季節的労働者の入退社手続きを効率化。観光業での働きやすい環境づくり
課題
- 季節的労働者の入退社手続きを紙で実施しており、業務が煩雑だった
- 紙の管理、やりとりなど、各担当者に業務の負荷がかかっていた
解決策
- 属人的な業務を解消するため、総務部門の体制を改善
- 多拠点での活用のため、段階的にシステムを導入
効果
- 入退社手続きが1ヶ月から約10日まで短縮
- 電子で申請となり、役所までいく時間も削減された
加森観光株式会社は、夏は遊園地、ゴルフ場など多彩なアクティビティがあり、冬は3つの山に広がるスキー場を展開している総合リゾート「ルスツリゾート」などを運営しています。
ルスツリゾートでは、季節雇用による入退社手続きの煩雑さを改善するため、SmartHRを導入。給与明細の配布や年末調整など、活用の幅を広げています。今回総務部でSmartHR管理担当している、濱邊さんに導入の背景や今後目指す姿についてお話を伺いました。
100名単位で入退社が発生する季節的労働者への対応が煩雑化
導入の背景について教えてください。
濱邊さん:当時、グループ全体でペーパーレス化およびシステム改善を進めている時でした。改善を進めるなか、弊社経営者がSmartHRを知り、総務部門のバックオフィス改善のため導入を検討したのが始まりです。
弊社はスキー場や遊園地などを運営しているため、季節的労働者(短期雇用特例被保険者)が多く、一定のタイミングで100名単位の入退社が発生します。これまで入退社手続きを紙で運用しており、やりとりに非常に手間がかかっていました。
ルスツリゾートだけでも年に2度ほど、何百人もの人数が出入りする時期があります。契約期間も長くて半年ほどで、その管理も煩雑になっていました。
どのようにサービスの検討を進めていったのでしょうか。
濱邊さん:まずは、ルスツリゾートを含む季節的労働者(短期雇用特例被保険者)の入退社が多い施設を対象に、社会保険の電子申請手続きを効率化できないかと考えました。
当時はさまざまな業務を紙で実施していたため、紙の管理、やりとりなど、各担当者に業務の負荷がかかっていました。また、担当者がいないとわからない事も多く、総務部門の体制を改善する必要があったんです。
さまざまなサービスがあるなか、従業員が使いやすく操作が簡単な「SmartHR」の導入を決めました。
今では従業員から実際に「分かりやすい」と声をもらうこともあり、「SmartHR」はシステム満足度が高く、これからも発展するシステムだと思います。
多拠点での活用のため、段階的に導入
SmartHRをどのように活用されているか教えてください。
濱邊さん:導入してからしばらく経ち、昨年(2020年)夏前から私が担当するようになりました。はじめは各事業所の総務部門がうまく活用できるよう、主に季節的労働者の入社手続きに活用していました。
ある程度総務担当者が操作に慣れてから、すべての事業所においてSmartHRの環境を整備し、従業員の登録を進め、秋から給与明細をSmartHR上で閲覧できるようにしました。その年の11月より年末調整もSmartHR上で実施しています。
段階的に導入を進められたのですね。
濱邊さん:はい。導入時は季節雇用の手続きを開始するまでの時間が十分ではなかったので、まずは入退社手続きの活用からスモールスタートで運用しました。給与明細配布や年末調整など、従業員全員が活用できる状態になった後、源泉徴収票の発行やお知らせ通知などの機能の活用を始めました。
従業員の皆さんへはどのように導入を推進されたのでしょうか。
濱邊さん:給与明細配布をSmartHR上で実施するタイミングでSmartHR担当者への説明や従業員への説明会を開催しました。操作の動画や資料、ポスターなどを用意しましたね。色々な資料を作りましたが、はじめてSmartHRを使う方の戸惑い、質問対応は思い出深いです。
導入当初はさまざまな意見をいただきました。特にスマートフォンを持っていないスタッフや年配のスタッフなど、受け入れていただくためにかなり苦労しました。たとえばログインするために社員番号を入力するのに苦労しているスタッフもいましたね。
ですが、私だけでなく、総務部門の担当者や各管理者が、苦手なスタッフに粘り強く対応していただいた事もあり、月を重ねることに、だんだんと浸透していった印象があります。
会社方針として、「ペーパーレス化を進めていこう」という想いもありましたので、弊社の経営者からも「これからは新しい時代にあわせて変化していこう」というメッセージを発信してもらい、グループ全体で進められました。
入退社手続きが1ヶ月から約10日まで短縮
導入後の変化を教えてください。
濱邊さん:入退社手続きに約1ヶ月かかっていたところを10日ほどでほぼ完了できるようになりました。社会保険の手続きもSmartHR上で実施することで、役所まで行く必要がなくなりました。施設から役所までは距離がありましたので、往復する時間も削減されたのは助かりましたね。
季節雇用で入社した方は退社日もほぼ同じですので、入社と退社のタイミングで各電子申請を効率的に進められる機能は非常に大活躍しています。驚くほどの早さで対応できるようになりました。
書類をプレビュー画面で確認できることはもちろん、契約状況や社会保険の手続き状況も一覧で表示され、チェックもスムーズです。
当初課題とされていた入退社手続きの効率化が進んだのですね。
濱邊さん:はい。導入時は入退社手続きの効率化を目的にスモール運用からスタートしたため、効率化は進んでおりました。ただ、私自身が大きな効果を感じたのは給与明細配布をSmartHR上で実施したころですね。
給与明細をSmartHRで公開することで、従業員が直接SmartHRに触れてくれます。SmartHRを従業員が触れることで、その後、申請機能の活用にもつながり、さらなる効率化に進みました。その結果、総務部門担当者と従業員とのつながりができ、意識的な変化につながったのではないかと感じています。
さまざまな労務管理システムがありますが、労務や総務の方が中心で開発されることが多いと思います。しかし、SmartHRは従業員に寄り添い、よりわかりやすいシステムを開発しようとされているので、これから先もっと素晴らしいシステムになるのではないかと期待しています。
ありがとうございます。入社手続きから給与明細の配布など、活用の幅を広げられていますが、ほかにどのような機能を活用していますか?
濱邊さん:申請・承認機能を活用して、従業員情報を収集しています。ルスツリゾートを例にあげますと、年に1〜2回、通勤に使用している車両情報を確認しています。車検や自動車保険が切れていないかなど定期的に確認していますね。
ほかには、オンライン雇用契約・文書配付機能で社内公募のお知らせを配付しました。「どなたか新しい職種にチャレンジしてみませんか?」というようなお知らせです。
SmartHRマスター(※)も合格されたと伺いました! 積極的にご活用いただけている印象がありますが、どのようにキャッチアップされているのでしょうか?
濱邊さん:SmartHRマスターは何度もチャレンジしましたね。操作でわからないことがあるとまずヘルプページを見て確認し、そこで理解ができなければチャットサポートを活用しています。
このチャットサポートの対応はとてもいいですね。「できません」と回答されることはなく、「これは対応していませんが、こういう方法はいかがですか」と別の提案をしていただけます。それが新たな課題解決のヒントになることもあるので素晴らしいですね。
※SmartHRマスター・・・SmartHRスキルを認定する公式資格
管理部門を強くし、より働きやすい会社づくりに取り組みたい
今後どのようなことに取り組みたいとお考えでしょうか?
濱邊さん:人事情報の一元化をさらに進めたいですね。従業員の情報や履歴は、溜めていくことにより、会社の歴史をたどれるツールになると思っています。情報を活用して改善できるところを見つけ、提案していく、そのような攻めの総務を目指していきたいです。
弊社の事業は人で成り立っていますので、従業員が第一です。長年管理部門で働いていますが、管理部門が強い会社は、会社自体も強いと思っています。勤怠や給与などの労務業務をきちんとこなしながら、従業員が働きやすい環境づくりに取り組んでいくことで、よりよい会社につながると信じて日々の業務を推進しています。
これから高齢化が進み、各施設で季節雇用をするための採用も難化していくことが予想されます。また、新型コロナウイルスの流行で観光業は大打撃を受けてしまいました。しばらく休業していた施設も多数ありましたし、回復するにはまだ時間がかかるでしょう。
ルスツリゾートをはじめ、各施設にお客さまが訪れていただけるようにするには、従業員が働きやすい環境づくり、新たな働き方の模索も必要だと思います。まだまだ改善できる箇所がたくさんありますので、これからもSmartHRを活用して仕事に励みます。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。