紙のコストを5,000万円削減。労務の改善を従業員満足度向上の糸口に
課題
- 労務手続きがすべて紙で煩雑
- 1回の年末調整で30,000枚近い印刷が必要になる
- 郵送により莫大な手間や時間、費用が発生していた
解決策
- 人事・労務全般の課題をカバーできるサービスを調べSmartHRを導入
効果
- 導入前と比べて紙の費用を年間約5,000万円削減
- 本部と従業員が直接やりとりできるようになり、店長もマネジメントや店舗運営に集中できるように
全国で美容室IWASAKIを運営する株式会社ハクブンは、紙の作業が中心だった労務業務のペーパーレス化を目指し、2019年にSmartHRを導入しました。
現在は労務業務の効率化のみならず、従業員サーベイの結果をもとに人事施策に取り組むなど、SmartHRを効果的に活用されています。常務取締役 岩崎さん、人事部 松谷さん、広報部 尾崎さんに、導入時の工夫や導入後の変化を伺いました。
年末調整で3万枚の紙を印刷。労務業務のペーパーレス化が急務
皆さんの現在のお仕事について教えてください。
岩崎さん:常務取締役として、おもに幹部社員向けの労務相談、パワハラ・セクハラの防止や店舗マネジメントに関する労務講習を担当するほか、就業規則と社内規定の整備にも関わっています。あわせて、従業員満足度と顧客満足度にまつわる業務を統括しています。広報部も兼任し、広報誌の執筆や労務セミナーの運営など、幅広く担当しています。
松谷さん:労務管理部と人事部の仕事のほかに、広報部も兼任しています。SmartHRは、日常的に使用しています。
尾崎さん:広報部全体の業務のサポートを担当しています。
導入以前に抱えていた課題を教えてください。
松谷さん:SmartHRは、2019年に導入しました。それ以前は、雇用契約書や入社届、労働条件の変更届など、労務に関することはすべて紙で対応していました。
年末調整に至っては、当時の従業員約4,000人に対して、1回の年末調整で30,000枚近い印刷が必要でした。マイナンバーも紙で確認していたため、郵送の手間や時間、費用がかかり困っていました。
そのような中、当時使っていた他社の給与明細サービスのサポートが終了になったんです。そのことをきっかけに、紙の削減や年末調整を含めた人事・労務全般の課題がカバーできるサービスを探し始め、SmartHRの導入を検討しました。
導入を段階的に支援。従業員同士でSmartHRの操作を教え合うように
SmartHRを導入した決め手は何でしたか?
松谷さん:導入の一番の決め手は、クラウド上で雇用契約書の締結ができ、ペーパーレス化が実現できる点です。また、検討当時は従業員数の増加に備えて、バックオフィス業務のスリム化を進めていましたので、オンラインで従業員情報を一元管理できるだけでなく、管理者・従業員の双方にとって使いやすい操作画面が魅力に感じました。
スムーズに導入するために工夫したことはありますか?
松谷さん:まずは、各店舗の管理者に向けて導入の説明を行いました。SmartHRでできることと導入する理由を丁寧に説明し、操作方法も管理者にきちんとお伝えしながら、現場の従業員が迷わずにSmartHRを使える流れを作っていきました。
導入はコロナ禍に入る前年だったため、年に1度開催するオフラインの全社会議でも導入の案内ができました。さらに、全従業員へメールで導入をお知らせし、全店舗に配布している月刊の社内報でも取り上げ、普及活動をしていきました。
松谷さん:また弊社は、20代から70代まで幅広い年代の従業員が働いています。高齢の従業員のなかには、スマートフォンの操作に不慣れな方もいて、そもそもの端末の操作方法にやや戸惑う場面がありました。
そこで、「タップ」や「スクロール」のような基本的な操作手順から説明するマニュアルを作成しました。その点で少々労力がかかった部分はありましたが、今では各店舗にSmartHRの操作に詳しい方がいて、新しいメンバーが入社すると、現場で使い方を教え合う協力体制ができています。
それでもわからない場合にだけ、人事部へ問い合わせが来ます。その問い合わせも、人事部でカバーできる範囲の数と内容ですし、円滑にサポートができていますね。
業務改善の効果が、従業員の安心感やモチベーションにも波及
導入後の変化を教えてください。
岩崎さん:定量的な変化では、紙代、印刷代、郵送費などが不要になり、導入前と比べて年間約5,000万円の削減ができました。
松谷さん:煩雑で量が多かった紙の業務がペーパーレス化し、人事・労務業務が効率的になりました。
さらに、店長業務の軽減にもつながっています。以前は、店長が本部と従業員の間に入って、捺印した雇用契約書を郵送したり、その控えを従業員に渡したりといった業務があったんです。
SmartHRの導入で、本部と従業員が直接やりとりできるようになり、店長もマネジメントや店舗運営により集中できています。
岩崎さん:店舗は北海道から沖縄まで全国にあるため、紙での対応では雇用契約に時間がかかることもありました。今では、オンライン雇用契約機能を使ってスムーズに雇用契約が進められています。
松谷さん:以前は店長を介して連絡していたぶん、従業員と本部が直接話す機会も少なく、「本部と少し距離がある」と感じる従業員もいたようです。今はSmartHRがあるので、本部からいろいろな情報を直接届けやすくなっています。
岩崎さん:本部と現場の従業員の皆さんとの距離が縮まった感覚がありますし、本部から伝えたいことを抜け漏れなく、すべての人へ伝えられるようになりました。従業員にも、情報がきちんと届く安心感があると思いますね。
尾崎さん:実は、産休・育休中の従業員とはやりとりが減るため、復帰への不安が生じやすい状況になっていました。とくにパートで働く従業員は、産休・育休と契約更新時期が重なるケースもあり、「契約更新できるのかな……?」と心配していたそうです。
以前よりサポートはしてきましたが、SmartHRで業務が効率化できたぶん、早めに契約更新のお声かけをして、対応に遅れがないような体制を整えています。
岩崎さん:会社から定期的にお知らせが届いたり、早めに契約更新の案内があったりすると、産休・育休中も会社とつながっている安心感を抱いていただけるのではないでしょうか。従業員の復帰までの不安を少しでも取り除いていきたいと思います。
SmartHRからご提供した各種資料は活用いただけましたか?
松谷さん:とくに、育児休業の改正を解説した動画が役に立ちました。本部としても概要がわかりやすかったですし、従業員の皆さんへの周知にも使おうと思っています。
また、チャットサポートも活用しています。わからないことが何でも聞きやすいですし、回答も早く、すぐに解決できるので助かっています。
年末調整の資料も重宝しています。以前までは、申請に関するマニュアルの作成を10月ぐらいから始め、紙で全店舗に配っていました。現在は、SmartHRからいただいたマニュアルに一部加筆して使っています。案内時の業務負担がかなり軽減されましたね。
従業員サーベイも活用いただいています。その結果をもとにした人事施策では、どのような効果が出ていますか?
岩崎さん:従業員サーベイは、「働きがいのある会社はどんな会社か?」「従業員の皆さんは何に課題を感じているか?」を定量的に測るために導入しました。
実は、美容院の数はコンビニの5倍あると言われており、転職先の多い美容師という職業は離職率が高い傾向にあります。そのため、美容院は働き方や働く環境を改善し、美容師にとって魅力ある職場にしていかなければ、選ばれないのです。
従業員サーベイは、ストレスチェック、従業員満足度、退職者アンケートの3点で使っています。導入から8か月、まだ2回の実施ではありますが、サーベイ結果をもとにモチベーションアップのためのコンテストやコミュニケーションの見直しに取り組んだところ、19.2%だった退職率が18.2%まで1%下がりました。
引き続き、現場従業員の声をより良い組織づくりに活かしていきたいと思います。
関連記事:【SmartHR Agenda#1レポート】サーベイ活用で従業員が”働き続けたい”と思う職場へ
会社は従業員のために存在する。笑顔で働ける職場づくりに注力したい
これから取り組みたいことを教えてください。
岩崎さん:従業員満足度と顧客満足度向上につながる施策を実施していきたいです。まずは、SmartHRの給与明細の備考欄やお知らせ掲示板を使って、お客さまからのお褒めの言葉やご意見を、従業員全体に共有したいと考えています。
弊社の経営理念に、『IWASAKIはIWASAKIの為ではなく、働く1人1人の為に存在する』という一文があります。この理念を従業員の皆さんに発信し続け、働きやすい職場の整備に努めたいです。
従業員の皆さんが笑顔で働ける環境こそが、お客さまへのより良いサービスにつながります。そのスタイルを全店舗で確立していきたいですね。
素敵な経営理念ですね。ぜひ従業員の皆さんが働きやすい環境づくりに、SmartHRをお役立ていただければ嬉しいです。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。