業務改善とセキュリティ向上を実現。出前館の情報システム部と連携したSmartHR導入プロジェクト
課題
- 複数システムの運用していたため、従業員情報をシステムごとに登録・更新する必要があった
- 従業員リストの作成にはデータの突き合わせなど余計な工数がかかっていた
- システム間の連携や、チームでの運用設計の対応が遅れていた
解決策
- 複数システムで運用していた業務をSmartHRに集約
- 人事部と情報システム部が連携による運用設計
効果
- 従業員リストの作成が3時間から30分に短縮
- 人事部の業務改善とセキュリティ向上が同時に実現
- マイナンバー管理と一部業務を社労士へアウトソースする体制が整う
株式会社出前館は日本最大級のデリバリーサービスを運営しています。常に配送品質やプロダクト、カスタマーサービスの向上に取り組み、多くのユーザーに支持されています。また、日用品や生鮮食品を即時配達するクイックコマース分野にも参入。日々、進化を続けている企業です。
人事部 人事労務グループの道場さんとIT本部 情報システム部 IT戦略グループの足立さんにSmartHR導入の背景やその後の変化についてお話を伺いました。
システムごとの従業員データ登録や手動でのデータ取り込みが課題
道場さん、足立さんの現在の業務内容を教えてください。
道場さん:2023年の9月から人事部は人事労務グループ、人材採用チーム、人事企画グループの3つのグループに分かれました。私は人事労務グループに所属しています。従業員が安心・安全に働くための土台を支えている部門として、入退社手続き、給与計算、社会保険手続き、休職・復職、組織所属管理、福利厚生などの労務を担当しています。
足立さん:私はIT本部 情報システム部のIT戦略グループに所属しています。主に社内IT全般のシステム導入において、担当部署とコミュニケーションをとりながら、業務フローの整理からシステムの導入まで伴走しています。
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
道場さん:当時の人事部では、入社手続きや住所変更などの労務領域と、組織図や人事評価などの人事企画領域とで、それぞれ別のシステムを運用していました。そのため、従業員情報をシステムごとに登録・更新する手間がかかっていました。
さらに、何かしらの従業員リストを作成する際は、それぞれのシステムから抽出したリストを突き合わせて、ひとつの従業員リストにする必要がありました。データエラーなども生じ、都度、非常に手間がかかる作業が生じているのも悩みでした。
従業員にとっても複数のアカウントを作成し、IDやパスワードを管理しなければならないため、負担になっていたと思います。
そのほか、複数のシステム運用における課題はありましたか?
道場さん:はい。人事企画領域で使用していたシステムの導入担当者が退職した際、引き継ぎが十分に進まず、一部の業務が滞ってしまうことがありました。
当時は目の前の業務課題を解決するために、担当者が主導してシステム導入を進めていました。スピーディな課題解決につながる反面、業務が属人化しやすい状態になり、システム間の連携や、チームでの運用設計は後回しになりがちでした。これらの状態を解消するためにも、人事・労務システムはひとつにまとめたいと考えていました。
情報システム部としても人事データベースの整理は重要な課題
SmartHRの導入の経緯について教えてください。
道場さん:実は既存の人事労務システムの導入の際、比較検討フェーズではSmartHRも候補に入っていました。当時も操作画面や仕様を見せてもらい、扱いやすい印象があり、担当者レベルではSmartHRの導入に気持ちが傾いていました。
しかし、ちょうどそのタイミングで配送拠点における直接雇用のアルバイトが一気に増えたので、毎月200~300人の入社対応に追われ、当時の判断として、いかにコストを抑えられるかという観点で別のシステムを導入しました。
その後、運用面での課題が浮き彫りになり、既存の2つのシステムの役割を集約できるSmartHRの導入を検討しはじめました。
足立さん:人事部からSmartHRの導入検討について聞いたとき、情報システム部としてSmartHRはぜひ導入したいと思いました。
個人的にはSmartHRを人事データベースの中心に据え、API連携で、社内システムと連携できる体制を整えたいと考えました。
社内にはシステムを導入しながらも、人力での運用が多く、負荷の高い業務があることが情報システム部としても課題でした。
まずはSmartHRを弊社の人事データベースのマスターにすることが、今後の社内システムの見直しや連携の肝になると考え、自ら率先して「IT戦略としてSmartHR導入に関わらせてください」と声をかけました。
そこから人事部と情報システム部のSmartHR導入プロジェクトがスタートしました。
決め手は業務改善とセキュリティ向上の実現
SmartHR導入プロジェクトではどのような点を検証されましたか?
足立さん:まずは、人事部主導で既存の2つのシステムのランニングコストや運用体制を棚卸しし、SmartHRを導入した場合と比べました。
結果、既存の2つのシステムで対応する業務はSmartHRに集約可能であること、さらにSmartHRの方がランニングコストも安くなることがわかりました。この時点でSmartHRの導入はほぼ決まりました。
SmartHRへのデータの集約化が業務効率とコストの両面で評価されたのですね。
足立さん:はい。情報システム部としては、それ以外にもSmartHR導入のメリットとして、SAML認証によるSSO(シングルサインオン)に対応していることも大きかったです。
弊社では社内システムのSSO対応を進めている最中でした。とくに個人情報を扱う人事労務システムにおいてはセキュリティの観点から、IPアドレスによる制限や、2要素認証の設定ができるようにするべきだと考えました。
そのため、SmartHRに切り替えることで、人事部の業務改善とセキュリティ向上が同時に実現できるのは大きな決め手になりました。
業務の属人化が改善。従業員リストの作成時間も3時間→30分に
SmartHR導入後の変化について教えてください。
道場さん:課題だった従業員リストの作成がスムーズになりました。これまでリストの作成には3時間ほど要していましたが、SmartHRを使えば、欲しい情報を選び、リストをダウンロードするだけで完結するので30分で終わります。
さらに、手動でデータを突き合わせる複雑な作業もなくなったため、誰がやっても同じリストが抽出できる状態になり、業務の属人化の改善も進んでいます。
道場さん:また、これまで内製していたマイナンバー管理と一部業務を社労士へアウトソースする体制が整いました。
SmartHRではマイナンバーが暗号化された状態で保存されます。さらに、閲覧履歴も監査ログとして自動的に保存されるため、非常に高いセキュリティ体制で管理ができます。弊社としても安心して、社労士へマイナンバーの管理と社会保険などの手続きをアウトソースできて助かります。
道場さん: また、実装はこれからですが、従業員サーベイにも注目しています。組織が拡大し、従業員数も増加しました。その中で従業員それぞれが仕事や職場に求めることも多様化してきていると感じますし、上司や部下、同僚との関係構築の重要性もより一層高まると考えます。従業員サーベイをリニューアルすることで、日々の従業員のコンディションを把握し、回答傾向を分析のうえ、人事施策や人事戦略に活かしていきたいと考えます。
今は、SmartHRに集約する業務やデータ整理の真っ最中ですが、データの活用フェーズが今から楽しみです。
創出した時間を活用し、組織改革を進めていく
今後取り組みたいことを教えてください。
足立さん:今回のSmartHRの導入は情報システム部が他部署としっかり連携してシステム導入を進めた最初の事例になりました。
これまで弊社では、各部署の裁量で導入したシステムについては関わりが低い状態でしたが今後に向け、IT戦略として積極的な業務改善を進める土台作りができたと思っています。
SmartHRの社内連携は増えていく予定なので、各部署と連携しながら進めていきたいです。
道場さん:今までは積み上げてきてしまった非効率な業務の整理に必死で、人事労務として付加価値のある組織改革施策などに取り組む余裕がありませんでした。SmartHRの運用がはじまりある程度人も組織も整ってきたので、戦略的な施策を打っていきたいです。
そのためにはまず、現在の組織の状況をしっかりと把握する必要があると考えています。SmartHRによる業務効率化で創出した時間を有効活用し、データをいかに集めて、そこから見えることをまとめ、組織に還元していく流れを作っていきます。
引き続きSmartHRがご支援できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。