公開日:2026/08/31
店舗・工場の労務判断はなぜ属人化する?相談を支える3つの機能

目次
就業規則は整えたのに、現場では管理職が“自身の基準”で残業や例外を判断せざるを得ない、そんな場面はないでしょうか。
SmartHRは人事・労務・総務担当者246名に調査を実施しました。その結果、会社支給のPCを持たないノンデスクワーカーの比率が高い職場ほど、労務の判断が現場の管理職に委ねられやすい実態が見えてきました。このような属人化は現場の担当者がその場を止めないための誠実な対応でもあります。
本記事では調査データをもとに、ノンデスクワーカー比率に応じた職場の傾向と、現場を含む全員に「正しい相談先」を届けて判断を後押しする仕組みを解説します。
この記事でわかること
- ノンデスクワーカーの比率が高い職場ほど、労務判断が現場の管理職に委ねられやすい
- 現場での“自分の基準”による判断は、現場を回すための誠実な対応でもある
- 現場にも「その場で聞ける相談先」を届け、判断を後押しできる仕組みが大事
その残業許可、いま現場はどう判断していますか
全体の8割は「就業規則は働き方の実態を反映できている」と答えます。それでも「この残業は認めてよいか」「この例外は規則の範囲内か」を、どこで・誰が下しているかは、職場のかたちによって自然と変わってきます。本章ではまず調査の前提と、ノンデスクワーカー比率別に傾向をみる意味を確認します。

本調査の概要と「ノンデスクワーカー比率別」で見る意味
SmartHRは、就業規則と現場の実態がどこまで実態に即しているか同期できているかを確かめるため、「就業規則と働き方の実態に関する調査」を実施しました。
- 調査名:就業規則と働き方の実態に関する調査
- 調査主体:株式会社SmartHR
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2026年6月23日〜25日
- 回答者:従業員51名以上の企業に勤める人事・労務・総務部門の管理職および担当者 計246名(設問により、相談を受けた管理職135名を集計)
本記事では、「会社支給のPCを持たない従業員(店舗・工場・現場スタッフ)」=ノンデスクワーカーの比率で回答者の職場を3つに分けて分析します。「5割以上いる」(n=98)、「3割以下いる」(n=89)、「いない」(n=59)です。
本記事が主役に据えるのは、現場スタッフを抱える「5割以上いる」「3割以下いる」の2区分です。ノンデスクワーカーがいない職場は参考として折々に触れる程度にとどめ、あくまで「現場を抱える職場が、その比率に応じてどう労務判断を回しているか」を軸にみていきます。
※構成比(%)は小数第1位を四捨五入した整数で記載しており、合計しても100%にならない場合があります(nは実数)
現場を抱える職場ほど、規則の“外側”の運用が生まれやすい
現場スタッフを抱える職場では、規則に書ききれない働き方が自然と積み重なっていきます。規則に明記されていない、あるいは慣例的な働き方をたずねた設問で「ある」という割合は、ノンデスクワーカーが3割以下いる職場で73%、5割以上いる職場でも66%でした。
現場スタッフを抱えた職場では7割前後で、何らかの“規則の外側”の運用が生まれています(参考までに、ノンデスクワーカーがいない職場では39%まで低下します)。

こうした規則外の運用は、働く場所も使う端末もばらばらな現場では、どうしても起きやすいことです。ルールを一言一句あてはめるより、その場を止めないことを優先せざるを得ない場面がある——現場を抱える職場にとって、これはむしろ自然な姿だといえます。だからこそ、比率が上がるほど強まるこの傾向を前提に、人事がどう支えるかが問われます。
現場を抱えるほど、労務判断は現場の管理職に委ねられていく
現場スタッフを抱える職場では、労務判断の“出どころ”が人事部から現場へと移っていきます。本章では、判断の主体がどこにあるのかを軸に、比率に応じた傾向をみていきます。
“自分の基準”で判断する管理職——5割以上33%・3割以下47%
規則では判断が難しい働き方の相談を受けた管理職(n=135)に、その対応をたずねました。現場スタッフを抱える職場で「常に人事部に相談し、公式な判断を仰ぐ」と答えた割合は、5割以上いる職場で47%、3割以下いる職場で43%でした。相談を受けた管理職の半数以上が、人事の公式判断を待たずに現場で対応していることになります(ノンデスクワーカーがいない職場では78%が人事に相談すると回答)。
かわって増えるのが、“自分の基準”での判断です。「人事部には相談せず、過去の慣習や自分の基準で許可を出す」と答えた割合は、3割以下いる職場で47%、5割以上いる職場でも33%にのぼります。
現場から相談が上がるたびに人事の判断を待っていては、目の前の業務が止まってしまうため、現場を抱える職場では、管理職が自ら判断して場を回すことがどうしても常態になっていきます。責めるべきは管理職個人ではなく、現場で即断せざるを得ない状況そのものです。

規定の外側で動く現場は、まじめさの裏返し
“自分の基準”による判断は、規定外の運用として積み上がっていきます。前章でみたとおり、現場スタッフを抱える職場では約7割が何らかの規定外運用を抱えていました。内訳をみると、事実上黙認された副業や、上限を超える残業の事後承認・付け替えなど、労働時間やコンプライアンスに直結する項目が並びます。
ここで押さえておきたいのは、これが担当者の怠慢ではないということです。人事の目が届きにくい現場では、判断に迷ったときすぐに相談できる相手がいません。それでも現場を止めるわけにはいかないから、管理職が経験則で決めて場をつないでいる——いわば現場のまじめさの裏返しです。だとすれば、打つべき手ははっきりしています。現場に「正しい相談先」を届けることです。
属人化のカギは、現場に「正しい相談先」が届いているか
現場で判断が積み上がる背景には、最新のルールにも相談窓口にもたどり着きにくいという情報環境の差があります。逆に、ここを整えれば現場の判断はぐっと支えやすくなります。本章では、その“届きやすさ”の現状をデータで確認します。
最新の規則に「いつでも届く」かの差
最新の就業規則を「スマホやPCからいつでも数クリックで確認できる」と答えた割合は、ノンデスクワーカーが3割以下いる職場で24%にとどまりました(いない職場では39%)。

さらに、就業規則を最新の状態に更新するうえで困難なプロセスとして「全従業員への正確 な周知・説明会の実施」を挙げた割合は、5割以上いる職場で38%、3割以下で30%にのぼります。現場スタッフの比率が高い職場ほど、最新ルールを届けること自体に困難さを感じているのです。

だからこそ避けたい「うっかり法令違反」
相談先が届かないまま現場の判断が続くと、リスクは静かに積み上がります。規則が古いまま・届かないまま放置された場合の懸念として「意図せぬうっかり法令違反による行政指導」を挙げた割合は、ノンデスクワーカーが5割以上いる職場で45%と全区分で最も高く、3割以下で37%でした。
現場を抱える職場ほど、悪意なき違反への不安が大きい——これは裏を返せば、現場を守りたいという人事の当事者意識の表れでもあります。この不安は、相談先や最新ルールを届ける仕組みがあれば、着実に減らすことができます。
なお、作成・変更した就業規則を労働者に周知することは労働基準法第106条で義務づけられており、周知は「やったほうがよいこと」ではなく法令上の要請です。相談先や最新ルールが現場に届かない状態は、この周知義務の実効性そのものを揺るがしかねません。

相談先を全員に届けるSmartHRの3つの機能
ここからは、調査で見えたテーマ——「現場に相談先を届け、労務判断を後押しする」——を実現するSmartHRの機能を、課題と1対1でひも付けて紹介します。
『AIアシスタント』——就業規則を学習し24時間その場で回答
属人判断のいちばんの原因は、「判断に迷ったとき、すぐ聞ける相手が現場にいない」ことでした。この課題に応えるのがSmartHRの『AIアシスタント』です。
就業規則やマニュアルなどの文書ファイルをアップロードするだけでAIが学習し、従業員からの人事・労務に関する問い合わせに24時間365日その場で回答します。雇用形態に応じて情報の公開範囲も設定できるため、社内情報を安全に扱いながら、現場スタッフや管理職が「自分の基準」で決める前に、まず正しい一次回答にアクセスできる状態をつくれます。
事前に大量の想定問答を用意する必要がなく、管理部門の問い合わせ対応工数を抑えながら、現場の「その場で聞ける相談先」を整えられます。


お役立ち資料
AIアシスタントご案内資料
この資料でこんなことが分かります
- 従業員からの問い合わせ対応に関する課題
- SmartHRの「AIアシスタント」とは
- SmartHRの「AIアシスタント」の特徴と活用例
- 事前テストユーザーの声
『スマホアプリ』——PCを持たない現場にも相談窓口を届ける
どれほど優れた相談窓口でも、現場に届かなければ意味がありません。
SmartHRの『スマホアプリ』は、社用パソコンやメールアドレスを持たない従業員でも、社員番号でログインして利用できます。
プッシュ通知が届くため、働き方や契約形態を問わず情報を見逃しづらく、『AIアシスタント』への相談も、最新ルールの確認も、自分のスマートフォンから完結可能です。「いつでも数クリックで確認できる」が24%にとどまった職場でも、現場スタッフの手元に相談・確認の入口を直接届けられます。

お役立ち資料
3分でわかるスマートフォン向けアプリ
この資料でこんなことが分かります
- SmartHRのスマートフォン向けアプリとは
- スマートフォン向けアプリで広がるSmartHRの可能性
- スムーズに導入可能なスマートフォン向けアプリ
『お知らせ機能』——判断の前提となる最新ルールを行き渡らせる
正しい判断の前提は、最新のルールが全員に共有されていることです。
SmartHRの『お知らせ機能』は、アルバイトを含むすべての従業員にタイムリーな情報を発信でき、雇用形態・部署・役職による配信対象の絞り込みや個別通知にも対応しています。
規則の改定や新しい運用ルールを、現場を含む全員へ確実に届けることで、「知らなかった」に起因する属人判断や不公平感を減らすことにつながります。
(周知・同意の受領確認まで記録に残したい場合は『文書配付機能』が、現場の労働時間の見える化には『勤怠管理』が有効です。)


お役立ち資料
お知らせ機能 資料2点セット
この資料でこんなことが分かります
- SmartHRのお知らせ機能とは
- 届けるべき情報を、届けられる理由
- お知らせ機能を活用したモデルケース
- 実務に使えるサンプル例文付き
【5】「現場の勘」を「組織の後押し」で支える
調査から見えたのは、労務判断の属人化が管理職の資質の問題ではなく、「現場に相談先が届いているか」という構造の問題だということでした。ノンデスクワーカーの比率が高い職場ほど判断は現場に委ねられ、最新ルールも相談窓口も届きにくくなります。ただ、それは現場が誠実に場を回している証でもあり、届け方さえ整えれば十分に支えられる課題です。
必要なのは、判断力の高い管理職を各現場に配置することではなく、誰もが「その場で正しい相談先にアクセスできる」仕組みを組織として持つことです。就業規則を学習したAIがいつでも答え、現場のスマホにも相談窓口と最新ルールが届く。そうして現場の即応力に組織の後押しが加わったとき、労務判断はより安心できるものになります。まずは自社の現場に、相談先が届いているかを点検することから始めてみてください。
岸本 力
社会保険労務士/CEwin労務コンサルティングオフィス代表
SmartHRお役立ち資料集
この資料でこんなことが分かります
SmartHRの機能概要と導入メリット
従業員とのコミュニケーションを円滑にする機能
入社手続きのペーパーレス化で変わること
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