公開日:2025/11/19
問い合わせ約20%削減。 社内で新機能「AIアシスタント」を使ってみた
目次
2025年7月、現場や店舗からの問い合わせを削減する目的で「AIアシスタント」がリリースされました。従業員から人事・労務担当者への問い合わせにAIが24時間365日自動で回答するサービスです。
リリースに伴い、SmartHRの社内ではAIアシスタントの導入を行ないました。この記事では同機能の開発担当者である島田 悠司と、実証実験をリードした人材育成部の井上 拓也に、実証実験の効果や従業員からの反応、周知の工夫、今後の展望などを聞きました。
島田 悠司
株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー
教育・福祉系企業にて障害児教育やプログラミング教育事業の立ち上げを経て、外資系IT企業に入社。教育政策・事業開発担当マネージャーとして日本全国の学校・教育機関へのICTツールの導入と活用による教育変革に従事。SmartHRに入社後は、AIアシスタントや従業員ポータル領域の責任者として製品企画およびプロダクトマーケティングマネージャーを担当。
井上 拓也
株式会社SmartHR 人材育成部 チーフ
新卒でメーカーへ入社。フィールドエンジニアを経て、人事として採用、人事制度の企画・運用を経験。2020年7月に組織人事担当として株式会社SmartHRに入社し、人事制度運用、現場各部門における人事課題・組織課題の解決に従事。2024年7月から人材育成部に所属し、人材開発施策の拡充に幅広く携わる。
お役立ち資料
AIアシスタントご案内資料
この資料でこんなことが分かります
- 従業員からの問い合わせ対応に関する課題
- SmartHRの「AIアシスタント」とは
- SmartHRの「AIアシスタント」の特徴と活用例
- 事前テストユーザーの声
従業員が1日1回利用、総務・情シス関連の問い合わせは約20%削減
AIアシスタントの実証実験は、2025年8月から1カ月間行ないました。その結果、約1,500名ほどの従業員が1人あたり1日1回は利用している計算に。「悩んだらとりあえずAIアシスタントに聞いてみる」という習慣が生まれているのを感じています。まだ導入から間もないですが、従業員からの問い合わせ対応も全体で約10%、総務・情シスで約20%削減され、着実に効果が出ていました。
AIアシスタントが使われているシーンとしては、有給休暇制度やランチの補助制度、懇親会の制度や、具体的な申請方法に関する質問が多かったですね。こうしたシーンに対応するマニュアルのデータは以前から社内にあったのですが、種類や文量が多く、保管してあるフォルダもさまざまなので、探すのが大変でした。
そのため、従業員はマニュアルを開いたり閉じたりするのに時間を費やした末に、結局疑問を解消できずに人事・労務担当者に質問することになります。一方で、質問を受ける担当者は同じ回答を何度も繰り返すことになり、非効率的な状況でした。
その点、AIアシスタントを使えば、従業員はチャットボットに「ランチの費用補助はいくらまで?」と聞くだけで、AIアシスタントは該当ドキュメントを探しその中から必要な情報だけを抜き出してくれるので、従業員はすぐに回答を見つけられます。また、万が一AIアシスタントで疑問が解決しないときは適切な問い合わせ先を表示してくれるため、「誰に聞けばいいか」で悩むこともありません。
こうした仕組みが、従業員の利便性向上につながるだけでなく、人事・労務担当者の問い合わせ業務を削減します。
マニュアルなどの情報を従業員が探すときには、3つのハードルがあります。
- そもそも情報が届いておらず、「知らない」
- 届いた情報から自分に必要な部分が「見つからない」
- マニュアルなどを読んでも内容が複雑で「わからない」
AIアシスタントを使うことで、「知らない」「見つからない」「わからない」のハードルをすべてクリアできるので、社内の情報検索が非常にラクになると思います。
2つめの「見つからない」と3つめの「わからない」ハードルについて、就業規則などの文書は難しい言葉で書かれており、該当するドキュメントを見つけられてもどこに自分の知りたい内容が記載されているか探しづらかったり、内容を理解できないケースがよくあります。こうしたときAIアシスタントなら、話し言葉で聞いてもすぐにほしい情報を返してくれます。
規定などは正しく理解していないと大きなトラブルにもつながる情報なので、人事担当者としては制度の誤認識を防ぐという意味でも助かっています。友人と会話するような感覚で疑問を解決できるので、IT機器やインターネットになじみのない方にこそ使っていただきたい機能だと思っています。
AIアシスタントはSmartHRのスマホアプリからも使うことができるので、社用端末を持っていない方や、会社のポータルサイトにアクセスできない方も、自分のスマートフォンから利用できます。疑問がわいたときにすぐ解決できるので、利便性向上につながっています。また、上司や本部の人事担当者には聞きづらい質問もAIになら気兼ねなくできるため、従業員の質問に対する心理的ハードルを低くする効果もあります。
- 入社時に説明されたことを質問したら「聞いていなかったのか」と思われそう
- 上司が忙しく、質問のタイミングがつかめない
- 産休や育休の制度を確認したいけど、妊娠はまだ公表したくない
こうしたさまざまな事情で質問をためらってしまうときも、AIアシスタントを使えば疑問を解決できますよね。
回答成功率82%という高水準の回答をキープ
AIアシスタントは、自社専用のAIアシスタントになることも大きな特徴で、世間一般の制度ではなく「自社の制度がどうなのか」を回答してくれます。
例えば、産休・育休などは、自社独自の制度と世間一般の制度が異なることもあるかと思います。こうしたとき、AIアシスタントはインターネット上の情報から誤って世間一般の制度を回答することなく、自社の就業規則などをデータソースに、自社の正しい制度のみを回答してくれます。
さらに、雇用形態に応じて回答を出し分けられるのも便利なポイントです。同じ就業規則に関する質問をしても、アルバイトの従業員からならアルバイト用の就業規則、正社員の従業員からなら正社員用の就業規則をもとに回答してくれます。
データソースが保管されるのも使われるのも、自社の環境のみです。機密情報が外部に漏れることや、インターネット上の学習に使われることは、もちろんありません。セキュリティの観点でも安心してお使いいただけます。
今回の実証実験を通して、AIアシスタントの回答精度の高さが実証されたのは嬉しい驚きでした。開始当初、データソースとして人事・労務関連のドキュメントのみ86件ほどアップロードしていました。その後、経理や情シス関連など人事・労務関連以外のものを含めた200件以上のドキュメントを追加でアップロードしたのですが、回答成功率は実証実験期間の1カ月を通して82%という高水準をキープしました。
データソース追加時は内心、さまざまな種類のドキュメントをアップロードすると回答成功率が下がってしまうかもしれないと考えていました。しかし、結果を見てみると、思った以上に厳密に回答してくれているのがわかって安心しました。
最短1日で使いはじめられる導入ハードルの低さも魅力
AIアシスタントは導入が非常に簡単だという点でも、ほかの製品と一線を画しています。一般的なAIチャットボットは大量の想定問答を作って登録しておかないと使いはじめられないケースが多いのですが、AIアシスタントは既存のマニュアルをアップロードするだけで導入できます。アップロードする文書ファイルさえ用意できていれば、早ければ1時間程度の準備でもすぐに導入できると思います。
データソースのアップロード画面もわかりやすく、ドキュメントも特に整理せずに社内の制度やマニュアルをPDFにしてアップロードしただけなので、手順の複雑さはまったく感じませんでした。導入のハードルが非常に低かったですね。また、閲覧や検索に制限をかけられるので、情報管理の観点でも安心です。
実証実験の周知をするときは、全社に対して漏れなく告知するよう心がけました。毎週の全社会議や毎月の中途採用者向けオリエンテーションでAIアシスタントを紹介する機会を設けると同時に、SmartHRのお知らせ機能でも告知し、当日参加できなかった人にも情報が届くようにしました。
AIアシスタントは従業員に使ってもらってはじめて人事・労務担当者の負担が減り、効果を実感できます。その点で、全従業員に情報を伝える導線を設置しておいたことはよかったと思います。これによって従業員に知ってもらえる、使ってもらえる仕組みができて、告知後は特にキャッチアップをしなくても自然と浸透していきました。
AI活用で、タスク時間を重要業務に向き合う時間に
AIアシスタントはSmartHRの一機能なので、SmartHRを導入されている企業なら従業員全員がアカウントを持っています。入社手続きや年末調整でもSmartHRはすでに使っているので、全員が使い慣れているでしょう。他システムを使うことなく、人事労務に関しての質問はSmartHR上で完結するという点も、大きなアドバンテージだと思っています。
本当にその通りで、AIアシスタントは浸透させやすいプロダクトだと思います。導入が簡単で、機能もわかりやすく、従業員がメリットを実感しやすい。誰がオーナーシップを持つかという点さえクリアすれば、あとは自然に活用が広がっていくはずです。部署の中でAIに興味がある人や、情報の取り扱いに課題感のある人をチームを引っ張っていくリーダーに任命するのもいいかもしれません。
AIアシスタントが情報探しや申請などのタスクを完全に終えてくれれば、従業員は本当に必要な仕事に時間を割けるようになります。人事・労務担当者は問い合わせ対応よりも人事戦略の立案や人事施策の実行に時間を使うべきですし、事業部門の従業員は制度の情報を調べるよりも事業の成長のために時間を使うべきですよね。AIアシスタントを活用することで業務効率化を進め、これらの問い合わせ対応などに使っていた時間を本来やるべきことに向き合う時間へと転換していただければと願っています。
※掲載内容は取材当時のものです。
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- 従業員からの問い合わせ対応に関する課題
- SmartHRの「AIアシスタント」とは
- SmartHRの「AIアシスタント」の特徴と活用例
- 事前テストユーザーの声
SmartHR コラム編集部
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SmartHRお役立ち資料集
この資料でこんなことが分かります
SmartHRの機能概要と導入メリット
従業員とのコミュニケーションを円滑にする機能
入社手続きのペーパーレス化で変わること
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