公開日:2026/04/22
SCIMとは?仕組みや特徴、SAMLとの役割の違い、メリットを解説

目次
業務に複数のシステムやクラウドサービスを利用する企業が増えています。このような状況で、従業員のアカウント管理業務にどうしても多くの時間がかかり、効率化に頭を悩ませている情シス担当者の方もいるのではないでしょうか。
こうした課題の解決に役立つのが、SCIM(System for Cross-domain Identity Management 以下、SCIM) です。SCIMは、異なるシステム間でユーザーの情報を自動的に同期するための共通ルール(標準プロトコル)です。SCIMを利用すると、入退社や異動時に必要なアカウントの作成・変更・削除などの作業を効率化できます。
本記事では、SCIMの仕組みや概要、メリット、注意点を解説します。ID管理体制の見直しや改善を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
SCIMとは?
利用するサービスが増えるほど、入退社や異動のたびにアカウント管理の手間も増えがちです。複数のサービスを利用している場合、担当者がそれぞれの管理画面を行き来しながら対応する必要があります。
そこで注目されているのが、複数のシステムやサービスに散らばっているユーザー情報を、自動的に同期するための標準仕様である「SCIM」です。
SCIMを利用すると、ユーザー情報を管理する側(Identity Provider 以下、IdP)と、実際に利用するサービス側(Service Provider 以下、SPと記載)の間で、ユーザー情報の作成・変更・削除といった情報を自動的に連携できます。サービスごとに個別の操作を行なわなくても、アカウントの作成・変更・削除を一貫して管理できるようになります。
入退社や部署変更などの人事情報と、各サービスをシームレスにつなげられることがSCIMの大きな特徴です。どのサービスでも最新の情報を維持できます。
SCIMが利用されるようになった背景
SCIMが広く利用されるようになった背景には、クラウドサービスの普及があります。
総務省の「令和6年通信利用動向調査」によると、2024年時点で80.6%の企業がクラウドサービスを利用しています。利用用途はファイル保管や社内での情報共有だけではなく、給与・財務会計・人事領域などさまざまです。
このように業務に利用するサービスの選択肢が増えたことで、どのサービスでも同じユーザー情報を扱える仕組みが求められるようになりました。
そこで登場したのがSCIMです。異なるサービス間でも、ユーザー情報を共通のフォーマットで扱えるようにするための標準仕様として、採用が広がりました。
SCIMの仕組み
SCIMは、IdP(ユーザー情報を管理する側)と SP(利用するサービス側)の間で、ユーザー情報を自動的に連携する仕組みです。
IdPはユーザーの氏名やメールアドレス、所属部署、権限情報などが登録されている、ユーザー情報の土台となるシステムです。一方で、SPは実際に従業員が利用するサービス(チャット、勤怠・会計・人事サービスなど)を指します。
IdP側でユーザー情報が更新されると、その内容がSCIMを通じてSP側へ伝わり、各サービスに自動で反映されます。サービスごとに個別で設定する必要がなく、入社・異動・退社といった従業員の動きや、利用するサービスが増えた場合でも、各システムの情報がそろった状態を保ちやすくなります。
SCIMを利用するメリット
SCIMを活用することで、日々の作業の効率化や、安全性の向上が期待できます。ここでは、SCIMを利用する主な2つのメリットを見ていきましょう。
- ユーザー管理の自動化により、アカウント管理者の負担を抑えられる
- セキュリティの強化につながる
(1)ユーザー管理の自動化により、アカウント管理者の負担を抑えられる
SCIMを利用すると、入社・異動・退社に伴う従業員情報の更新が自動で各サービスへ反映されます。サービスごとにログインして作業する必要がなくなるため、管理画面を行き来する手間や更新漏れのリスクを抑えやすくなります
SmartHRの調査でも、情シス担当者が負担に感じやすい業務として、ID・パスワードの発行/管理や社内の問い合わせ対応が挙げられています。
手作業でアカウントを管理している場合、入退社や異動のたびにどうしても時間を取られがちです。
SCIMを活用することで、こうした更新作業を仕組みで整えやすくなり、日々の運用の負担を抑えやすくなります。
また、SmartHRの「ID管理」でも、従業員情報を起点に連携サービスのアカウント作成・削除を自動で行えます(※)。従業員のライフサイクルにあわせて設定が整うため、管理の抜け漏れを防ぎながら、運用を安定させやすくなります。
※一部サービスに限ります。

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(2)セキュリティの強化につながる
SCIMを利用すると、利用するサービスごとにバラバラに管理されていたアカウントや権限を、常に最新の情報に保ちやすくなります。
たとえば異動や退職があった際も、IdP側で情報を変更すれば、各サービスに反映されて対象者のアクセス権限が自動で適切な内容に付け替えられます。管理画面で停止・削除する必要がないため、「退職後もアカウントが残っていた」「異動後も前部署のサービスが利用できていた」といったケースを防ぎやすくなるでしょう。
こうした仕組みにより、不要なアカウントが残り続けるリスクや、意図しない情報の閲覧・操作を避けやすくなるため、日々の運用のなかで無理なくセキュリティの強化につなげられます。
SCIMを利用する際の注意点
SCIMの利用にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。SCIMを利用する前に、ポイントをチェックしておきましょう。
- 利用時に一定の時間やコストがかかる
- 設定が複雑になりやすい
- 同期元のシステムの影響を受けることがある
(1)利用時に一定の時間やコストがかかる
SCIMを利用するには、サービス同士が正しく連携できるように設定を整える必要があります。そのため、ある程度の準備期間が発生することをあらかじめ想定しておくと安心です。
とくに複数のサービスを利用している企業では、対象範囲が広くなる分、調整に時間やコストがかかる場合があります。環境によっては、連携方式などのカスタマイズが必要になるかもしれません。
事前に必要な作業や費用感を確認し、移行計画を立てておくことで、スムーズに利用できるでしょう。
(2)設定が複雑になりやすい
SCIMは標準仕様として定義されていますが、サービスによっては対応範囲や動作が異なる場合があります。そのため利用時には、それぞれのサービスの仕様を確認しながら連携方法を整えていく必要が出てくるかもしれません。
また、連携するサービス間でユーザー情報をどのように扱うのかを決める「属性マッピング」を行なう際に、項目名やデータ形式がサービスごとに異なる場合もあります。そのため、「どの情報をどこに対応させるのか」を丁寧に整理しながら進めることが大切です。
こうした初期設定をきちんと整えておくことで、思わぬトラブルや追加の調整を減らしやすくなります。あらかじめ手順や確認ポイントを把握しておくと、スムーズに進められるでしょう。
(3)同期元のシステムの影響を受けることがある
SCIMは、ユーザー情報を管理する側(IdP)を情報の基点として、各サービスへ情報を同期する仕組みです。そのため、同期元のシステムがメンテナンス中だったり、一時的に停止している場合は、更新された情報が各サービスへ反映されるまでに少し時間がかかることがあります。
また「どの部署のメンバーがどのサービスを使えるようにするか」「どこまでの権限を付与するか」などのルールが整理されているほど、よりスムーズに活用できます。あらかじめ利用ポリシーや権限の方針を整理しておくことで、運用面の安心感にもつながるでしょう。
SCIMを利用できるクラウドサービス
SCIMは決して特別な仕組みではなく、身近で使われている多くのサービスに採用されています。たとえば次のような、業務でよく利用されるクラウドサービスもSCIMに対応しています。
【SCIMを利用できる主要なクラウドサービス】
- Google Workspace
- Salesforce
- Microsoft Entra ID / Microsoft 365
- Slack
- SAP など
チャットやグループウェア、営業・人事・財務の基幹システムまで幅広く対応しているため、使い慣れたサービスをそのまま使用しながら、自社のユーザー情報と連携させることもできます。
ただし、サービスやプランによって対応範囲が異なることもあるため、利用前に「SCIM対応の有無」と「対応しているプラン」を確認しておくと安心です。
SCIMに関するよくある質問
SCIMについて調べていると、「SSO」や「SAML」などの用語も出てきて「何がどう違うんだろう?」と思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、企業のアカウント管理でよく登場する用語との違いを整理しながら、SCIMを理解するうえで押さえておきたいポイントを紹介します。
SCIMとSSOの違いは何ですか?
SCIMとSSO(Single Sign On 以下、SSOと記載)は、どちらもアカウント運用に役立つ仕組みですが、担う役割が異なります。
SCIMは、入社・異動・退社といった情報に合わせて、ユーザー情報を各サービスへ自動で同期するための仕組みです。サービスごとにアカウント情報を更新する手間が減り、更新漏れも起きにくくなります。
一方、SSOは一度ログインするだけで複数のサービスを利用できる仕組みです。パスワード入力の回数が減るため、従業員にとって使いやすさが高まります。
まとめると、SCIMはユーザー情報を最新に整える仕組み、SSOはログインを簡単にする仕組みです。この2つを組み合わせることで、従業員・情シス担当者の双方にとって負担の少ない運用体制を実現しやすくなります。
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SCIMとSAMLの違いは何ですか?
SAML(Security Assertion Markup Language 以下、SAMLと記載)は、異なるサービス間でログイン情報を安全に共有するための仕組みです。一度のログインで複数のサービスを利用できるようにする、いわゆるSSOを支える代表的な技術のひとつです。
一方で、SCIMはログインとは関係なく、ユーザー情報の作成・更新・削除を自動化するための仕組みです。従業員のライフサイクルに合わせてアカウントや権限を整えやすくなります。
まとめると、SAMLは「ログイン情報を安全に共有する仕組み」、SCIMは「ユーザー情報を最新の状態に保つ仕組み」です。役割は異なりますが、両方を活用することで、従業員にも情シス担当者にも負担の少ない運用に近づけます。
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ID管理とプロビジョニングの違いは何ですか?
ID管理は、ID・パスワード、アクセス権限などのアカウント情報を一元的に管理し、常に適切な状態を維持するための仕組みです。「そのサービスを使えるか」「どの権限を持つか」など、利用状況全体を管理します。
プロビジョニングは、そのアカウントを実際に使えるように設定する作業を指します。アカウントの作成や権限の変更、不要になったアカウントの削除など、運用のなかで発生する具体的な操作が該当します。
まとめると、ID管理はユーザーの状態を最適に保つ考え方・仕組みで、プロビジョニングはそのなかで行なう個別の設定作業という関係です。
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SCIMの利用でID管理業務のセキュリティと運用効率を向上させよう
SCIMは、複数のサービスで扱うユーザーの情報を自動で同期するための仕組みです。入社・異動・退社に合わせてアカウントを整えられるため、管理の抜け漏れを防ぎながら、日々の運用負担を軽減しやすくなります。
また、SSOやSAMLと組み合わせることで、ログイン面と管理面の双方で安全でスムーズな利用環境を整えやすくなります。まずは、自社で利用しているサービスがSCIMに対応しているかを確認し、できるところから取り入れていく方法もおすすめです。
SmartHRの「ID管理」でも、従業員データをもとに、連携サービスのアカウント作成・削除を自動で行えます(※)。
あわせて、アカウントの保有状況も一覧で確認できるため、不要なアカウントを特定しやすくなり、セキュリティ面の強化にもつなげやすくなるでしょう。
※一部サービスに限ります。
成田 大輝
事業会社の情シスとして入社し、社内システム開発のPJや約40事業所のヘルプデスク、ITインフラ整備、情報セキュリティ対策を担当。現在は、株式会社ウェヌシスを立ち上げ、代表取締役として情シス向けの研修事業やコンサルティング事業、BPO事業を展開している。
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