決め手は機能の拡張性。給与明細から始まった多店舗横断のデジタル化
課題
- 紙による給与明細配付の運用負荷が高く、各所で課題が生じていた
- 紛失リスクや再発行・問い合わせ対応の業務負荷がのしかかっていた
解決策
- SmartHRの導入により給与明細配付をはじめ、幅広く労務業務を効率化
- 基幹システムとの併用により、ペーパーレス化を加速
効果
- 給与明細配付にかかっていた時間を店舗オペレーションの時間に充てられた
- 従業員へ直接アプローチが可能になり、コミュニケーションの形が変わった
- お知らせ掲示板により、全社への重要事項や社内報の周知も円滑に
株式会社カスミは、茨城県を中心に、千葉・埼玉・栃木・群馬・東京の1都5県で、地域に根ざしたスーパーマーケットを展開するイオングループの企業です。
同社は、従業員数の増加に伴う人事・労務手続きの負担の増加、本社と各店舗間での紙を中心としたやりとりによる煩雑さを解消するためにSmartHRを導入しました。
多くの従業員を抱える同社の導入の決め手や過程、導入後の変化について、執行役員 人事戦略部マネジャーの渡邊さん、人事管理の與澤さんにお話を伺いました。
給与明細配付の課題解決に導入、決め手は機能の拡張性
SmartHR導入の背景を教えてください。
與澤さん:2021年の導入以前まで、弊社では給与明細や源泉徴収票など人事・労務にまつわる手続きがすべて紙でした。各店舗と郵送や自社メール便でのやりとりが多く発生するため運用負荷が高く、本社および店舗での保管スペースが足りなくなるなどの問題が生じていました。
また、紙が中心の運用体制であったため、紛失時のリスクに対する懸念、再発行・問い合わせにかかる業務負荷が高いことも大きな課題でした。
SmartHR導入を検討したのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
與澤さん:きっかけは給与明細の配付です。給与明細のデータ作成から印刷工場での印刷、配送までに時間的な制約があるため、暦によっては、店舗への明細到着が期限ギリギリになることがありました。
とくに年末年始で印刷工場がお休みの場合などは、配送が物理的に困難なこともあり、事前に店舗へ連絡して調整するといったやりとりも生じていました。まずはこの給与明細配付の課題解決に向けて、複数のシステムの情報収集を開始しました。
さまざまな選択肢があるなか、SmartHRを選んだ決め手は何ですか?
渡邊さん:導入の決め手は、機能の拡張性と各機能の完成度の高さです。検討当時から給与明細を皮切りに年末調整や入社手続き、申請手続きまで幅広く効率化を進めたいと考えていたため、第一に機能の拡張性を重視しました。
各機能を他社サービスと比較するなかでも、従業員目線での使いやすさが優れていると感じられた点も決め手になりました。
費用の面では、初期費用や追加のサポート費用が発生しない点を含め、当時比較していた他の2社と比べても優位性がありました。同業他社を中心に多くの導入実績があることも安心材料になりましたね。
基幹システムとの併用によりペーパーレス化を推進、従業員とのコミュニケーションにもよい変化
現在SmartHRをどのように活用されていますか?
與澤さん:弊社で以前から使用している基幹システムと併用して利用しています。基幹システムは従業員情報を蓄積していく使い方をしていますが、設定やメンテナンス工数がかかるうえに、従業員情報の収集時など多くの手続きで紙の運用が残ります。
そこで、SmartHRを基幹システムと連携して使用することによりペーパーレス化を進められたほか、従業員情報の収集や従業員全体に向けた情報発信がしやすくなりました。
これまで従業員へのアプローチでいえばメール便や社内報などアナログな手段に限られていました。SmartHRを使うことで従業員に直接アプローチできるため、コミュニケーションのかたちが大きく変わった実感があります。
渡邊さん:情報発信・伝達の観点でいえば、弊社では本社から各店舗へと情報が届けられ、店長を起点に各従業員へと伝達されます。その際、店長の推進度や理解度によって伝達状況に差が生じていました。この点で、全従業員に対して一斉に一律の情報発信ができるSmartHRには大いに可能性を感じていました。
具体的にどのような活用を想定されたのですか?
渡邊さん:実例としては、申請・承認機能を活用して、全従業員宛に質問形式のアンケートを実施しました。「今後どのような仕事をやってみたいですか?」「どのようなキャリアを目指したいですか?」といった内容です。
事前の想定では、このようなアンケートにはまず正社員の方から回答が寄せられると想定していたんです。ただ、実際にいち早く回答が得られたのはアルバイトの方だったんですね。
これまでの情報伝達の流れでいえば、本社から各店舗の店長を経由して、正社員、そしてパートナー・アルバイトさんに伝わるまでに2週間程度かかっていました。それがSmartHRを使うことで即座にアルバイトの方から「私はこんな仕事をしてみたいです!」という回答が得られたのです。私はこの即時性の高い従業員とのコミュニケーションに高い期待感を覚えました。
與澤さん:加えて、今では全社に対する重要事項の案内であったり、社内報であったりもお知らせ掲示板を活用して周知しています。人事・労務の手続きにとどまらず、コミュニケーションツールとしての社内の広がりにも手応えを感じています。
15,000人を超える従業員の着実な定着に向けて、無理なく段階的な導入を選択
スムーズな導入・定着に向けて工夫したことは何ですか?
與澤さん:弊社にはパートナー・アルバイトの方も含めて15,000人を超える従業員がおります。どの方にも確実に使い始めてもらうために、さまざまな点で工夫をこらしました。
まずは全員が利用対象となる給与明細の配付を給与明細機能を使ってSmartHRへ切り替え、以降は賞与明細、源泉徴収票、年末調整の順番で導入していきました。確実にSmartHRに触れていただく機会をつくること、そのうえで利便性を感じてもらいやすい順番を意識しました。この点も従業員に直接アプローチできる利点ですね。
また、SmartHRへ初回のログインをしてもらうためにアカウント登録の期間を2か月と長めに確保し、登録期間中は紙の給与明細と併用することで登録に時間がかかる方へ配慮するようにも努めました。
従業員の皆さんに寄り添い、無理なく着実に導入を進められたのですね。
渡邊さん:やはり効率化の先で従業員とのコミュニケーション手段としての期待がありましたので、全従業員の方にSmartHR導入による利便性を感じてもらいたいと考え、理解を深めていただくという意識をもちながら着実に導入を進めていきました。
給与明細配付のウェブ化による効果、情報を確実に届けられることの変化を実感
導入後の変化を教えてください。
與澤さん:店舗での変化ですが、まずは紙による給与明細の配付作業がなくなったのは大きいですね。
これまでは配付前の仕分け作業にも工数がかかっていました。各店舗で事務員や所属長が部門ごとに明細を用意し、それを部門ごとに振り分けたあとにチーフや社員が各従業員に配る流れでした。この作業がSmartHRによる通知に置き換わったことで、これまで配付にかかっていた時間を店舗のオペレーションの時間に充てられています。
年末調整についても、紙の配付と回収を本社の人事と各店舗間で社内メール便によるやりとりをしていましたが、これもSmartHRへ切り替えました。従業員からは「シンプルでわかりやすい」「質問に答えていくだけで申請が終わってよい」といった反響が届いています。
渡邊さん:別の変化でいえば、紙で配っていた社内の広報誌のPDF版をSmartHRでも配付することで閲覧しやすい環境を整えているほか、研修で使用する動画をSmartHR上で案内するといった取り組みも実施しています。
やはり同じ情報を全従業員に、とくに一番多くの人数を占めるパートナー・アルバイトさんにも等しく届けたい場合に、SmartHR経由で届けることで一律に情報を届けられる利便性を感じています。
“すでに従業員に行き渡っているシステム”としての強みを活かして、今後もさらに活用を進めたいですね。
SmartHRの一貫した「顧客ファースト」の姿勢に期待
最後に、SmartHRに対する期待をお聞かせください。
渡邊さん:私がSmartHRの導入を決め、その後の複数回の打ち合わせを通して感じたのが、SmartHRさんは顧客ファースト思考であるという点です。弊社も「お客さまのために」という企業理念を掲げていることもあり、相通じる部分があると感じました。
私自身これまでにさまざまなシステム会社の担当者の方々とのやりとりを経験して、この顧客ファーストの視点が欠けていると感じる機会が多くありました。営業の方が「何でもできます」といってフタを開けたところ、実際は違った……といったことがありました。
SmartHRさんでいえば、弊社の要望が叶うことが多いのが前提で、仮に要望がそのまま叶えられなかった場合でも代替案を提案していただける。もしくは、できる方法を一緒に模索していただける。この点に深い信頼を置いています。
営業やカスタマーサクセス、チャットサポートなど担当の方が変わっても同じ印象を受けるため、会社としての一貫した姿勢なのだと理解しています。今後も顧客ファースト思考を忘れずに、変わらずに対応いただけることを期待しています。
身が引き締まるお言葉をありがとうございます。引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。
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