最終更新日:2025/10/21
IDaaSとは?機能や注意点、導入手順までわかりやすく解説

目次
「SaaSが増えすぎて、ID管理が追いつかない」
「退職者のアカウントが残っていて、セキュリティが心配」
そのような悩みを抱える情報システム部門の方もいるのではないでしょうか?
こうした課題を解決する手段として、近年注目されているのがIDaaS(Identity as a Service)の導入です。複数のSaaSにまたがるアカウント情報を一元管理できるため、アカウント作成・削除の自動化やセキュリティ強化に役立ちます。
本記事では、情報システム部門の方はもちろん、その業務を兼任している人事労務・バックオフィス担当者の方に向けて、IDaaSの定義や主な機能、メリット・デメリット、選び方をわかりやすく解説します。IDaaSの活用で煩雑な手作業から解放され、本来注力すべき業務やIT施策に集中できるようにしましょう。
なお、SaaSのアカウント管理で悩む企業におすすめなのが、SmartHRのID管理です。SaaSアカウントと従業員データを紐づけて確認できるので、入退社や組織改編時のアカウント発行・削除がスムーズになります。ぜひ以下から資料をダウンロードしてご活用ください。

お役立ち資料
3分でわかる!ID管理
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- 企業が直面するSaaS運営上の課題
- この課題、SmartHRの「ID管理」が解決します!
- SmartHRの「ID管理」とは?
- SmartHRの「ID管理」特徴
- ご利用イメージ
IDaaS(Identity as a Service)とは?初心者にもわかりやすく解説
IDaaS(Identity as a Service / アイダース)とは、ID・パスワード管理のクラウドサービスです。
IDaaSは、業務で利用するさまざまなクラウドサービス(SaaS)のログイン情報を、一元的に管理できます。営業部の従業員だけ営業支援システムへのアクセスを許可するなど、利用者ごとのアクセスルールを簡単かつ安全に設定可能です。
IDaaSの導入によって、従業員は1つのIDとパスワードで許可された全サービスにログイン(シングルサインオン)できます。また、管理者にとっては、従業員の入退社時に発生するアカウントの発行・削除といった手間のかかる作業を自動化でき、業務負担の軽減につながるでしょう。
IDaaSはセキュリティのプロによって運用されているサービスです。自社でサーバーを管理するよりも堅牢なセキュリティ環境を構築しやすく、情報漏えいなどのリスクを低減しやすくなります。
IDaaSが注目されている理由
IDaaSが必要とされる背景には、クラウドサービスの普及や、テレワークといった働き方の大きな変化が挙げられます。
多くの企業では業務効率化のため、複数のSaaSを導入しています。その結果、管理すべきIDとパスワードが増大し、情報システム部門の管理業務の手間が増したと感じる企業も少なくありません。
従業員の入退社や異動時にアカウント作成・削除作業が追いつかない場合、必要なアカウントが発行されず、従業員が業務システムにアクセスできないといった支障が生じることがあります。さらに、アカウントの削除漏れが発生すると、情報漏えいなどのセキュリティリスクにもつながりかねません。
実際、警察庁が公表したデータによると、ランサムウェア被害のうち86%が、VPN機器やリモートデスクトップといった認証情報の窃取が起点となっています。IDや認証の管理が不十分であることが、セキュリティ被害につながっていることがわかります。
社内ネットワークの外から多様なクラウドサービスへのアクセスが当たり前となった今、ID管理の課題とセキュリティの不安をまとめて解決する仕組みとして、IDaaSが注目されています。
従来のID管理方法との違い
IDaaSと従来のID管理方法には、以下のような違いがあります。
従来のID管理 | IDaaS | |
---|---|---|
管理する場所 | 自社内やデータセンターに設置したサーバー (オンプレミス環境) | クラウド上(ベンダーが提供) |
主な管理対象 | 社内システムのみを管理対象とすることが一般的 | 社内外のクラウドサービス |
SaaSとの連携 | 複雑で、サービスごとに個別設定が必要な場合が多い | 簡単で、多くのSaaSと標準機能で連携できる |
従来のID管理では、SaaSとの連携を実現するために、新たなサーバーの構築やSaaSごとの個別設定が必要となり、運用が複雑化しがちでした。一方、IDaaSはSaaSとの連携を前提に設計されているため、一度の認証で複数サービスにアクセスできます。
従来の管理方法が社内ネットワークを守る仕組みであるのに対し、IDaaSはクラウド環境でIDを安全に管理する新しい認証基盤です。
IDaaSの主な機能とは?情報システム部門の業務を助ける5つのポイント
ID管理を効率化し、セキュリティを強化する5つの主要な機能を紹介します。
- ログインを一度で済ませる「シングルサインオン」
- 従業員のIDをまとめて管理できる「一元管理」
- 不正ログインを防ぐ「多要素認証(MFA)」
- 誰がどこにアクセスできるかを制御する「アクセス管理」
- 操作履歴を記録する「ログ管理」
1.ログインを一度で済ませる「シングルサインオン」
シングルサインオン(SSO)は、利用者が一度の認証で、許可された複数のクラウドサービスやアプリケーションにアクセスできる機能です。
SaaSの導入数が増えるにつれて、従業員はサービスごとにIDとパスワードを管理するがあります。すべて覚えるのは難しく結果的に、パスワードの使い回しや単純な文字列の設定など、セキュリティリスクの高い行動をとりがちです。
IDaaSによるシングルサインオンを導入すれば、利用者が覚えるパスワードは1つだけになり、利便性が向上します。IDaaSのポータルにログインするだけで、複数の業務アプリにパスワード入力不要でアクセスが可能です。
その結果、従業員の業務効率を向上させるうえ、情報システム部門の業務負担を軽減しやすくなります。
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2.従業員のIDをまとめて管理できる「一元管理」
IDaaSが提供するIDの一元管理機能(プロビジョニング)は、従業員の入退社や異動といったライフサイクルにあわせて、各SaaSアカウントを自動的に管理する仕組みです。
退職した従業員アカウントを手動で削除する場合、対応の遅れや漏れが発生すると、セキュリティホールになり得ます。一元管理機能を使えば、人事システムなどの情報源とIDaaSを連携させることで、アカウント管理を自動化できます。
たとえば、従業員データベースで従業員のステータスが「退職」に変更されると、その従業員に紐づくすべてのSaaSアカウントが停止・削除されるなどです。管理者は煩雑なアカウントの棚卸し作業から解放され、ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。
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3.不正ログインを防ぐ「多要素認証(MFA)」
多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)は、下記の3種類のなかから2種類以上を組み合わせて本人認証を強化する機能です。
種類 | 認証方法 |
---|---|
知識情報 | IDとパスワードや秘密の質問など |
所持情報 | 従業員のスマートフォンへのプッシュ通知、ワンタイムパスワードなど |
生体情報 | 従業員の指紋や顔など |
パスワードが外部攻撃によって盗まれても、多要素認証を設定していれば、攻撃者は第二の認証要素を突破できません。その結果、パスワード漏えいによる不正ログインを防げます。
たとえば、「利用者がIDとパスワードを入力した後、自身のスマートフォンに届いた通知をタップして承認しなければログインが完了しない」といった運用が可能です。
IDaaS導入時には多要素認証を活用することで、より強固なセキュリティを実現できます。
4.誰がどこにアクセスできるかを制御する「アクセス管理」
IDaaSのアクセス管理機能は、「誰が・いつ・どこから・どの端末で」といった状況に応じて、アクセス可否を柔軟にコントロールできる機能です。アクセス管理機能は、ゼロトラスト(すべてのアクセスを信用せず、常に検証する)というセキュリティの考え方にもとづいています。
具体的には、下記のように柔軟で厳格な制御が可能です。
- 経理部のメンバーが、社内ネットワークから会社支給のPCでアクセスする場合のみ、会計システムへの全機能アクセスを許可する
- 同じメンバーでも、海外出張中のフリーWi-Fiからアクセスした場合は、データの閲覧のみに権限を制限する
役職や所属部署などの属性情報だけではなく、IPアドレスやデバイスの種類、時間帯といった条件を組み合わせられます。そのため、リスクの高い状況下での情報漏えいを防止して、企業の重要な情報資産を保護できます。
5.操作履歴を記録する「ログ管理」
ログ管理は、以下の情報をすべて記録して可視化する機能です。
- 利用者の行動履歴(いつ・誰が・どのサービスに・どこからアクセスしたか)
- 管理者の設定変更履歴
上記のような監査ログは、万が一セキュリティインシデントが発生した際に、不正アクセスの経路や被害範囲を特定するための重要な証跡となります。
たとえば、深夜に不審なIPアドレスからのログイン試行が繰り返された場合、ログの監視によって異常をすばやく検知し、迅速な対応をとれるでしょう。
IDaaSを導入する4つのメリット
IDaaSの導入は、情報システム部門の運用負荷を軽減するだけではなく、全従業員の生産性向上にもつながります。導入によって得られる4つのメリットを見ていきましょう。
- IDの一元管理により運用負荷を軽減できる
- セキュリティを強化して情報漏えいのリスクを抑えられる
- ログの見える化で監査やトラブル時も対応しやすくなる
- スムーズなログインにより従業員の業務効率が向上する
1.IDの一元管理により運用負荷を軽減できる
IDaaSを導入するメリットは、複数サービスに散在するID情報を一元化し、アカウント管理を自動化できる点です。
従業員の入退社や異動のたびに、SaaSごとにアカウントを手作業で発行・変更・削除するのは、時間と手間のかかる作業です。ヒューマンエラーを誘発しやすいため、担当者の負担増や業務の属人化にもつながります。
実際に弊社(株式会社SmartHR)の情報システム部門への調査では、「SaaSごとに個別管理が必要で手間がかかる」が47.2%を占めました。
IDaaSの一元管理機能を活用すれば、人事システムなどをマスターデータとして、アカウントの作成や削除作業を自動化できます。従来は新入社員1人に対して10個のSaaSアカウントを作成していた場合、IDaaS導入後は人事システムへの登録をトリガーに、適切な権限で自動的に一括作成されます。
情報システム部門は単純作業から解放され、働き方改革にもつながるでしょう。
2.セキュリティを強化して情報漏えいのリスクを抑えられる
情報漏えいの主な原因として、推測されやすいパスワードの利用や、退職者アカウントの放置といったID管理の不備があります。
SmartHRの調査によると、情報システム部門は退職者アカウントの不正利用を最も懸念していることがわかりました。
IDaaSの導入によって以下のことが可能になるため、不正利用を防ぎやすくなります。
- 多要素認証の強制によって、不正アクセスを困難にする
- 一元管理機能によって、社内のアカウント状況を常に最新に保つことができる
セキュリティ対策を個々のSaaS任せにするのではなく、認証基盤で一元的にコントロールすることが、情報漏えいの防止につながります。
3.ログの見える化で監査やトラブル時も対応しやすくなる
SaaSごとにログの仕様や保存期間が異なると、横断的な調査や監査対応に膨大な手間がかかります。IDaaSはすべての認証が通過する関所のため、ログを見れば誰がどこからアクセスしたかを把握できるのがメリットです。
たとえば、内部監査で「特定の重要システムへの過去半年間のアクセス記録」を要求された際も、管理画面から必要なレポートを出力できます。
また、不審なアクセスの予兆を早期に検知するセキュリティ監視も可能になります。適切にログを取得しておけば、組織の情報セキュリティにおける信頼性もアップするでしょう。
4.スムーズなログインにより従業員の業務効率が向上する
IDaaSのSSO機能により、従業員は複数のSaaSへパスワードを都度入力する手間から解放されます。毎回パスワードを思い出す・リセットする時間を省けるため、日々の業務効率が向上します。
たとえば、次のような営業担当者の作業も、都度ログインする必要がなくなります。
- 外出先から顧客情報を顧客管理システムで確認する
- 見積書をクラウドストレージから取り出す
- チャットツールで上司の承認を得る
情報システム部門の負荷軽減やセキュリティ強化だけではなく、全従業員の働きやすさを向上させる点も、IDaaS導入のメリットです。
IDaaSの導入で注意したい4つのデメリットと対策
IDaaSは便利な一方、障害時の業務停止リスクなど、導入前に知るべき注意点があります。ここでは、4つのデメリットと具体的な対策を解説します。
- パスワード漏えい時の影響が大きくなる可能性がある
- サービス障害時に業務停止のリスクがある
- 連携できないSaaSには個別対応が必要になる
- ユーザー数に応じたライセンス費用がかかる
1.パスワード漏えい時の影響が大きくなる可能性がある
パスワード漏えい時の影響が甚大になるリスクがあるのが、IDaaSのデメリットです。1つの認証情報を突破するだけで、攻撃者は連携されている全アプリケーションに不正アクセスできてしまいます。
パスワード漏えいによる不正ログインリスクへの対策に必須なのが、多要素認証の導入です。本人しか持ち得ないスマートフォンへの通知や生体認証などを第二の認証要素として要求することで、第三者による不正ログインを阻止できます。
安全にIDaaSを運用するためにも、シングルサインオンと多要素認証は必ずセットで利用しましょう。
2.サービス障害時に業務停止のリスクがある
IDaaSはクラウドサービスのため、事業者のサーバーやシステムに障害が発生すると、連携しているすべてのSaaSにログインできなくなり、全業務が停止するリスクがあります。たとえば、IDaaSのデータセンターで大規模な障害が起きると、従業員はメールもチャットも利用できず、復旧を待つしかありません。
サービス停止時のリスクをゼロにはできませんが、軽減するための対策は可能です。
自社の事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)において許容できる停止時間とコストのバランスを考慮し、複数製品のSLA(Service Level Agreement:サービスの品質を保証する契約)を比較検討しましょう。あわせて障害時のサポート体制の手厚さなど、ベンダーの信頼性を慎重に見極めることが重要です。
また、万一の事態に備えて、IDaaSを経由せずに直接ログインできる緊急アカウントを設定しておきましょう。
3.連携できないアプリケーションには個別対応が必要になる
最新のIDaaS製品であっても、すべてのアプリケーションと連携できるわけではありません。
シングルサインオンは、SAML(Security Assertion Markup Language)やOpenID Connectといった世界標準の規格に、アプリケーション側が対応していることが前提です。そのため、次のような規格に非対応のアプリケーションはIDaaSの連携対象外となり、個別のID・パスワード管理が必要になります。
- オンプレミス型の独自開発システム
- アップデートがされていない古いソフトウェア
したがって、契約前に自社で利用している業務アプリケーションを棚卸しし、規格に対応しているかを確認しましょう。
4.ユーザー数に応じたライセンス費用がかかる
IDaaSの多くは、利用するユーザー数と機能のグレードに応じた月額または年額のサブスクリプション形式です。
自社で高価なサーバーを用意する必要がないため、初期費用は抑えられますがランニングコストはかかります。料金は「ユーザー単価×人数」で決まるため、従業員数の多い大企業では年間コストが数百万から数千万円規模になるケースもあります。
そのため、下記のようなIDaaS導入による費用対効果(ROI)を事前に試算しておきましょう。
- 管理者の人件費をどれくらい削減できるか
- セキュリティインシデントの発生確率をどれくらい低下できるか
自社の課題解決に必要な機能を見極め、過剰なスペックのプランを避けることが大切です。スモールスタートで効果を検証しながら、段階的に適用範囲を広げていきましょう。
IDaaSを選ぶ際に重視すべき5つのポイント
IDaaSは製品ごとに機能やサポートが異なります。自社に最適な製品を導入するため、以下のポイントを重視して選びましょう。
- 利用したいシステムやサービスと連携できるか
- セキュリティ対策の機能が充実しているか
- ベンダーの実績や成功事例が豊富にあるか
- 無料トライアルで操作性を確認できるか
- 日本語によるサポート体制が充実しているか
1.利用したいシステムやサービスと連携できるか
現在利用している、または将来的に利用したいすべてのSaaSや社内システムと、問題なく連携できるかを確認しましょう。連携できるアプリケーションが少ないほど、個別でID管理しなければならず、導入効果が薄れてしまいます。
IDaaSのベンダーは、連携検証済みのアプリケーション一覧を保有しています。製品を比較検討する前に、自社で利用中のアプリケーションを棚卸しし、下記のリストを作成しましょう。
- すぐに連携が必要なシステム(全社利用の基幹サービスなど)
- 将来的に連携したいシステム
作成したリストをもとに各ベンダーの対応状況を確認することで、導入後に失敗しにくくなります。
2.セキュリティ対策の機能が充実しているか
IDaaSは企業の認証を司る要となるため、自社のセキュリティポリシーを満たす高度な機能が備わっているかを確認する必要があります。多要素認証だけではなく、下記を実現できるかをチェックしましょう。
- 最新の認証方式をサポートしているか
- さまざまな条件を組みあわせたアクセスポリシーを組めるか(例:時間帯、国、デバイスの種類)
「自社のセキュリティ要件を、その製品でどのように実現できるのか」という具体的な視点で評価しましょう。自社で求めるセキュリティ要件に対応できるアクセス制御機能を持つ製品選びが大切です。
3.ベンダーの実績や成功事例が豊富にあるか
製品選定時には、ベンダーの導入実績や成功事例が豊富にあるかどうかも重要です。豊富な導入実績は、製品が多くの企業で価値を認められ、安定して稼働している証拠です。
また、自社と似た課題をもつ企業への導入経験があるベンダーは、業界特有の要件や課題への理解が深いと考えられます。結果的に、導入プロセスもスムーズに進むでしょう。
ベンダーの公式サイトで導入事例をチェックしてみてください。可能であれば、営業担当者に自社と近い企業の実績があるかを質問してみましょう。
なお、SmartHRは、70,000社以上(※)の企業にご利用いただいているクラウド人事労務ソフトです。最新の従業員データとSaaSアカウントを紐づけて管理できるため、入退社や異動に伴うアカウントの作成・削除漏れを防げます。ぜひ以下から詳細をご覧ください。
(※)SmartHR上で事業所登録を完了しているテナント数(但し、退会処理を行ったテナント数を除く)

お役立ち資料
3分でわかる!ID管理
この資料でこんなことが分かります
- 企業が直面するSaaS運営上の課題
- この課題、SmartHRの「ID管理」が解決します!
- SmartHRの「ID管理」とは?
- SmartHRの「ID管理」特徴
- ご利用イメージ
4.無料トライアルで操作性を確認できるか
製品を最終決定する前に、必ず無料トライアルを活用しましょう。製品パンフレットやデモ画面では使いやすく見えても、管理画面のわかりにくさや設定の複雑さといった問題が見つかる可能性があります。
管理者と利用者の両方の視点から、実際の操作性を確認することが重要です。トライアル期間中に、以下を実施しましょう。
- 自社で発生するであろうシナリオを実際に試す(例:新しいSaaSのSSO設定、特定の部署向けのアクセス制限ポリシー作成)
- 一部の従業員にテストユーザーとして協力してもらい、操作性のフィードバックをもらう
管理画面の使い勝手は情報システム部門の運用負荷に、利用者の使い勝手は従業員満足度にかかわる重要な要素です。
5.日本語によるサポート体制が充実しているか
万が一のトラブル発生時に、日本の営業時間内に日本語でサポートを受けられる体制があるかどうかもポイントです。サポート窓口が海外にしかない場合、英語でのやり取りや時差の関係で問題解決が大幅に遅れ、ビジネスに多大な損害を与えかねません。
そのため、IDaaSの契約前に下記を必ず確認しましょう。
- サポートの提供時間
- 対応言語
- 連絡手段(電話、メール、ポータル)
- SLAで定められた応答時間
国産のIDaaS製品や、日本に強力なサポート拠点をもつグローバルベンダーなら、安心感があるでしょう。
IDaaSを導入する7つの手順
IDaaSの導入で失敗しないためには、計画的な準備と明確な手順が欠かせません。ここでは、課題設定から導入後の定着まで7つの手順を解説します。
- 自社の課題を明確にし、必要な機能を洗い出す
- 人事や現場部門との連携体制を整える
- 社内研修や運用ルールを初期段階から設計する
- 自社のニーズに合ったサービスを選定する
- トライアルで使い勝手や機能を評価する
- 導入スケジュールを設計する
- IDaaSを導入して動作を確認する
1.自社の課題を明確にし、必要な機能を洗い出す
まずは、自社の課題を明確にしましょう。課題が曖昧なままでは、製品選定の軸がぶれてしまい、課題を解決できない製品を選んでしまいかねません。
具体的には、次のように自社が抱える具体的な課題をリストアップしてみましょう。
- アカウント管理の工数を月20時間削減したい
- 退職者アカウントの削除漏れをゼロにしたい
そのうえで、課題を解決するために必須の機能や欲しい機能を洗い出します。たとえば「退職者アカウントの削除漏れをゼロにしたい」なら、アカウントを自動で無効化・削除する機能などです。
この段階で作成する要件リストが、今後の製品選定から導入効果測定まで、プロジェクト全体のぶれない指針となります。
なお、ID管理業務で抱えやすい課題について、以下の資料でまとめています。ぜひダウンロードして、自社の課題を洗い出す際の参考にしてみてください。

お役立ち資料
情報システム担当者に聞いた!直面するID管理業務の課題と懸念
この資料でこんなことが分かります
- ID管理システム未導入の企業に勤める情報システム担当者が、ID管理業務に関して抱える課題
- ID管理システムの導入意向や重視したいこと
- SmartHRのID管理機能の概要
2.人事や現場部門との連携体制を整える
IDaaSの導入は、情報システム部門だけで完結するプロジェクトではありません。入退社や異動にあわせたアカウント管理の自動化を実現するには、従業員のマスターデータを管理する人事部門との連携が不可欠です。
また、実際にIDaaSを利用するのは現場の従業員です。主要なSaaSを利用する営業部門や、開発部門などの協力を得る必要もあります。
プロジェクトの初期段階で関係部署から担当者を選出し、横断的なプロジェクトチームを作りましょう。キックオフミーティングで目的と各部門の役割を共有することで、全社的な協力体制を築きやすくなります。
3.社内研修や運用ルールを初期段階から設計する
IDaaS導入プロジェクトの初期段階から、社内研修や運用ルールも設計しておきましょう。
新しいログイン方法に変わると、従業員からは「使い方がわからない」「エラーが出たが誰に聞けばよいのか」といった問い合わせが発生します。情報システム部門の負担が増大しかねないので、必ず下記を定めておきましょう。
- 従業員向けのわかりやすい利用マニュアル(例:スクリーンショットを多用し、1手順ごとに記載する)
- トラブル発生時の問い合わせフロー(例:権限が足りない場合は直属の上長に相談する)
このように用意しておくことで従業員の自己解決を促し、導入時の混乱を抑えやすくなります。
4.自社のニーズに合ったサービスを選定する
要件リストをもとにIDaaS製品を比較検討して、自社のニーズにマッチする候補を2〜3製品に絞り込みましょう。IDaaS製品は海外製から国産まで数多く存在し、それぞれに特徴や得意分野があります。
そのため、以下のように明確な評価軸を持って比較することが重要です。
- 連携したいSaaSへの対応状況
- 必要なセキュリティ機能の充足度
- サポート体制
- 費用
各社の公式サイトで機能や導入事例を確認し、候補を絞り込んだら、ベンダーに詳細な資料や見積もりを依頼しましょう。
5.トライアルで使い勝手や機能を評価する
候補に挙げた製品について、無料トライアルを利用して機能や操作性を評価します。製品の資料やデモだけではわからない、管理画面の使いやすさや、自社の環境との相性などを確認しましょう。
トライアルでは以下のような内容から、操作性を評価しましょう。
- 管理者にとって設定がしやすいか
- 利用者にとってログインは簡単か
また、何を検証して、どのような状態になれば合格にするかという評価基準を明確にしておくのも大切です。感覚的な好き嫌いではなく、客観的な評価で導入する製品を最終決定しましょう。
6.導入スケジュールを設計する
すぐに全社展開を目指すのではなく、段階的に導入範囲を広げるスケジュールを設計しましょう。小さく展開すれば、最初の小規模グループで発生した問題点や改善点を、次のグループに展開する前に修正できます。
次のような計画を立て、タスク・担当者・期限を明確にしたプロジェクト計画書を作成し、関係者全員で共有しましょう。
- 第1フェーズ(1ヶ月目):情報システム部門と人事部門を対象に導入する
- 第2フェーズ(2ヶ月目):営業部門を対象に展開する
段階的に導入すれば、全社展開時の大きなトラブルを防ぎ、プロジェクト全体の成功確率が高まります。
7.IDaaSを導入して動作を確認する
設計したスケジュールにもとづいてIDaaSを導入します。各フェーズで対象ユーザーが問題なく利用できるか、丁寧に動作確認しましょう。
計画段階では見えてこなかった問題や、特定の利用環境でのみ発生する不具合などが見つかるケースもあります。各段階で動作確認と利用者へのヒアリングを行なうことで、問題の早期発見や解決が可能になり、次のフェーズへ安心して進めます。
たとえば、以下のようにヒアリングしましょう。
- ログイン方法の切り替えやログイン時間について、5段階で評価してもらう
- ログイン操作で戸惑った点などを、自由記述で回答してもらう
導入後もモニタリングとフィードバック収集を継続することが、IDaaSをIT基盤として定着させるコツです。
自社に合ったIDaaSを導入してID管理を効率化しよう
本記事では、IDaaSの定義や機能、メリット・デメリット、導入手順までを詳しく解説しました。クラウドサービスの普及と働き方の多様化により、手作業でのID管理では対応が難しくなりつつあります。
IDaaSの導入によって、情報システム部門はパスワードリセットやアカウント棚卸しといった定型業務から解放されます。その結果、本来注力すべきDX推進や業務改善の企画に時間を使えるようになるでしょう。また、企業のセキュリティ体制を根本から強化できるため、IDaaSは中長期的な成長を支える基盤のひとつと言えるでしょう。
まずは自社の課題を明確にして、必要なIDaaSの機能を洗い出すところからはじめてみましょう。
SaaSアカウント管理で悩んでいる企業におすすめなのが、SmartHRのID管理です。SmartHRは最新の従業員データを保有するため、情報システム部門と人事部の従業員データのやり取りやID発行の依頼といった、煩雑な工程を削減できます。
また、管理画面から不要なSaaSアカウントを削除できるので、コスト削減やセキュリティ対策も実現しやすいのがメリットです。以下の資料で詳細を説明していますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。

お役立ち資料
3分でわかる!ID管理
この資料でこんなことが分かります
- 企業が直面するSaaS運営上の課題
- この課題、SmartHRの「ID管理」が解決します!
- SmartHRの「ID管理」とは?
- SmartHRの「ID管理」特徴
- ご利用イメージ

成田 大輝
事業会社の情シスとして入社し、社内システム開発のPJや約40事業所のヘルプデスク、ITインフラ整備、情報セキュリティ対策を担当。現在は、株式会社ウェヌシスを立ち上げ、代表取締役として情シス向けの研修事業やコンサルティング事業、BPO事業を展開している。

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