公開日:2026/01/30
入社時の雇用契約に必要な書類とは? 企業側・従業員側に分けて解説
目次
新入社員の受け入れに伴う雇用契約や入社手続きは、扱う書類の種類が多く提出期限も厳格です。そのため、労務担当者の業務負担が非常に大きくなっています。とくに、経験が浅い方や他業務と兼務している方は、「何を用意すべきか」「法的に問題ないか」と不安を感じやすいのではないでしょうか。
本記事では、入社手続きに必要な書類を「企業側が準備するもの」と「従業員から提出してもらうもの」の2つに整理して詳しく解説します。準備から回収までの流れを抜け漏れなく把握しておけば、実務をスムーズに進められるようになります。
もし煩雑な書類の作成から回収までをオンラインで完結させ、業務負担を軽減したいなら、クラウド人事労務ソフトの『SmartHR』がおすすめです。入社情報の収集や契約の締結をデジタル化できるため、書類の紛失や記載漏れなどのミスを未然に防ぎやすくなります。
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入社時の雇用契約で企業側が作成・準備する書類
新入社員を迎え入れる際、企業側で作成・準備が必要な書類について解説します。
法律で交付が義務付けられている労働条件通知書をはじめ、トラブルを防ぐための誓約書や身元保証書など、各書類の役割と注意点をまとめました。
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 採用通知書(内定通知書)
- 入社承諾書・誓約書
- 身元保証書
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 回収書類の案内リスト・送付状
(1)雇用契約書・労働条件通知書
労働条件通知書は、賃金や契約期間といった「必ず明示が必要な項目(絶対的明示事項)」を記載し、労働者に交付することが法律で義務付けられている書類です。一方、雇用契約書には法的な作成義務はありませんが、労使双方が労働条件に合意した証拠として、署名・捺印を交わす役割があります。
実務上は、これらを1つにまとめた「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を2部作成し、双方が1部ずつ保管する形式が一般的です。通知だけでなく合意の記録を残すことで、入社後の「言った・言わない」のトラブルを防ぎやすくなります。
記載内容にも注意が必要です。2024年4月の法改正により、すべての労働契約で「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が義務化されました。また、有期契約の場合は「更新上限の有無」の記載も必須です。
細かい記入項目については下記の記事で紹介していますので、参考にしてください。
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(2)採用通知書(内定通知書)
採用選考を通過した候補者に対し、採用の決定を正式に伝える書類が「採用通知書(内定通知書)」です。
法律上の発行義務はありませんが、口頭連絡だけでは認識のずれが生じる恐れがあるため、書面で通知することが推奨されます。法的には、企業が内定を通知し、候補者が承諾した時点で労働契約が成立したとみなされます。
採用通知書には次のような項目を記載し、最終面接の合格後やオファー面談の際に送付(または手渡し)しましょう。
- 入社予定日
- 配属部署
- 給与
- 入社承諾書の提出期限
- 問い合わせ窓口
採用通知書で採用の意思を明確に示すとともに、詳細な労働条件もセットで提示することで、候補者の入社意欲を高めて内定辞退を防ぎやすくなります。最近では、郵送の手間を省き、よりスピーディーに意思を伝えるためにクラウド上で内定通知を行う企業も増えています。
(3)入社承諾書・誓約書
「入社承諾書」は、内定者が入社することを正式に約束するための書類です。採用通知書と一緒に送付し、署名・合意のうえで提出してもらいます。
これにより入社の意思確認ができるだけでなく、候補者の入社に対する自覚を高め、他社への流出や直前の内定辞退を防ぎやすくなります。
一方「誓約書」は、入社後に会社のルールを守ることを誓約してもらう書類です。主な内容は以下の通りです。
- 就業規則の遵守
- 秘密保持(守秘義務)
- 個人情報の取り扱い
- ハラスメント防止
万が一、従業員が情報漏えいなどの問題を起こした際、誓約書があれば懲戒処分や損害賠償請求の重要な根拠となります。トラブルを未然に防ぐため、入社手続きの段階で内容をよく理解してもらい、入社日までに回収を完了させましょう。
(4)身元保証書
従業員が業務上で会社に損害を与えた際、本人に代わって連帯保証人が賠償責任を負うことを約束する書類が「身元保証書」です。
法律上の提出義務はないものの、金銭を扱う仕事や機密情報を扱う職種では作成することが一般的です。その他の職種であっても、万が一の備えとして作成されることが多くなっています。
なお、2020年4月の民法改正により、賠償額の上限である「極度額」を契約書に書くことが義務付けられました。もし金額を明記していない場合、契約そのものが無効になってしまいます。
(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
極度額の相場に決まりはありませんが、公序良俗に反しない範囲で「年収の1〜2年分」や「300万円」など、具体的な数字で定めるのが一般的です。
また、この契約は期間を定めなかった場合であれば3年、定める場合でも上限は5年までと決められています。有効期間の終了後も保証を継続したい場合は、その都度更新の手続きをしましょう。
(5)健康保険被扶養者(異動)届
新入社員に配偶者や子供などの扶養家族がいる場合、社会保険の加入手続きと同時に「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を準備する必要があります。
社会保険の資格取得届は、入社から5日以内に年金事務所などへ提出しなければならず、この書類もあわせて提出するのが一般的です。被扶養者として認定されるには、以下の収入要件を満たすことが大切です。
- 原則:年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)かつ
- 同居の場合:被保険者(従業員)の年収の半分未満
- 別居の場合:被保険者(従業員)からの仕送り額未満
- 特例: 19歳以上23歳未満の場合は年収150万円未満まで
手続きをスムーズに進めるには、入社前の段階で家族の氏名・生年月日・マイナンバー・現在の年収などを正確に聞き取っておきましょう。別居している親などを扶養に入れる場合は、仕送りの事実を証明する書類が必要になるケースもあります。
また、2025年10月以降、認定対象者が19歳以上23歳未満の場合には、年収150万円未満が上限となっています。
(6)回収書類の案内リスト・送付状
入社前に書類を郵送する際は、挨拶文となる「送付状(添え状)」に加え、従業員が提出すべきものをまとめた「回収書類リスト」を作成して同封しましょう。
何をいつまでに準備すればよいかが一目でわかるリストがあると、新入社員の入社手続きへの不安を解消しやすくなります。事務的な漏れを防ぐだけでなく安心感にもつながるため、丁寧な案内を心がけましょう。
回収書類リストには以下の点を具体的に記載します。
- 提出期限: 「入社日に持参」か「事前返送」かを明記
- 提出方法: 「原本」が必要か「コピー(スキャン)」でよいかを指定
とくに雇用保険被保険者証や年金手帳などは、紛失していて再発行に時間がかかるケースもあります。早めに案内して「もし紛失している場合は相談してください」と一言添えておくと、直前になって書類が足りないといったトラブルを回避しやすくなります。
また、当日の集合場所・持ち物・入社日までに済ませておく準備事項もあわせて伝えておくと、より安心です。
ここまで紹介した書類の作成や回収、進捗確認までをすべてクラウド上で完結できるのがSmartHRです。
従業員はスマホアプリやパソコンから個人情報を入力するだけで手続きができ、不備があればプッシュ通知ですぐに知らせる機能もあります。電子契約に対応しているので、郵送や手作業での転記の必要もなく、スムーズに雇用契約を締結しやすくなります。
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3分でわかる!SmartHRの「入社手続き・雇用契約」
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- 入社手続き・雇用契約のよくあるお悩み
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入社時の雇用契約で従業員から提出してもらう書類
「何を回収すればいいのか」と迷わないよう、新入社員から提出してもらう書類を整理しました。社会保険の手続きに使う番号の確認書類から給与振込先の届出書まで、それぞれの役割と案内する際の注意点を解説します。
- 年金・マイナンバー|基礎年金番号通知書(年金手帳)・個人番号
- 所得税・扶養関連|扶養控除等申告書・被扶養者(異動)届など
- 雇用保険関連|雇用保険被保険者証(中途採用のみ)
- 年末調整用|前職の源泉徴収票(中途採用のみ)
- その他|給与振込先届出書・健康診断書・署名済みの契約書等
(1)年金・マイナンバー|基礎年金番号通知書(年金手帳)・個人番号
入社後は速やかに社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険の加入手続きをする必要があるため、従業員の「基礎年金番号」と「マイナンバー(個人番号)」の情報が必須です。
基礎年金番号は青色やオレンジ色の「年金手帳」、または「基礎年金番号通知書」で確認できます。番号の誤りを防ぐため、原本のコピーや写真データを提出してもらいましょう。マイナンバーは社会保険の手続きだけでなく、源泉徴収票などの税務処理にも使用します。
マイナンバーを収集する際は、以下の取り扱いルールに従う必要があります。
本人から直接書面(電磁的記録を含む。)に記載されたマイナンバーを取得する際は、本人に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防止するために厳格な本人確認を行ってください。利用目的の明示についてはQ4-2-3、本人確認については「4-3 本人確認」を参照してください。
利用目的(例:社会保険の届け出のため)を本人に伝えたうえで、「番号確認書類(マイナンバーカードなど)」と「身元確認書類(運転免許証など)」の2点による本人確認をしましょう。なお、マイナンバーカードであれば、番号確認と本人確認を1枚で済ませられます。
収集した情報は、鍵のかかる場所やセキュリティ対策がされたシステムで厳重に保管することが大切です。
(2)所得税・扶養関連|扶養控除等申告書・被扶養者異動届など
毎月の給与から差し引く所得税を正しく計算するため、全従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を回収します。これは扶養家族がいない独身者であっても提出が必要です。
この書類の提出がないと税率が高い区分で税金が計算され、従業員の手取り額が減ってしまいます。入社日までに提出してもらうよう案内しましょう。
また、配偶者や子供を社会保険の扶養に入れる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」の作成に必要な情報も集めます。
- 認定基準: 原則「年収130万円未満」かつ「従業員本人の年収の半分未満」
- 別居の場合: 仕送りの証明書類が必要
被扶養者になるには「年収130万円未満」かつ「従業員本人の年収の2分の1未満」といった基準を満たす必要があります。
別居している家族を扶養にする際は、仕送りの事実がわかる通帳のコピーなども必要です。早めに必要書類を伝えて準備を促すと、保険証の発行がスムーズに進みやすくなります。
(3)雇用保険関連|雇用保険被保険者証(中途採用のみ)
中途採用者の場合は、前職で発行された「雇用保険被保険者証」を提出してもらいます。証書に記載されている「被保険者番号」を使って手続きすることで、過去の雇用保険の加入期間が通算される仕組みです。
加入期間の長さは、将来失業手当や育児休業給付金を受け取る際の受給要件に関わるため、番号を確実に引き継ぐ必要があります。通常は自分で保管していますが、紛失しているケースも少なくありません。
もし紛失している場合は、ハローワークで番号照会や再発行ができます。その際は前職の会社名が必要になるため、本人に確認しておきましょう。また過去の加入状況が不明な場合も、ハローワークへ相談しましょう。
なお、以下に当てはまる場合は新しく番号を取得するため、提出は不要です。
- 新卒者
- 雇用保険に加入したことがない人(公務員・自営業など)
(4)年末調整用|前職の源泉徴収票(中途採用のみ)
年の途中(1月1日〜12月31日)に入社した中途採用者について、会社で年末調整をするには「前職の源泉徴収票」が必要です。これは前の会社での給与と自社の給与を合算して、年間の正しい税額を計算するためです。
源泉徴収票は、退職後1か月以内に前の会社から本人へ送付されます。もし手元にない場合は、前職に連絡して再発行を依頼するよう新入社員に伝えましょう。提出がないと会社で年末調整ができず、従業員自身で確定申告をする手間がかかります。
なお、前職を退職した年と入社した年が異なる(例:12月退職、翌年1月入社)場合は、その年の給与支払いは自社のみとなるため提出は不要です。入社時期と前職の退職時期を確認してご案内しましょう。
(5)その他|給与振込先届出書・健康診断書・署名済みの契約書等
これまで紹介した書類のほかにも、以下のような書類を提出してもらいましょう。
- 給与振込先届出書
- 通勤手当(交通費)申請書
- 雇入時健康診断書
- 「雇用契約書 兼 労働条件通知書」の会社控え分
まず、給与を確実に支払うための「給与振込先届出書」を回収します。転記ミスや振込エラーを防ぐには、通帳の表紙裏のコピーやネットバンキングの画面を添付してもらうのが確実です。
「通勤手当(交通費)申請書」は、通勤ルートや運賃を確認し、給与や社会保険料の計算基礎となる報酬額を算出するために使用します。
また、労働安全衛生法により、企業には「雇入時健康診断」を実施する義務があります。
(雇入時の健康診断)
第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
入社前3か月以内に受診した診断結果(法定項目を満たすもの)があれば、それを代用しても構いません。
「雇用契約書 兼 労働条件通知書」の会社控え分も忘れずに回収します。本人の署名や捺印が正しくされているか確認しましょう。書面で契約した場合は署名・捺印済みの原本の保管が必須です。
これらの書類がすべて揃うことで、不備のない入社手続きが完了します。
煩雑な雇用契約と書類回収は『SmartHR』で効率化
個人情報の収集から、届出書類の作成・提出まで、オンラインで完結
入力された従業員情報を書類テンプレートに紐づけることで、従業員ごとの文書をまとめて作成・配付できます。押印や手書きのサインが不要なため、合意が必要な雇用契約や秘密保持契約、身元保証書などの契約締結を迅速に進められます。
従業員への依頼から、状況の確認まで、入社時のタスクを一気通貫で対応
雇用契約書などの個人の書類の作成、配付、入社に必要な情報の収集依頼を、SmartHRへのアカウント招待と同時にまとめて対応できます。さらに、従業員の入社タスク進捗も管理できるため、従業員の雇用契約の開封状況や、情報の提出の滞りも確認しやすいのがメリットです。
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適切な雇用契約と入社手続きで、従業員との信頼関係を築こう
新入社員を迎える際の雇用契約と入社手続きには、多くの書類が関わります。労使間のトラブルを防ぐためには「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を正しく作成し、マイナンバーや源泉徴収票といった従業員から回収すべき書類を漏れなく揃えることが大切です。
2024年4月の法改正により、明示すべき事項の内容が変わっているため、最新のルールに沿った書式の見直しも欠かせません。こうした煩雑な事務作業の負担を減らすために、オンラインで手続きが完結するツールの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
まずは本記事で紹介した書類リストを参考に、自社の受け入れフローを再確認しましょう。適切な準備によって労務担当者のミスや負担を抑え、新入社員が安心して働ける環境を整えていただければ幸いです。
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