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業務負担の大幅な軽減とコストダウンを実現。人事情報を一元管理し、情報漏えいリスクも回避

青盛さん、加藤さん
(左から、青盛さん、加藤さん)
  • 課題
    1,000人分の従業員情報をExcelや紙で管理することにリスクを感じていた
    社労士へ委託する際の書類の整理や作成作業に追われていた
    入社に必要な書類が集まらず、手続きが遅延するケースもあった
  • 解決策
    社労士に委託している労務手続きの内製化
    若い従業員が多いため、スマートフォンで完結する手続きフローへの変更
  • 効果
    社会保険の手続き作業がシンプルになり、業務を効率化できた
    入社時の情報収集も格段にスピードアップ

※この記事は『月刊飲食店経営 11月号』に掲載された導入事例を転載した記事です。

男性30分1,500円、女性は時間無制限・無料で食べ飲み放題。この驚くべき店舗運営システムで、男女の出会いの場を提供する、新しいスタイルの居酒屋が『相席屋』だ。

経営母体の株式会社セクションエイトは、この『相席屋』以外に『ザ・パブリックハウス』、『フィックスラウンジ』など計4事業を展開している。

相席屋

「『相席屋』スタッフの主な役割は、お客さまの出会いの場づくり。ビュッフェスタイルを取り入れていることもあって、通常の飲食店に比べて、料理を個別に提供する業務負担が少なく、働きやすいとを感じるスタッフも多いです。特に大学生アルバイトの採用率、定着率共に高い傾向にありますね」と財務・経理部
部長の加藤清宏氏は言う。

現在、同社のスタッフ数は正社員200人、パート・アルバイト800人の計1,000人。このスタッフ全員の労務管理は本部が担う重要な業務の一つとなっている。

1.000人分の従業員情報を管理する労力もさることながら、これだけ人数が多いと個人情報の漏えい対策が課題に挙がっていました。」(加藤氏)。

これまでの労務管理は、本部が書類による手作業で行なっていた。例えば入社時は雇用保険被保険者証や源泉徴収票、マイナンバーカードのコピーなどの個人情報を郵送してもらい、本部でエクセルに転記し返却する流れを採用していた。

この一連のアナログな作業が紛失リスクを高める要因の一つになっていたほか、転記時の人為的なミスも懸念していた。

それらを回避できないかと、18年1月より利用を開始したのが、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」だ。

株式会社セクションエイト財務・経理部の青盛さん

株式会社セクションエイト財務・経理部の青盛さん

書類作成の手間や社労士への依頼など本部の労力を大幅に軽減

「SmartHR」は、入社手続きのための情報収集をはじめ、社会保険や雇用保険手続きの電子申請を可能にするなど、ペーパーレス化を実現するサービスだ。従業員はスマートフォンやパソコンで個人情報を入力するだけで入社手続きが完了し、本部側も書類を回収・作成する必要がなくなる。

さらに総務省が提供する電子政府「e-Gov」APIと連携しているため、これまで半日以上かかっていた役所への書類の届け出もウェブ上で完結する。ペーパーレス化と同時に、業務時間の短縮も図ることが可能だ。

また、マイナンバーの収集や管理、給与明細、年末調整書類の作成などにも対応している。SmartHRには、会計ソフトや勤怠管理システムと簡単に情報移行できる連携機能がある。すでに使っているソフトなどからも「SmartHR」にデータを読み込むことができるので、スムーズな運用を可能にする。

また、ペーパーレス年末調整は、従業員がPCやスマホ上で「住所の変更はありますか?」などの質問に“はい・いいえ”と回答していくだけで完了する。労務担当者がそのデータを給与ソフトに読み込めば、面倒な書類の配布や確認作業の負担が軽減される点にも注目したい。

15年11月より正式版が公開された「SmartHR」は、2年10ヵ月で導入企業が1万6,000社を突破。特に従業員の入れ替えが激しい飲食企業での導入が広まっており、サービスの利用継続度も99・6%と満足度が高いのが特徴だ。

株式会社セクションエイト財務・経理部 部長の加藤さん

株式会社セクションエイト財務・経理部 部長の加藤さん

セクションエイト社では、これまで雇用保険、労災保険、源泉徴収票の作成や各種届け出などの労務管理を社会保険労務士に委託していたが、SmartHRの導入によって、それら作業を内製化することに成功した。

「社会保険労務士への委託の際には、書類をまとめたり、資料を作成して依頼をしていたので、その作業にも追われていました。SmartHRの導入によって、そういった煩雑な作業が必要なくなり、業務の効率化につながっています。」と同部署の青盛ひかり氏は言う。

「以前は入社時に必要書類がなかなか集まらず、手続きが進まないというケースもありました。若い従業員が多いため、普段使い慣れているスマートフォンで完結するフローに変えたことで、情報収集が格段に早くなりましたね。」(加藤氏)。

また16年10月より年収106万円以上、週20時間労働などに該当するパート・アルバイトの社会保険加入が義務づけられたことは記憶に新しい。セクションエイト社ではパート・アルバイトの20〜30%がこれに該当するため、社会保険加入の手続き作業も増加したが、手続きもSmartHRで作業がシンプルになったことで、本部の作業負担が大幅に軽減された。

パブリックハウス

同社が展開するパブリックスタンド店内の様子

直感的な操作で従業員も使いこなせ現場の混乱回避にも

現状、労働保険の計算と賞与支払い届けの作成は外部に委託している。それ以外の人事労務業務はすべて「SmartHR」で行なっており、運用もスムーズだという。

「現在は、年末調整機能の運用準備を進めています。『SmartHR』の年末調整機能はデザインが優れていて、わかりやすい。従業員が質問に答えていくだけで完了するので、今年は『使いにくい、わからない』といった混乱も回避できると期待しています」と加藤氏。

19年にはさらにバックオフィス業務の効率化を進め、人事労務業務にかかる時間とコストをさらに圧縮する予定だ。生み出された時間を店舗運営やスタッフ教育に充て、ブランドのさらなる成長を図る。