増え続ける従業員に複雑な人事異動。「配置シミュレーション」機能で人材配置のミスがゼロに

課題
- 会社の規模拡大で、総務人事部の対応リソースが限界に
- 人材配置の検討に時間がかかり、ミスや配置の偏りが懸念された
- 人材育成をより充実させるための従業員データが不足していた
解決策
- 採用や労務に関する手続きをSmartHRで管理
- 配置検討後のデータ反映ミスを減らすため、配置シミュレーションを活用
- 従業員が保有する資格情報など、さまざまなデータを収集
効果
- 労務や評価に関する書類をSmartHR上で確認でき、工数を大幅削減
- 配置シミュレーション機能を使い、人材配置のミスがゼロになった
- 従業員データを蓄積し、人材育成・採用などへの活用を進めている
1年のうちに日本で生まれるサラブレッドはおよそ7,000頭。そのうちの約1割を育て上げているのが、競走馬の生産から育成、調教、販売までを行なう総合牧場・ノーザンファームです。
同牧場は生産頭数をはじめ、日本中央競馬会(JRA)での年間勝利数・収得賞金、従業員数、売上高など業界トップクラスの実績や規模を誇ります。過去には、競馬史上で最強馬の一頭として記憶に残るディープインパクトや、9冠馬のアーモンドアイなど多数の名馬を輩出しました。
「馬づくりは人づくりから」という考えのもと、ノーザンファームは人材育成にも力を注いでいます。SmartHRの導入(詳しくはこちら)から約2年が経過し、新たに活用を始めた「配置シミュレーション」機能で得られた効果などについて、総務人事部の山内さんと村元さんにお話を伺いました。
手渡しでやり取りしていた書類を、SmartHR上で管理
あらためて、SmartHR導入前の課題について教えてください。
山内さん:私は総務人事部で主に採用を担当しています。弊社には正社員が833名、パートさんたちも含めると、計1,074名の従業員が在籍しています(2025年3月時点)。年を追うごとに会社の規模も大きくなるなか、増え続ける従業員数に総務人事部の対応リソースが追いつかなくなっていました。

村元さん:私は総務人事部内の情報システムグループに在籍しています。現在はSmartHRを含め、社内で使用しているシステムの保守・管理を担っています。また、SmartHRの運用計画の策定などにも携わっています。

SmartHRの導入作業はスムーズに進みましたか。
山内さん:もともと弊社は新しいシステムの活用を含め、「変化すること」に抵抗の少ない社風です。そのため、SmartHRの導入も比較的スムーズに進みました。導入にあたって、全社的に告知をした後、それぞれの事務所に赴いて説明会を実施しました。
運用面ではシステムに不慣れな年配のスタッフに代わって、若いスタッフが操作したり教えてあげたりする場面もありました。また、最初は「ログインができない」など問い合わせがあったものの、その都度対応をしたので大きな問題は起きませんでした。
SmartHRを導入したことで、先述の課題は解決できましたか。
山内さん:以前は、入社書類や人事評価に使用していた評価シートはすべて表計算ソフトで作成し、紙ベースで運用していました。しかし、SmartHRの導入後、ペーパーレス化が実現しました。
弊社の拠点は、北海道のほか福島県、滋賀県にもあります。牧場であるため、広大な拠点内の移動に車が必要となるケースもあります。紙の運用では書類に不備があった際、もう一度、総務人事部のある事務所に時間をかけて来てもらうなど、手間がかかっていました。SmartHRを導入してからは、こうした課題が解決されたのでありがたかったです。
いま、力を入れているのは「データの蓄積」です。たとえば、これまでA3の紙で運用していた評価シートを現在はSmartHR上で再現して、評価の展開・回収・集計といった一連の作業をシステム上で完結しています。それらをデータとして蓄積していけば、後々、評価を振り返りやすくなると考えています。
細かくて複雑な人事異動が多く、従来の管理方法では限界に
続いて「配置シミュレーション」機能を活用し始めた経緯について教えてください。
山内さん:当初は主にSmartHR労務管理の諸機能のほか、SmartHRタレントマネジメントの「人事評価」機能を運用していました。その後、人事評価機能を賞与に直結する評価シートや若手育成の管理シートとしても利用しています。その流れで人材配置も効率化しようと、2023年9月から「配置シミュレーション」機能の活用を始めました。
「配置シミュレーション」機能を活用する前は、従業員の年齢や性別、所属年数といった項目を他社のシステム上で管理し、表計算ソフトで出力してから紙ベースで人材配置を検討していました。そして、決定した人材配置を再びシステムに反映させる作業が生じるので、どうしても時間がかかったり、誤ってデータを登録したりすることがありました。
弊社は細かいものも含めて、人事異動を頻繁に行います。理由は、いろいろなポストでさまざまな経験を積んだほうがキャリアにとってよいと考えているからです。
ぜひ、具体的に教えてください。
山内さん:たとえば、ノーザンファーム本社のある安平町早来(あびらちょうはやきた)には、競走馬の調教を行なう厩舎(きゅうしゃ、馬を飼育する施設)が12棟あります。弊社では一つの厩舎を、一部署と捉えます。馬の育て方は部署ごとに違うので、12棟あれば12とおりの馬の育て方があります。さらに各厩舎にはさまざまな仕事が存在します。厩舎で働く従業員には、多くの部署で馬づくりについて学んでもらい、一人前のホースマンになってほしいと思っています。
そのため、細かくて複雑な人事異動が多く、それに伴い評価者も変わるので、総務人事部の作業が増えて対応リソースも限界に近づいていました。これらで発生する人事異動を、すべて表計算ソフトを頼りに紙を使って配置検討していたので、本当に大変でした。

煩雑だった人事異動の業務も容易になり、ミスがなくなった
配置シミュレーション機能を使って得られた効果を教えてください。
山内さん:配置検討後のデータ反映に関するミスは、まったくなくなりました。先日も、2025年3月1日付で50数名の人事異動があったのですが、問題なく完了しました。
配置シミュレーション機能を使った人材配置は、人事データに紐づく従業員の顔写真を見ながらドラッグ&ドロップするだけなので、操作が簡単です。SmartHR内の従業員データは常に更新されているので、文字情報を入力したり更新したりする必要もなく、視覚的にパズルのように組み替えていくだけでシミュレーションができます。

山内さん:最終的に人材の配置が決まったら、「○月○日で変更」といった変更予約も可能です。以前の方法と比較すると情報更新に伴うミスもなくなり、人材配置に関する業務がとてもラクになりました。
また、人材配置の際は人材の偏りがないよう意識しています。性別、年齢はもちろん、経験値の差や、特定の人がずっと同じ部署に在籍し続けていないかも気をつけています。こういった情報は、表計算ソフトを使用していたときは、よくチェックしているつもりでもやはり見落としがありました。しかし、配置シミュレーション機能を使えば、部署ごとの統計情報からそうした配置の偏りにもすぐに気づけるので便利です。
弊社では年に2回程度、新しい厩舎の完成に合わせて部署を新設したり、逆に厩舎の建て替えのために部署を廃止したりすることがあります。こうした部署の新設・廃止に伴う人材配置も、配置シミュレーション機能で簡単にできて助かっています。
村元さん:私はこれまでいろいろなシステムを見てきましたが、SmartHRはGUI(※)に配慮し、デザイン設計されているのが特長だと思います。基本画面の情報も最低限に絞っていますし、そうした見やすさ・使いやすさもあって、社内への浸透も円滑に進んだと感じます。
※ Graphical User Interfaceの略。ユーザーの使いやすさを重視し、アイコンやボタンなどを用いて操作性を直感的にわかるようにしたもの
名馬をつくる「人」を育てるため、タレントマネジメントを活用したい
今後、SmartHRでほかの機能の活用は考えていますか。
村元さん:馬の育成には、特殊な車両免許が必要になる場面があります。近い将来、誰が何の免許をもっているのかなど資格情報の可視化を進めるため、「キャリア台帳」機能の活用準備を進めています。その前段階として、現在は「スキル管理」機能における情報を充実させています。
そうして蓄積したデータから、「活躍している人材を輩出しているのはこういう部署」といった傾向をつかみ、人材配置のほか教育体制の構築や従業員サポートなどに活かしていきたいです。
山内さん:社内で活躍している人材の傾向がわかれば、今後の採用活動に向けた大きなヒントになるでしょう。
村元が話した「スキル管理」機能の活用などで、少しずつベースとなる従業員データが整いつつあるので、今後は「HRアナリティクス」機能や「分析レポート」機能の活用も進めたいです。分析レポートで細かいデータを集計して、いつでも役員が社の状況を把握できるようにしていきたいと思います。

さまざまな機能の活用を検討いただいているのですね。
山内さん:私たちは「良い人が良い馬をつくる」と信じています。そのため、熱意がある人への教育は惜しみません。例として、ノーザンファームには未経験から調教スタッフを目指す「乗馬未経験者研修プログラム」があります。このプログラムを受け、短期間で優れた騎乗者になった従業員も多くいます。
「良い人」を育てるために、弊社のマネジメント層には教育やマネジメントスキルが今後一層求められると思います。SmartHRで業務を効率化した分、時間や労力をかけるべき分野に注力する。そのなかで蓄積したデータを、また人材育成に役立てることで、将来、文字どおりの「タレントマネジメント」が実現すると考えています。
ありがとうございます!貴社のビジョン「馬を通して世界中の人に感動を与え幸せにする」の達成にSmartHRがよりお役に立てるよう、機能のアップデートなどに力を入れてまいります。
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掲載内容は取材当時のものです。