2年でグループ24社・1.5万人の人事DX。物流大手センコーを動かす「導入支援の型」
| 社名 | センコービジネスサポート株式会社 |
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課題
- 紙によるアナログ管理で、回収・手入力・確認に多大な時間が発生
- 物流業特有の働き方で、情報伝達や書類回収が困難
- 新拠点立ち上げ時の雇用契約業務に、印刷・押印・回収の事務コストが集中
解決策
- シェアードサービス会社である自社で先行導入後、グループ各社に展開
- 6か月の伴走支援で、各社の導入負担を最小化する体制を構築
- 「従業員情報の窓口」と「給与明細の配信基盤」としてSmartHRを活用
効果
- 約2年でグループ24社・約1.5万人にSmartHR浸透を実現
- 従業員情報申請や年末調整を電子化し、転記ミスや問い合わせ対応の工数を削減
- キャリア台帳機能の活用で、戦略的タレントマネジメントの基盤を構築
センコービジネスサポート株式会社は、物流大手センコーグループの事務代行を担うシェアードサービス会社として2006年に設立されました。自社としても全国5拠点・約400名(2025年4月時点)で、グループ各社や一般企業向けにアウトソーシング事業を展開しています。
同社は、グループ全体のDX推進を加速させるため、2026年に「経営管理部」を新設。現在24社・約1万5,000名までSmartHR導入を広げています。今回はグループ展開を主導する津田さんに、SmartHR導入の経緯やグループ展開の工夫、導入後の変化などを伺いました。
アナログ管理で疲弊。物流業特有の「伝わらない」課題

SmartHR導入前の課題を教えてください。
津田さん :SmartHR導入前、グループ各社では主に3つの大きな課題を抱えていました。
1つ目は、アナログ管理による業務負担の増大です。従業員情報はすべて紙の申請書で更新しており、回収に多大な時間を要していました。回収後は、各営業所の事務担当者が紙を見ながら専用システムへ手入力で転記しており、記入ミスや読み取り不能による確認作業が常態化していました。
2つ目は、物流業特有の情報伝達の難しさです。遠方にいるトラック運転手から紙の申請書を回収するのは、非常に困難です。提出が滞ったり、書類に不備があってもすぐに連絡が取れなかったりと、情報のやり取りに多大な時間を要していました。
また、トラック運転手は営業所に滞在する時間が短く、3交替勤務などの影響で顔を合わせる機会も限られるため、申請手続きの変更といった重要事項を全員に行き渡らせるのが難しいことも大きな悩みでした。
3つ目は、雇用契約に関わる膨大な事務コストです。新しい倉庫の立ち上げ時期には、大量の採用が発生します。そのたびに、紙の労働契約書の印刷・押印・回収などの業務に多くの時間と費用がかかっていました。
業務承継をきっかけに導入、自社からグループ全体へ展開

SmartHRの導入経緯を教えてください。
津田さん :2023年に自社で先行導入しました。きっかけは、長年労務業務を担っていた従業員の退職でした。業務をスムーズに引き継ぎ、属人化していたノウハウを誰もが扱えるかたちにしていくには、申請の電子化と効率化が不可欠でした。
複数のサービスを比較検討するなかで、申請の電子化はもちろん、従業員自身が直感的に操作できる点や、年末調整など労務業務全般を一気通貫でカバーできる点を高く評価し、SmartHRの導入を決断。上層部を説得し、自社への導入に踏み切りました。
自社での運用が始まると、その利便性はグループ各社にも伝わっていきました。とくに年末調整機能について、給与計算チームから「既存システムより使いやすい」と高い評価を得たことが、グループ展開への大きな後押しとなりました。
グループ各社が同じ課題を抱えていることも改めて見えてきたため、グループ展開を本格的にスタートしました。2026年4月現在では、物流・商事貿易・ライフサポートなどグループ計24社、約1万5,000名がSmartHRを利用しています。
グループ展開を支える「3部署連携」と「6か月の伴走支援」
グループ展開を進めるにあたり、どのような体制を整備されましたか?
津田さん :グループ各社からは、「新しいシステムを入れるのは難しそう」「繁忙で対応できる人がいない」といった不安の声が多く寄せられました。そこで、センコービジネスサポート内にSmartHRの導入支援チームを立ち上げ、各社の負担を最小化する体制を整えました。
役割分担は、大きく3部署に分かれています。まず人事総務部が、SmartHRを先行運用し、実践を通じてノウハウを蓄積します。
次に経営管理部が、そのノウハウを受け継いで、グループ各社への普及活動や初期設定の代行、運用支援を担当します。そして、グループ各社の給与計算業務を担う給与事務代行部が、初期設定に必要な従業員情報を連携する役割を担います。
この役割分担のおかげで、先行運用が円滑に進んだだけでなく、社内に人事DX化への機運も醸成されたと感じています。

先行運用のノウハウは、グループ展開にどう活かされたのですか?
津田さん:SmartHRの設定エクスポート機能を活用して、人事総務部の運用設定をエクスポートし、それをもとに「グループ企業向けのデフォルト設定」を作成しました。
導入時には、このデフォルト設定と従業員情報を組み合わせて、経営管理部が初期設定を進めます。この仕組みのおかげで、導入企業の担当者を煩わせることなく初期設定を完了できる体制が整いました。
具体的に、グループ企業にはどのような流れで支援を進めているのですか?

津田さん:活動の起点は、グループ企業向けのオフライン説明会です。導入実績や効果など、グループに特化した内容を直接お伝えする機会を定期的に設けています。
説明会で「ぜひ導入したい」と手が挙がった企業に対し、支援を希望される場合のみ、支援チームがヒアリングを実施します。
ヒアリングでは、デフォルト設定で対応する内容に加えて、各社独自に設定したいことや、優先して実装したい機能を伺います。そのうえで、ヒアリングデータをもとにスケジュールを策定し、およそ4か月で初期設定を完了、その後2か月で実運用をサポートする体制で進めます。
この計6か月の伴走体制があるおかげで、担当者の業務負担を軽減できるだけでなく、新しいシステム導入に対する心理的障壁を取り払えると感じています。
SmartHRを「従業員情報の窓口」と「給与明細配信基盤」に

導入後のシステム構成と、そのなかでのSmartHRの役割を教えてください。
津田さん :弊社では、SmartHRを「従業員情報の変更窓口」および「給与明細の配信基盤」として位置づけ、活用しています。
従業員がSmartHRから変更申請を行うと、弊社の担当者がそれを承認します。弊社ではグループ各社の給与計算業務をシェアードサービスとして担っているため、各社からアカウントの権限をいただき、毎月、SmartHR上で最新となった従業員データをCSVでダウンロードして給与計算システムに取り込んでいます。勤怠管理システムからの情報とあわせて給与を計算し、計算結果を再度SmartHRに取り込むことで、給与明細を配信する流れです。
現在、勤怠管理システムや給与計算システムは独自のものを利用しているため、CSV連携を介した運用となっていますが、SmartHR側でAPI連携を準備いただいているため、今後はCSV連携の手間も削減される見込みです。

業務効率化からタレントマネジメントまで、4つの成果
SmartHRの導入効果を教えてください。
津田さん :定型業務の効率化から高度な情報管理まで、多方面で大きな成果を実感しています。主な効果は以下の4点に集約されます。

1. 従業員の利便性向上
これまで紙で実施していた従業員情報の申請や年末調整を電子化したことで、従業員は場所や時間を問わず手続きが可能になりました。免許証など本人確認書類の申請も、スマートフォンなどで画像を添付するだけで完結します。その結果、コピーして郵送する手間がなくなり、申請にかかる工数が大幅に減りました。年末調整でもシステム上の質問に回答するだけで書類を作成できるため、従業員からの問い合わせも減っています。
実際にグループ企業の従業員からも「SmartHRでの申請は簡単でわかりやすい」と好評で、営業所の担当者が異動するたびに必要だった説明の負担も軽減されました。
2. 手入力による転記・配付ミスの防止
人事・労務担当者が紙の申請書を見ながらシステムへ手入力していた運用を、従業員本人が直接入力する運用へ変更。これによって、転記ミスや入力ミスのリスクが大きく減少しました。雇用契約書や処遇通知書などの重要書類も、SmartHRに蓄積された従業員データから直接作成できるため、作成・配布時のミスも防げます。情報セキュリティの面でも強化につながりました。
3. 紙運用の廃止によるコスト削減と保管リスクの解消
給与明細や各種通知書の電子化により、印刷代や郵送費などのコストが大幅に削減されました。
ある物流系のグループ企業では、営業所が点在し200km離れた拠点もあるため、以前は紙の給与明細を仕分けして近隣の営業所へは担当者が車で配達していました。これがSmartHRでの電子配信に変わったことで、仕分け・配達の時間が削減され、毎月3時間以上の工数削減を実現しました。
また、紙の契約書の保管場所を確保する必要がなくなり、書類紛失のリスクも抑えられています。
4. 従業員情報の可視化による的確な人材配置
キャリア台帳機能により、従業員の異動履歴をすぐに確認できるようになりました。「新卒」や「昇進試験受験者」といった独自のタグを付与することで、対象者をより抽出しやすくなります。
役員などの上層部も簡単に従業員情報を検索できるようになり、スキルや経歴をもとにした適材適所の配置検討を実現できました。こうした変化は人事・労務担当者の負担を軽減するだけでなく、企業全体、グループ全体の業務効率化と戦略的なタレントマネジメントにつながっています。
グループ一元管理で目指す「人手不足の解消」と「全体最適」

今後の展望を教えてください。
津田さん :グループとしての最終的な目標は、「一元管理による人手不足の解消」と「業務効率化」の実現です。
具体的なシステム展開としては、主に以下の3つの柱に注力する計画です。
1つ目は、基幹システムとのAPI連携です。現在CSVで連携している給与計算システムとSmartHRをAPIで接続し、データ連携の自動化を進めます。将来的にはSmartHRの給与計算機能の活用も検討しており、よりシームレスな運用を目指しています。
2つ目は、タレントマネジメント機能の活用拡大です。現在はホールディングスの一部部署で先行利用していますが、SmartHRに蓄積された従業員データをグループ各社に広げていきます。
男女比率の即時把握やグループ・支店をまたいだスキル管理によって、より戦略的な人事・労務業務や適材適所の配置を実現し、企業価値のさらなる向上に貢献したいと考えています。
3つ目は、グループ横断での同一プラットフォーム化です。
グループ全体で、同じ給与計算システムや人事基盤を共有するシェアード環境の構築を推進しています。これによって法人をまたぐ出向や転籍が発生した際の二重管理がなくなり、業務効率化につながります。
この3つを軸に、管理者・従業員双方がログインの切り替えなどに煩わされることのない、最適な管理環境を実現したいです。今後は未導入のグループ企業への展開をさらに加速させるべく、セミナーの開催や導入企業同士の交流会を通じたコミュニティ形成を強化していきます。
ありがとうございました! 今後ともセンコービジネスサポートさま、そしてセンコーグループ各社さまの業務効率化と企業価値向上に貢献できるよう、尽力してまいります。
※ SmartHRでは多様な業種・業界を対象とした事例紹介セミナーを定期的に開催しております。本記事は2026年4月15日の講演内容をもとに制作しています。
※ 掲載内容は講演当時のものです。

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掲載内容は取材当時のものです。
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