3,000名規模のペーパーレス化を推進。南海電鉄が取り組む人事労務業務改革
課題
- 紙で労務業務に対応しており、入社手続きや雇用契約、給与明細配布が手間
- 全100駅あるなか、各駅との書類の往復が煩雑だった
解決策
- ペーパーレス化によりコミュニケーションを円滑に
効果
- 入社手続きにかかる時間が年間約140時間削減された
- 給与明細の印刷作業などの時間が年間約37時間削減
- 「書類のもらい忘れ」「記入ミスによる差し戻し」がなくなった
南海電気鉄道株式会社は、大阪・ミナミの中心都市なんばと和歌山県北部、関西国際空港をつなぐ鉄道事業を主軸に、不動産・流通・レジャーなど多様な事業を展開しています。
目下、なんばをはじめとする沿線のまちづくりや、2031年開業予定の「なにわ筋線」計画など、さまざまなプロジェクトに挑戦中。ポストコロナに向け、「共創」をキーワードに新たな事業戦略を策定しており、人事部門としてもその達成をサポートすべく、業務の効率化と圧縮のためにSmartHRを導入しました。
その背景や導入後の変化について、人事部の淺野さん、喜瀬さんにお話を伺いました。
各駅で勤務する従業員に給与明細を届ける作業が煩雑
SmartHR導入の背景を教えてください。
淺野さん:労務業務を紙で対応しており、入社手続きや雇用契約、給与明細配布の場面で非常に手間がかかっていました。弊社は鉄道事業を展開しているため、沿線の各駅に従業員が配置されています。全部で100駅あるなかで、各駅の助役や本社内の統括部門に、書類の配布と回収を依頼する必要がありました。
書類は紛失のリスクもありますし、保管場所の確保、管理にも手間がかかります。当時はハンコをもらうために紙を持って歩き回ることもありました。
喜瀬さん:給与明細の配布作業はとくに手間がかかっていました。給与明細を紙に印刷後、従業員本人に届くまでに経由する人が多く、仕分け作業にかなり時間もかかっていましたね。
SmartHR導入検討の経緯、決め手を教えてください。
喜瀬さん:まずは給与明細のウェブ化を検討しました。社内のDX担当から「SmartHRを使ったことがある」という話を聞き、いくつかサービスを比較検討しました。
淺野さん:主に、導入コストと何ができるかを比較検討しました。たとえば、SmartHRは給与明細項目をカスタマイズできるところに利点があり、現在の給与明細の項目を問題なく反映できます。また、入社手続きや雇用契約機能も使いやすく、弊社の課題解決につながるサービスだと感じました。
弊社の鉄道事業では、さまざまな勤務手当があります。たとえば、交代制勤務手当や、1人で車掌業務と運転士業務を担当した場合の手当など、勤務形態に紐づく手当などです。これらの手当は元々、すべて給与明細に記載していたのですが、SmartHRの給与明細配布機能を使えば項目をカスタマイズできるため、問題なく明細をウェブ化できました。
喜瀬さん:弊社にはITツールを苦手とする従業員も多いため、パッと見て操作できるかどうかも重要でしたね。会社のメールアドレスを付与していない方もいますので、個人の携帯電話で対応できるか、従業員目線でわかりやすいかどうかを確認しました。SmartHRは登録のためのメールを配信してから実際に登録完了するまでが非常にわかりやすかったです。
質問が殺到することはなく、ITツールが苦手な方も登録完了
どのようにSmartHRの導入を進めていったのでしょうか?
喜瀬さん:業務上パソコンを使わない従業員の方が多いため、各駅にポスターを掲示し、ポスターに表示されたQRコードから登録してもらいました。ITツールに慣れている方が苦手な方のサポートをしてくださったおかげで、登録が進んだ部分もあります。
淺野さん:「来月からは紙での給与明細配布はありません」という案内を前もって実施しました。そのおかげで、SmartHRに切り替わる前に、ある程度登録が進んだように思います。登録のリマインドは1、2回くらいしかしていません。
また、導入時はカスタマーサクセス担当の方に支援いただき大変助かりました。ヘルプページには従業員向け使い方ガイドもあるため、従業員からの問い合わせ対応に活用できて便利でした。チャットサポートもレスポンスが早く、的確かつ丁寧な対応で、よくご相談していました。
SmartHR登録時、従業員から質問はどれくらい届きましたか?
喜瀬さん:いくつか問い合わせはありましたが、殺到するほどではありませんでした。現場を統括する部署の担当者にSmartHRに関する問い合わせ回答ができるよう、事前に説明していました。そちらには問い合わせが届いていたのではないかと思います。
また、窓口に問い合わせる前に確認できるようなQ&A集も作成し、皆さんが登録に困らないよう工夫しました。
ITツールが苦手な方もいるとのことでしたが、反応はいかがでしたか?
淺野さん:もともと会社としてデジタル化を進める流れがありましたので、大きな反対はありませんでした。ITツールを苦手とする方も活用できるよう、「どのように使うのか」を丁寧に説明することが重要だと思い、SmartHR側から提供された告知ポスターやマニュアルを活用して案内しました。
スマートフォンもPCも持っておらず、どうしても対応できないという方には、PDFファイルを紙に印刷して対応しています。3,000名ほど従業員がいるなかで、3名ほどですので、当初想定していたよりも、皆さんSmartHRを問題なく利用してくださっています。
給与明細のウェブ化は、全従業員に影響がありますので、人事部からデジタル化の事例として全社に発信するよい機会だったと思います。
ほかのシステムとの連携はうまく進みましたか?
喜瀬さん:はい、元々使用しているシステムから従業員データを出力し、SmartHRに取り込みました。導入しているシステムによると思いますが、弊社の場合はとくに新たな設定や仕組みを作る必要なく、Excelで作業でき、手間は感じませんでした。
たとえば、弊社の人事情報管理システムでは、住所や氏名などの読み仮名はすべて半角カナでの登録が必要である一方、SmartHRでは全角カナでの登録になると伺っていました。SmartHRのアカウント作成に際し、従業員情報をSmartHRにインポートしたのですが、そのときも、SmartHRにアップロードする際、半角のデータも自動で全角に変換されるなど、柔軟な対応がされていて助かりました。
給与明細配布に関わっていた約60名の作業時間を削減
導入後の変化を教えてください。
淺野さん:入社手続きに関しては、書類の準備や回収期間の短縮により、年間約140時間削減されました。給与明細配布についても、印刷作業などにかかっていた時間を年間約37時間の削減。各部署への配布に関わっていた約60名の作業時間も年間約3.75時間削減されました。
紙のやりとりで発生していた「書類のもらい忘れ」「記入ミスによる差し戻し」がなくなり、格段にラクになりましたね。とくに、雇用契約書締結については再雇用される方も毎月発生していますので、SmartHR上で対応できて助かっています。
喜瀬さん:やはり給与明細配布にかかっていた作業がすべてなくなったのは嬉しいですね。これまで給与明細が本人の手元に届くまでに多数の人の手を渡っていたところ、直接届くようになった変化は大きいです。
また、離職票や時給改定の書類を作成する際に、キャビネットから該当するファイルを出し、紙を1枚ずつめくって該当の書類を探していました。SmartHR上で氏名を検索して情報にたどりつけるようになり、非常に助かっています。
出向している社員が約200名ほどいるのですが、出向先のグループ会社でも好評で、管理部門からも導入を検討する声があがったそうです。良いと感じたからこそ、そのような声があがったのかなと思うと嬉しいですね。
定型業務をより効率化し、従業員に寄り添える時間を増やしたい
今後取り組みたいことを教えてください。
喜瀬さん:人事部は負荷が高い作業もまだ多くありますので、その負担を少しでも減らしたいです。給与計算業務は南海マネジメントサービス株式会社が担当しています。定型業務をさらに改善し、南海電鉄本体がより人事制度改革などに注力できるように環境を整えられるといいなと思っています。
また、会社として、DX、デジタル化への意識が高まっています。それらを進めながら、従業員の皆さんのため、柔軟に対応できる体制をつくっていきたいです。
淺野さん:まだ紙を使った業務も残っていますので、SmartHRの活用範囲をさらに広げたいです。決してミスをしてはいけない定型業務を、質を落とすことなく圧縮し、助けが必要な従業員に寄り添う時間をこれまで以上に増やしたいと思っています。
南海マネジメントサービスさんと業務分担していますが、業務をただお願いするのではなく、その業務をさらに圧縮する工夫も必要だと思います。そのうえで、従業員皆さんが過ごしやすい環境づくりに取り組みたいですね。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。
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