ペーパーレス化から従業員情報の一元管理まで。変化に対応し、生まれた社内の意識改革
課題
- 従業員情報の管理場所がバラバラで、更新・管理に工数がかかっていた
- 既存の人事システムに従業員情報が集約されておらず、データを活用した施策ができない
- 年末調整をはじめとした労務業務が紙ベースの運用だった
解決策
- 複数の表計算ソフトで管理していた従業員情報をSmartHRに集約
- SmartHRでペーパーレス年末調整を実施
効果
- 労務業務のヒューマンエラー防止につながった
- 当初はペーパーレスに不安だった現場も好意的に導入してくれた
- 業務の体制を見直すきっかけとなり、内製・外注の切り分けが進んだ
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管理本部管理部人事課の松浦さんと佐藤さんに、SmartHR導入の背景や導入により社内に生まれた変化についてお話を伺いました。
「従業員情報がバラバラに管理されている状態」が施策実施のボトルネックに
松浦さん・佐藤さんの現在の業務内容を教えてください。
松浦さん:私たちが所属する管理部人事課は、従業員がやりがいを持って働けるよう職場環境を整え、人事施策を実行していくことがミッションです。
具体的な業務としては採用、評価、研修から労務、給与計算まで、管理本部のなかで「人」に関する業務を幅広く担当しています。
佐藤さん:松浦は課長として業務の全体を統括する立場、そして、私は人事労務を中心に給与計算や採用業務の一部を担当しています。
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
松浦さん:従業員情報が社内のあちこちに散らばってしまっており、人事施策を実施しようとする際の初動の遅さが課題となっていました。
SmartHR以前にも別の人事システムを導入していたのですが、操作が煩雑だったため情報の登録や更新が滞りがちでした。そのため、入社や異動の時期、経歴、資格など、社員に関する情報が表計算ソフトなどでバラバラに管理され、せっかく人事システムという入れ物があるのに中身は歯抜けのような状態でした。
また、情報が入っていたとしてもレポーティングの機能が弱く、たとえば「雇用期間が1か月単位の従業員だけ抽出する」といったこともできませんでした。そのため、なにか施策を実施するにも、情報を集めて資料を作るだけで数日かかります。
社内からは「活用しきれていない状態で、毎月のシステム利用料だけかかり続けるのはもったいないのではないか」という意見が上がっていました。
また、経営陣も「全社的にDXをもっと推進していこう」という意向だったので、契約更新のタイミングでシステムを刷新し、従業員情報が一元管理できるようデータベースを整備することになりました。
SmartHRで「人事システムに対する意識」が180度変わった
複数のシステムを比較されたと伺いましたが、最終的にSmartHRを選んだ決め手は何でしたか?
松浦さん:展示会に足を運んだり営業担当の方に説明に来ていただいたりして、SmartHRを含めて3〜4社を比較検討しました。
実は検討をはじめた当初、私は「使いやすい人事システムなどないだろう」と思っていました。先ほど述べたように既存のシステムは操作が複雑で、その割に、導入時にはデータの整備や操作方法の学習にとても苦労した記憶があるからです。
ところが、SmartHRを触ってみるとマニュアルを熟読せずとも直感的に操作でき、既存のシステムと比べて画面のわかりやすさ・入力のしやすさがこんなにも違うのかと驚きました。あれだけ苦労したデータの抽出もSmartHRなら簡単にでき、とても使いやすく感じました。
「使いやすい人事システムなどないだろう」という意識がSmartHRにより180度ひっくり返されて、よい意味で期待を裏切られましたね。
もちろんコストも含めて比較検討したうえで、SmartHRなら当初の目的である従業員情報の一元管理・データベース化を、もっとも使いやすい状態で実現できそうだと感じて導入を決めました。
ペーパーレス化で「年末調整」と「雇用契約」の効率化を実現
SmartHRを導入いただいて、どのような効果を実感されましたか?
松浦さん:まずは年末調整からSmartHRの運用をはじめ、大きな効果を実感しました。
ちょうど導入したころ、SmartHRなら年末調整が効率化できる、というテレビCMが放映されていたのですが、「本当かな」と思いながら眺めていたのです。従来はすべてを紙で対応しており、資料の配付・回収・チェックだけでも相当な時間がかかっていましたので、それがどこまで効率化できるのだろうと。
ところが、実際にSmartHRでやってみたら保険料控除などがなければ5分程度で簡単に入力が終えられ、配付後すぐに返してくれる人が何人もいたり、控除計算のチェックも自動でやってくれたりとスムーズに年末調整作業が進みました。
結果的に、従来は1か月以上かかっていた作業が2週間程度で完了できました。
もしも20年前の、すべてをアナログで処理していた時代の自分がSmartHRを見たとしたら、きっと「なんだこれは!」と叫んでいただろうなと。それくらい感動しました。
佐藤さん:SmartHRを使うことで入社手続きもペーパーレスになりました。紙で実施していたころは回収後にシステムへ手入力していたので、転記ミスをゼロにすることが難しかったのですが、そうしたヒューマンエラーがSmartHRでなくせたのは非常に大きいです。期間も、従来は1週間程度かかっていましたが、今は1日かからずできるようになりました。
当社は臨時社員の方も多いので、雇用契約の更新手続きでも活用しています。SmartHRの文書配付機能を使えば記録が残りますし、本人が書類をなくしてしまうこともないので、とても助かっています。
当初の目的である「従業員情報の一元管理・データベース化」のご状況はいかがでしょうか?
松浦さん:現在進行形で進めているところですが、すでに効果を実感しています。
異動や研修の履歴、従業員の保有資格など、これまでは表計算ソフトで管理していたものを移行しました。情報の一元管理はもちろんですが、SmartHRなら情報の回収・更新がペーパーレスででき効率的になりました。また、従業員がSmartHR上で自身の過去の研修履歴を見て計画を立てられるようになったなどの副次的な効果も出ています。
「新しいことへの不安」を乗り越え、変わっていく社内の意識
松浦さんは導入を進めるにあたってご不安な点があったそうですが、具体的にどの部分ですか?
松浦さん:SmartHRの導入を急いで進める必要があったことから、電話サポートがなくチャットサポートのみであることに若干不安がありました。
当初は、導入決定から年末調整スタートまで1か月程度しか時間がなかったため「初年度は紙と並行しSmartHRは部分的に利用する」という形で進めようとしていました。しかし、上司から「せっかくSmartHRを入れるのだから、思い切って最初から一本化しよう」とげきが飛んで、急ピッチで準備を進めることになりました。
そのような背景から「限られたサポートで、間に合うようにちゃんと準備ができるだろうか」と思っていたのですが、実際に利用してみると、私がそれまでチャットサポートに抱いていた概念がSmartHRによって大きく変わったのです。
まず、質問を投げてから返信が来るまでのレスポンスの速さに驚きました。
さらに、問い合わせ履歴がしっかりと残っていて過去のやり取りを踏まえた回答がもらえたり、「こんなやり方もできます」と別の解決策を提案いただけたりと、テキストだけのやり取りなのに通り一遍ではない親身な対応をしてもらえていると感じました。
チャットでここまでのサポートができるのかと。まるでSmartHRの担当者さんが隣にいてくれるかのような感覚を覚えました。
導入当初、社内の皆さまにも不安の声があったそうですが、その後どのように変わっていきましたか?
松浦さん:当初、社内では「お金や契約に関する書類をペーパーレスで処理するのが心配」という声がありました。
たとえば、当社の液卵工場(加工食品の原料用に、高度な衛生環境下で卵を割り中身を取り出す工場)で働く臨時社員やパート・アルバイトの方々は、業務でPCを使用しないため、スマートフォンから雇用契約や年末調整の手続きをしてもらう必要がありました。
そのため、実地で複数回SmartHRの説明会を開催したのですが、最初は皆さん一様に「紙じゃなくて大丈夫?」という反応でした。操作方法をデモンストレーションした際には、それこそ周りをぐるっと取り囲まれて、いぶかしげな表情でこちらを見ていらっしゃいましたね。
でも、操作を見せ終わると「ずいぶん簡単になるんだね」と感心されたり、ご自身のスマートフォンからさっそくログインして「あら、もう終わっちゃったわ」とその場で手続きしてくださる方もいたりして、SmartHRによってペーパーレスになることを皆さんとても好意的に受け取ってくださった様子でした。
1回目の説明会に参加された方が、2回目の説明会にも来てくれて「とても簡単にできるんだよ」と従業員同士でレクチャーしてくれたりもしたのです。
どちらかと言えば「SmartHRがどう」というよりも「新しいことに対して誰もが感じる漠然とした不安が他の会社と比べると少し大きかった」ということなのではないかな、と思っています。
従業員が働きやすい環境を整え、会社の持続的な成長を支える
導入が事務の体制を新たに見直すきっかけにもなったそうですね。
佐藤さん:私が担当している給与計算や勤怠に関する業務で、内製・外注の切り分けを見直すきっかけになりました。
私にとってはSmartHRが初めての「クラウドの活用やペーパーレスの事例」でしたので、コストがどれほどかかるか、どのように進めればうまくいくのかの試金石となったのです。その経験を生かして新たにクラウドのシステムを導入し、給与計算業務を内製化しました。
もちろん、何でも内製化すればよいというわけではありません。業務が滞らず回せるのは内製と外注のどちらかを考えることが大前提としてあり、そのうえで「社内で回した方がより効率的だ」という業務については内製に切り替えた、という形です。
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
佐藤さん:ペーパーレスをさらに進めていきたいと考えています。
社内にはまだ紙による申請が残っており「紙で回収し、表計算ソフトに入力して、原本はファイル保管している」というものも多いので、効率化の余地が大きいのではないかと思っています。
また、現在は「SmartHRにログインするのは、年一回の年末調整だけ」という従業員が多いので、もっと頻度を上げられるよう、たとえば源泉徴収票などの機能を活用していけたらいいなと思っています。
松浦さん:人事情報でまだデータベース化しきれていないものがあるので、そこを進めていきたいです。
たとえば、従業員の研修やスキルの履歴をSmartHRで一元管理し、異動の際には「この従業員はこれまでどのような研修を受けてきて、どんな経験やスキルを積んでいるのか」という情報を、経営にタイムリーに出せる体制にしたいです。
新しい物事をはじめようとするときには、どうしても拒否感が生まれます。今までのやり方でも業務は回っているのに、それをわざわざ変えるのは面倒ですし、他の会社さんは皆やっている、という説明では心情的にもなかなか納得してもらえません。
でも、実際にやってみると「以前よりもよくなったね、やりやすくなったよね」という声は必ず上がってくるんです。私自身も、SmartHRで年末調整をはじめたことがきっかけで、意識が大きく変わりました。
面倒さや不安を乗り越えていかなければ、業務は効率化できませんし、会社の持続的な成長もないと思います。
運用面ではまだこれから整えていかねばならない部分も多いですが、システムの整備は少しずつ進んでいるので、ぜひこの流れを継続していきたいと考えています。そして、従業員がやりがいを持って働ける職場環境を整え、人事施策を実行していけるように、今後も取り組んでいきたいです。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。