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公開日:2026/01/19

タレントマネジメントを基軸にする麻生塾の人事制度改革と推進のポイント

目次

SmartHRでは、人事部長や担当者を対象とした少人数制のセミナー・ユーザー交流会を定期的に開催しています。2025年10月31日の「第3回セミナー・ユーザー交流会」では、福岡県内を中心に専門学校を展開する学校法人麻生塾さまが登壇。

約40年の歴史をもつ麻生塾さまでは、「変化の早い時代にあった育成・評価制度」を実現するため、2023年からSmartHRのタレントマネジメント機能の運用をスタートしました。2024年10月には、人事制度改革と制度定着の専門部署「People&Cultureグループ」を立ち上げて、その取り組みを加速させています。

歴史ある教育機関ならではの人事制度改革の難しさや工夫について、麻生塾の中関さん、簑田さんに伺いました。ファシリテーターとして、SmartHRの末次も登壇しました。

中関(なかぜき)愛⼦さんの写真
登壇者

中関(なかぜき)愛⼦さん

学校法人麻生塾 麻生専門学校グループ 経営企画部/People&Cultureグループ・グループ長

大学卒業後、就職を機に地元の福岡から上京。クックパッド株式会社に12年ほど勤務したのち、2021年に福岡にUターンし、麻生塾に入社。モットーは「⼈⽣楽しく!」。⼀緒に働く⼈が「楽しい」と思える組織づくりを⽬指し、⼈にフォーカスしたカルチャー変⾰に取り組む。

簑田(みのだ)雄一さんの写真
登壇者

簑田(みのだ)雄一さん

学校法人麻生塾 理事局/法務人事グループ・副グループ長

福岡⽣まれの福岡育ち。新卒入社した会社で営業を務めたのち、2015年に麻生塾に入社。現在は主に労務関係の業務に従事するかたわらで、2023年から人事制度改革にも関わる。中関さんが所属するPeople&Cultureグループと連携して、新たな人事制度の定着に取り組む。

末次幸奈の写真
ファシリテーター

末次幸奈

株式会社SmartHR ミディアム・エンタープライズ事業本部 カスタマーサクセス本部

2020年に新卒で組織人事コンサルティング会社に入社。従業員エンゲージメント向上や人材育成事業に従事し。金融・IT・商社・小売業界など幅広い業界のお客さまへの営業やコンサルティングに携わる。2025年にSmartHRに入社し、労務領域を中心とした導入・活用支援を担当。

年功序列からの脱却を目指してタレントマネジメントに注力

末次:

はじめに、麻生塾さまについて簡単に教えてください。

簑田さん:

麻生塾は、福岡県内に12校を展開する総合専門学校グループです。麻生塾としては約40年、前身の組織から含めると約90年の歴史があり、卒業生はのべ7万人以上に上ります。

九州では最も入学者数が多い専門学校で、大学を含めても福岡県内でトップ5に入る入学者数の学校法人です。IT、デザイン、建築、医療、福祉、自動車、ビジネスなど、多岐にわたる学科・コースを設けています。

学校法人麻生塾 理事局/法務人事グループ・副グループ長 簑田(みのだ)雄一さん

学校法人麻生塾 理事局/法務人事グループ・副グループ長 簑田(みのだ)雄一さん

末次:

実は私も九州出身で、麻生グループさまのお名前はいたるところで拝見していました。九州では誰もが知っているといっても過言ではない企業ですよね!

麻生塾さまには、2020年にSmartHRをご導入いただきました。その後、2023年からタレントマネジメントの機能を活用されています。タレントマネジメントに注力したきっかけは何だったんでしょうか?

簑田さん:

「等級・報酬制度の見直し」がきっかけです。長い歴史のなかで人事制度が新たなものに切り替えられず、長らく年功序列を基本とした形態になっていました。

そうした状況を変え、役割にもとづく等級(グレード)制に移行し、報酬の公平化と安定化を図りました。そのために、「評価制度の見直し」、働き方などの「時代変化への対応」、さらには教職員一人ひとりの能力やスキルなどを“見える化”して共有するための「データ整備の取り組み」が必要だったのです。

事業や自体の変化に適応できる制度・施策を作るため
末次:

世の中にある情報量が多く、学生のニーズも多様化するなかで、変化にしっかりと対応できる教職員を育て、評価していく風土づくりのためにタレントマネジメントに取り組まれたんですよね。

「データ整備の取り組み」では、具体的にどのようなデータを可視化したのですか?

簑田さん:

主に「経歴」「保有資格」「評価結果」「キャリア志向」などです。

従来、こうした情報を表計算ソフトで管理していたのですが、情報ごとにファイルが点在し、表記ゆれがあって検索しにくいなど課題があり、データの実用化には至っていませんでした。

可視化したい情報とデータ整備の課題
簑田さん:

そこで、当初は労務管理で利用していたSmartHRをさらに活用し、あらゆる人事情報の一元管理を目指して、タレントマネジメントを強化しはじめました。

中関さん:

麻生塾では、それまで部門ごとに人材の育成や評価を任せており、法人全体として基準や仕組みはありましたが、不足している部分や運用面で課題がありました。

そこで、「採用」「育成」「カルチャー変革」「評価」などの人事業務に攻めの姿勢で取り組むために「People&Cultureグループ」を2024年10月に立ち上げました。

学校法人麻生塾 経営企画部/People&Cultureグループ・グループ長 中関愛⼦さん

学校法人麻生塾 経営企画部/People&Cultureグループ・グループ長 中関愛⼦さん

中関さん:

麻生塾の教職員は、今も昔も変わらず学生の成長のために情熱をもって働いています。しかし、価値観が多様化した現代では、学生に対する“熱意”や“想い”だけでなく、事実やデータにもとづき人材を育成・評価する必要があります。

評価の納得感がなければ離職につながりかねず、成長意欲があってもキャリアパスをどう描けばいいのかわからないというケースも考えられます。そのため、「個人のwill」と「組織のwill」の交わる部分を最大化するためのタレントマネジメントを目指して、日々さまざまな施策に取り組んでいます。

People&Cultureグループの役割

「現状」「思い」「手段」の共有のなかでSmartHRを活用

末次:

では、People&Cultureグループのこの1年間の取り組みについてお聞かせください。

中関さん:

発足後、管理職が経営と現場をつなぐ鍵であると考え、組織運営に着手しました。まずは、麻生塾の現状認識と、変革に向けた具体的な計画を言語化し、約40名の部門長が参加する部門長会議を通じて、2025年の採用・育成方針を共有し、方向性を示しました。

「現状」については、たとえば「教職員の年代構成」「退職時の年代の割合」「過去データをふまえた退職者数の予測」など実数ベースの情報共有です。

中関さん:

そのうえで、部門長の皆さんがどのような組織づくりを目指したいかをベースに採用を考えられるようにしますと、戦略的人事についての「思い」を伝えました。

「思い」の共有
末次:

まずはしっかりと「現状」のデータを見せつつ、People&Cultureグループの「思い」を伝えたのですね。思いを実現するための具体的な「手段」として、SmartHRを活用いただいたと伺いました。

中関さん:

麻生塾にはさまざまな専門スキルや資格をもった教職員が在籍しているため、能力やスキルなどの“見える化”に取り組みました。

まずサーベイを利用して、各人が「(1)今できること(can)」を振り返りながら、キャリア志向や伸ばした分野、どのように働きたいかなど、「(2)今後開発していきたい分野(will)」について自己申告アンケートを実施しました。

現在、キャリア台帳スキル管理を用いて教務経験や資格情報を集約しています。いまはデータ基盤を整える段階であり、今後活用に向けた情報収集フェーズです。

「手段」の共有<タレントマネジメントの構想と2025年実行スケジュール>
中関さん:

現在、集約した情報をもとに「(3)組織のwill」つまり、次年度の組織改革や人員配置を経営陣が考えています。

同時に、「(4)canとwillのギャップを埋めるためのキャリア開発」にも着手していて、資格取得の補助などのキャリア支援サポートも検討しています。

末次:

まさに攻めの姿勢で人事制度の改革に取り組まれているのですね。この勢いを決定づけた工夫などはありますか?

中関さん:

最初に部門長向けの説明会を開いたことだと思います。説明会はオンライン実施だったため、会の途中は活発な議論は起こらなかったのですが、終わったあと、「一緒に頑張ろう!」などの激励の声を数名からいただけました。

当たり前のことかもしれませんが、人事施策は一度で何かが変化することはありません。皆さまの理解を得ながら、地道な努力と覚悟で取り組まなければならないとあらためて感じました。

キャリア台帳の活用に寄せられたポジティブな声

末次:

具体的に、SmartHRの活用で工夫されたことはありますか?

簑田さん:

これまでも「キャリア志向」を把握するための自己申告アンケートは実施していたのですが、その年度の人事異動に利用する程度で、継続的な取り組みにはなっていませんでした。

今回からは、SmartHRを使って情報を集約管理できるようになったため、たとえば「人事部門だけ」「部門長まで」などとサーベイの質問ごとに公開範囲を伝え、教職員の本音を引き出せるよう工夫しました。また、回答の選択肢についても、これまであった「どちらでもない」といったあいまいな回答をなくして、「どちらかといえば◯◯」というように意向をより集めやすくしています。

自己申告アンケートとキャリア台帳
簑田さん:

集めた情報はSmartHRの機能を使って管理しているのですが、導入後に1つ課題が出てきました。

それは麻生塾における役職名称と、SmartHRの入力項目のズレです。上図の赤枠「要修正」となっている部分が該当します。SmartHR導入時は役職マスタを申請の承認経路用として活用していたため「Step1 承認者」といった実態の役職名とは異なる名称で登録をしており、正しい役職情報での分析ができない状況になってしまいました。今後、「スムーズに機能を活用するには整理するしかない...!」と腹を括り、SmartHR導入後の情報はすべて修正しました。

これからキャリア台帳をご活用される企業の皆さまは、導入前の履歴情報のデータ整理はきちんと準備された方がよいと思います。

末次:

過去分の履歴方法の整理は大変ですよね。SmartHRにはカスタマーサポートの部隊がおり、機能の導入後、齟齬なくスムーズに運用できるようにあらかじめ確認やアドバイスなども可能ですので、お声がけください。ちなみに簑田さん、先日ある経営層にSmartHRのキャリア台帳を見せたところ、大変好評だったと伺いました。

簑田さん:

そうなんです!「すごく便利だ」といわれて。キャリア台帳の整備をさらに進めて、今後、部門長への公開も進める予定である旨を伝えると、掲載情報に関するリクエストなどももらえました。進行中の施策について、具体的なフィードバックをもらえるのもたいへん嬉しいですね。

相互理解や関係構築のため、今後もSmartHRを活用

末次:

今後、予定している取り組みについて教えてください。

中関さん:

2025年は従業員のもつ資格情報を集められたほか、実施したサーベイの結果を部門長に共有したり、キャリア台帳の整備などの動きが取れました。

今後は部門長の皆さんにキャリア台帳を公開して、各部の人材育成や面談に活かしていってもらいたいと考えています。あと、タレントタグを使うなどより機能活用を深めたり、保有資格情報の登録率100%に近づけたりするなど、更新作業も進めていきたいですね。

それに際して、「何のために保有資格を登録するのか」のメリットを教職員が実感できるような、資格の取得補助や資格手当などもあわせて検討し、伝えていくのが重要だと感じています。

簑田さんがお話されている様子
末次:

最後に、麻生塾さまのタレントマネジメントの取り組みに関する展望を教えてください。

簑田さん:

データを基軸にした人事運営は一朝一夕で成果は出ませんが、組織を前進させる力になります。いまはその基盤となるデータ整備を進め、職員全員でSmartHRを活用して納得感ある環境づくりに努めたいです。

中関さん:

今後もデータの一元化に取り組んでいきますが、それは目的ではなく、あくまで「人材育成や風土づくり」の手段としてです。

“人を動かすのは人である”のは、いつの時代も変わりません。ですから、相互理解や関係構築のための共通言語として、SmartHRを活用していきたいと思っています。経営陣や部門長は全体施策や人事戦略を考え、教職員は自身のキャリアを考える際の参考にできるとよいなと思います。

SmartHRのデータをベースにして施策浸透・推進していく
末次:

「個人のwill」と「組織のwill」が重なる部分を最大化していくという”目的”の実現のために、今後もぜひSmartHRをご利用いただければと思います。今日はありがとうございました!

中関さん・簑田さん:

こちらこそ、ありがとうございました。

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執筆者

SmartHR コラム編集部

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