ペーパーレスで業務の効率と精度が向上。従業員に寄り添うための時間を創出
課題
- 紙ベースでの給与明細の準備、配付作業に時間がかかる
- 年末調整の対応時期には業務負荷が集中しがち
- 労務業務全体が過密な状態が続いていた
解決策
- 給与明細対応と年末調整をSmartHRで実施
- 雇用契約書の発行や入社手続きなど、活用範囲を拡大
効果
- 3営業日かかっていた、給与明細の印刷、手作業での封入・発送がゼロに
- 部署総動員で対応していた年末調整チェック作業が大幅に軽減
- システム化により、ミスが起こりにくくなり、スムーズな入社手続きを実現
京都トヨペット株式会社・ネッツトヨタ京華株式会社は、トヨタの新車・中古車・レクサス車の販売や整備などのサービスを提供する自動車販売会社です。京都トヨペットは1956年の創業以来約70年にわたり、京都府内でもトップクラスのディーラーとして車を通じ人々の生活を支えています。
両社の管理業務を担う統合管理本部にて、人事総務部で人事担当課長を務める今村さんにSmartHR導入の背景やその後の変化についてお話を伺いました。
両社で700名弱を管理。過密な労務業務の改善が必要に
今村さんの現在の業務内容を教えてください。
今村さん:私が所属している統合管理本部では、京都トヨペットとネッツトヨタ京華の2社の管理業務を取りまとめており、私は人事総務部で人事と労務を担当しています。
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
今村さん:以前から労務業務の過密さが課題となっており、改善の糸口として「給与明細書の配付」と「年末調整」から対策を考えていました。
人事総務部で管理する範囲は両社の店舗だけで28店舗・社員数は700名弱になり、それぞれの作業に非常に工数がかかっていました。
当時、弊社では給与明細書を紙で発行しており、すべて手作業で封入して毎月各店舗へ発送していました。25日が支給日なので、前日までには店長の手元に届いていなければなりません。そこから逆算すると、給与計算から印刷・封入・発送までにかなりのリードタイムが必要で、休職者の自宅への郵送も含めると相当の時間がかかっていました。
同じく年末調整も業務負荷のかかる体制でした。その年の税制面の変更点を把握したうえで社員用にマニュアルを作り、年末調整書類とともに配付。各種書類の回収と確認、差し戻しや修正を経て給与計算ソフトへ入力、年末調整を完了し、税務署へ法定調書を提出する。毎年10月頃から翌年1月末まで、通常業務と並行して年末調整作業がある4か月間は、とにかく業務が過密な状態でした。
年末調整の際に、社員から提出される保険料控除証明書などの添付書類も、個人情報、とくに「お金」に関わるものですので、繊細な取り扱いが必要です。申告内容にも誤りがあってはなりません。「手間がかかってたいへんだけど、きっちりやるためにこの時期は仕方がないね」という雰囲気が漂っていたのです。
SmartHR導入を検討した背景を教えてください。
今村さん:実は少し前から全社的なDXの動きがありました。費用や予実管理にクラウドサービスが導入され、リアルタイムに業績を分析できるようになるなど、ほかの領域にもDXを拡大する流れのなかで、人事労務領域でも具体的な検討がスタートしました。
「従業員の使いやすさ」と「サービス性の拡大」が決め手
具体的な検討をされたうえで、最終的にSmartHRを選んだ決め手は何でしたか?
今村さん:まず、人事領域の手続きやサービス性の拡大など、今後の拡張にも柔軟に対応できることでした。
次に、従業員にとってわかりやすいUIであることです。人事労務の担当者は、通常業務で毎日触りますので、操作についてはそのうち慣れます。
しかし、従業員にとってはそうではありません。システムに触るのは何か申請が必要なときだけです。「どこをどのように操作すればいいのか」が見た目でパッとわからないと使いづらいでしょうし、それが、ひいては申請漏れや入力ミスなどを招きます。
SmartHRは自然と正しい入力ができるようになっていて、はじめて使う人でもとてもわかりやすい作りになっていると感じました。
御社は、導入から運用に至るまで、とてもスムーズに「自走」されていたのが印象的でした。
今村さん:当社は経営陣を主体としたDXプロジェクトを編成しております。導入・運用の設計はワーキングチームが主体となり、SmartHRの仕組みをよく理解したうえで、叶えたいことを実現するためにはどうすればよいかを考え、人事の実務担当者をリードしていました。
SmartHRはヘルプセンターが充実しているので自分でも調べやすいですし、調べてもわからない部分はチャットで質問できるので、自走しやすかったと聞いています。
ペーパーレス化で「記入忘れ防止」と「入力精度の向上」が実現
SmartHRを導入いただいた効果を教えてください。まず「給与明細の配付」についてはいかがでしょうか?
今村さん:紙で印刷、手作業での封入・発送に、従来は2人がかりで3営業日ほどかかっていたものがゼロになりました。給与計算が確定しデータをチェックしたらあとは配信予約をセットすれば終わりなので、メンバーの負担もかなり軽くなったと思います。
「年末調整」についてはいかがですか?
今村さん:年末調整はさらに大きな効果を実感しています。
従来までの手作業による書類の配付、回収、届いた書類のチェック、システムへ入力、入力された項目の再チェック、これらがすべてなくなりました。
とくに効果を感じているのが「忘れ防止」です。紙ベースでの年末調整では、記入忘れや添付書類の提出忘れが多かったのですが、SmartHRで入力してもらうようになり、ほぼなくなりました。
入力内容の精度も非常に高くなり、差し戻しそのものが少なくなりました。以前は部署総動員で対応していたチェック作業が大幅に軽減されたと感じています。
今までは、人事も従業員も多くの人手と時間を費やしていたのに、結果として精度の低い状態になっていました。それが、精度が高くてミスもおこらず、さらに便利な仕組みが世の中にあるんだなと。このような仕組みをうまく活用すれば、もっと時間は作り出せるのだなと実感しました。
「給与明細の配付」と「年末調整」の2つ以外にも、ペーパーレス化による効果を実感されているそうですね。
今村さん:はい。雇用契約書の発行や入社手続きでも大きな効果を感じています。
雇用契約は件数にすると月5件ほどですが、紙ベースでの対応ではそれなりに手間がかかっていました。雇用管理の作成や送付、回収など、進捗管理もたいへんですが、これらがすべてシステム上で完結できるようになりました。
入社手続きに関しては書類が多く、記入漏れや書類の提出忘れが多かったのですが、SmartHRから本人に入力してもらえばほぼ間違いがないので、非常に助かっています。
人事の仕事とは手続きすることではなく「社員の気持ちに寄り添うこと」
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
今村さん:直近1〜2年で管理部門のDXが一気に進展しましたので、この流れの定着と更なる拡張を進めていきたいです。
具体的には、人事考課にはアナログな手作業が残っています。営業スタッフ・自動車整備士・事務の職種ごとに異なる職級があり、現在は職種×職級でそれぞれ人事考課票を作成、現場で印刷し人事考課を進めています。
人事制度は会社それぞれの「オリジナル」であり、決まった型がないので、クラウドサービスでどう実現できるのかまだイメージは固まってはいませんが、今後相談させてもらえればと思っています。
人事考課以外にも、まだまだ昔のやり方が踏襲され、紙で対応するものがあります。そうした非効率な部分を手数で改善するのではなく、「効率化」によって改善していきたいですね。
最後に、今村さんの今後の展望を教えてください。
今村さん:私は20年近く人事の仕事に携わってきて、人事の仕事とは、何かの手続きを処理することではなく、社員に寄り添う気持ちをもって対応することであると思っています。
でも、自分の気持ちに余裕がないと、どうしても「寄り添う」より「手続きを処理する」方へ傾いてしまいます。
今はまだ、目の前の処理しなければならないことに時間を取られていますが、効率化によって「本来考えなければならないこと」に充てられる時間を増やし、気持ちにゆとりを持てるようにしたい。そして、社員一人ひとりの気持ちと寄り添える人事担当となれるように、今後もSmartHRを活用していきたいと思っています。
SmartHRもご支援を続けてまいります。大変ためになるお話をありがとうございました。
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掲載内容は取材当時のものです。