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導入事例

JR九州グループ13社が導入|シェアードサービス企業の実践例。スマホで高齢社員にも浸透

JR九州システムソリューションズ株式会社HR事業部の野口さん

課題

  • 紙運用の労務手続きにより、書類提出のためだけの出社が発生
  • 業務量増加による生産性低下や業務の属人化、長時間労働も課題に
  • グループ各社でも紙運用がボトルネックとなり、業務を圧迫していた

解決策

  • 1社目としてSmartHR導入後、労務手続き全般をペーパーレス化
  • フロントシステムとして活用。既存の基幹システムの連携ハブに
  • グループ会社へ導入・活用支援を展開

効果

  • 1社目としての導入後、労務管理全体で年間約200時間の工数削減
  • 高齢社員が多い2,300名規模の会社で、年末調整が2か月→1か月に
  • 入社手続きや雇用契約もオンライン完結で、締結スピードが向上

JR九州システムソリューションズ株式会社は、JR九州グループ各社のシステム開発・運用・保守を中心に、シェアードサービス事業やITコンサルティングなどを展開しています。

現在、JR九州グループ44社のうち13社がSmartHRを導入し、従来の紙ベースの人事・労務業務を効率化し、グループ全体のDX推進を加速させています。今回は導入支援を担うHR事業部の野口 貴浩さんに、SmartHR導入の背景や導入支援の工夫、今後の展望について伺いました。

出社を強いる紙運用、業務の属人化で長時間労働が発生

お話をされている野口さん
(野口さん)

導入前の課題を教えてください。

野口さん:JR九州グループで導入を開始した当初、まず1社目として弊社がSmartHRを導入しました。導入前は、大きく3つの課題がありました。
1つ目は、紙運用による工数の増加です。弊社はテレワークを導入しているのですが、担当者は紙の書類を提出するためだけに出社したり、行政機関に出向いたりしていました。

2つ目は、人事・労務担当者の業務量の増加です。従業員の増加に比例して、入社手続きや新しい法制度に対応するために、業務量も増えていました。

3つ目は、非効率な手続きの常態化です。急速に増えていく業務量に業務効率化が追いつかず、結果として生産性も低下していました。また、特定の従業員しか進め方を知らない手続きがいくつもあり、業務の属人化によって長時間労働が発生していた点も課題でした。

投資対効果・操作性・将来性。導入を決めた3つの理由

最終的に、SmartHRを選んだ決め手を教えてください。

野口さん:決め手となった理由は大きく3点あります。

1つ目は、高い投資対効果です。雇用契約の締結や人事労務手続きを電子化することで、大幅な業務時間の削減が見込まれると判断しました。

次に、直感的な操作性です。操作性が高いため、従業員に対して、過度な使用方法の説明が不要な点も大きな決め手となりました。

そして最後が、事業成長を支える業務基盤の一つになるシステムだと確信できた点です。従業員数の急増に伴う手続きの増加に効率的に対応でき、また法改正時にも迅速に適合できます。非効率な作業の改善やテレワーク推進など“ニューノーマル時代の働き方”を全社的に推進する一助になると考えました。

年間約200時間の工数削減。効果を実感し、グループ全体へ展開

グループ全体でSmartHRを導入いただいておりますが、グループ全体に導入支援をはじめた理由を教えてください。

野口さん:グループ各社でも、雇用契約や年末調整、社会保険手続きなどを紙で対応しており、業務に多大な時間を費やしている状況でした。

弊社はSmartHRの導入により、労務管理全体で年間約200時間の工数削減効果が得られました。郵送や窓口申請から、電子申請への切り替えが大きな成果につながっています。そのほか、費用削減、書類保管スペースの削減、セキュリティ面の強化など、 数多くの効果を実感しました。こうした確かな効果からSmartHRを「自信をもって推奨できるシステム」と判断し、グループ各社への導入を本格的に推進することになりました。

SmartHRをフロントシステムに据え、システム連携のハブに

SmartHR導入後のシステム構成と役割を教えてください。

野口さん:弊社も含めたグループの導入各社では、SmartHRを最新の従業員データを一元管理するフロントシステムとして活用し、既存の基幹システムとの連携ハブにしています。

外部システム連携の図版

人事情報については、SmartHRと人事給与システムをAPI連携させ、中間サーバー経由で、毎日夜間に自動でデータを更新する仕組みを構築しました。これにより、最新のマスターデータを一元管理しています。

年末調整や給与明細書・源泉徴収票の発行、社会保険関連手続きなど、シーン別の連携方法について詳しく教えてください。

人事情報、年末調整、給与明細書・源泉徴収票の発行、社会保険関連手続きのシーン別連携方法の図版

野口さん:SmartHRを介して、年末調整データの収集や給与明細・源泉徴収票の配付をしています。年末調整の際は、SmartHRから必要なデータをCSVでエクスポートし、データ変換後、人事給与システムに取り込みます。

給与明細書・源泉徴収票の発行は、人事給与システムから必要なデータをCSVでエクスポートし、データ変換後SmartHRに取り込みます。SmartHRは地方税のポータルシステム「eLTAX」の形式で源泉徴収票を作成できるようになり、使い勝手がさらによくなったと感じています。

社会保険関連手続きは、人事給与システムからSmartHRにデータを連携し、マイナポータルやe-Govを通じた行政への電子申請(算定基礎届、月額変更届など)をスムーズにできる体制を構築しています。

スマホアプリとお知らせ機能、導入支援テンプレートでグループ浸透

グループ企業への導入を進める際、どのような課題がありましたか?

野口さん:大きな壁となったのは、社用パソコンをもたない従業員が多いことや、高齢の従業員をはじめ、パソコン操作に不慣れな従業員がいたことです。

どのような工夫をされましたか?

野口さん:1つ目は、スマートフォン向けアプリ(以下、スマホアプリ)の活用です。社用パソコンやメールアドレスをもたない従業員も、自身のスマートフォンからSmartHRにログインできます。そのため、従業員は、時間や場所を選ばず、各種申請や年末調整の申告、入社手続きなど、さまざまな手続きができます。直感的に操作できるため、高齢の従業員の活用率も高いです。

実際、高齢の従業員が多いグループ会社からは、スマホアプリでの年末調整が使いやすいという声をよく聞きます。申告が質問形式で進められるため、紙の記入に比べてわかりやすく簡単で、誤記入も減少しているとのことです。

年末調整を申告する際のスマホアプリの画面
年末調整をスマートフォンで申告する例

とくに従業員の利便性を高め、活用への抵抗感を減らしていると思うのは、「画像添付作業の工数削減」です。スマートフォンで撮影した画像をそのままアプリで登録できるため、スキャンや転送の手間がなくなりました。プッシュ通知で従業員の見逃しを防止できるのもよいですね。人事・労務担当者にとっても、期限内に手続きをするように何度もリマインドする負担が軽減します。

スマホアプリ活用によるグループ展開の図版

2つ目は、お知らせ機能の活用です。代表メッセージの配信や福利厚生案内、制度改正の連絡などにお知らせ機能を活用している会社が多いです。標準機能の範囲内で文字の装飾や画像・資料の添付も可能で、手軽に活用できます。

スマホアプリとの組み合わせによって、従業員の見逃し防止につながり、閲覧率の向上を実感しています。プッシュ通知により、お知らせが確実に目に留まるためです。これにより、全従業員にタイムリーに情報を届けられるしくみを整えられました。

3つ目は、「誰でも導入業務に対応できる」しくみの整備です。グループ全体に対してSmartHRの導入を支援し、導入効果を最大化する使命があると考えています。
そのため、各社でのスムーズな導入と定着ができるよう、導入ステップをテンプレート化しています。

グループ各社への導入推進の取り組みの図版
※Fit&Gap分析:新しいシステムを導入する際に、自社の業務要件とシステムの標準機能との「適合(Fit)」と「乖離(Gap)」を洗い出す分析手法

そのほか、カスタマーサクセスご担当者さまのご協力のもと、月に1回アップデート共有会も実施しています。SmartHRのアップデートの内容を共有したり、各社がどのようにSmartHRの機能を活用・運用しているかを意見交換したりする場です。

こうした取り組みを通じてノウハウが蓄積されていけば、業務効率化や生産性向上につながります。また、グループ会社間の交流が盛んになることで、グループ全体の知識レベルも向上していくと考えています。

高齢の従業員が多い2,300名規模のグループ会社で、年末調整時間が半減

お話をされている野口さん

SmartHR導入後、定量面ではどのような効果がありましたか。

野口さん:高齢の従業員が多い2,300名規模のグループ会社では、年末調整の作業時間が約半分になり、導入以前は150時間かかっていたところ、導入後は69時間で完了しています(※)。

「年末調整での労務担当者の対応工数が格段に減少した」「リアルタイムで申告情報の確認ができ、誤りがあれば迅速に対応できる」「誤入力が各段に減った」との嬉しい声が上がっています。

さらに、入社手続きや雇用契約をペーパーレス化したことで、契約締結のスピードも格段に上がりました。グループ独自の申請業務にも柔軟に対応できるので、非常に助かっています。

(※):導入初年度2023年の効果。従業員の申告情報記入に関する比較は除く。

グループ全社導入で「システムシェアード」確立へ

最後に、SmartHRの活用における今後の展望を教えてください。

野口さん:今後予定している取り組みには、大きく2つのステップがあります。1つ目は、SmartHR導入の拡大です。現在JR九州グループ全体でのSmartHR導入率は約3割です。これをグループ全社に拡大し、システムシェアードの確立を目指しています。

グループ全体でシステムが共通化されれば、会社間の人材異動や交流時に再学習が不要になり、社外流出コストの抑制につながります。すでにSmartHRを導入している各社では使い勝手を把握済みであり、自信をもって推薦できるシステムなので、全社導入に向けて引き続き尽力していきます。

2つ目のステップは、業務シェアードへの移行です。間接業務の集約により、管理コストの削減や人的リソースの有効活用、ナレッジ共有、業務品質向上などの効果を見込んでいます。

今後は未導入のグループ会社に導入を促しつつ、SmartHRの機能を十分に活用しきれていない導入各社のサポートにも力を入れ、JR九州グループ全体の業務効率化や生産性向上を目指します。

ありがとうございました! 今後ともJR九州システムソリューションズさま、そしてJR九州グループ各社さまの業務効率化と生産性向上に貢献できるよう、尽力してまいります。

SmartHRのロゴを背景に立っている野口さん

※ SmartHRでは多様な業種・業界を対象とした事例紹介セミナーを定期的に開催しております。本記事は2025年10月15日の講演内容をもとに制作しています。

掲載内容は取材当時のものです。

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