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公開日:2019/04/04

パネルディスカッション「SmartHRで始める労務改革」書き起こしレポート【SmartHR User Meetup vol.3】

目次

2019年2月21日に、「SmartHR UserMeetup vol.3 〜SmartHRで始める労務改革〜」を開催しました。

本稿では、同イベントにおける、パネルディスカッションを全文書き起こしでお届けします。

登壇者

篠﨑 孝太さん

合同会社DMM.com 労務企画推進チーム チームリーダー

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登壇者

杉原 紗矢さん

元マテリアルグループ株式会社 HRグループ

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登壇者・モデレーター

副島 智子

SmartHR VPプロダクトプランニング

Park SmartHRユーザーコミュニティー

ユーザーコミュニティー

SmartHR ユーザーコミュニティー「PARK」でつながろう!

以下本編です。

雇用契約書に加え「誓約書のオンライン化」が効率化を後押し

副島:

皆さん、こんばんは。SmartHRの副島と申します。早速ではございますが、篠﨑さんと杉原さん、お二方のライトニングトークの内容を踏まえ、パネルディスカッションを始めます。

まずは、DMMの篠﨑さんからお伺いします。SmartHRによって、雇用契約書のオンライン化をしていただいたとのことですが、オンライン化される前までは、どのような業務フローで締結されていたのでしょうか?

篠﨑さん:

導入前は、基本的にWordで書類を作成し、印刷して従業員に渡していました。労働条件通知後に契約書に押印してもらうとともにPDF化し、労働契約書の原本を石川オフィスに郵送。そして石川オフィスで保管するようなフローでした。

副島:

雇用契約の手続きは、どなたが担当されていたんですか?

篠﨑さん:

労務の実務担当者です。入社オリエンテーションの労務関連パートで、そこで担当者が契約書を新入社員に渡し、サインをもらうよう対応していました。

副島:

SmartHRのオンライン雇用契約機能を使っていただくことで、業務フローが大きく変わったとのことですが、現在入社される方には、どのように合意してもらっているのでしょうか?

篠﨑さん:

今はまだ、書面で労働条件を通知しなければいけないという要件(※)があるので、入社オリエンテーションで労働条件通知書を配るところまでは一緒です。その後、入社日当日のうちにSmartHRから労働契約の合意依頼を送付し、合意してもらうよう案内しております。

※ 2019年2月21日現在。なお、2019年4月1日よりメールなどの電磁的方法による労働条件通知が解禁されます。

副島:

入社日の対応フローで、特に変化したのはどのあたりの業務でしょうか?

篠﨑さん:

労働契約書は今申し上げたとおりですが、それ以外にも3枚の誓約書に合意してもらっています。3枚の誓約書を入社オリエンテーションで配布して、実際に確認・押印をしてもらうフローですが、こちらもSmartHR上で実施するようにし、入社前に依頼を送付、合意をもらえるようになりました。

これにより、入社オリエンテーションの時間もかなり削減できました。「オンライン雇用契約機能」によって、労働契約書のみならず、誓約書もオンライン化できたことの効率化はとても大きかったと感じています。

副島:

入社日の業務フローも対応時間も、ともに大きく変わったのでしょうか?

篠﨑さん:

そうですね。入社オリエンテーション全体として、これまで1日かけていたものを半日にしようと全社で取り組んでいるのですが、労務パートも当然削減する必要があり、実際に半分ほどの時間になっていますね。

副島:

フォーマットが統一されたという導入実績を、先ほどご紹介いただきましたが、逆にこれまでフォーマットが統一されていなかった原因や課題はどこにありましたか?

篠﨑さん:

労働契約書を、従来方式のWordとExcelを使った「差し込み印刷」で行うと、“可変部分”を柔軟に対応できないどころか、ExcelからWordに手動で従業員情報を持ってくるようなフローが入ることもあります。

ところが、SmartHRの「オンライン雇用契約機能」では、SmartHRに存在する従業員情報を抜き出せるので、フォーマットに“可変部分”を作れるため、統一化にかなり役立ちました。

パネルディスカッション「SmartHRで始める労務改革」の様子

SmartHRの活用促進は「従業員情報整理」が大切

副島:

ありがとうございます。お次は杉原さんにお伺いします。杉原さんが労務を引き継いだ際は、従業員情報はどのくらい揃っていましたか?

杉原さん:

引き継いだ当時の従業員は50名ほどだったんですが、一気に人数が増えた時期でもあり、半分ぐらいは揃っていなかったという状況でした。

副島:

ちなみに、そのときはどのような情報が不足していましたか?

杉原さん:

あまり大きな声では言えませんが……、雇用保険の番号などですね。

副島:

なるほど、よく聞くケースですね。社会保険の整理番号が揃っていない、とかはあるあるですよね(苦笑)。

杉原さん:

そうなんです。人によっては全部情報が揃っているけれども、一方で情報が歯抜けになっている人もいるような状況でした。

副島:

揃っていなかった情報は、その後、どのように情報収集されましたか?

杉原さん:

社労士さんと労務監査を行った際に、ハローワークなどで一気にすべてのデータを集めて、その集めたデータをもとにSmartHRに入力していきました。

副島:

マテリアルグループさんでは、まず一気に従業員情報を整理してから、本格的にSmartHRの活用をスタートされたのでしょうか?

質問の背景として会場の皆さまにもお伝えしておくと、SmartHRを導入していただくタイミングで、今まで管理していた従業員情報を、SmartHRにインポートする必要があります。そのときに、従業員情報が揃っているかいないかで、導入や活用のスピードが大きく変わってくるんです。

杉原さん:

そうですね。やっぱり従業員情報を集めて整理するまでは労力がかかりますし、大変なんですが、まず最初に1ヶ月ほどかけて一気に従業員情報を整理したことで、その後人事労務に関する様々な業務改善に素早く取りかかれたと感じています。

一元管理で「最新ファイルわからない問題」の解消

副島:

一方のDMMさんでは、SmartHRの導入以前は、従業員情報をどのように管理されていましたか?

篠﨑さん:

SmartHR導入前は、紙で集めた従業員情報をExcelなどでアナログ管理していました。あとは、ある程度の情報が採用管理システムに入社前から入っていたので、それを必要に応じて従業員情報として手動で引っ張って活用していました。

SmartHR導入後は、従業員情報はもちろんSmartHRで管理しています。また、一部CSVインポートなどを挟みますが、採用管理システムからSmartHRへの連携も行っています。

副島:

Excelだと更新履歴がどんどんわからなくなってしまいますよね。各々がローカルにデータを落として更新し始めると、どれが最新ファイルなのかわからないような問題になることもあります。

篠﨑さん:

そうですね。導入以前から従業員情報データベースのシステムはあったものの、そこへの情報の繋ぎ込みがアナログだったので、結局そのような「最新ファイルわからない問題」が発生していました。

SmartHR導入後は、集めた従業員情報を一元管理でき、システマティックに連携できるため、この問題は改善されました。

「ToDoリスト」で業務の見える化・標準化

副島:

「オンライン雇用契約機能」以外にもよく使っている機能はありますか?

篠﨑さん:

「ToDoリスト」を、2018年からがっつりカスタマイズして使っています。要は、システマティックになったとしても、「この手続きは役所に出す」とか「保険証を受け取る」とか「それを従業員に渡す」など、様々なタスクが出てきますが、それらのタスク進行についてSmartHR内で「ToDoリスト」をチェックしながら進めていけるので、すごく進捗管理しやすくなりました。

副島:

SmartHRの「ToDoリスト」をご存じない方のために説明すると、「ToDoリスト」は各機能の中でも特にご要望の多い機能で、具体的にはToDoとしてカスタマイズしたテキストを入力いただいて、各タスクが終わるごとにチェックを付けると「何%終わりました」と進捗状況表示されるような機能です。

現在は入退社の手続きを作成するときに「ToDoリスト」に沿ってチェックをしていけば手続きが進んでいくのですが、このような手続き以外でも「ToDoリスト」を使いたいというご要望をたくさん頂いています。いつか「ToDoリスト」だけのアプリを使っていただければいいなと思っているぐらい、熱いご要望があるんです。

この「ToDoリスト」によって「今どこまで進んでいるか」、「次に何をすればいいか」など、業務の見える化や標準化に繋がっている実感はございますか?

篠﨑さん:

ありますね。労務の中でも担当が分かれているので、実際に担当していないタスクの進捗を見たときにも「今はこういう状況なんだね」と把握できたり、その際に漏れを防いだりもできるので、見える化や標準化という観点でも非常に役立っていると実感しています。

副島:

ありがとうございます。杉原さんは、マテリアルグループ在職中によく使っていた機能はありますか?

杉原さん:

私は従業員情報を全部エクスポートして、加工して使っていました。他部署が提出する資料や報告で必要な情報として「平均年齢」や「平均勤続年数」などの、社員情報の統計を聞かれることが多かったのですが、SmartHR上にすべて従業員情報が入っているため、これをエクスポートして、データを集計・加工し、数値を導き出して各部署に情報を提供するなどしていました。

篠崎さん 杉原さん パネルディスカッション「SmartHRで始める労務改革」の様子

人事労務のインプットと情報キャッチアップは?

副島:

続きまして、今日ここにお集まりの皆さまの多くが、人事労務をご担当されていますが、人事労務のキャリアはどのように形成されていくのか、気になっている方も多いんじゃないかと思います。

そんな中、篠﨑さんは社労士試験に合格されていますが、もともと人事労務とは別の部署だったとのことで、社労士資格の存在は、どのタイミングで知ったのでしょうか?

篠﨑さん:

DMM入社前に勤めていたのが資格系の会社だったので、もともと知ってはいました。個人的に人事や労務に興味を持ったタイミングで、必要な知識を身に付けるために社労士の勉強をはじめたんです。労務グループに入ってからは、実際に実務を経験しつつ、知識も同時に学んでいってというようなやり方でした。

副島:

勉強を始めてから、社労士試験に合格されるまではどのくらい時間がかかりましたか?

篠﨑さん:

2018年1月に労務グループに入る前に1回試験を受けてみたんですが、そのときは半年ほどで、異動後から次の試験までで約8ヶ月ほど勉強したのであわせて1年半ぐらいですね。

副島:

すごいですよね。社労士試験の勉強をされたことがある方はご存じかと思うんですが、結構な量なんです。篠﨑さんはどのように勉強されたんですか? もちろんお仕事をされながらだと思うのですが。

篠﨑さん:

スキマ時間を活用していましたね。通勤時間やエレベーターの待ち時間、あとは暇な時間などを上手く使いながら。

副島:

社労士試験合格後、ご自身の中で気持ちの変化などはありましたか?

篠﨑さん:

規程管理などを担っていると、労基法などを参照する必要があるので、学んだことが実務にダイレクトに役立っていますね。このあたりはかなりモチベーションを高くやれました。あの知識がここに繋がっているんだとか。

副島:

杉原さんも、人事労務とはまったく別の分野から担当者になったとのことですが、情報や知識はどのようにキャッチアップされていらっしゃいますか?

杉原さん:

やっぱり「SmartHR Mag.」ですね。季節性の業務を対応するにあたって、その時々で何をしなければいけないかとか、何に備えておくべきかなどが配信されているので、情報のキャッチアップとして助かっていました。

「原則」と「現実」にどう折り合いをつけるかが腕の見せどころ

副島:

人事労務担当者の腕の見せどころとしては、勤怠管理しかり「原則的にはこうなんだけれども、現実としては異なっているよね」といったようなギャップに対して、どう折り合いをつけるか、などがあると思っています。

おふたりは、そのようなギャップに対して、どのように考えてお仕事をされていますか?

篠﨑さん:

顧問社労士に相談することもありますし、労基署やハローワークに問い合わせることもあります。先方の担当者によって見解が異なることもあるんですが。

ただ、それはそれで参考になる部分もあります。何回か問い合わせると、「原則的に譲れない部分はここなんだな」という部分が見えてくることもあるので、様々なオピニオンを得るために各所に問い合わせることが多いんです。

そして見解を集めて整理したうえで、最終的に社労士に相談して折り合いをつけるようにしています。

副島:

結構カジュアルに労基署やハローワークにお問い合わせされているのでしょうか?

篠﨑さん:

そうですね。電話したり、あるいは直接出向いたりするときもあります。それこそDMMの組織改編時は、いろいろと書類を提出する際に、折角なので何かしら情報を持ち帰ってという形でやっていました。

副島:

ありがとうございます。杉原さんはいかがですか?

杉原さん:

まず、そもそもの原則を知ることが大事なので、社労士さんに相談をして、どういうことが本当は必要なのかを確認していました。一方で、もともと事業サイドで仕事をしていたため、現場の気持ちも理解できます。

そのため、「どうあれば社員が働きやすいのか?」をヒアリングしたり話し合ったりして、原則と理想の折り合い地点まで持っていって、最終的にルール化していっていました。

今後の人事労務における「自分の理想の姿」は?

篠崎さん 杉原さん パネルディスカッション「SmartHRで始める労務改革」の様子
副島:

最後の質問です。皆さまが今後、人事労務のお仕事に携わっていく中で、理想の姿を教えてください。

篠﨑さん:

人事労務に興味を持ったきっかけは、自分が実際に会社員として働いていて、「この働き方は本当に合っているのかな?」という、ささやかな疑問でした。

働き方改革の時代を迎え、いい波が来ているのかなと思っています。シンプルに「自分だったらどういう働き方をしたいか」を追求していくと、きっと多くの従業員にとっても働きやすい環境になるんじゃないかと思っており、会社目線・従業員目線はもちろん、“自分目線”も大事にしながら、より良い働き方をつくれるような人間になれたらいいなと考えています。

副島:

ありがとうございます。では、杉原さん、お願いします。

杉原さん:

私は今フリーランスになりましたが、そのきっかけは、働き方が多様化していく中で、どのような働き方ができるのか身をもって知りたく、社員という枠組みから一度外に出てみようと思ったからなんです。

今後、社会の変化や個人のライフスタイルなどに合わせて、働き方がいろいろと変化していくときに、会社と社員の雇用関係をどのように築いていくのか。そのあり方やパターンなどをアカデミックな観点からも探りたくて、大学との共同研究も進めています。

結果として、人事労務の皆さまや働く人々のお役に立てれば嬉しいです。

副島:

篠﨑さん、杉原さん、ありがとうございました。パネルディスカッションとしては以上でございます。おふたりに拍手をお願いします!

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執筆者

藤田 隼

SmartHR Mag. 編集部員。SNSマーケティングやメディアマーケティングを経験したのち、2017年SmartHRに入社。「SmartHR ガイド」や「オープン社内報」の編集にも携わる。最近の趣味はwell-beingについて掘り下げること。

※この記事は最終更新日から1年以上経過しています。法律や助成金に関する情報には変更の可能性があるため、ご確認をお願いします。

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