1.4億円のコスト削減と離職率低下を実現。店長に“人と向き合う時間”を生む労務改革
| 社名 | 株式会社リンガーハット |
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課題
- 店舗からの電話問い合わせが多く、人事部門の対応負荷が高い
- 現場の要望に応える独自運用の積み重ねで、業務が特定の担当者に属人化
- 給与明細の手渡しなど、店長の担う事務作業の負担が大きい
解決策
- 各種申請をSmartHRに集約し、電話対応からシステム案内へ移行
- SmartHRを軸にシステム構成を再構築し、使いやすい運用に転換
- 店長負担の重い「入社手続き・雇用契約」「年末調整」から段階導入
効果
- 紙書類による作業が減り、人事と店長の負担を軽減
- 作業時間の削減により、3年間で1.4億円相当のコストを削減
- 店舗の教育・面談の時間が確保でき、アルバイト離職率が低下
長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」やとんかつ専門店「濵かつ」などの外食チェーンで知られる株式会社リンガーハット。グループ全体で約600の店舗と約1.1万人の従業員が活躍しています。
同社では、店長が給与明細の手渡しや契約更新といった紙の事務作業を担っていました。さらに、運用の属人化や店舗から人事への電話による問い合わせ対応も重なり、現場と人事の双方に大きな負担がかかっていました。
この課題を解決するため、2021年に導入されたのがSmartHRです。導入の背景や効果、今後の展望について、執行役員 総務人事グループ担当の田川さんにお話を伺いました。
「人事に電話すればなんとかなる」がDXの壁に
SmartHR導入前の課題を教えてください。
田川さん:まずは、人事・労務関連の事務作業に現場の時間が取られていたことです。
人事に異動する前の営業時代、店長として6店舗を兼任していました。その際に大変だったのが、入社手続きや契約更新です。労働契約書の説明・締結や、面談とセットの契約更新に1人あたり約1時間かかっていました。これが店舗で働く従業員の人数分、日常的に発生するのです。
年末調整の時期には、パートやアルバイトの従業員を集めて説明し、膨大な書類を回収して本社へ発送する作業にも追われていました。
そのほか通勤費や身分変更などの申請業務も煩雑でした。申請のたびに用紙をダウンロードし、表計算ソフトで必要事項を記入して、人事・労務担当者宛てにメールで送信する。1件ごとに手作業を挟む運用で手間がかかっていました。
入社から年末調整、申請まで、多くの業務が紙と手作業だったのですね。
田川さん:当時は給与明細も1枚ずつ印刷して「今月もありがとう」と手書きのメッセージを添え、手渡しで配って回っていました。「人対人」を大切にする当社らしい関わりではあるのですが、こうした事務作業の総量はあまりに膨大です。
世の中はDXが話題になっているのに、私が入社して最初に店長を務めていた1990年代や2000年代と変わっていないと感じていました。

2020年からは総務人事チームに移られています。人事の側に立って、新たに見えた課題はありましたか。
田川さん:前任の担当者が16年間にわたって人事を支えており、現場の要望に応えながら独自にシステムを整えてきました。積み重ねの結果、運用や知識がその担当者に集中し、ほかのメンバーでは対応が難しい状態になっていたのです。
システムの構成も複雑になっており、期待したほど使われていないという問題もありました。会社全体に「総務人事チームに電話すればなんとかしてくれる」という空気もありました。慣れないシステムを使うよりも電話をする人が大多数だったのです。
私が着任した当時も、電話対応が総務人事チームの業務の大半を占めていました。忙しいなかでも店舗からの電話に応える姿勢は大きな強みですが、結果として総務人事チームの負担を増大させていました。
選定の決め手は「現場目線の使いやすさ」
多くのシステムがあるなかで、なぜSmartHRを選ばれたのでしょうか。
田川さん:選定において最も重視したのは「現場の店長が使いやすいか」です。
私は人事の経験がまったくない状態で総務人事チームに加わりました。だからこそ人事担当者目線だけではなく、パソコンやスマートフォンの操作に慣れない営業現場の店長目線も踏まえて判断しようと決めていました。
そのため、各社が掲げる導入実績の数はあえて度外視しました。世の中に出ているシステムのアプリを実際に操作して、使用感を確かめながら比較検討したのです。
そのなかでSmartHRは、「入社手続き・雇用契約」機能の画面の見やすさに加え、年末調整や各種申請業務など、幅広い用途で便利に使えるイメージが湧きました。

使いやすさと同様に重視したのが、サポート体制の手厚さです。過去に大きなシステム導入の経験が少なかったため、きめ細かなサポートはDX成功の必須条件だと考えていました。実際、SmartHRは導入前の相談段階から打ち合わせの場を設けて、システムの中身や機能を丁寧に教えてくれました。だからこそ、安心して導入に踏み切れたと思います。
導入にあたって、事前にどのような準備をされたのですか?
田川さん:導入前に実施したのが、会社全体のシステム面での課題把握です。
当時、長年の継ぎ足しでさまざまなシステムが乱立し、全体が複雑になっていました。部・課長クラスの従業員でも全体像を把握しきれていない。各チームの「あるべき姿」も話し合えていない状態でした。
会社全体のシステム構成図を描き、チームリーダー全員で現状と「あるべき姿」を話し合いました。全体像の共通認識をもてたことで、SmartHRをどこに位置づけ、どの業務から導入するかを議論する土台ができました。
最終的に、システム構成はどのような形に落ち着いたのですか。
田川さん:SmartHRには2つの役割をもたせています。1つは、グループ全体の従業員データを集める場所。もう1つは、各グループ会社が日々の手続きをする場所です。既存の勤怠管理や給与計算・人事管理の各システムとはCSVで連携する構成です。
各グループ会社の日々の手続きを通して、最新のデータがSmartHRに集まる形ですね。
田川さん:そうですね。入社手続きにはじまり、就労中の申請や契約更新、年末調整、給与明細・源泉徴収票の配付、そして退職手続きまで、SmartHRで完結できるようになりました。
こだわったのは、連携を手作業にしないこと。従来の当社には、システム間の連携に人の作業を1工程挟む習わしがありました。それではシステム化の意味が薄れてしまいます。費用をかけてでも連携用のシステムを導入し、データが自動で受け渡される仕組みにする。この方針をチームリーダーの共通認識として、1つでも多くの業務工程を減らせるよう構成を固めていきました。
合言葉は「誰一人取り残さない」。現場に寄り添う段階導入
各店舗や工場など、現場への導入はどのように進めたのでしょうか。
田川さん:一気に全機能を導入すると現場が混乱することはわかっていました。
そこで、とくに現場の負担が重かった「入社手続き・雇用契約」と「年末調整」から始め、1つの機能が現場に定着してから次を導入する形で、段階的に活用を広げていきました。担当者の勉強会や現場への説明会も、並行して重ねています。
導入において苦労された点、大変だと感じられた点はありますか?
田川さん:スマートフォンの操作に慣れていない従業員への浸透です。SmartHRはスマートフォン向けアプリで使える点がたいへん便利です。一方で、アプリでの手続きに慣れていない従業員にとっては、操作そのものがハードルになります。そこで「誰一人取り残さない」と決めて、サポートに徹しました。
具体的には、SmartHRの画面のスクリーンショットに大きな文字で説明を書き込んだマニュアルを作成。現場の店長から丁寧に説明してもらいました。操作に不安を感じる高齢の従業員が多かった工場では、総務人事メンバーが手分けして足を運び、画面を見ながら1人ずつ操作を説明しました。
導入時と翌年の年末調整の2年をかけて説明会を繰り返し、無理なく浸透させています。今ではその作業を工場の社員が覚えてくれて、工場内でフォローする体制ができています。
おかげで現場の店長からネガティブな声はほとんどなく、「業務が楽になりました」という喜びの声をたくさんもらいました。

1.4億円のコスト削減と離職率低下を同時に実現
導入後の成果について教えてください。
田川さん:定量的な成果としては、2023年から2025年までの間に、会社全体で約1億4,000万円に相当するコスト削減を実現しました。これは、入社手続きや契約更新などで削減できた現場の作業時間を、時給に換算して積み上げた数字です。
とくに効果が大きかったのは現場です。入社手続きや契約更新、年末調整、各種申請に関わる作業工数が大幅に改善されました。
たとえば入社時の初回オリエンテーションは、以前は出勤後に2時間ほどかけて、紙のルールブックで説明していました。現在はSmartHRの入社フローから新入社員に教育動画が配信され、約1時間の動画を事前に視聴してもらい、次の出勤時に店長が質問形式で理解度を確認する運用に変えています。これだけで、1人の入社につき店長の工数を1時間半ほど削減できています。
また、総務人事のメンバーも電話がかかってきたら代わりに処理するのではなく、「このシステムを使えばわかりますよ」と案内できるようになりました。まだまだ慣れないメンバーもいますが、今後はAIチャットボットの導入も進める予定で、大きな効果が出ると見込んでいます。
特筆すべきは、アルバイトの3か月離職率が42.5%から22.3%へと大幅に低下したことです。業務工数の削減によって店長に時間の余裕が生まれ、動画を用いた初期教育やフォロー面談を丁寧にできるようになった結果と捉えています。
業務削減によって、従業員とのコミュニケーションをより大切にできるようになったのですね。
田川さん:おっしゃるとおりです。当社では「人対人のコミュニケーション」を大切にしています。たとえばお客さまへの配膳も人間が実施すると決めています。店舗の人材育成においても、店長が従業員と人対人のコミュニケーションを重ねながら育てていくことが重要だと考えています。
そのため、DXも「人対人のコミュニケーションは残しながら進める」と決めて、ルールを整えました。たとえば入社手続きにおいても、面接や入社情報の入力などの入り口は店長の業務とし、従業員と対話しながら実施する。手続き後はすべて総務人事チームの業務とし、現場から届くデータを日々チェックして、不備の対応のみを人事が代行する形にしたのです。
業務が効率化されたことで、店長は従業員との「人対人」のコミュニケーションに、これまで以上に注力できるようになりました。
SmartHRは「従業員が幸福に働ける組織づくり」の基盤
今後の展望についてお聞かせください。
田川さん:ゴールは、従業員データを集約・一元化し、すべての従業員がシステムを使って情報を「見える化」できる状態です。
これまでは現場の要望に応じた独自のカスタマイズを繰り返してきましたが、今後は「脱・カスタマイズ」を加速させ、SmartHRの標準機能に業務を合わせることで運用スピードを高めていく方針です。現在は、社内の申請業務のSmartHRへの統一や、住民税決定通知書のような行政関連書類の取り扱いの電子化も進めています。
将来的にはシステムを統一して、総務人事担当者が業務効率化のアイデアを自ら考えて提案したり、人事戦略と紐づいた等級・評価・報酬制度を構築したりするための時間を捻出したいと考えています。SmartHRに蓄積された従業員データを人事戦略の策定や人材育成に活かし、タレントマネジメントにも注力していきたいです。
SmartHRはリンガーハットにとって業務効率化のツールではなく、従業員が幸福に働ける組織をつくるための基盤です。SmartHRを軸にさらに人事DXを進め、すべての従業員が働きやすい会社を目指していきたいと思います。
業務効率化にとどまらず、従業員一人ひとりが働きやすい組織づくりの基盤としてSmartHRをご活用いただけているとのこと、たいへん嬉しく思います。貴重なお話をありがとうございました!
誰もが迷わず使いこなせる「worker-friendly」な世界。SmartHRが大切にしているこのビジョンについて詳しくご紹介します。
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掲載内容は取材当時のものです。
| 社名 | 株式会社リンガーハット |
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