入社手続きの工数を1/6に削減。SmartHRを起点に労務のDX化を推進中
課題
- 人事関連データが点在し、管理が煩雑だった
- 入社手続きに伴う事務作業の業務負荷が高く、担当者の負担になっていた
解決策
- 人事関連データの一元管理により、ムダな工数を削減
効果
- 月5時間に相当する業務時間を削減
- 手入力による人的ミスが防げるようになり、心理的な負担の軽減に
プロダクト開発人材の複業転職プラットフォーム「Offers」を展開する株式会社overflow。同社の人事・労務部門では、創業時から事務手続きのペーパーレス化を推進しており、2022年6月からはSmartHRを導入し、入社手続きや業務委託契約の締結などを中心に、担当者の業務工数の削減に向けて取り組んでいます。
100名以上のメンバーが在籍する同社で人事・労務を担当する山口さんと、バックオフィスのDXを推進する井須さんに、導入の背景や今後の活用イメージについてお話を伺いました。
B to Cアプリのような「メンバーも使いやすい」UI/UXに好印象
まず、お二方が現在携わっていらっしゃる業務をお教えください。
山口さん:私はEmployee Experience担当として、HR領域全般の業務を担当しています。入社の手続きからオンボーディング、そのあとのコンディションケア、退職時の手続きなどを私とアシスタントの2人で対応しています。
井須さん:私はDX推進担当として、経理、会計、法務、一部の労務などのバックオフィス全般を担当しています。SmartHRの導入時は、導入全体の推進やメインで活用するのは山口で、私は導入の設計などを担当しました。
山口さん:「こういうフローを組めるとうれしい」など、私がやりたいことを井須に相談し形にしていただくイメージです。
SmartHRの導入前も、労務系のSaaSやシステムは使用していらっしゃいましたか?
山口さん:労務系システムは使用していませんでした。Slackアプリや、GAS(Google Apps Script)でSlackとCloudSignを連携させたシステムを活用し、井須が独自で業務フロー構築していたため、フロー自体は回るようになっていました。
業務フローが確立しているなかで、SmartHRを導入したのはどのような背景があったのでしょうか?
山口さん:あらゆるシステムを活用し、自社独自で業務フローを設計していましたが、それがかえって人事関連のデータの散在につながり、管理方法が複雑になっていました。とくに今後の組織規模の拡大を考慮すると、早めに情報を一元管理しておくべきだと考えました。
井須さん:SmartHR導入前は、他のいくつかのサービスとスプレッドシートを連携させて、人事関連データの管理を行っていました。しかし、2022年の春頃から正社員も増えたこともあり、今までのようなスプレッドシートでの管理に限界を感じ始めていました。このような背景もあり、労務系SaaSの導入について本格的に検討を開始しました。なかでもSmartHRは、社員10名前後の頃から無料プランを試験的に導入していたため、UI/UXにはとても良い印象を持っていました。操作が直感的でどんな人でも使いやすい点が大きな魅力だと感じています。B to Bのサービスというよりも、B to CのUI/UXを実現しているような印象ですね。
山口さん:SmartHRは、管理者だけでなくメンバーにとっても使いやすいという点も決め手になりました。メンバーのなかには、月に1回程度しか利用しない方もいますが、そういった方にとっても使いやすいサービスであるかという点は、サービスを選定するうえで重要な視点です。この点において、他社のサービスよりも非常に秀でているなと感じています。
井須さん:DXの観点からも、当社で使用している勤怠管理ソフトや、会計ソフトと簡単に連携できることもポイントでした。APIが公開されていることも、非常に大きなメリットでしたね。
「SmartHRスクール」をはじめとしたサポート体制の手厚さも導入の決め手に
数ある労務系サービスのなかでも、SmartHRを導入した理由はほかにもありますか?
山口さん:私はこれまでHR領域のキャリアを歩んできたわけでないため、労務業務に関する知識は浅く勉強中です。そのため、SmartHRスクールなどでSmartHRの活用法が手軽にキャッチアップできることや、営業担当者によるサポート体制が手厚いことも選定理由の1つになりました。とくに、導入前に送っていただいた「導入チェックリスト」は、とてもわかりやすくて助かりましたね。
チェックリストでは、契約締結や年末調整など業務のステップに合わせて、SmartHRスクールで見るべき講座が一覧化されているため、それを一つひとつ確認して「この作業はこのステップを踏んでいるのか」「この作業の背景にはこういう知識が必要なのか」と学びながら進められました。
SmartHRのUI/UXを高く評価していただいていますが、実際にお使いになっているメンバーの方から、お二方へ問い合わせや感想は届いていますか?
山口さん:使い方に関するメンバーからのお問い合わせは、ほとんどありません。操作性が悪いと、都度使い方についての連絡が来てしまうと思いますが、ほとんど連絡がないのは、それだけメンバーにとっても操作性がよく、管理する側も助かっています。
導入時にメンバーの方へはどのようなアナウンスをしたのでしょうか?
山口さん:当社は、完全フルリモート制度を導入しており、オンラインでのテキストコミュニケーションがメインです。そのため、SmartHRさんが事前に用意してくださった、社内告知用の回覧資料を多少カスタマイズして共有したのみです。
勉強会や説明会は開催されなかったんですね。
山口さん:開催しませんでした。それでも、操作に関する問い合わせはなくスムーズに導入できました。
業務委託契約書と雇用契約書の締結に文書配付機能をフル活用
導入後はSmartHRのどのような機能を使っていただいていますか?
山口さん:当社では、カスタム項目機能を主に活用しています。具体的には、メンバーリストと、今まで別々のスプレッドシートで管理していた貸与物などの情報を、雇用形態別にカスタム項目を活用して管理しています。
また、業務委託契約と雇用契約を結ぶときに文書配付機能も活用中です。
井須さん:文書配付に関しては、今まで別のSaaSを使っていたのですが、SmartHRの文書配付機能を使えば従業員情報と合わせて一元管理ができるため、システムを移行することにしました。
山口さん:契約締結業務には、入社手続きと業務委託契約、さらには業務委託の更新作業があります。これらの業務を、弊社では正社員と業務委託を合わせて、月10名ほどのメンバーが入社するため、毎月一定数の契約締結業務が発生します。SmartHRに入っている情報をもとに契約書を作成し、ダウンロードして送付するところまですべて自動化しています。
SmartHR導入前から自動化を見越して業務フローを設計していらっしゃったのでしょうか?
井須さん:SmartHR導入前から、別のSaaSを活用して自動化をしていたので、その仕組みをSmartHRに移管しました。もともと仕組みはあったので、移管は2〜3日で完了できましたね。
山口さん:井須には、手作業での事務手続きが担当者にとって負荷が大きいと理解いただいていたこともあり、「SmartHRを使って業務を自動化しましょう」という提案をいただきました。
井須さん:APIが公開されているため、何が自動化できそうかをチェックして進めました。
工数削減だけでなく、ミス防止による不安の解消に
SmartHR導入のメリットをどのように感じていらっしゃいますか?
山口さん:入社の手続きや、契約書作成などすべてのフローを合わせると、新入社員一人あたり30分弱くらいかかっていたと思います。SmartHR導入後は、その業務工数が削減され、最短で一人あたり5分程度に短縮できたのではないでしょうか。毎月約10名分だと考えると、1か月あたり300分ほどかかっていたのが、1時間程度で全員分できるようになる計算です。
井須さん:大きかったのは、工数削減だけでなく定性的な「気持ちの問題」ですね。たとえば、新しく入社したメンバーの情報を従業員リストに登録するという作業では、SmartHRにログインし、誰のデータかをチェックしてから入力する流れになります。5分で終わるとしても、それを「間違いなくやらなければいけない」と思う不安感がなくなるというのが、とても大きいことでした。
山口さん:自動化によって、人的なミスを防げています。社員番号を手動で発行すると、番号が飛んでしまったり、ケタ数を間違えたりという細かいミスが発生する可能性もあります。「ミスをするかもしれない」と気を張らなくていいため、心理的な負担は少なくなりました。
また、アシスタントの方に業務を渡しやすくなっているのもメリットですね。
SmartHRを核に、すべての人事データを活用できる仕組みをつくる
今後、SmartHRの使い方をどのようにお考えですか?
山口さん:SmartHRにすべての人事データを集約して、簡単に人事データを活用できる仕組みをつくるのが最終的な目標です。
SmartHR上で会社の組織図を管理することや、人材マネジメントシステムとして活用するために、どのように人事情報を持つかも、今後検討していきたいと思っています。そこに向かって、日々業務の改善、フローの改善を井須と相談しながら進めているところです。
また、当社は「時間をふやす」というビジョンを掲げ、「MAKE SYSTEM」「THINK BIG」「BE GEEK」「FOR SOCIAL FOR USER」という4つのバリューを定めています。バリューの中でも、バックオフィス部門が最もメンバーに貢献できることは、仕組みをつくる「MAKE SYSTEM」と、従業員をはじめとしたステークホルダーに対する「FOR SOCIAL FOR USER」です。それを実行するためには、SmartHRが必要になります。
さらに弊社は業務委託のメンバーが7割を占めています。そのため、正社員だけでなくメンバーが、働き始めて業務を終了するまで、ストレスなく業務に集中できる環境を用意することも大きな目標の1つです。オファーレターの送付から契約、ジョインしてからのオンボーディングまで、SmartHRを使ったスムーズな仕組みづくりを開始しています。
試行錯誤中ですが、年末調整機能と行政手続きの電子申請、メンバーの人事データ管理は、労務のDX化を促進する柱になります。年末調整や行政手続きに必要な入社手続き・雇用契約機能は積極的に使っていく予定です。
基本的には、管理などの人が関わらなくてもいいところは、ワンクリックで完了できるようにする予定なので、今あるものから逆算して「これができる」と考えていくより、「こうやったら便利だよね」という感覚をもとに、新しい使い方を考えていきたいですね。
社内のみなさんの利便性を高められるよう、SmartHRも改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。