IdP機能で約月25万円のコストとSSO連携の工数をゼロに。SmartHRを起点に従業員体験が向上

課題
- 従来のSSOはユーザー単位での課金だったため、利用が必要最低限にとどまっていた
- SSO連携のアカウント設定にはCSVの作成・アップロードが必要があった
解決策
- 従来のSSOをSmartHRのIdP機能へ切り替え
- SmartHRを業務の「入口」(ポータル)にして各業務ツールへのスムーズな動線を構築
効果
- SmartHRに紐づけることでより多くの従業員に簡単にSSO環境が提供可能に
- SSO単独で発生していた約25万円/月のコストをゼロに削減
- 1人当たり少なくとも30分程度かかっていたSSO連携の手作業がほぼゼロに
株式会社ウェルカムは、食とデザインを軸に豊かなライフスタイルを提案する事業や、街づくり・コミュニティづくりの事業を展開している企業です。DEAN & DELUCA、CIBONEなどのブランドを中心に全国で82店舗を展開している同社では、1,700名超の従業員の労務管理を効率化するため、2018年にSmartHRを導入し人事労務DXを推進してきました。
そして今回、SmartHRの「IdP機能」の利用を新たに開始したことで、コスト削減のみならず、SmartHRを起点とした従業員体験の向上にもつながっているといいます。
旧IdPサービスからの移行で具体的にどのような効果が得られたのか。また、SmartHRのIdP機能にどのような可能性を感じているのか。コーポレート部門 総務室 総務の吉成さん、コーポレート部門 システム室 システム管理の多田さんにお話を伺いました。
(前回取材時:ペーパーレス化から定着率算出まで。バックオフィス強化の道のり)
リモートワーク時代のセキュアなアクセス環境を「最低限」ではなく「より広く」
以前からIdP(アイデンティティープロバイダー)サービスをご利用されていた背景を教えてください。
多田さん:弊社では、コロナ禍でリモートワークが始まったことがきっかけになり、SSOを本格的に活用し始めました。
リモートワークでは従業員がさまざまな場所やデバイスから業務ツールへアクセスすることになるため、セキュリティの向上は必須です。弊社では以前からSSOを使っていたのですが、当時はSSO(シングルサインオン)連携させていたシステムが限定的で、あまり活用できているとは言えない状態でした。
それを、グループウェアや基本的な業務ツールをSSO連携するよう、リモートワークの開始にあわせて整えました。
すでにSSOの活用が進んでいたなかで、SmartHRの「IdP機能」へ切り替えた背景をお聞かせください
吉成さん:弊社では2018年にSmartHRを導入して以来、人事労務領域での活用を進めてきました。使える機能はほぼすべて利用していて、今では「人事労務について何かあれば、まずはSmartHRを確認する」という意識が従業員に根付いています。
従業員からすれば、業務に必要な情報が1か所にまとまり、あちこち見にいかなくて済む方が利便性は上がります。SmartHRへアクセスすれば必要な情報が得られ、スムーズに手続きや業務が行なえる。そのような従業員体験の向上を、SmartHRの「IdP機能」がさらに進めてくれることを期待しました。
多田さん:また、セキュリティ面のさらなる向上にも期待しました。従来のSSOはユーザー単位での課金だったこともあり、SSOを利用できる人は“必要最低限に限られていました。しかし、より多くの従業員が利用しているSmartHRにひも付くことで、SSOを利用できる対象者を増やすことができました。より広い範囲で“業務システムへの簡単なアクセス”を実現できるのは魅力的でした。
SSO連携設定の工数削減と、月当たり約25万円のコスト削減を実現
SmartHRのIdP機能を導入してどのような効果がありましたか?
吉成さん:まず、入社などに伴う新規のSSO連携設定の工数が削減できました。
以前は、SSO連携のアカウントを発行には、SSOに取り込むためのCSVデータを作成・アップロードして各業務システムと連携、という作業に1人当たり少なくとも30分程度かかっていました。
SmartHRのIdP機能では、業務ツール側で新規アカウントを発行するだけで、SmartHRを介したアクセスが可能になります。SmartHRに登録されたアカウント情報を連携するだけなので、SSO連携の設定に関する工数がほぼゼロになります。とくに一度に多数の入社者がいる時期などは助かっています。
多田さん:また、SSOを利用すれば従業員がID、パスワードを管理する手間が省け、パスワードの使い回し防止になります。今回、SmartHRのIdP機能の導入によりその対象者が拡大できたことで、全体的なセキュリティの向上が図れていると思います。
工数の面でも、SSOの利用者が増えたことでパスワード忘れによる問い合わせを減らせました。セキュリティを向上させつつ工数削減にもつながることは、情報システム部門としてはありがたいですね。
吉成さん:コスト面でも、SmartHRにまとめたことでSSOにかかっていた月当たり約25万円の費用が削減できました。これは少なくないインパクトです。
弊社は事業部単位で採算を管理しており、システム利用料も利用人数に応じて各事業部で按分しています。これまでSSO単体で発生していたコストを、別の予算として活用できる道も開けたと思います。
直感的に操作できるわかりやすさと、サポートのおかげで移行時の不安も解消
吉成さん:また、SmartHRの画面はヘルプページを見なくても感覚的に操作できるわかりやすさがあるのがいいですね。これまで人事労務でそれを実感していましたが、IdP機能の設定や運用の際にもわかりやすさ、使いやすさをあらためて感じています。
たとえば、連携しているSaaSの名前を管理しやすいように自分たちで変更できるなど、細かい点まで配慮が行き届いていてうれしいですね。
多田さん:以前はヘルプページとにらめっこしながら設定するのが当たり前で、何か1つ変更するだけでも大変でした。SmartHRのIdP機能は、管理画面で何の機能をどこで設定すればいいのかが一目瞭然で、初めて見たときに「これは簡単だな」と驚きました。
吉成さん:また、SmartHRはサポートも手厚くて助かっています。チャットだけでなく、メールや電話での問い合わせもよく利用していて、わからないことがあればすぐ質問させてもらっています。回答も素早くて、困ったときにも安心感があります。
実は、旧SSOからSmartHRのIdP機能へと切り替えた、まさにその当日に「これ、どうしよう?」ということがありました。サポートに問い合わせたらすぐにオンラインのミーティングで、一緒に解決策を考えていただけて、安心してリリースにこぎ着けられました。
SmartHRをポータルとして、各業務とつなげ、さらなる業務効率化を目指す
最後に今後のSmartHR活用の展望についてお聞かせください。
吉成さん:SmartHRがすべての業務の「入口」となるよう活用を進めていきたいと考えています。
最近では“お知らせ”や“掲示板”などの機能がアップデートされていますよね。従来であれば、社内ポータルのサイトやツールで行なっていたようなことがSmartHRでもできるようになってきましたので、今後はSmartHRへの集約を進めていければと考えています。
そういった意味でも、今回のIdP機能の追加は“普段使い”しているツールを起点としたSSOを実現し、より従業員ポータルのような役割を担ってくれるのではないかと思っています。
IdP機能を組み合わせることによって、SmartHRにログインすれば、勤怠管理システムや経費精算システム、社内Wikiなど、日々の業務で利用するさまざまなシステムへ迷うことなくアクセスできるようになります。そうすれば、従業員はより本質的な業務へ集中できますし、管理側もサポートの工数を削減できてより効率的な管理ができると思います。実際、社内からも「◯◯のサイトも連携してください」とリクエストが届くようになりました。これもSmartHRを起点にした、各種ツール、サイトへのアクセスが浸透してきているからこその声だと思います。
今後は、人事労務側の情報と連携したアカウント管理の効率化も進めていきたいです。
朝、出社してPCの電源を入れたら、まずはSmartHRを開いて必要な情報の確認や手続きを行ない、そのまま業務がスムーズにスタートする。そんな光景が日常となるような状態を目指していきたいですね。
従業員の皆さまにとって、SmartHRがすべての業務の「入口」となるよう引き続きサポートしてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
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掲載内容は取材当時のものです。