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公開日:2026/07/29

人的資本経営とは? 注目される背景や進め方、事例をわかりやすく解説

目次

人的資本経営とは、従業員を企業の重要な資本と捉え、人材育成や働きやすい環境づくりへの投資を通じて企業価値の向上を目指す考え方です。

近年は人的資本開示の義務化や、人材不足、DXの進展などを背景に、多くの企業で人的資本経営への関心が高まっています。一方で、「人的資本経営と人的資本開示の違いがわからない」「何から取り組めばよいのかわからない」と感じている方も多いでしょう。

本記事では、人的資本経営の基本的な考え方や注目される背景、取り組むメリット、具体的な進め方、企業事例などをわかりやすく解説します。

“選ばれる会社になるため”の「人的資本経営」事例集

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“選ばれる会社になるため”の「人的資本経営」事例集

今後、少子高齢化によって労働力人口が減少し、従業員の確保が難しくなるといわれています。 上場企業の「人的資本の情報開示義務化」など、企業規模や業種を問わず、選ばれる企業になるためには、人的資本経営への本格的な取り組みが必要でしょう。 本冊子では、人的資本経営を推進する3社の事例をもとに、「選ばれる会社」になるための取り組みをご紹介します。

この資料でこんなことが分かります

  • 人的資本経営へ取り組むべき理由
  • 人的資本経営を推進するために人事担当者がやるべきこと
  • 人的資本経営に取り組んでいる企業の施策紹介と推進のポイント
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人的資本経営とは?

植木鉢の植物にジョウロで水を与える手と、葉に3人のビジネスパーソンのアイコンが描かれた植物のイラスト

人的資本経営とは、従業員の知識やスキル、経験などを企業の重要な資本と捉え、人材育成や働きやすい環境づくりに投資することで、企業価値の向上につなげる経営の考え方です。

近年では、人的資本に関する情報開示の重要性が高まっており、国際的なガイドラインである「ISO30414」も人的資本経営に関連する指針として注目されています。

ここでは、従来の人事(人的資源管理)や人材育成との違い、人的資本経営が注目される契機となった経済産業省の「伊藤レポート」(2014年)について解説します。

従来の人事(人的資源管理)や人材育成との違い

人的資本経営は、従来の人的資源管理や人材育成と似ているように見えますが、以下のように考え方や目的に違いがあります。

項目

従来の人事(人的資源管理)・人材育成

現在の人的資本経営

考え方

人材を管理・活用する「資源」と捉える

人材を企業価値を高める「資本」と捉える

目的

業務の効率化や人材育成

人材への投資を通じて企業価値や競争力を高める

実施部門

主に人事部門が中心

経営層と人事部門が連携し、経営戦略と人材戦略を一体で推進する

従来の人事(人的資源管理)は、採用や配置、評価、勤怠管理などを通じて、人材を効率的に活用・管理することに重点が置かれていました。また、人材育成は従業員のスキル向上や能力開発を目的とした取り組みです。

一方、人的資本経営では、人材を単なる「資源」や「コスト」ではなく、企業価値を高めるための「資本」と捉えます。そのため、人材育成そのものを目的とするのではなく、人材への投資を通じて企業の成長や競争力向上を実現することを目指します

また、従来の人事施策は人事部門が中心となって進めるケースが一般的でしたが、人的資本経営では経営戦略と人材戦略の連動が重視されます。経営層と人事部門が連携しながら人材への投資を進める点も、大きな違いの一つです。

人材戦略に必要な「3つの視点」と「5つの要素」(伊藤レポート)

2014年の「伊藤レポート」が企業価値向上の考え方を示したのに対し、人材版伊藤レポート(2020年)は、その考え方を人材・組織の観点から具体化した報告書です。人材版伊藤レポート(2020年)では、人的資本経営を実践するための考え方として、「3つの視点(3P)」と「5つの共通要素(5F)」が示されています。

3Pは人材戦略を考える際の基本的な視点を示したものであり、5Fはその取り組みを推進するために必要な要素を整理したものです

3つの視点(3P)

内容

経営戦略と人材戦略の連動

経営目標の達成に向けて、どのような人材が必要かを明確にし、人材戦略と経営戦略を結び付けること

As is-To beギャップの定量把握

現在の人材状況と目指す姿の差を可視化し、採用や育成などで優先的に取り組むべき課題を明らかにすること

企業文化への定着

人的資本経営の考え方を現場まで浸透させ、継続的に実践できる組織文化を形成すること

5つの共通要素(5F)

内容

動的な人材ポートフォリオ

経営戦略の実現に必要な人材・スキルを明確にし、採用・配置・育成を継続的に見直す

知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

多様な知識や経験、価値観を持つ人材が活躍できる環境を整え、新たな価値創出につなげる

リスキリング・学び直し

従業員の継続的な学びやスキル習得を支援し、変化する事業環境に対応できる人材を育成する

従業員エンゲージメント

従業員の働きがいや企業への貢献意欲を高め、組織全体の生産性や企業価値の向上につなげる

時間や場所にとらわれない働き方

リモートワークなど多様な働き方を取り入れ、一人ひとりが能力を発揮しやすい環境を整備する

出典:経済産業省ホームページ

3Pと5Fは、人的資本経営を進めるための基本的なフレームワークです。それぞれの考え方を人材戦略に取り入れることで、企業価値の向上につながる取り組みを進めやすくなります。

人的資本経営が注目されている背景

水色とピンクの背景の上に置かれ、白い糸で網の目状に繋がれた人物アイコン入りの木製ブロック

人的資本経営は、多様な働き方の普及や企業価値の評価基準の変化などを背景に、多くの企業で注目されています。ここでは、人的資本経営が求められるようになった理由について解説します。

  • 多様な人材を活かす経営が求められている
  • 企業価値を評価する基準が変化している
  • ESG投資やSDGsへの関心が高まっている
  • DXや技術革新で人材の重要性が高まっている

多様な人材を活かす経営が求められている

少子高齢化にともなう労働人口の減少だけでなく、外国人やシニア人材の活躍、リモートワーク、時短勤務の普及など、人材や働き方の多様化は加速する一方です。

このような変化のなか、全従業員に一律の働き方や評価基準を適用する従来型の人材管理では、組織の力を十分に引き出すことが困難になりつつあります。

したがって企業は、一人ひとりの知識やスキル、価値観を活かせる環境を整えなければなりません。上記のようなビジネス環境の変化から、人材の力を企業の成長へとつなげる「人的資本経営」という考え方が注目されています。

企業価値を評価する基準が変化している

近年は、企業の価値を評価する際に、売上や利益、設備といった財務情報だけでなく、人材や技術、ブランドなどの無形資産も重視される傾向にあります。

とくに投資家や金融機関は、企業が将来にわたって成長できるかを判断するため、人材育成への投資や従業員の活躍状況などにも注目するようになりました。

そのため、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりや、人材への継続的な投資を進める人的資本経営は、企業価値向上の観点からも不可欠と言えます。

ESG投資やSDGsへの関心が高まっている

人的資本経営が注目されるようになった背景には、ESG投資やSDGsへの関心の高まりも深く関係しています。

ESG投資とは、売上などの財務情報だけでなく、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」への取り組みも評価に含める投資手法のことです。

人的資本は、「社会(Social)」や「ガバナンス(Governance)」に関わる重要な要素と捉えられています。さらに、SDGs(持続可能な開発目標)においても、「働きがいも経済成長も」という目標をはじめ、人材育成や多様な働き方の推進が欠かせません。

持続可能性を重視する社会の潮流が、従業員の成長支援や環境づくりに注力する人的資本経営への後押しとなっています。

参考:8. 働きがいも経済成長も-公益財団法人 日本ユニセフ協会

DXや技術革新で人材の重要性が高まっている

DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの普及によって、多くの定型業務が自動化される時代となりました。

一方で、新たな商品やサービスの開発、業務改善の企画立案など、企業の競争力を高めるためには人材の知識や創造性がこれまで以上に重要性を増しています

また、技術の進歩によって市場環境の変化が速くなるなか、従業員が新しい知識やスキルを継続的に習得できる環境を整えることも欠かせません。

企業が持続的に成長するためには、人材への投資を通じて従業員一人ひとりの能力を高め、その価値を最大限に活かしていく人的資本経営が求められているのです。

人的資本経営に取り組む5つのメリット

「MERIT」と書かれた大きな黄色い風船と、「DEMERIT」と書かれた小さな風船を持つビジネスパーソンのイラスト

人的資本経営に取り組むことで、従業員のエンゲージメント向上や生産性向上、人材の確保・定着などさまざまな効果が期待できます。

ここでは、企業が人的資本経営を推進する主なメリットを5つ紹介します。

  1. 従業員のエンゲージメント向上により、優秀な人材の離職を防げる
  2. 現場の業務効率が高まり、生産性や業績の向上が期待できる
  3. 優秀な人材の確保や定着につながる
  4. 新しいアイデアや価値創出につながる
  5. 企業価値の向上につながる

1.従業員のエンゲージメント向上により、優秀な人材の離職を防げる

従業員が成長を実感し、自身の能力を発揮できる環境は、組織への信頼や仕事への意欲を高めることから、エンゲージメントの向上につながります。 

組織からのサポートを実感できれば、仕事へのモチベーションや会社に対する愛着も高まります。さらに、自身のステップアップが会社の成長に連動していると実感できれば、主体的なアクションや組織へ貢献しようとする姿勢にも好影響を与えるでしょう

従業員が組織への信頼や会社とのつながりを実感し続けるためには、成長を支える取り組みを継続することが重要です

エンゲージメントを高めるには、従業員の成長を支える仕組みづくりが欠かせません。スキルの可視化や育成の仕組み、自律的に学び・成長できる組織づくりについて詳しく知りたい方は、以下の資料もあわせてご覧ください。

従業員の能力を高めるスキルマップの作り方

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従業員の能力を高めるスキルマップの作り方

労働人口の減少に伴い、労働力確保が難しさを増している昨今。限られた人的リソースを最大限活用して、経営目標の達成を目指すことが重要視されています。そこで、従業員に新しいスキルを獲得させる「リスキリング」など、従業員の能力向上に取り組む企業が増えています。 従業員の能力向上には、まず従業員一人ひとりがどんな能力を持っているのか、従業員のスキルを可視化することが重要です。 本資料では、従業員のスキルを効率的に可視化するための「スキルマップ」の作り方を紹介します。

この資料でこんなことが分かります

  • 「スキルの可視化」、なぜ重要?
  • スキルの可視化に役立つ「スキルマップ」
  • 「スキルマップ」の作り方
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自律型人材が育つ組織へアップデートするには?

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自律型人材が育つ組織へアップデートするには?

激変する社会環境で企業が生き残るには、臨機応変さが欠かせません。 そこで重要になるのが、上司や先輩の指示を待たずに、主体的に業務遂行やスキルアップができる「自律型人材」です。 本資料では組織づくりに不可欠な評価制度を見直すことで、自律型人材が育つ組織にアップデートするポイントをご紹介します。

この資料でこんなことが分かります

  • 自律型人材が自然と育つ組織の3つの特徴
  • 自律型人材を育てる評価制度の2つの特徴
  • 自律型人材を育てる評価制度の設計・運用のポイント
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2.現場の業務効率が高まり、生産性や業績の向上が期待できる

人的資本経営の取り組みでは、まず人材育成やスキルアップへの投資を通じて、従業員自身の能力を高めていきます。

あわせて、本人の持つスキルや経験を活かせる部署へ配置し、各自が力を発揮しやすい環境を作ることも欠かせません

3.優秀な人材の確保や定着につながる

人的資本経営に力を入れている企業は、従業員の教育や働きやすい職場づくりに積極的な企業として評価されやすく、採用競争力の向上が期待できます。

近年は給与や待遇だけでなく、キャリア形成支援や研修制度、働きやすい環境などを重視して就職・転職先を選ぶ人もいます。ある民間企業が実施した調査によると、転職活動において「キャリア育成支援・社内研修・リスキリング制度」や「働きやすさ」を重視したという回答がみられています。そのため、人材育成やキャリア支援の取り組みを充実させることは、優秀な人材の確保につながる取り組みと言えるでしょう

実際に株式会社迫田では、「選ばれる企業」を目指して『SmartHR』の人事評価や従業員サーベイ、配置シミュレーションを活用し、従業員一人ひとりの評価やキャリア意向を踏まえた人材配置を実施しています。360度評価で高い評価を受けた従業員を店長へ抜擢するなど、従業員の強みを活かした配置につなげているのが特徴です。

同社がどのように人材配置やタレントマネジメントを実践し、「選ばれる企業」を実現しているのかは、以下の事例をご覧ください。

従業員の評価やキャリア意向を踏まえた人材配置や育成を行うことで、一人ひとりの成長やキャリアを支援する仕組みを整えることで、従業員の満足度や定着率の向上が期待できます。

また、従業員の定着率向上には、離職の兆候を早期に把握し、組織課題を可視化する取り組みも重要です。詳しくは以下の資料もあわせてご覧ください。

離職の予兆は把握できる?組織課題の可視化とは

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離職の予兆は把握できる?組織課題の可視化とは

離職の予兆に気付くことはそう簡単にできることではありません。とくにテレワーク制度を推進する企業など、普段から顔をあわせる機会が少ない組織では、従業員が発する「予兆」を物理的に捉えることは困難です。本資料では、把握すべき離職の予兆がどういったものかを整理し、その原因をいち早く察知して取り除くためにできる1つの方策をお伝えします。

この資料でこんなことが分かります

  • 離職のきっかけになりうる組織課題の可視化とは
  • 離職の原因を察知して取り除く1つの方策
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4.新しいアイデアや価値創出につながる

人的資本経営の取り組みでは、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる環境の整備を重視します。

異なる経験や知識、価値観を持つ従業員がチームを組むことで、新たな視点や自由な発想が生まれやすくなるのがメリットです。同時に、個々のスキル向上やチャレンジを後押しする姿勢は、現場の業務改善や新しい事業の立ち上げを促すことにもつながるでしょう。

市場の変化が激しい現代において、常に新しい価値を生み出し続けられる組織の基盤を作ることは、企業の競争力を高めるためにも欠かせません。

5.企業価値の向上につながる

人的資本経営は、働く人への投資を通じて、会社がこれから先も長く成長していくための土台を作る取り組みです。

従業員のスキルアップやチームの団結によって日々の業績が伸びるだけでなく、人材への姿勢を社外へきちんと伝えることで、投資家や取引先からも、信頼できる会社として認めてもらいやすくなります

数字に表れない「人の力」に注目が集まる今の時代だからこそ、人材への投資や従業員の成長を経営の重要なテーマとすることが、結果として会社全体の価値を高めることになります。

人的資本経営を推進する4つのステップ

「STEP1 STEP2 STEP3」と書かれたノートと黒いペン、その手前に「PLAN」の文字が並ぶ木製ブロック

人的資本経営は、人材への投資を行うだけでは実現できません。自社の現状を把握したうえで目指す姿を定め、施策の実行と改善を継続していくことが重要です。

ここでは、人的資本経営を推進するための基本的な4つのステップを紹介します。

1.人的資本の現状を把握する

人的資本経営を進めるためには、まず自社の現状を把握しましょう。

従業員数や年齢構成、離職率、エンゲージメントなどの状況を確認し、人材に関する課題や強みを整理します。また、人事データや従業員アンケートなどを活用して現状を可視化することで、今後優先的に取り組むべき領域が見えてくるはずです

2.目指す姿と人材戦略を策定する

現状を把握したあとは、将来的に必要となる人材像やスキルを定義し、人材戦略を策定します。

経営目標の実現に向けて、どのような人材を育成・採用し、どのように配置していくのかを整理することが重要です。また、人材育成や採用施策だけでなく、人的資本への投資計画についてもあわせて検討しましょう。

経営戦略と人材戦略を連動させながら方向性を定めることで、人的資本経営をより効果的に推進できるでしょう。

3.指標(KPI)を設定する

人的資本経営の成果を継続的に把握するためには、適切な指標(KPI)の設定が欠かせません。

たとえば、離職率や従業員エンゲージメントスコア、研修受講率などを活用することで、人材戦略の進捗や施策の効果を把握しやすくなります

また、現状値と目標値を明確にしたうえで、定期的に確認できる仕組みを整えることも大切です。経営目標や人材戦略と連動したKPIを設定することで、人的資本への投資効果を可視化しやすくなるでしょう。

4.施策を実行して効果を検証する

人材戦略とKPIを設定したあとは、具体的な施策を実行します。

研修制度やキャリア支援制度の整備、エンゲージメント向上施策などを進めながら、KPIの達成状況を定期的に確認しましょう

また、施策の成果や課題を分析し、必要に応じて改善することも必要です。実行と検証を繰り返しながら取り組みを継続することで、人的資本経営が組織にしっかりと定着していきます。

人的資本経営と人的資本開示の違いや関係性

高く積まれた2つの本の山の上にそれぞれ立ち、望遠鏡を覗き込んでいるスーツ姿の男女のイラスト

人的資本経営と人的資本開示は密接に関係していますが、それぞれの役割は異なります。

ここでは、両者の違いや関係性、人的資本開示の概要について解説します。

人的資本開示とは

人的資本開示とは、企業が取り組む人的資本経営の内容や成果を、投資家や求職者、取引先などの社外関係者へ示すための活動です。

開示される項目には、人材育成への投資状況や従業員エンゲージメント、女性管理職比率などがあります。

人的資本経営が人材への投資や組織づくりを実践する取り組みであるのに対し、人的資本開示はその成果や課題を可視化し、社外へ伝える役割を担っているという違いがあります

人的資本開示が義務化された背景

近年は、企業価値を評価する際に、売上や利益といった財務情報だけでなく、人材への投資や組織運営などの非財務情報も重視されるようになっています。

その結果、日本では2023年3月期以降、有価証券報告書を提出する上場企業に対して人的資本に関する情報開示が求められるようになりました

人的資本開示の目的は、企業がどのような人材戦略を持ち、持続的な成長に向けてどのような対策に取り組んでいるのかを分かりやすく示すことです。

投資家や株主に対する説明責任だけでなく、企業の持続的な成長性を客観的に証明するアプローチとしても、広く活用されています。

人的資本開示で求められる主な開示項目

人的資本開示では、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」において、代表的な開示項目として下表の7分野19項目が示されています。

分野

主な開示項目

人材育成

研修、リーダーシップ、スキル開発

エンゲージメント

従業員満足度、従業員エンゲージメント

流動性

離職率、定着率、採用状況

ダイバーシティ

女性管理職比率、男女間賃金差異、育児休業取得率

健康・安全

労働災害、安全衛生、健康管理

労働慣行

労働時間、福利厚生、コンプライアンス

コンプライアンス・ガバナンス

人権、内部統制、リスク管理

出典:内閣官房ホームページ

非上場企業にも人的資本開示の考え方が広がっている

人的資本情報の開示義務化そのものは上場企業が対象であるものの、その本質的な考え方は非上場企業や中小企業へも波及しています。

その背景にあるのが、求職者の意識変化です。給与等の待遇のみならず、働きやすさや教育体制を重視する求職者が増えていることから、人材戦略を可視化して採用や企業ブランディングに役立てる事例が目立つようになりました

さらに、金融機関からの評価や取引先との関係維持において、人材への投資状況が問われる場面も想定されます。

採用活動や企業ブランディングへの活用に加え、金融機関や取引先からの評価にもつながることから、人的資本の可視化は特定の企業規模に限った話ではなく、あらゆる組織が活用できる経営手法として認知が広がっています。

人的資本経営を進める際によくある課題

人的資本経営を推進するためには、人材に関する情報を収集・分析しながら継続的に施策を改善していく必要があります。

しかし、実際には人材情報が複数の場所に分散していたり、施策の成果を十分に把握できていなかったりするケースもあります。

ここでは、人的資本経営を進める際によくある課題を紹介します。

人材情報を一元管理できていない

業務やデータがサイロ化している状態を示す図解。4つの独立したシステム(A〜D)間で自動連携がされておらず、システム間の情報のやり取りに「手作業で加工」といった工程が発生している様子が描かれています。

人的資本経営を進めるためには、まず自社の人材に関するデータを正しく集め、現状を正確に把握したうえで次の施策を考える必要があります。

しかし、実際には人事情報を表計算ソフトや紙、あるいは複数のシステムに分散して管理している企業も多く見られます。必要な情報を確かめるたびに複数のデータを集め直さなければならず、大きな手間です。また部署ごとに管理ルールが異なる場合には、情報の更新や共有だけでも負担になります

従業員の情報が各所に散らばった状態のままでは、組織全体のリアルな姿が見えづらくなり、結果として人的資本経営を形にするうえでの大きな壁となってしまいます。

人材の状況や施策の成果を把握しにくい

人的資本経営に取り組む際は、組織や個人の状態を常に追いながら、打ち出した施策の効果を検証し、中身をブラッシュアップしていく姿勢が欠かせません。

従業員のスキルや経験、仕事への意欲、離職率といった数字を定期的に追うことが求められる一方で、データが分散していると集計作業そのものに多くの時間がかかってしまい、今の状況をすぐに分析することは難しくなります

現状を数字やグラフで見える化できなければ、どこに問題があるのか、どの対策から手を付けるべきかといった判断もブレてしまいがちです。人的資本経営の手応えを確かなものにするためにも、日頃から人材データをスムーズに集めて分析できる仕組みを整えておくことが大切です

人的資本経営を推進するなら『SmartHR』の活用がおすすめ

人的資本経営を推進するには、人材データを正確に収集・管理し、活用できる仕組みが重要です。

ここでは、人的資本経営の推進を支援する『SmartHR』の主な機能について紹介します。

1.日頃の業務のなかで自然とデータを収集し、一元管理できる

従業員の氏名や給与などの「労務データ」と、評価結果やエンゲージメントなどの「人事データ」が収集され、SmartHRへ一元的に蓄積されていく流れを示した図解

人的資本経営では、最新で正確な従業員データを継続的に管理することが欠かせません。しかし、入社手続きや住所変更、資格情報の更新などを紙やメールで運用していると、必要なデータが分散し、管理負担が大きくなります。

『SmartHR』では、入社手続きや身上変更などの各種申請をオンライン化し、承認された情報は従業員データベースへ自動で反映されます

日々の労務業務を進めるなかで最新の情報が自然と蓄積されるため、人的資本開示に必要となる正確なデータを一元管理できる基盤を構築できます。

人事データベースとは?意外と知らない人事情報の整備からはじめるDX推進

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人事データベースとは?意外と知らない人事情報の整備からはじめるDX推進

人事情報の整備からはじめるDX推進について、人事データベースの課題からSmartHRの人事データベースのシステム構成・活用イメージまで解説しているebookです。

この資料でこんなことが分かります

  • 人事データベースについて
  • 人事データベースの課題
  • SmartHRの人事データベース活用イメージ
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2.スキルやエンゲージメントを可視化できる

SmartHRの「スキル・資格・研修」機能の紹介図。左側に機能の対応課題と特長が記載され、右側にPCとスマートフォンアプリの画面スクリーンショットが配置されています。

人的資本経営では、従業員一人ひとりのスキルや保有資格、キャリア情報、サーベイ結果などを継続的に把握し、人材育成や配置へ活かすことが重要です。

『SmartHR』では、従業員情報を一元管理できるため、必要な情報を部署や従業員ごとに整理しながら活用できます。

日々更新される人事データをもとに、組織の現状を把握しやすくなり、人材育成や適材適所の配置など、人材戦略の検討にも役立つでしょう。

3分でわかる!SmartHRのスキル・資格・研修

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3分でわかる!SmartHRのスキル・資格・研修

「スキル・資格・研修の情報を人員配置などに活用したい!」「でも、スキル情報の把握・管理は難しい…。」そんな課題を感じていませんか? SmartHRの「スキル・資格・研修」機能は、スキル情報の可視化・一元管理を簡単に実現します。スキル管理に特化したビューで情報を一覧化できるだけでなく、収集・管理まで効率化します。 情報を活用した効果的な人事施策の第一歩には、スキル管理が効果的です。

この資料でこんなことが分かります

  • スキル・資格・研修管理における6つの課題
  • リスクを防ぎ、データを活かすスキル・資格・研修管理体制
  • 導入事例
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3分でわかる! 従業員サーベイ

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3分でわかる! 従業員サーベイ

近年、従業員のパフォーマンスアップや離職防止のために、エンゲージメントが重要視されています。その向上施策に注目が集まる一方で、肝心のエンゲージメントに対してどのように寄与したかを適切に計測できず、お悩みの企業も少なくありません。SmartHRの「従業員サーベイ」なら、SmartHR本体に登録された従業員へ簡単にアンケートを配信、部署や役職などの情報をもとに様々な分析が可能。エンゲージメント向上をきっかけに企業競争力を高めたいと考えている、人事や経営者の皆さまにおすすめの資料です。

この資料でこんなことが分かります

  • なぜ「従業員サーベイ」なのか?
  • SmartHRの「従業員サーベイ」の特徴
  • 「従業員サーベイ」のご活用イメージ
  • 「従業員サーベイ」実際の画面
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3.人的資本データを可視化・分析できる

SmartHRの「HRアナリティクス」の提供価値を説明するスライド。左側にAI提案やマトリクス分析などの3つの特徴が記載され、右側に実際の分析画面のスクリーンショットが配置されています。

人的資本経営では、「人材の状況が見えない」「施策の成果を評価できない」といった課題を解決するために、蓄積したデータを分析し、経営判断へ活用することが重要です。

『SmartHR』のHRアナリティクスでは、従業員データをもとに離職率などの指標を可視化できます。部署や等級、職種ごとの状況を確認できるため、人材課題の把握や施策の検討をスムーズに進められます。

また、離職率など、人的資本開示でも求められる指標の一部を現状把握に活用できます。経営会議でのレポーティングなど、データにもとづく意思決定を支援します。

3分でわかる!SmartHRのHRアナリティクス

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3分でわかる!SmartHRのHRアナリティクス

SmartHRの「HRアナリティクス」は、人事データをさまざまな掛け合わせで分析し、組織づくりの示唆が得られる機能です。SmartHRなら、業務を通じて自然と正確な人事データが蓄積されるため、活用したいときにすぐ人事データの分析ができます。ぜひ自社の課題解決にお役立てください。

この資料でこんなことが分かります

  • 人事データ活用の課題
  • HRアナリティクスの提供価値
  • SmartHRの「HRアナリティクス」でできること
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『SmartHR』を活用した人的資本経営の取り組み事例

人的資本経営は、さまざまな企業で実践されています。

ここでは、人的資本経営を推進している企業の取り組み事例を紹介しますので、参考にしてください。

スギホールディングス株式会社/人的資本経営の浸透に取り組んだ事例

スギホールディングス株式会社の導入事例をまとめたスライド。左側に企業ロゴと活用機能・導入結果、右側に導入前の課題、解決策、導入による効果が記載されています。

スギホールディングス株式会社では、M&Aによる組織拡大に伴い、部署を越えた相互理解や社内コミュニケーションの活性化が課題となっていました。とくに、社内イントラネットで配信していた社内報は、店舗で働くパート・アルバイトを含む全従業員へ十分に情報が届いていない状況でした。

そこで、『SmartHR』の「お知らせ機能」を活用し、全従業員のスマートフォンへプッシュ通知で社内報を配信する仕組みを構築。タイトルや写真、絵文字などを工夫し、従業員が読みたくなるコンテンツづくりにも取り組んでいます。

その結果、社内報の閲覧数は従来の16倍になり、資格取得の案内ではパート・アルバイトからの応募が何十倍にも増加しました。また、他部署から情報発信の依頼が寄せられるなど、社内コミュニケーションの活性化にもつながっています。

株式会社晃商/従業員データの活用基盤を構築した事例

株式会社晃商では、人的資本経営を進めるにあたり、従業員データを分析できる状態になっておらず、事業部や店舗ごとに情報格差が生じていることが課題でした。

そこで『SmartHR』を導入し、従業員データを蓄積・一元管理できる環境を整備。さらに「人事労務レポート」機能を活用し、現場で必要とされるデータを整理したうえで、役割に応じたレポートを定期的に配信できる仕組みを構築しています。

その結果、採用や人材配置などの施策を定量データにもとづいて検討できるようになったほか、施策立案や意思決定のスピード向上にもつながりました。また、現場でもデータを活用する習慣が定着し、数字をもとに考える力を養うことで、次世代人材の育成にも役立てられています。

日本ハウズイング株式会社/従業員情報の一元化を推進した事例

日本ハウズイング株式会社では、表計算ソフトとメールを使った人事評価の運用に多くの工数がかかっていました。加えて、資格や研修履歴などの従業員情報が複数のシステムに分散しており、一元管理できていないことも課題でした。

そこで、『SmartHR』の「人事評価」機能を導入。人事評価の進捗管理やフィードバックを効率化するとともに、「キャリア台帳」機能を活用して従業員情報を一元管理できる環境を整備しました。さらに、「従業員サーベイ」も活用し、人材情報を継続的に収集・管理しています。

その結果、人事評価の進捗状況をリアルタイムで確認できるようになったほか、過去の評価結果も確認しやすくなりました。また、キャリア情報を人事や部門長で共有できるようになり、人員配置を検討する際に従業員本人のキャリア意向を踏まえた判断がしやすくなるなど、タレントマネジメントの推進にも役立てられています。

人的資本経営で企業価値の向上を目指そう

人的資本経営は、人材を企業価値の向上につながる重要な資本と捉え、経営戦略と人材戦略を連動させながら、人材への投資を継続していく考え方です。

人的資本開示への対応だけでなく、従業員の成長やエンゲージメント向上、生産性向上など、企業の持続的な成長を実現するためにも重要な取り組みと言えます。

そのためには、人材データを正確に収集・一元管理し、可視化・分析しながら継続的に改善できる仕組みが欠かせません

そこでおすすめなのが、人と組織のためのバックオフィスシステム『SmartHR』です。日々の労務手続きを通じて集まる最新の従業員情報を一元管理できるほか、スキルや資格、研修履歴、従業員サーベイなどの人材データを整理・可視化できるのが特長です。

さらに、離職率をはじめとする人材に関する指標を部署や等級、職種ごとに分析できるため、人材課題の把握や育成・配置施策の検討、経営判断にも活用できます。

人的資本経営をこれから進めたい企業や、人材データの管理に課題を感じている企業は、以下の人的資本経営の事例を参考にしてください。

“選ばれる会社になるため”の「人的資本経営」事例集

お役立ち資料

“選ばれる会社になるため”の「人的資本経営」事例集

今後、少子高齢化によって労働力人口が減少し、従業員の確保が難しくなるといわれています。 上場企業の「人的資本の情報開示義務化」など、企業規模や業種を問わず、選ばれる企業になるためには、人的資本経営への本格的な取り組みが必要でしょう。 本冊子では、人的資本経営を推進する3社の事例をもとに、「選ばれる会社」になるための取り組みをご紹介します。

この資料でこんなことが分かります

  • 人的資本経営へ取り組むべき理由
  • 人的資本経営を推進するために人事担当者がやるべきこと
  • 人的資本経営に取り組んでいる企業の施策紹介と推進のポイント
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執筆者

SmartHR コラム編集部

SmartHRコラムはお客さまの課題解決をサポートするメディアです。機能解説やイベントレポートなどの情報をお届けします。

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この資料でこんなことが分かります

  • SmartHRの機能概要と導入メリット

  • 従業員とのコミュニケーションを円滑にする機能

  • 入社手続きのペーパーレス化で変わること

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