ペーパーレス化でグループ会社7社の労務管理を効率化。従業員データベースを活用する土台づくりが進行中
課題
- 分社化・M&Aで拠点数が増大。離れた拠点間の紙のやり取りが煩雑
- 申請の進捗が不透明で、適切なタイミングでの声がけやフォローが難しかった
- 現場で働く外勤社員はオフィスに出社しないと紙での申請ができない状態だった
解決策
- 給与明細→年末調整と段階的な活用で無理のない社内浸透を狙った
- 既成の導入マニュアルやポスターを活用し、効率的な社内周知を推進
効果
- 拠点間のやりとりがペーパーレス化し、対応工数が大幅削減
- 従業員が迷わずスピーディに年末調整できる体制に
- SmartHRを中心に、従業員情報を活用する土台づくりが進行中
SHUKEN GROUP株式会社は、建物に関わる事業を幅広く手掛ける企業グループ「SHUKENグループ」の持ち株会社として、グループ各社の経営管理とそれに付帯する業務を担っています。
SHUKEN グループは物件探しから設計、施工、メンテナンス、さらには家具の造作に至るまで、グループ内で効率的かつ高品質なサービスを提供しているのが特徴です。
分社化やM&Aにより従業員数や拠点数が急拡大し、増大した人事・労務業務の工数削減と業務効率化のためにSmartHRを導入しました。
グループコーポレートユニットの田中さんに、SmartHR導入の背景やその後の変化についてお話を伺いました。
分社化・M&Aで拠点数が増大。煩雑な書類のやり取りを改善するためにはペーパーレス化が急務に
田中さんの現在の業務内容を教えてください。
田中さん:私が所属するSHUKEN GROUP株式会社は、親会社と子会社7社からなる「SHUKENグループ」全体の統括業務を担っています。
グループコーポレートユニットは総務人事部門とシステム部門、財務経理部門を包括した部署であり、私は総務人事とシステムのマネージャーを兼任する立場です。労務に関しては、約200名の労務管理を担っています。
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
田中さん:分社化やM&Aによって組織が急拡大したことで、入社手続きや年末調整など紙で対応していた業務の工数が増大し、改善の必要に迫られていました。
各グループ会社や支店とは物理的に距離があるため、労務に関する申請が必要なたびに郵送やメールで書類をやり取りする必要がありました。「どこまで申請フローが進んでいるのか」という状況が把握しづらく、もし手続き途中でミスがあったら書類をやり取りしなおす必要もあるため、申請〜承認まで時間がかかることも問題になっていました。
また、建設業界ではよくあることですが、弊社ではオフィスや拠点勤務ではなく、現場で働く「外勤社員」が多く所属しています。外勤社員はオフィスや拠点に出社するタイミングでしか、労務に関する申請ができないため、事後申請になるケースがあります。そのため、人事総務部門としても対応に時間がかかる課題もありました。
そのようななか、組織再編で経理部門が担当していた給与計算業務と年末調整業務が労務部門に移管されることになりました。初年度は従来どおり紙で処理したのですがかなり大変で、次年度に向けていかに効率化するかが新たな課題でした。
給与計算、年末調整、労務申請と戦略的に導入範囲を拡大。お役立ち資料の活用で説明コストも抑えられた
SmartHRをどのように知りましたか?
田中さん:SmartHRを検討しはじめたきっかけは、取引金融機関からの紹介でした。システムの導入を検討していたタイミングで、SmartHRを提案いただきました。
金融機関の方は、会計・財務の立場から弊社の課題を把握してくれている存在なので、安心感もあり、本格的に導入検討がスタートしました。
複数のシステムを比較されたそうですが、SmartHRを選んだ決め手は何でしたか?
田中さん:「課題解決の具体的なイメージがもてたこと」が決め手でした。
先ほども述べたように、目前の課題は経理部門から移管された「給与計算業務」と「年末調整業務」を次年度までに人事総務部門でスムーズに対応できる体制づくりです。
実際にさまざまなシステムのトライアルを使ってみたり、金額や機能、UIなどを比較したりした結果、とくに年末調整についてはSmartHRが管理側と従業員側の双方にとって、もっとも使いやすく感じ、業務改善の具体的なイメージができました。
また、SmartHRを労務システムの中心に据えることで将来的な拡張性にも期待できたので、SmartHRの導入を決めました。
社内へSmartHRを導入する際に、どのような点を工夫されましたか?
田中さん:まず、導入する業務の順序を戦略的に決めました。
もっとも優先度が高かったのは年末調整でした。これは実施時期が決まっているので、そこから「いつまでに1年分の給与明細がSmartHRに移管できていればよいか」を逆算し、まず給与明細の発行をSmartHRへ移行しました。
その後、年末調整の移行を経て、労務申請の順でステップを踏んで進めていきました。
一般的なシステム導入の場合、まずは従業員データや業務プロセス全体の整備が先で、実際の業務効率化への着手は後回しの場合もあります。その点でSmartHRは、特定の業務からスポットで使うことも可能なので、導入がしやすかったです。
社内への周知と従業員への説明については、SmartHRが提供している「お役立ちアイテム」を大いに活用しました。マニュアルやポスターなどを使って従業員へ周知した結果、スムーズな導入につながりました。
(従業員さま向けマニュアル イメージ)
とくに印象的だったのは、マニュアルのわかりやすさです。他社のシステムと比べて従業員視点で丁寧に説明されており、担当者でなくても理解しやすかったです。自前でゼロから資料を準備する必要がなく、用意されたものを編集・流用して対応できたのは嬉しいポイントです。
SmartHRを導入したあとも、従業員から使い方に関する問い合わせはほぼありません。プロダクトのUIや操作性のよさと、マニュアルなどの資料のわかりやすさが相まって、スムーズな運用が実現できたのだと思います。
各拠点とのやり取りがペーパーレス化。従業員からの問い合わせがほぼゼロに
SmartHRを導入いただいて、どのような効果を実感されましたか?
田中さん:各拠点間での申請手続きがペーパーレス化され、工数が大幅に改善されました。
たとえば「必要項目の記入が漏れている」場合に、従来は書類を送りなおす必要がありましたが、現在はSmartHR上で差し戻すだけで済みます。操作画面がわかりやすいおかげで入力ミスそのものも減って、申請フローがスムーズに進むようになりました。
また、紙で対応していた年末調整も大きく改善できました。
導入以前は書類の配付・回収だけでも多くの時間が取られていましたし、「扶養控除等申告書の書き方がわからない」「添付書類は何を付ければいいのかわからない」といった問い合わせにも1件ずつ回答しなければなりませんでした。
SmartHRの年末調整機能はアンケート形式で必要な情報を入力していくだけで完了できるので、問い合わせ自体がほぼゼロになりました。
むしろ社内からは「年末調整を紙でやっていたころと比べるとSmartHRはあまりに簡単すぎて、逆に、これで大丈夫かと不安になった」といった声が寄せられたほどです。従業員からSmartHR導入についてポジティブな感想が届いて非常に嬉しいです。
人事総務部門としても、効率化と同時に業務の標準化によるメリットを感じています。たとえば、SmartHRの導入時期と一時的に対応リソースが減った時期がありました。それでも大きな問題はなく業務を進行できました。
従業員データベースの整備を進め、グループ全体を支える人事総務部門へ
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
田中さん:労務業務の効率化はもちろん、今後は「従業員データベース」としての整備を進め、活用できる体制をつくっていきたいです。
今はまだSmartHRへのデータの集約を進めている途中ですが、従業員データベースとして使えるようになれば、必要な人が必要なときに、効率的に情報を使えるようになるのではと思います。
今、注目しているのはスキル管理の機能です。建設業では国家資格から民間資格までさまざまな資格が存在し、国や地方自治体への申請時に保有資格の届出が必要になる場合があります。スキル管理で保有資格の把握と適切な、更新タイミングでの声がけができるようになると期待しています。
そのほか、従業員サーベイで定期的な組織課題の把握と改善アクションの策定や、従業員データベースから人事戦略を練り、経営に活かす体制づくりなどやりたいことが多々あります。
従業員のデータが経営と現場、従業員1人ひとりをつなぐ共通言語となり、そして、人事総務部門がこれからのSHUKENグループを支える基盤となれるよう、今後もSmartHRを活用していきたいです。
今後はSmartHRを起点にした人材活用への想いが伝わってきました。引き続きお役立ていただけると嬉しいです。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。