4,300名の従業員データをSmartHRへ。使いやすさが決め手の一元化
| 社名 | 株式会社マッシュホールディングス |
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課題
- 労務手続きは紙・FAX・郵送が中心。全国の店舗から書類が届くまで最大3日かかっていた
- ペーパーレス化が進んだものの、グループ各社・ブランドでデータの定義や運用が異なり、横断的な集計や分析が難しかった
- 入退社や産休・育休の手続きが多く、直面する作業の優先順位が高くなり、データ活用まで手が回らなかった
解決策
- 年末調整を入口に、SmartHRを従業員と人事部の接点として定着させる
- 従業員が使いやすく、問い合わせを減らせるデータベースの移管先を選定
- データの定義や手続きを統一し、従業員データベースを段階的にSmartHRへ移管
効果
- 年末調整は担当者4名が通常業務に加えて行っていた1日2〜4時間の時間外勤務が大幅に減少。入社手続きにかかる時間も1時間以上短縮
- 従業員が迷わず入力でき、日々の手続きで従業員データが最新に保たれ活用できる状態に
- 手続きを担う人事から、最新のデータを活用して一人ひとりの挑戦と成長を支える人事へ
「SNIDEL」「gelato pique」「Cosme Kitchen」などの多数のブランドを有し、ファッション、ビューティー、飲食等の事業を展開するマッシュグループ。従業員数は、グループ全体で約4,300名(2026年7月時点)。全国の店舗で働く従業員の労務手続きは、マッシュホールディングスの人事部門が一手に担っています。
同社は紙・FAX・郵送中心だった労務手続きを、年末調整を入口にSmartHRに切り替え、ペーパーレス化を実現。しかし、従業員データはSmartHRのほかにも複数のシステムに分かれ、グループ各社・ブランドごとに定義や運用ルールもそろっていませんでした。ペーパーレス化の先に見えてきたのは、「紙は減っても、利活用できるデータになっていない」という第二の課題でした。
そこで、複数のシステムに散らばっていた従業員データを一元化し、グループ全体の人事情報基盤としてSmartHRに集約することを決断しました。なぜ従業員データベースの移管を決断し、なぜSmartHRを選んだのか。執行役員 上場準備本部 本部長 兼 管理本部 人事部 シニアエグゼクティブの秋山さんと、管理本部 人事部 労務管理課 課長代理の吉田さんに伺いました。
紙・FAX・郵送に追われていた、全国店舗の労務手続き
SmartHR導入前の状況をお聞かせください。
吉田さん:私は人事部で、給与・勤怠システムの管理や、各店舗の従業員が入力したデータの最終チェックなどを担当しています。
当社はグループ各社に個別の人事部門を置かず、マッシュホールディングスの人事部が全社の労務を一括して管理する体制です。私はSmartHRの導入前から担当者として在籍していたので、導入前後の業務の変化を間近で経験してきました。
導入前は、勤怠の打刻こそシステム化されていたものの、入社から退職までの間に発生する書類はすべて紙で運用していました。店舗の従業員の多くは接客業務が中心で、パソコンを使う機会がありません。業務上でパソコンに触れるのは店長クラスに限られます。そのため、書類は郵送でやりとりする運用になっていました。
店舗は全国各地にあり、郵送には最大で3日程度かかります。従業員から「送りました」と連絡があっても、手元に届くまでにタイムラグがあり、その間は書類の確認や後続の処理を進められませんでした。
そこで、あらかじめFAXで送ってもらう運用を始めたのですが、今度は「FAXしか届いていない書類」「紙しか届いていない書類」「両方ある書類」を整理する作業が発生して、とても大変でした。

とくに時間がかかっていた手続きは何でしたか。
吉田さん:入社手続きです。雇用契約書など、複数の書類を提出してもらう必要がありましたので、1枚でも足りなければ電話して送り直してもらい、書き損じや不足があればまた再送してもらう、といったことが日常茶飯事でした。
また、入社当日に、店舗に出勤してから入社書類を記入するといったケースもあり、入社日を迎えてから手続きが完了するまでに、時間がかかってしまうこともありました。
SmartHRが全社の労務手続きの接点として定着
そこからSmartHRの導入に至った経緯を教えてください。
導入により、労務手続きは具体的にどう変わりましたか。
吉田さん:まず入社手続きは、入社日前に完了する運用に変わりました。以前は、書類が人事部に届くまで入社者の手続きを把握できないケースがあり、前月分の勤怠を確定したあとに、前月に入社した従業員の書類が届くこともありました。
こうした状況を踏まえて、SmartHRの導入にあわせて、「入社手続きは、入社日前に完了する」「提出期限を入社日3日前とする」というルールに切り替えました。手続きの内容自体は変わっていませんが、SmartHRによってペーパーレス化されたことで、ルールを徹底できるようになり、余裕をもって作業できるようになりました。
個人的には、「招待管理機能」にもとても感動しました。とくに、十数名の入社が重なるときに効果を実感しています。従来は、入社者一人ひとりについて書類を準備し、送付、チェックを行っていましたが、SmartHRでは書類の準備から招待、提出状況の確認まで、全員分まとめて管理できます。おかげで、対応にかかる時間は1時間以上短くなりました。
また、年末調整も大きく変わりました。以前は、委託先から納品された用紙を仕分けし、当時450弱ある各店舗に向けて送付していました。その後に各店舗から提出された書類の内容を確認したうえで委託先に送り、年末調整の実処理をするという流れでした。
従業員に誤りを修正してもらうための返送や、不足書類の連絡、未提出者への催促も重なり、10月後半から12月初旬は、担当者4名が通常の業務に加えて1日2〜4時間程度の時間外勤務をせざるを得ない状況でした。
これがSmartHRに切り替えてからは、提出された従業員分から委託先へ連携して順次チェックが可能となり、人事部の作業は大幅に軽減されました。現在は、年末調整の期間中に大幅な時間外勤務が増えることはなくなりました。
郵送での書類のやり取りに関して、効果はいかがでしたか。
吉田さん:以前は日に30〜50通、月初にはその倍ほど届いていた申請書類が大幅に減り、郵送コストも削減できました。
人事部から各従業員へ書類を発行する場合も、SmartHRの「文書配付」機能に切り替えたことで、郵送はほぼなくなりました。

従業員の皆さんには、スムーズに受け入れられましたか。
吉田さん:導入当初は、操作に関する問い合わせが増えた時期もありましたが、今はほとんどありません。
驚いたのは、入社時点からSmartHRを使い始めた従業員からは、操作に迷う声がほとんどあがってこないことです。
たとえば、「汎用申請」の機能を追加導入した際も、案内を一度しただけで、問い合わせはほとんどなく、多くの社員が負担なく使い始めていたのが印象的でした。それだけ、SmartHRのUIがわかりやすく、直感的に使いやすいのだと思います。
ペーパーレス化の先に見えた、データ整備の課題
労務のペーパーレス化が進んだ一方で、秋山さんはご入社当時、別の課題に気づかれたそうですね。
秋山さん:私は2023年7月に入社し、人事戦略や組織開発、人事制度の設計を担ってきました。2024年からは上場準備の責任者も兼務しています。
入社して最初に気になったのが、グループ会社ごと、事業ブランドごとに、データの定義や管理方法、人事の運用の仕方がばらばらだったことです。また、同じ会社のなかでも、担当者ごとに人事・労務の運用が異なっていたのです。
こうした状態の背景には、システムの併存がありました。SmartHRは労務手続きの基盤として定着していましたが、人事情報や給与は別々のシステムにあり、なかには表計算ソフトだけの部門もありました。どのデータを、どこで、どのように保持するのか、決まりがなかったのです。

ペーパーレス化が進んでいたからこそ、見えにくい課題だったのでしょうか。
秋山さん:はい、そこが厄介なところでした。当社はサステナビリティに対する意識が強く、ペーパーレス化は進んでいました。ただ、視点を変えてみると、アナログがデジタルに置き換わっただけで、データとしての定義や運用ルールまでは統一されていない状況でした。つまり、紙をなくすことはできていても、データを利活用できる状態にはなっていない、という状況でした。
吉田さん:チームで運用を統一していたつもりでしたが、時間がたつにつれ、担当者ごとに少しずつずれていったというのが、当時の状況でした。
秋山さん:当社は、ファッションやビューティーといった事業の特性上、従業員の平均年齢が若く、女性の比率が高いため、入退社や産休・育休、復職など、「ライフイベントに関わる手続き」の件数が比較的多い傾向にあります。
人事・労務の現場は、その対応で手一杯で、「データをどのように蓄積し、どのように活用するか」というところまで、たどり着けていない状況でした。
データが分かれていることによる実務上の負担もあったのでしょうか。
秋山さん:従業員データのマスターが複数のシステムに分散していたため、どのデータが正しいのかを突き合わせて修正する作業が常に発生していました。そのため、従業員データの一元化が必要でした。
人事データにとって重要なのは、正確性と鮮度です。どのようなデータが必要で、どのように入力してもらうのか。その設計がないままペーパーレス化だけが進むと、活用できないデータとして集積されてしまう恐れがあります。
デジタル化さえすれば、正確かつ最新のデータが勝手に集まるというわけではないのです。
機能比較ではなく、「使われるUI」で従業員データの集約先を決めた
だからこそ、データをどこに集めるかが問われるわけですね。今回、従業員データベースの移管先として、SmartHRを選んだ決め手を教えてください。
秋山さん:実際に複数のシステムを並行して使いながら、どこにデータを集めるかを最後まで悩みました。机上で比較検討することはあっても、当社のように実際に使い比べるのは、珍しいのではないかと思います。
機能だけで比べると、どのシステムも一長一短で、「これはできるが、あれはできない」という側面が必ずあります。ならば、一番汎用性が高く平均的に何でもできるシステムを選べばよいかというと、そうでもありません。機能が増えれば操作は複雑になり、やがて使われなくなる。使われなければ、データが入力・更新されない、という悪循環につながります。
ですので、今回の移管先の選定では、機能の比較表ではなく、従業員にとっての使いやすさ、つまりUIと問い合わせの少なさを判断軸にしました。
結果として、UIが直感的でわかりやすく、操作についての問い合わせも他のシステムに比べて圧倒的に少なかったSmartHRを、従業員データの集約先に決めました。

問い合わせの少なさは、どのような場面で実感されましたか。
秋山さん:象徴的だったのは、ストックオプションに関する従業員との契約締結の場面です。
当社は上場を計画しており、本社・店舗で勤務する対象となる2,000名以上の従業員にストックオプションを付与することになったのですが、その際に従業員一人ひとりと個別の契約手続きが必要となりました。これをSmartHRの「文書配付」機能を通じて実施することで、非常にスムーズに完結することができたのです。
契約書だけでなく、その背景にある説明資料にも従業員がすぐにアクセスできるので、どういう位置づけの契約なのかを理解したうえで、そのまま締結まで進められます。過去にさまざまな契約ツールを使ってきましたが、それらと比較しても、SmartHRを使うと、こんなに問い合わせが少ないのかというのは驚きでした。
SmartHRは、入社手続きや年末調整などで、全従業員が一度は使ったことのあるシステムでしたから、新しい使い方を広げるときの受け入れのハードルが低かったのだと思います。
昨今のAI活用の広がりは、人事システムの選び方にも影響していると感じますか?
秋山さん:大きく影響していると感じます。かつては、「このシステムのなかでどんな分析ができるか」という機能面が重要でした。ですが、今は、信頼できる形でデータが集まってさえいれば、分析はシステムの外で、生成AIを使って柔軟にできるようになってきています。
だからこそ、機能やコストの比較以上に、正確で最新のデータをどこに蓄積するかが重要になってきます。
先ほどお伝えした通り、当社では入退社や産休・育休、復職など、人事・労務に関する手続きが多く発生します。入社手続きや雇用契約など、従業員本人の入力・合意を起点に、常にデータが更新されるSmartHRを軸にするのが、正しいデータを集めるうえで最適だと判断しました。

決断から半年ほどで移管を完了されたと思いますが、現場を巻き込みながら進めるうえで、どんな工夫があったのでしょうか。
秋山さん:移管を進めるにあたり、意識したのは、コミュニケーションにおいてデータ化や分析という言葉を一切使わないことです。「人事を数値化する」や、「分析する」という言葉は、データを使いたい側の言い方です。それでは、従業員の共感は得られないと考えました。
そこで、メッセージを発信する際には、データを入力する従業員の視点に立ち、「従業員と人事の接点を便利にしよう」「問い合わせをしなくても完結するシステムにしよう」と伝えました。
吉田さん:労務の現場側も、当時の運用に課題があることはわかっていました。ただ、現状の業務負荷のうえに、さらに移行作業が重なるとなると、どうしても抵抗感が生まれます。
なので、人事部メンバーに対しては、目の前の作業ではなく、移管が終わったあとの姿を伝えるようにしました。この作業自体がなくなる、月初の業務がどれだけ軽くなるか。そうした具体的な変化が見えると、メンバーも自然と前を向いてくれました。
また、進め方についても工夫しました。まず正社員だけが在籍する本社部門で先行実施して、その結果を踏まえて、アルバイト・パートの従業員が多い店舗部門でのやり方を調整しました。段階を踏んで進めたのがよかったと思います。
移管するデータの整え方については、どのように考えられたのでしょうか。
秋山さん:移行前の状態をそのままSmartHRへ持ち込むのではなく、これからどう管理していくべきかから考えて、設計し直しました。データの定義や入力ルールがそろっていない状態でそのまま移しても、移行前と同じ問題が残ってしまいます。ですから、グループ会社ごとに異なっていた手続きを統一し、システム外の表計算ソフトで管理されていたデータもSmartHRに一元化しました。
また、マスターデータの設計では、発想も意識的に変えています。当初は分析のために細かく区分しようと考えていたのですが、重要かどうかわからないデータを無理に集めても、入力してもらう意味がありません。そこで、欲しいデータから逆算するのではなく、従業員が自然に入力してくれるデータを取りに行く方針に切り替えました。
日々の労務申請により、従業員データが常に最新の状態に
移管が完了して、すでに感じられている変化はありますか。
吉田さん:SmartHR上で従業員情報の変更履歴を管理できるようになり、日々の手続きで更新された情報が、そのまま最新のマスターデータとして反映されていきます。マスターデータを個別に更新する作業がいらなくなったのは、とても大きな変化です。
以前は、申請情報を各人事システムへ手入力し、入力ミスを防ぐためのダブルチェックもしていましたが、それらの作業が削減できました。その分生まれた時間を、これまで手が回らなかった業務や、新しい取り組みに使えるようになってきています。
秋山さん:今回の移管により、人事・労務の手続きと従業員データの中心がSmartHRに定まりました。今後は、給与や勤怠、教育や異動の情報も、できるだけ集約していきたいと考えています。
生まれた余力を、具体的にはどのように活用されていますか。
秋山さん:移管で生まれた余力は、人員を減らすことには使わず、「会社にとって必要なのに、これまで手が回っていなかった仕事」に充てています。一般的に、システムを導入すれば人事部門の人件費削減が期待されますし、その責任も感じています。ただ、当社ではあえて人事部門の体制を変えませんでした。
人事部門に期待される役割は、コスト削減以上の経営戦略への貢献だと考えています。キャリア開発や教育投資を通じて従業員と組織の成長をどれだけ支えたか、新しい事業の成長にどれだけ貢献したか、これらが人事のKPIになっていくと考えます。
吉田さん:具体的な取り組みとして、たとえば、産休・育休など従業員のライフイベントに関する問い合わせについて、ガイドブックを整備し、二次元コードからSmartHRの申請画面に直接つながる仕組みを準備しています。
迷わず手続きできるようになれば、店舗の従業員はこれまで以上にお客さまと向き合う時間に集中できるようになります。これまでは、マイナスをゼロにもっていくのが精一杯でしたが、これからはようやくプラスを作っていけそうだと感じています。

正しい最新のデータを土台に、人材育成と説明責任に向き合う人事へ
今後の展望をお聞かせください。
秋山さん:これからの時代、人事の役割は人材育成と説明責任に集中していくと考えています。
成長する事業に誰を配置し、どう育てるかを決めたうえで、なぜこの仕事を任せるのか、何を期待しているのかを、人事がしっかり説明していく。それが一人ひとりの働く意欲にも、成長にもつながっていくはずです。
そのために必要なのが、最新の正しいデータです。
数多くの従業員を抱える組織では、一人ひとりの状況を人が記憶しておくには限界があります。そこで人の記憶を補うのがデータです。ただ、どんなデータでもよいわけではありません。誰かが代わりに入れたデータではなく、本人が入れたデータこそ価値があります。
SmartHRを基盤に据えれば、入力するのは従業員本人になります。蓄積された最新かつ正確なデータをもとに、AIも活用しながら従業員一人ひとりと向き合い、本人にしかできないと感じられる仕事に挑戦してもらう。ここに真正面から取り組んでいきたいと考えています。
最後に、同じような課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。
吉田さん:効率化そのものを目的にするのではなく、そこで生まれた時間を、従業員が迷わず手続きできる仕組みづくりや、一人ひとりとのコミュニケーションに充てることが大切だと思います。
私たちも、従業員に「きちんと見てもらえている」と感じてもらえる人事を目指していきたいです。
秋山さん:私たちが今回学んだことが3つあります。
1つ目は、「一気に完璧を目指さないこと」です。私たちも、実際に使いながら課題を確認し、段階的にデータの置き場を整えてきました。
2つ目は、「ペーパーレス化とデータ化を分けて考えること」です。紙をシステムに置き換えるだけでは、複数のマスターが生まれ、かえって管理が複雑になる場合があります。混同しないことが肝要です。
3つ目は、「機能の多さではなく、従業員の使いやすさを判断軸にすること」です。使われるシステムだからこそ情報が更新され、最新の正しいデータが集まる。その土台があって初めて、データを人材育成や説明責任に活かせると考えています。
従業員の使いやすさを起点に、最新の正しいデータを集め、人材育成と説明責任につなげていく。その道筋がよくわかりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
誰もが迷わず使いこなせる「worker-friendly」な世界。SmartHRが大切にしているこのビジョンについて詳しくご紹介します。
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掲載内容は取材当時のものです。
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