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公開日:2025/11/28

早期離職を断つ!SmartHRを活用した入社後半年間の定着支援戦略

目次

2025年9月18日開催の「PARK fes. 2025」から、PARKショーケースで発表いただいた、「新入職員の定着支援」についてお届けします。

医療法人御殿山 福田総合病院は大阪府枚方市にある、病床数171、職員数約300名の中小規模の病院です。病院事業のほか保育園事業や介護事業を展開し、最近はクラウドファンディングや農園経営にも挑戦しています。

早期離職の増加で採用・引き継ぎ・再教育などのコストが膨らんでいた福田総合病院さまは、新入職員の定着支援を目指す「新入職員フォロープログラム」を立ち上げます。このプログラムにおけるSmartHRの活用方法を、総務部の近藤さんにうかがいました。

近藤 まりやの写真
登壇者

近藤 まりや

医療法人御殿山 福田総合病院 事務部 総務部 人事・採用業務担当

金融機関勤務を経て、2019年に医療法人御殿山 福田総合病院へ入職。 総務部に所属し、人事・採用、広報・企画、DX推進の各チームにて企画立案や実務を担当する。SmartHR導入直後の2023年5月頃からPARKを活用。

増える早期離職に疲弊する現場

医療業界を支えるのは、エッセンシャルワーカー(医療や介護、生活インフラ、物流など、人々が日常生活を維持していく上で必要不可欠な仕事に従事している人たち)と呼ばれる専門職のみなさんのご活躍です。こうした職員の離職はサービスの質、医療の質の低下に直結するため、経営上の大きな課題でした。最近では早期の離職が目立っており、採用や再教育のコスト増加も深刻になっています。

入職した人に仕事を教えてもすぐに辞めていくことが繰り返されると、現場も疲弊してきます。こうした退職が半分にでも減れば、離職に伴う再教育のコストを削減できます。そうすれば経営上必要な医療の質の向上にリソースを割けるようになるはずだと考え、取り組みをはじめました。

「点と点」の取り組みを「線」でつなぐために

2年半前にSmartHRを導入してから、大きく3つの取り組みを進めてきました。

1つめは、従業員サーベイの実施です。SmartHRの従業員サーベイ機能にはプリセットのサーベイがいくつかありますが、そのうち「入社1ヶ月後サーベイ」を新入職員に対して実施していました。ゼロから設問を自作しなくても手軽にはじめられて助かりましたが、しっかりと計画を立てずにはじめたせいで単発に終わってしまったりして、反省点がたくさんありました。

2つめは、外部専門家による面談です。精神保健を専門とする看護師の方に、専門職ならではの視点からアプローチをしていただいていました。効果は少なからずあったと思いますが、非対面であることや、実施のタイミングや回数に制限が多いことから、十分に活用しきれていませんでした。

3つめは、新卒採用者に向けた懇親会の開催です。新卒採用に限ってはほぼ離職がなく、一定の効果はあったと思います。ただ、企画や運用が大変なので、この取り組みを中途採用者にまで広げることには及び腰でした。

これらの取り組みを「点と点」で終わらせず、「線」でつないでいきたい。そう考えて作ったのが、新しい新入職員プログラムでした。職場への定着には最初の6ヶ月が特に重要だという仮説に基づき、サーベイと面談、懇親を関連づけて実施するものです。これによって日々のちょっとした悩みやつまずきを早期に発見し、すぐ対応して離職を少しでも減らしたいと考えました。そのために、新入職員が「安心して働ける」「気軽に相談できる」「成長を実感できる」と感じられる職場づくりを行なうことも目標に掲げました。

新入職員プログラムの課題改善前後の比較図。導入前は「点と点」でバラバラだった取り組みが、導入後は「線」で繋がり、サーベイと面談が連動し、懇親も中途採用者に拡大。

具体的には、それまでは1回きりの実施だったサーベイを、6ヶ月間で計4回実施することに決めました。サーベイの結果をもとに離職の兆候や支援の必要性を確認するほか、一定期間における数値の推移やそこから見える傾向といったマスデータ(統計的に処理されたデータ)も取得したかったのです。

面談はサーベイ結果と連動した形で行ない、人事労務のスタッフが担当するようにしています。専門性の高い面談も引き続き活用していきますが、そのベースとなる「身近な人が日々気にかけてくれている」という安心感をつくっていきたいと考えました。

懇親は新卒採用者とは別枠で中途採用者にも実施し、入社から6ヶ月間は何度でも参加できるしくみにしました。懇親をきっかけに専門職同士のつながりを深めることで、職場のコミュニケーションの活性化を目指しています。

3分でわかる! 従業員サーベイ

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3分でわかる! 従業員サーベイ

近年、従業員のパフォーマンスアップや離職防止のために、エンゲージメントが重要視されています。その向上施策に注目が集まる一方で、肝心のエンゲージメントに対してどのように寄与したかを適切に計測できず、お悩みの企業も少なくありません。SmartHRの「従業員サーベイ」なら、SmartHR本体に登録された従業員へ簡単にアンケートを配信、部署や役職などの情報をもとに様々な分析が可能。エンゲージメント向上をきっかけに企業競争力を高めたいと考えている、人事や経営者の皆さまにおすすめの資料です。

この資料でこんなことが分かります

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サーベイ結果の推移や傾向にも注目

4回のサーベイには、プリセットサーベイにある共通設問を設けています。共通設問で最低限の情報を収集しつつ、人事チームで設定したオリジナルの設問も用意しています。サーベイにはクロス評価・クロス集計という機能がありますが、それを使うと各設問に対する回答を数値化してスコアに変えられます。継続サーベイグループという機能を使って4回のサーベイをグルーピングすることで、共通設問のスコア推移を見ています。

これに対して、任意で回答してもらう記述式の設問では定性的な情報を収集しています。オリジナルの設問はタレントマネジメントや職員の自己理解、目標設定につながる内容を意識して設定しました。具体的には、2回目は「上司や先輩から期待されていることは何ですか?」、3回目は「自分が成長したと感じる点はありますか?」 「次の3ヶ月のあなたの目標は何ですか?」、4回目は「6ヶ月を振り返って担当業務はどうですか?」 「この仕事に6ヶ月取り組んでみて、得意な業務や苦手な業務はありますか?」といった内容です。職員に無理なくキャリアを磨いてもらいつつ、マスデータを収集して現場のマネジメントに役立てられるような仕組みづくりを目指しました。

サーベイの活用プロセスを示す図解。各設問の回答を0.5ヶ月目から6ヶ月目までスコア化し、全4回のサーベイをグルーピングすることで、推移と傾向を分析する。

「課題の可視化」と「現場の巻き込み」が奏功

取り組みの結果、早期の離職が昨年は年間15人だったのが、今年度は9月時点で2名にまで減少しました。離職の兆しに早く気づける土台ができ、1つひとつの退職を個別の出来事ではなく組織全体の課題として捉えられるようになってきたのだと思います。

SmartHRは定着支援に最適なツールです。人事・労務担当者はもちろん、職員にとっても使いやすいツールなのがよかったですね。普段から入社手続きや契約手続きで使っているツールなので、そこからサーベイや面談の案内が届くのもごくごく自然で、簡単に受け入れてもらえました。これからも職員にも患者さんにも選ばれる病院を目指してがんばっていきたいです。

導入の成果と工夫した点の図。早期の離職者数が導入前の年間15人から導入後の年間2人に13人減少し、その理由は使いやすいツールであることや、工夫した点はレポート機能での定着支援の可視化と部署別の上限目標設定である。

取り組みの中で工夫した点が2つあります。1つめは、人事労務レポート機能の活用です。早期の離職が増えていることを客観的な数値で把握できる資料をつくり、定着支援の必要性を可視化しました。

2つめは、現場部署への働きかけです。定着支援は人事担当者だけががんばっても実現できません。現場部署、特に役職者の方々に定着に対する責任意識を持ってもらいたいと考え、はじめて部署別に離職数の上限目標を設定しました。同時に定例会議などで制度の目的や導入背景を丁寧に伝え、「早期離職は個人の責任ではない」「職場全体で支えるしくみや文化をつくっていこう」ということを周知しました。

3分でわかる!SmartHRの人事労務レポート

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3分でわかる!SmartHRの人事労務レポート

ロクイチ報告、経営層への組織状態の共有など、従業員データの集計・報告業務は多くあります。そのつど複数のシステム・書類からデータ収集し、手作業で集計する方法は、工数がかかるだけでなくミスも発生しやすくなります。 本資料では、そんなお悩み解決をサポートするSmartHRの「人事労務レポート」機能についてご紹介します。

この資料でこんなことが分かります

  • データ集計・報告のよくある課題
  • SmartHRの「人事労務レポート」とは
  • SmartHRの「人事労務レポート」の主な機能
  • 人事労務レポート活用の流れ・ユースケース
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持続可能な運用を目指して模索を続けたい

これらの取り組みをする中で、悩んだ点もたくさんありました。まず、運用負担が大きくなりすぎない落としどころの模索です。定着支援の取り組みを少しでも充実させたいという理想はありつつも、現実的な人員と体制は限られています。こうしたバランス調整に非常に苦労しました。

取り組みは6ヶ月間と言わず、1年間続けたほうがいいのではないか。面談の回数をもっと増やそうか。こうした案も当初は出ていましたが、それでは面談担当者の負担が膨大になります。新入社員の離職を防ぎたくてはじめた取り組みのせいで、面談担当者の離職リスクが高まってしまうのでは本末転倒ですよね。

新入職員にとっても、何回もサーベイや面談を受けることが負担になるかもしれません。順調にオンボーディング(新しく組織に加わった従業員が、早期に組織や業務に慣れ、活躍できるようになるための計画的なサポートプロセス)できている人にまで6ヶ月間後ろをついて回るのは、「寝た子を起こす」ことにならないかという話もありました。

また、サーベイの結果を見ると、すぐには解決できない課題をあげてくださる方も多数でした。こうした中で、この制度をどのように腹落ちさせるかというのは、非常に悩んだところです。サーベイや面談の結果を収集してはいるものの、それを分析して支援に活用するというところまではまだまだできていないという課題感もあります。

限られた人員・予算・時間の中で、どうすれば持続可能な運用ができるか。新入職員が安心して働けて、成長を実感できる文化をどうすれば醸成できるか。こうした問いには正解がなく、一朝一夕では答えが出ません。SmartHRで業務効率化を進めることで試行錯誤するための時間を確保し、わたしたちならではの答えを見つけたいと思います。一方で、SmartHRに頼りきりにならず、捻出した時間を使って人と人とのコミュニケーションにも力を入れていきたいです。

※掲載内容は取材当時のものです。

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執筆者

川端 奈帆

株式会社SmartHR SmartHRユーザーコミュニティ「PARK」運営メンバー

2020年にSmartHR入社後、マーケティンググループにてオフライン・オンラインイベントの企画運営を経て、2024年よりSmartHRユーザーコミュニティ「PARK」運営チームに参画。

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  • SmartHRの機能概要と導入メリット

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