労務業務の効率化と人事制度改革を実現。従業員の成長を支え、安心して働ける組織を目指して
課題
- 従業員情報を紙・表計算ソフトで管理。欲しい情報の収集が困難な状態
- 30名から100名に従業員規模が拡大し、担当者1人で管理する体制に限界
- 人事評価の運用が徹底されておらず、信ぴょう性の低い評価体制
解決策
- SmartHR上で従業員情報の一元管理に移行
- 年末調整をはじめ、労務業務のペーパーレス化を推進
- 人事評価機能によって評価データが蓄積される体制へ
効果
- 従業員情報が常に最新の状態になり、顧問社労士・税理士も負担軽減
- 2か月以上要していた年末調整の対応が1か月弱で完了
- 人事評価の明確化・可視化が進み、がんばった従業員が正当に評価される体制が実現
株式会社インテリア日向は、宮崎県日向市に本社を置く住宅の内外装工事を祖業とする企業です。
同社は、カフェやベーカリーを併設する雑貨店「アフランシール」を日向市・宮崎市・都城市で運営するほか、グループ会社のT3 report(ティースリーリポート)では日向市の複合商業施設「ステアーズ・オブ・ザ・シー」の運営や店舗企画・設計など、地域密着型の新規事業にも積極的に取り組んでいます。
同社およびグループ会社の代表を務める三宅さんと、総務マネージャーの西山さんに、SmartHR導入の背景や効果についてお話を伺いました。
組織の拡大により、アナログな従業員情報管理が限界に
三宅さん・西山さんの現在の業務内容を教えてください。
三宅さん:私は高校卒業後、設計事務所、商社勤務を経て父の経営するインテリア日向に入社しました。
当社はもともと地域密着で住宅の内外装工事を手がける会社でしたが、1998年に雑貨店を運営するショップ部門、2018年に複合商業施設の運営や店舗の企画・設計を担うグループ会社を、それぞれ私が主導して立ち上げ、新規事業にも積極的に取り組んでいます。
現在は父から経営を引き継ぎ、私がインテリア日向とグループ会社の代表を務めています。
西山さん:私は2022年2月に入社し、インテリア日向とグループ会社2社の総務マネージャーを務めています。労務管理については、現在は3社合計で100名弱を担当しています。
SmartHR導入以前に抱えていた課題を教えてください。
西山さん:これまで従業員に紐づくさまざまな情報は紙と表計算ソフトで対応していたため、どの情報を・誰が・どこで管理しているのか把握しきれていない状態でした。
このような状態では、情報を集めるだけでも非常に時間がかかるだけでなく、ガバナンスの面からリスクがあると考え、管理部門で情報を一元管理できる体制つくりが急務となっていました。
三宅さん:人事労務についても以前は担当者が1名でした。事業拡大とともに従業員が増え、当初の30名から100名規模になった最初の1年はどうにか対応できたのですが、さらなる事業の発展を考えるといよいよ限界を感じていました。
担当者にしか使えないシステムでは意味がない。属人化解消へ向けた取り組み
SmartHRは三宅さんから社内へご紹介くださったそうですが、どのように知っていただきましたか?
三宅さん:世間でDXが盛んに叫ばれていた2年ほど前に、地元の銀行が主催した経営者向けのDX勉強会に参加したことがきっかけで、自分でもいろいろと調べるようになりました。そのときにSmartHRを見つけたのです。はじめて見たときは、世の中にはこんなに便利なシステムがあるのかと驚きました。そして、将来に向けた組織づくりの一環として、導入検討を西山に一任しました。
西山さん:三宅からはSmartHRの導入ありきではなく、あくまで「こういうソフトもあるから一度検討してみて」という形で依頼を受けました。
そこでまずはSmartHRも含め、クラウドの人事労務ソフトで何ができるのかを洗い出すことからはじめました。機能や料金はもちろん「システムを導入せず人員を1人増やし、これまで通り紙と表計算ソフトで管理した場合の人件費と、システムを導入した場合の費用がどれくらい違うのか」も試算して比較しました。
そのうえで実際にトライアルで触ってみて、労務担当の立場としてSmartHRがもっとも使いやすく、かつ、従業員が利用するうえでもわかりやすいUIであると感じ、導入の提案書をつくって役員会に上申しました。
導入の稟議を一度差し戻しされたそうですが、どのような背景があったのでしょうか。
三宅さん:私が懸念していたのは、業務の属人化です。たとえ業務効率化が見込めるシステムであったとしても、西山にしか使えない状態はあまり健全とは言えません。この課題をどうクリアするかまで含めて、再検討するように指示しました。
西山さん:「担当者が変わっても問題なく運用が継続できるか」という観点から、改めて検討しました。
まず、私から別の人に業務を引き継ぐ際はサポート体制が重要であると考えました。SmartHRには基本的な使い方を学べるSmartHRスクールや困ったことがあればヘルプセンターやチャットサポートが充実していることを提案書に付け加えました。
また、社内での工夫として、「どんな部分で引っかかりサポートを受けたか」「当社向けにカスタムした部分はどこか」を共有できる体制を整えました。
これらを踏まえ再度役員会でSmartHRの導入を検討してもらい、最終的な決裁が下りました。
情報の一元化で社労士・税理士事務所との連携もスムーズに。従来の半分の期間で年末調整が完了。
SmartHRを導入いただいて、どのような効果を実感されましたか?
西山さん:従業員情報の一元化が進んでいます。SmartHR導入前は、従業員情報の管理が十分ではなく、情報が更新されていなかったり、一部の情報が歯抜けになっていました。
初年度は、年末調整のスタート前にSmartHRで最新の情報を入力してもらったので、従業員情報を漏れなく収集でき、また従業員にとっても「SmartHRによる年末調整の予行演習」になったと思います。
さらに、SmartHRに最新の従業員情報が集まったことで、社労士事務所・税理士事務所との連携もスムーズになりました。
情報に抜け漏れがあった当時は、手続きをお願いするたびに足りない情報があり、顧問社労士・税理士から問い合わせを受けていました。SmartHR導入後は情報が整っていることで、先生方からも非常に喜んでいただけました。
労務領域において業務効率化は進みましたか?
西山さん:年末調整について、従来は2か月以上かかっていたものが、SmartHR導入後は1か月弱で終えられるようになりました。
SmartHR上で従業員一人ひとりの進捗状況を確認できるので、提出が滞っている従業員へのサポートもしやすかったです。
新たな人事評価制度を98%の従業員が高評価
SmartHRの導入を機に、人事評価制度の見直しも実行されたとお伺いしました。
三宅さん:はい、見直し自体は以前から検討していましたが、人事評価機能の導入に合わせて新しい制度づくりに着手しました。実は、評価制度自体は10年以上前からあったのですが運用が徹底されていたとは言えませんでした。そのため、評価の信ぴょう性が低くなってしまい、従業員側からすれば「がんばりをちゃんと評価してもらえない」、会社側からすれば「こうしてほしいのに物足りない」という、期待値のずれが生じていました。
今回の導入にあたり、従業員と会社の双方に納得感があり、信ぴょう性が高い評価制度設計を目指して、評価制度の見直しをスタートしました。
西山さん:制度の設計にあたっては、まず「会社から従業員に対して期待している項目を、明確に言語化すること」を重視しました。
以前の項目は、「規律を守って働いているか」「周囲の模範となる行動を取れているか」といった抽象的な表現になっていたことに加え、職種問わず全社一律の項目でした。これを、基本項目・専門項目・目標の3分野に分けて運用するように変更しました。
専門項目は、たとえば飲食に携わる人であれば「衛生管理ができているか」など、職種別の項目を各部門の部門長とも相談しながら設定しました。
新しい評価制度の運用がはじまり、社内からはどのような声がありましたか?
西山さん:初年度の評価終了後、自己評価と会社の評価を対比できるよう、評価データをCSVで集計・グラフ化して全従業員に配布、ヒアリングを実施したところ、
- どんな点が評価されるのかわかりやすくなった
- 評価が目に見える形に残ることで自分の強み・弱みがわかり、行動を見直すきっかけになった
など、98%の方が非常に肯定的な受け止め方をしてくれていることがわかりました。
三宅さん:経営者としては、SmartHRを使うことで人事評価の結果がデータとして可視化されるようになったのは嬉しいポイントです。
事業グループや商材カテゴリ、店舗ごとにデータが確認できるので、たとえば「売り上げが伸びている店舗は従業員の熱量も高い」といった関係性が、人事評価から見えてくるようになりました。
また、SmartHRに過去の評価データが残ることで「前回よりもここが伸びていますね」「ここがすごく変わって、成長できましたよね」という振り返りができるのは、従業員にとっても会社にとってもよい状態だと思います。
「いい仕事」をすることで従業員も会社も双方が豊かになる
新しい評価制度による結果をすぐに給与に反映されたそうですね。
三宅さん:単に「評価制度を変えました」ではなく、それが会社や自分たちにとってどれほど重要な意味をもつのか、みんなに実感してほしかったのです。
仕事のやりがいは給与だけではありませんが、自分のがんばりが給与に反映されるのを見てもらうことで、評価制度の大切さを実感しやすいのではないかと考えました。
自分のがんばりで会社が成長して、会社が成長すれば自分にもプラスになる。いい仕事をすることで従業員も会社も両方が豊かになるということを伝えたかったのです。
新しく表彰制度もつくられ、第1回は西山さんも表彰を受けられたと伺いました。
三宅さん:これまでも、前年度の振り返りや店舗単位での成績発表はありましたが、それをより具体的にして、会社に貢献してくれた人が実際にどのようなことをしたのか、それがどう評価されたのかということをみんなに知ってもらうために、経営計画の発表会で一人ひとりを表彰し、記念品も授与する形に変わりました。
西山も初年度の表彰者の一人です。今回のSmartHR導入も含め、労務の業務改善や組織づくりへ貢献してくれたことが評価ポイントとなりました。
この新しい表彰制度自体、人事評価の明確化・可視化が進み、がんばった従業員が正当に評価される体制があってのことなので、SmartHRでの人事評価がなければ実施できなかったでしょう。
従業員一人ひとりが成長でき、安心して働ける組織を目指して
今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
西山さん:現在は今期の評価シートの作成を進めています。
とくに重要なポイントとなるのが「目標」の設定です。従業員一人ひとりが自分の将来を自分で考え「この会社で何をするのか」を掲げてもらう。そうすれば、日々の取り組むべき業務や態度が明確になり、ブレない芯になると考えています。
三宅さん:当社で働いてくれている人たちから「数年前と比べて変わったよね、安心して働けるよね」と言ってもらえるように、これまでの取り組みに力を注いできました。
その取り組みを継続しながら、従業員一人ひとりの成長が会社にとってプラスになり、そして会社が成長することが従業員にとってもプラスになるという循環を生んでいけるように、これからも組織づくりに取り組んでいきたいと思っています。
人事評価の明確化・可視化によって、従業員の成長を促し、組織の成長を実現する姿に感銘を受けました!三宅さん、西山さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
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掲載内容は取材当時のものです。