200名の内定書類準備が2営業日で完結。あいおいニッセイ同和損保の人事DX推進
主な活用機能・サービス
課題
- 入社手続き業務において紙書類による回収・管理に手間がかかっていた
- 回収した書類を人事部内の複数グループと受け渡しながら処理を進める煩雑な手続きフロー
- 新卒内定者およそ200名の内定式の配付書類準備に10営業日近くかかっていた
解決策
- 入社手続きの作成・発送・回収をSmartHRで実施
- スマートフォン向けアプリを積極的に活用
- 入社手続きにかかわる社員が必要な情報をいつでもSmartHRで閲覧できる環境を整備
効果
- 内定式の配付書類準備にかかる工数が2営業日に短縮
- 内定者が手元で簡単に手続きを完結できるように
- 社内の書類の受け渡しの手間が大幅に減少
国内最大規模の損保グループの中核事業会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社。
同社は2022年から人事業務の効率化をめざす人事改革プロジェクトを立ち上げました。その一環としてSmartHRを導入し、入社手続きのペーパーレス化・業務フローの見直しを進めてきました。
導入により負荷を大幅に削減できたと話すのは、同社人事部採用グループの蓜島知奈美さん、髙井真帆さん。社員や内定者のスムーズな活用を牽引してきました。導入の理由やスムーズな活用の工夫、今後の展望を伺いました。
全部署が関わる煩雑な入社手続きから、業務効率化に着手
はじめに、御社の人事部が推進する人事改革プロジェクトについて伺えますか?
髙井さん:弊社は中期経営計画において「CSV×DX」を掲げ、デジタル技術や他企業との連携による「社会との共通価値の創造(Creating Shared Value)」をめざしています。
社内でのデジタル活用も重視しており、人事領域の業務改革に注力してきました。具体的には、戦略立案・発信・実現に専念できる人事への変革を見据え、人事業務BPRと「人財」マネジメント策定に取り組んでいます。
今回、入社手続きの業務効率化から着手された背景を教えてください。
蓜島さん:入社手続きは人事部内の全グループが関わる業務だからです。部内全体の業務効率化に寄与できますし、皆で改革の第一歩を踏み出したいという想いがありました。
また、入社手続きのなかでも内定書類準備や回収は特定の期間に作業が集中します。人事の繁忙期とも重なりやすかったんです。その忙しさを解消するのも狙いのひとつでした。
入社手続き業務には、具体的にどのような課題がありましたか?
髙井さん:まずは紙書類による回収・管理に手間がかかっていたことです。
弊社は毎年約200名の新卒入社者を迎えるなか、人数分の入社手続き書類をすべて紙で回収していました。
内定式に配付する内定承諾書や就職承諾書、労働条件通知書といった書類も紙で配付していました。オフィスの複合機で200名分を一気に印刷すると、ほかの社員が使えませんので、合間を縫って50部ずつ印刷していました。印刷した書類の部数チェックやホチキス留めも含め、準備に10営業日近くかかっていました。
回収した書類はどのように管理していたのですか?
髙井さん:回収した書類は目視で不備をチェックし、表計算ソフトに修正の有無や提出状況を記録していました。データ更新の工数もかかりますし、ときには入力の漏れや間違いも発生してしまいます。紙書類を引っ張り出して、更新漏れを修正することも少なくありませんでした。
蓜島さん:加えて、人事部内での手続きのフローにも課題がありました。
弊社では入社手続きに複数のグループが関わります。たとえば給料の振込口座なら給与グループ、健康保険証の手続きなら健康管理グループ……といった形です。各グループが入社手続き書類を用意し、採用チームに回収を依頼。回収した書類を採用グループから各グループに展開していました。
採用グループと各グループの情報の受け渡しに手間もかかりますし、「この手続きはどのグループの誰に聞けばいいの?」と確認する場面も多々ありました。
また、入社手続き書類を各グループが別々に用意するため、氏名や住所など重複して収集している情報もありました。内定者は同じ情報を何度も書かなければならず、改善したいと考えていました。
手続きのフローを一本化できれば、人事部側も内定者側も負荷が下がるのではと考えました。
「何をすればいいか」が直感的にわかる画面、サポートの充実が決め手に
さまざまな選択肢のなかから、SmartHRを導入した決め手は何でしたか?
蓜島さん:ペーパーレス化により入社手続きの業務効率化が見込めたこと、そして各機能の操作性の高さが決め手です。必要な依頼や手続きをどこで実施できるのか、直感的に理解できました。
管理者側の画面だけでなく従業員側の画面も同様です。人事の手続きにはさまざまな種類があるため、メニューが複数並んでいるだけだと、操作に迷う方もいると思います。
ですが、SmartHRはホーム画面に依頼を受けた手続きがわかりやすく表示されます。アプリならポップアップ通知を押すだけで、必要な手続きのページに遷移します。必要なときに必要な場所にスムーズに誘導してくれる点に魅力を感じました。
髙井さん:サポート体制やサポートコンテンツの充実度もポイントでした。
入社手続きにかかわる従業員全員に一から操作方法を伝えるのはなかなか大変です。SmartHRは「ヘルプセンター」や「SmartHRスクール」など学習用のコンテンツが充実しています。それらを活用することでスムーズに導入を進められそうだと感じました。
また、管理者側だけでなく従業員側の画面でもチャットボットを利用できます。従業員が人事に問い合わせる手間、人事が回答する手間の両方を削減できる期待がありました。
ヒントメッセージをフル活用、社員区分で異なる書類準備も柔軟に対応
現在のSmartHRの活用状況を教えてください。
髙井さん:2023年度の内定者の入社手続き書類の作成・発送、回収をSmartHRで実施しました。中途採用を含め一気にすべての入社手続きに導入するのではなく、新卒社員の手続きから始めました。管理者側の私たちも少しずつ操作に慣れていけると考えたからです。
導入をスムーズに進めるために工夫したポイントもあれば教えてください。
蓜島さん:まずはSmartHRでの入社手続きの方法をまとめたマニュアルを作成しました。自分でテストをした際の操作方法やスクリーンショットを掲載しています。マニュアルは入社手続きにかかわるグループの従業員に展開し、何か質問があればマニュアルをみて回答してもらえるようにしました。
髙井さん:弊社では基幹社員やデータサイエンス、カスタマーサポート専任社員など、異なるコースで採用を実施しています。コースによって労働条件や就業規則が異なるため、各コースごとに正しい書類を配付、回収できるような工夫も必要でした。
具体的には従業員マスタにコースにまつわる情報をもたせ、文書配付機能で各従業員の内定通知書にコースの情報を差し込みました。
また入社書類も5パターンほどありますので、コースごとに書類セットを作成しました。各書類セットの配信人数はSmartHRの管理者側の画面で閲覧可能です。人数に間違いがないかをいつでも確認できるため、安心して利用できました。
内定者がスムーズにSmartHRを活用できるように工夫したポイントはありますか?
ヒントメッセージ機能(従業員が設問に答えやすいようにヒントのメッセージを追加できる)は大いに活用しました。
既存の入社手続きのマニュアルから、入力不備の起こりやすいポイントを抜粋してヒントメッセージを設定しました。たとえば「住所は番地までふりがなを入れてください」など細かい注意点もすべて記載しています。
ヒントメッセージ内にはチェックボックスも設定できます。入力後に「番地のふりがなを入力しましたか?」というヒントメッセージにチェックを入れてもらうようにしました。
髙井さん:内定者向けのコミュニケーションサイトでは、事前に「SmartHRで手続きをするので、アカウントを作成してください」とお伝えしました。
また、スマートフォン向けのアプリがリリースされたので、入社手続きの依頼と合わせてアプリのダウンロードや通知設定も呼びかけました。手元のスマートフォンですぐに手続きを完結できるほうが、内定者にとっても便利ですからね。
内定書類準備が2営業日で完結。内定者からは「アプリが便利」の声も
SmartHRの導入によって実感されている効果はありますか?
髙井さん:業務負荷を大幅に削減できました。内定式前の書類準備の工数は10営業日から2営業日に減りました。
2023年は人事制度の変更に伴い、内定式前の書類の準備期間が通常よりも短かったんです。ですが、SmartHRのおかげで新しい制度に沿って即日内容を差し替えて対応できました。
今までのやり方なら間に合っていなかったかもしれません。一度やってみて操作にも慣れましたから、来年は1営業日で完了させたいですね。
内定式に準備が間に合ってよかったです。
蓜島さん:当日は司会を担当していたので、事前に書類の配信を予約できる機能も助かりました。裏方をやりながら配信するのは相当難しかったと思います。
内定式ではSmartHRの画面をスクリーンに投影して「重要な書類を配付しましたよ」とお伝えしました。
人事部内での入社手続きのフローはどのように変わりましたか?
髙井さん:SmartHRの導入によって、入社手続きにかかわる社員が必要な情報をいつでもSmartHRで閲覧できる環境が整いました。今は各担当者がSmartHRで氏名や生年月日、住所など必要なデータをSmartHRからCSVなどでダウンロードし、手続きを進められています。受け渡しの手間も大幅に減りましたし、内定者の方に何度も情報を書いてもらう必要もなくなりました。
並行して、SmartHRと基幹システムの自動連携にも取り組んでいます。これにより各グループがSmartHRで必要な手続きを実施するとともに、基幹システムにデータを蓄積できるようになる見込みです。
業務のワンストップ化も順調に進めていらっしゃるのですね。導入について従業員や内定者からの反応はいかがですか?
髙井さん:これまで新たなシステムを導入すると、使い勝手に対して厳しいフィードバックが届くこともありました。ですが、SmartHRについては今のところ特にネガティブな声が届いていません。恐らくみなさん問題なく利用できているのだと思います。操作性の高さを重視してよかったなと感じます。
内定者からは「スマートフォンですぐ内定通知書を出せるのが便利」という声もありました。家を借りるときなどに不動産会社から内定通知書の提出を依頼される場面も多いようです。アプリがあれば手元のスマートフォンですぐにダウンロードして提出できます。内定者の方は皆さん日々慌ただしいでしょうから、少しでも負担を減らせていたら嬉しいです。
会社の未来を支える「人財」の採用に集中できるように
アプリも活用いただき嬉しいです。最後に、お二人の今後の展望を教えてください。
蓜島さん:さらなる業務の効率化を図りたいです。SmartHRで入社手続きや内定式の準備が大幅に効率化できました。システムで代替できる業務は沢山あるのだと実感しましたし、今後はもっと人にしかできない仕事に注力したいですね。
髙井さん:同じく今回SmartHRを導入したことで、事務的な作業以外の思考にかけられる時間が増えました。生まれた時間を使って、会社を支えてくれる人財との出会いを増やす活動に、より注力していきたいです。
SmartHRが御社の人事改革プロジェクトの一助になれば嬉しい限りです。今後の展開も楽しみにしています。今日は素敵なお話をありがとうございました。
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掲載内容は取材当時のものです。
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