多店舗展開企業における人事労務のBPR推進。スタッフが輝ける仕組みづくりを目指して
課題
- 全国各地に多店舗展開する業態で、紙の手続きに無駄を感じていた
- 入退社などの手続きや年末調整を紙で管理しており、とにかく書類が多く、無駄が多かった
解決策
- 業務の見える化とフローの整備
- SmartHRと連携できるシステムに入れ替え、SmartHRを人材管理データベースとした
効果
- 他システムとの連携で、従業員登録作業の工数が半減
- 申請・承認機能を活用し、従業員情報を蓄積
株式会社マザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念の元、発展途上国で企画・生産したアパレル製品や雑貨を日本などの先進国で販売しています。
これまで紙で実施していた年末調整や入退社手続きの作業量に課題を感じ、SmartHRを導入。人事グループと情報システムチームの協働で、SmartHRを人材データベースの主軸に置き、勤怠管理や給与ソフト、人事評価システムなどと連携させ、人事労務業務全般のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を推進させました。今回は、人事グループ統括マネージャーの高橋さん、実務面でペーパーレスを推進する鐘ヶ江さんのお二人に、「攻めのバックオフィス」を作っていくための歩みを伺いました。
多店舗展開する業態で、紙の手続きに無駄を感じていた
SmartHR導入の背景を教えてください。
高橋さん:前任に確認したのですが、入退社などの手続きや年末調整を紙で管理しており、とにかく書類が多く、無駄が多かったそうです。店舗も全国各地にあり、書類の郵送業務もありましたので、煩雑なペーパーワークを改善するために導入を検討していました。導入の決め手は、使う側が迷わずに操作できる「わかりやすい操作画面」と「圧倒的に年末調整が楽になる」ことだと聞いています。
導入時、店舗が多数ある中で問題なく登録は進みましたか?
高橋さん:全従業員にログインしてもらうことは大変だったと思いますが、年末調整の時期はみなさんが必ずアクセスする必要がありましたので、互いにフォローしながらログインができたと思います。その当時私は店舗のスタッフでしたが、私も迷わず登録でき、年末調整もスムーズにできました。SmartHRの「ペーパーレス年末調整」はスマホで簡単に操作でき、アンケート形式で自分で回答を進められて便利ですよね。
「攻めるバックオフィス」実現のため、BPRを推進
高橋さんが人事を担当するようになってから、SmartHRの活用も含め抜本的に業務プロセスを見直されたとのことですが、どのように推進したのでしょうか。
高橋さん:2020年1月くらいから社内の情報システムチームと連携し、「管理部門の業務を抜本的に見直そう」と、プロジェクトのキックオフミーティングがあり、本格的に動き出したのは緊急事態宣言が発令されてテレワークに移行した4月からでした。以前は、入社や異動がある度に、勤怠管理や評価、組織活性化、給与ソフトなど、使用している多数のシステムに一人ひとり登録や修正を行っていたんです。20〜30人ほど一気に入社する時もシステムごとに従業員の登録作業を行っており、非常に無駄を感じていましたね。
プロジェクトでは、情報システムチームメンバーと共に、まずは何の業務にどういうシステムを使い、どんな作業をしているのかを全て見える化しました。そして、「これとこれはAPI連携ができる」「これはCSVを加工してインポートが必要」というように業務フローと必要な作業を一つひとつ見直していきました。
SmartHRも複数の他社サービスとAPI連携していますが、そのあたりも見直されたのでしょうか?
高橋さん:私が人事になる前から、特に給与ソフトとの連携が課題でした。これまでは年末調整でスタッフのみなさんがSmartHRに入力してくれたデータを別の給与システムに移す時に膨大な作業量が発生していました。これらを効率化するために、今回意を決してSmartHRと連携できるシステムに入れ替えています。
給与ソフト以外のシステムについては、情報システムチームと一緒にデータの連携や業務フローを整えたことによって、SmartHRを人材管理データベースとし、他のシステムもうまく活用できるようになりました。従業員登録作業の工数は半減しています。
新機能として申請フォームを活用し、従業員からの申請情報を一元管理
鐘ヶ江さんは、SmartHRを活用されてみていかがですか?
鐘ヶ江さん:入退社の際に必要な行政手続きを、ボタン1つでできるのですごく助かっています。本人が直接入力することで、転記の必要もなく、間違いが生まれにくいのが良いですよね。マザーハウスは女性が多い会社で、ここ最近産休・育休を活用される従業員も増えてきています。それらの申請を今までは一度ドキュメントに入力してもらっていたところを、直接SmartHRを通して申請してもらえるようになり、管理しやすくなりました。
ありがとうございます! 申請フォームも活用されているとのことですが、どのように使っていますか?
高橋さん:10種類くらいありますね。弊社ではほぼ毎月入社者がいるため、入社時の健康診断のデータや源泉徴収票の回収が必要になります。また、店舗間の異動も多数発生するため、通勤手当の申請や、鐘ヶ江も話したような産休・育休の申請もそうですね。転勤休暇や慶弔休暇などの休暇申請なども全てSmartHRに一本化しています。今まではメールでいろいろなアドレス宛にバラバラと届いていたのを目検で漏れなく対応しなければならなかったのですが、SmartHRを使うことで従業員情報に紐づく形で一本化できました。新入社員の方からも導入以前は「誰に伝えたらいいかわからない」という声がありましたが、SmartHRの申請フォームを使ってフローを整理できました。
操作をするうえで、わかりづらいことはありましたか?
鐘ヶ江さん:わからないところは、チャットサポートで質問しますが、担当者の方にヘルプセンターのURLを送ってもらったり、補足も丁寧に説明してもらえたりするので、そこで解決できています。機能の要望もお伝えできているので、すごくありがたいです。
店長やスタッフが輝ける人事制度、仕組みづくりを推進
BPRを進められた今、次に取り組んでいることはありますか?
高橋さん:今回のコロナ禍で小売業界の構造は大きく崩れたと思います。この機会をチャンスだと捉え、もう一歩ブランドを成長させるために、スタッフみんながさらに成長できる仕組みづくりが必要だと考えます。
業務改善が進んだことで、人事労務業務を鐘ヶ江さんに引継ぎでき、私はここ3ヶ月ほどは主に人事制度やスタッフのキャリアに関わる新しい制度設計に注力して取り組めるようになりました。現在は、改めて、マザーハウスが理想とする店舗や店長像は何か、もっと輝ける機会を生み出せるにはどうしたらよいか、マネジメントと議論を重ねています。
もっと小さな取り組みとしては、コロナ禍での社内コミュニケーション促進の一環で、生産地とスタッフをつなぐ「TsunagaruTime(つながるタイム)」という社内イベントを実施しました。コロナの影響で、生産地もロックダウンし、思うように職人さんが製品を作れず、国内でもお客様の入店数が減少してしまいました。また、年に2回は生産地から職人さんが来日していましたが、それも難しくなりました。
オンラインで繋がるハードルが下がった今だからこそ、お互いに状況を共有したり、鼓舞し合ったりし、互いに限られた環境でベストを尽くしたりする姿を知ることで、刺激を与え合えると考えています。生産地の職人さんにお客様の声をリアルに届ける機会は、改めてお店で接客をする価値、自社で企画・製造・販売する意味を感じられるのではないかと思い、企画しました。
生産地ということは、海外ですよね? 素敵な取り組みですね!
高橋さん:毎週、生産地とつないで、工場の様子を見たり、各国によって異なるコロナの状況を聞き、生産の裏話やお客様のリアルな声を届けました。このような企画を実施できたのは弊社らしいアクションの1つだと思います。これに限らず他の施策も企画していますので、人事労務の実務面は鐘ヶ江さんに任せながら、引き続きブランドの未来を作っていく制度や弊社らしい取り組みを考えていきたいと思います。
最後に、今後のSmartHRに期待することを教えてください。
高橋さん:SmartHRさんは改善を重ねるアクション量が多くスピード感が他のシステムに比べると早い印象で、どんどん使いやすくなっていると感じます。SmartHRを軸にさらに色々なシステムと連携してもらえれば、私たちも活用の幅が広がるので、とても期待しています。
従業員のための仕組みづくりに注力できるよう、今後も支援してまいります。お話しいただきありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。