保管されたままになったりするケースがありました。店舗の責任者は日々多忙な業務のなかで、どうしても従業員への書類配付・回収業務に手が回りきらないことも大きな課題でした。
SmartHR導入後は、源泉徴収票を紙で配付する作業もゼロになりましたので、導入前の悩みからは完全に解放されました。
3月頃になると、確定申告の必要がある従業員から源泉徴収票の再発行依頼が毎年多く発生していましたが、今年は約1/3程度に減り、管理者としても大変助かっています。
店舗責任者の事務作業が軽減。アプリ導入でアンケート回答率も向上
SmartHRの導入によって店舗責任者にはどのような変化がありましたか?
飯田さん:店舗の責任者にとっては、これまで対応していた作業量が大幅に減り、生産性が向上したと思います。年末調整であれ給与明細であれ、書類が届けば内容について従業員に説明しなければいけませんし、配付・回収の必要性もあわせて出てきます。
店舗で働く従業員に対しては、私たち人財本部もお客様を最優先にして接客や料理の提供をしてほしいという考えがあります。しかし、紙の運用である以上はどうしても事務まわりの作業もしなければいけません。
SmartHRを使えば、責任者を介する必要もなく、年末調整書類や給与明細が従業員に直接届くので、店舗責任者の負担を軽減することができます。
従業員本来の業務であり、弊社のモットーである「お客様の立場に立って考える」を実現するために必要な、おもてなしの時間を創出できたことは大きな成果です。
ありがとうございます。従業員の皆さんにおいてはどのような変化がありましたか?
飯田さん:SmartHRが導入されたことで、人財本部から従業員へのコミュニケーションがスムーズになりました。たとえば、パート・アルバイトの方向けに実施した正社員登用に関するキャリア意向アンケートで驚きの変化がありました。
以前はアンケートの認知の低さや多忙な業務のなかでの回答の難しさがありました。1か月かけて後追い調査をしても、最終的な回答率は5%程度だったんです。
しかし、申請・承認機能で発信すると、わずか数時間で対象従業員2,000名のうち例年の回答率を超え、最終的には約70%の回答が集まりました。予想以上の早さ、回答率を達成したので、これまで形式的にやっていたアンケートがグッと信憑性の高いデータになりました。
振り返ってみると回答率向上の要因としては、SmartHRのスマートフォン向けアプリの浸透があげられます。アプリからの通知が直接従業員の手元に届いたことで、回答のスピードと回答率に大きな影響を与えたと考えています。
スマートフォン操作が苦手でもアプリなら使える
スマートフォン向けアプリの導入で従業員の皆さんにはどのような変化がありましたか?
松澤さん:従業員にとっての利便性が向上したと感じています。とくにスマートフォンの操作に慣れていない従業員にとってはブラウザ操作よりもアプリ利用のほうが、好意的に受け入れられました。
以前は給与明細を確認する際、店舗で印刷した2次元バーコードを毎回読み取り、ログイン画面にアクセスする従業員も多くいました。
通常はブラウザ上でブックマークをすれば以後スムーズにログインできますが、これらはスマートフォン操作に慣れていない従業員にはハードルの高い作業です。それに比べ、アプリの立ち上げはハードルが低く、一度アプリをインストールすれば、スムーズにSmartHRにアクセスできると好評でした。
現在では、入社した従業員にSmartHR利用の第一歩としてアプリのインストールを案内する体制になっています。多くのアルバイト・パートの方々に受け入れられ、スマートフォン向けアプリのインストール率の向上につながりました。
松澤さん:先ほど飯田が申し上げたアンケートの回答率のほかにも、店舗責任者にとっては、SmartHRの利用に関する従業員からのお問い合わせが減ったことで、対応する時間も削減されました。
人財本部としても、会社から従業員に対してSmartHRを通じたダイレクトなコミュニケーションが取れるようになりました。アンケートに対する回答率の高さからも、今後の活用の幅は広がると考えています。
SmartHRの浸透により、組織分析や採用活動に期待
今後、SmartHRをどのように活用していきたいですか?
飯田さん:現在、入社手続きは紙の運用になっているので、すべては難しいにしても、一部をSmartHRに置き換えることで改善が期待できると考えています。
大久保さん:新卒と中途をあわせると、すかいらーくホールディングスのグループ全体で、年間で平均300名~400名の正社員が入社しています。ペーパーレス化の程度によっては大きなコストダウンも可能だと思っています。
飯田さん:正社員だけではなく、アルバイト・パートの方々も入社手続きの段階でSmartHRを使い、アプリ中心の利用が進むことを見据えると、将来的には組織分析など多岐にわたる活用が見込めます。申請機能による「アンケート回収率の向上」という先ほど述べた事例も新たな施策を考えるきっかけとなりました。
従業員に対するコミュニケーションツールとしての活用が進めば、アルバイト・パートの方々のキャリア志向などを集められますし、採用にも活用できると考えています。
人財本部だけでなく、店舗の従業員の皆さまにも導入効果が生まれたこと、嬉しく思います!引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。