飲食・サービス業の導入実績に基づくノウハウが決め手
課題
- 人事労務に関する業務の大半が紙ベースで行われている
- 店舗責任者から、年末調整の管理業務に関する工数削減の要望があがっていた
- 入社手続きの対応が遅れてしまうと、応募者の取りこぼしが発生してしまう
解決策
- 紙のアナログ業務を削減し、コア業務に注力できる環境を目指す
- 増員に頼らない生産性の高いバックオフィス部門の構築
- 応募者の取りこぼし防止と、各店長によるアナログ作業の効率化
効果
- 従業員向けマニュアルや、登録を促すPOPで、スムーズに運用を開始することができた
株式会社DDホールディングスは、居酒屋・レストランをはじめ、おしゃれなバーや普段使いできるカフェまで、個性的な492店舗(2019年11月末日現在)を展開する大手外食企業グループです。
メイン事業となる飲食事業にとどまらず、ビリヤード、ダーツバー、そして最近ではホテル運営など、新たな領域にも進出。世界に誇る「オープンイノベーション企業」を目指して事業を拡大しています。
そして今回お話を伺ったのは、同社で人事部に所属する須藤 大輔さん。グループ全体で10,000名に迫る従業員の業務効率化を目指し、2019年にSmartHRを導入。
そこに至るまでの背景と、効率化の先に見据える同社の姿について伺いました。
紙のアナログ業務を減らし、本来業務に注力できる環境を目指して
はじめに、SmartHRの導入以前に抱えていた課題は何でしたか?
須藤さん:端的にいえば、紙を使ったアナログ作業の削減が最大の課題でした。弊社はグループ全体の従業員数が10,000名に迫る規模なのですが、これまで人事労務に関する業務の大半が紙ベースで行われていたことに課題を感じていました。
今後の企業規模の拡大、それに伴う従業員数の増加を踏まえても、このタイミングでの人事労務業務の電子化は優先度の高い施策でした。
紙の業務も様々ですが、特にどんな場面で苦労していましたか?
須藤さん:最初に効率化したかったのが年末調整です。昨年の年末調整にあわせてSmartHRを導入し、効率化を図りました。
これまで、年末調整では「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や添付書類など、すべてを紙で集めなければならず、枚数の多さもあり管理に苦労していました。
各店舗からは記入済みの書類が送られてきますが、データでやりとりをするわけではないので、発送済みなのか否かを確認することができずに困ることがありました。
人事部のみなさんの苦労が伝わってきます。一方、各店舗からはどんな要望があがっていましたか?
須藤さん:特に店舗責任者からは、管理業務に関する工数削減の要望があがっていました。
本来注力すべき、お客さまに対するサービス改善や料理品質の向上にもっと時間を費やせるよう、可能な限り本来業務以外の業務は効率化を進めていきたいと考えています。
決め手は飲食・流通などサービス業における大手企業の導入実績
SmartHRの導入に至るまでに様々な選択肢を検討されたと思います。決め手は何でしたか?
須藤さん:最も大きかったのは、飲食・サービス業における導入実績です。特に弊社以上の規模の企業の事例は、導入を判断する上での決め手になりました。
それはなぜですか?
須藤さん:その企業さんたちも当然、過去に現在の私たちが抱えているような課題に直面した時期があったと思います。それを解決するためにSmartHRを導入し、フローを整えることで乗り越えてきたはずです。
後発である私たちにはまだノウハウがないので、そこを知るSmartHRさんから学びながら自分たちの運用に活かしていきたいと考えています。
須藤さん:加えて、弊社のグループ会社である株式会社SLDの導入事例も大いに参考にしました。身近な企業で先に導入していて、すでに効率化に成功していたのも大きなポイントでしたね。
飲食業界はもちろん、業界問わず大手企業さんの導入事例が数多くあります。ノウハウとして伝えられる点については適宜、担当よりお伝えさせていただきますね!
コスト削減にとどまらない導入効果。採用競争力の強化等のねらいも
御社のように従業員の多い企業では、新規ツールの導入に際して社内で承認を得るのに苦労しませんでしたか?
須藤さん:特に苦労したことはありませんが、経営会議の場で予算承認を得るために工夫したことはあります。
新規ツールの導入は、一見すると費用の部分が強調されて見えてしまいます。しっかりと導入効果を理解してもらうために、このように項目を整理してメリットを伝えることで承認を得ました。
わかりやすいコスト削減効果だけでなく、業務工数の削減、リスク管理強化の部分もあわせてプレゼンされたのは素敵ですね! 入社する従業員の数も多いと思いますが、やはり入社手続きの時間短縮は重要なポイントですか?
須藤さん:そうですね。飲食業界ならではかも知れませんが、店舗における採用には大きく分けて2つの課題があると思っています。
1つ目は、応募者の取りこぼしを防ぐことです。募集広告を打って応募者が面接に来たとしても、その後の対応が遅れることで、本来採用できたはずの人を逃してしまうことがあります。
入社の手続きをしている間に、他店へ行かれてしまうということですか?
須藤さん:おっしゃる通りですね。手続きに時間がかかったことで、入社を辞退した応募者の方もいると聞いています。
面接から入社までのスピードをいかに上げられるかが肝心なわけですね。2つ目の課題はいかがですか?
須藤さん:2つ目は、各店舗の店舗責任者がおこなっているアナログ作業の効率化です。面接後、内定を出した方の書類の扱いですが、店舗によっては宅配便を使って本部宛に郵送したり、近隣の店舗であれば社員が直接持参したりする場合もあります。
新卒だと1年で約200名、弊社でパートナーさんと呼んでいるアルバイトさんに関しては月に約200〜300名の入社があります。この点の効率化は極めて重要な課題です。
応募者の取りこぼしを防ぐこと、各店長がおこなっているアナログ作業の効率化。これら2つの課題解決に向けて、今まさにSmartHRのカスタマーサクセス担当者さんと一緒に入社手続きの効率化を進めています。
従業員の誰もが使いやすいように。運用に役立ったツール
現在、効率化を進められている最中だと思いますが、これまでの過程を振り返ってみていかがですか?
須藤さん:導入もそうですが、もともとはそれ以上に運用がうまく回るのかが心配でした。ただ、その点については担当者の方がいつも丁寧に説明してくれますし、従業員向けに使い方が書かれたマニュアルも用意していただきました。
実際は、弊社の運用にあわせて一部加工して利用しましたが、マニュアルを一から作るのとでは大きく工数が違います。とても助かりましたね。
他に何かスムーズな運用のために工夫したことはありますか?
須藤さん:店舗の従業員でいうと、老若男女様々な属性の方々が働いています。そのため、必ずしも従業員全員がITリテラシーが高いかというと、そんなことはないんですよね。
そんな背景もあり、先ほどのマニュアルもそうですし、SmartHRの初期登録を促すPOP、こういったものを活用して、誰もが使いやすい状態をつくることを意識しました。
最初からそういったツールが用意されていたのも、スムーズな運用につながったポイントでしたね。
効率化の先で実現したい2つのこと
それでは最後に、効率化の先で実現したいことを教えてください。
須藤さん:店舗側の観点では、先ほど述べたように、店舗責任者を含む従業員が本来注力すべき業務に集中できるような環境をつくっていきたいですね。
人事の観点では、組織が大きくなる中でも、必ずしも増員に頼らない生産性の高いバックオフィス部門をつくっていきたいと考えています。
組織が大きくなる = バックオフィス部門を大きくしなくてはいけない、この発想からの脱却が必要だと思っています。
今後はSmartHRを軸にRPAを連動させてさらなる効率化を図るなど、引き続き会社全体で効率化を推進していきたいと考えています。
取り組みにおける意気込みが伝わりました。須藤さん、本日はありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。